AIカメラとは? できることや活用事例を分かりやすく解説

2023年11月30日掲載

AIカメラとは? できることや活用事例を分かりやすく解説

AIカメラは、AI (人工知能)によって映像や画像を自動で処理するカメラのことです(ネットワークカメラとエッジ解析が可能なデバイスとの接続も含む)。近年、工場における外観検査や労働安全をはじめ、小売店での来店客の分析、医療、介護現場での転倒などの異常行動検知にAIカメラを活用する事例が増えています。この記事では、AIカメラの種類や従来のネットワークカメラとの違い、機能性などの基本知識に触れながら、企業での活用事例を紹介します。

目次

AIカメラとは

AIカメラとは、従来のネットワークカメラとは異なり、人工知能(AI)を利用して、映像や画像、人の動きを自動的に分析・解析することが可能になります。また、AIで判定し検知した映像のみをスマートフォンやPCなどのデバイスを使って必要な箇所を必要なタイミングで閲覧することが可能です。このようにAIカメラは、これまで人が行っていた作業を自動化できるため、多くの現場で活用されています。

なぜAIカメラが必要になるのか

近年、さまざまな業界で人手不足が深刻な課題となっています。パーソル総合研究所・中央大学による労働市場の未来推移2030の調査によれば、2030年までに労働人口は644万人減少すると予測されています。このような人手不足は、省人化によるワンオペレーションや高齢化による事故の多発、発見の遅れなど、さまざまな問題を引き起こす要因となっています。

そうした状況下で、AIカメラは課題を解決するツールとして有用になります。AIカメラは、従来は人の手で対応していた業務を自動化し、効率的に進めることができます。例えば、監視業務や安全管理、生産ラインのモニタリングなど、AIカメラが映像や画像の解析や認識を行い、必要な対応を取ることで、人の負担軽減や業務効率の向上を実現できます。

補足:国の考え方は?

労働安全衛生法の「巡視と措置」にて、安全管理者の取り組み事項が定められており、今後の対応として「デジタル活用の例として、ウェアラブルカメラなどによる情報収集の遠隔化や、定点カメラと画像認識処理などによる不安全行動の把握などが考えられる」とされています。厚生労働省は、AIカメラを含むデジタルツールの活用を通じて、業界全体の生産性向上や労働環境の改善、事故の予防など、より持続可能で効率的な業務運営の実現を期待していると読み取れます。

参考:厚生労働省 特定元方事業者による作業場所の巡視について

AIカメラの種類

AIカメラは、AIを処理するロケーションによって「エッジAIカメラ」と「クラウドAIカメラ」の2種類に分けられます。

エッジAIカメラ

エッジAIカメラは、AIの処理をカメラ自体またはエッジデバイスで行うものです。つまり、カメラ自体またはエッジデバイスにAIのプロセッサやアルゴリズムが組み込まれており、映像データの解析や処理を現場で行います。ネットワークやクラウドに依存せず、エッジでAI処理を行うため、高速な応答性やセキュリティの向上を実現します。

クラウドAIカメラ

クラウドAIカメラは、AIの処理をクラウドサーバ上で行うものです。カメラからの映像データはインターネットを介してクラウドに送信され、クラウド上のAIプラットフォームで解析や処理が行われます。この方式では、大量のデータをクラウド上のAIアルゴリズムで高速に処理できるため、より高度な画像認識や解析が可能です。また、複数のカメラを統合して広域監視システムを構築することも可能です。クラウドAIカメラは継続的なアップデートや拡張性にも対応しており、さまざまなビジネスニーズに柔軟に対応します。

これらを踏まえて、エッジAIカメラとクラウドAIカメラの特長をまとめました。ただし、個々の製品によって具体的な仕様や機能が異なる場合がありますので、一般的な情報として参考にしていただければ幸いです。

 項目
エッジAIカメラ
クラウドAIカメラ
リアルタイム性
プライバシー保護
×
データ転送量
データ処理能力
限定的
大容量データ処理
×
ネットワーク依存性
アップデートと拡張性
制限あり
セキュリティ対策
オフライン利用
×
リモートアクセス
×

AIカメラでできること

オブジェクト(モノ)検知

映像や画像からオブジェクト(モノ)の検知を行います。人や車、動物、物体など、特定の対象物を自動的に検出することができるので、セキュリティ監視や交通管理、商品管理など、さまざまなシーンで利用されています。

顔や姿勢(骨格)の検知

顔の特徴や骨格構造から識別することができるため、来店者の顔認識による出入り管理や勤怠管理、アクセスコントロールなどに活用されます。また、転倒検知などの作業員の高齢化による事故防止や安全管理にも役立ちます。

AIカメラの実例:顔や姿勢(骨格)の検知

パターン検知

特定の行動パターンや動き、物体の配置パターンを2次処理することで、異常検知や安全性の向上に貢献します。具体的には、不審者の行動検知や盗難防止、製造プロセスの異常検知などが挙げられます。
また、人のアクションをパターン化しておき、特定のアクションに対して自動的にメッセージを画面表示を行うことで、カメラ越しに指示をするといった活用もできます。

AIカメラの実例:パターン検知

領域の検知

特定の領域の検知や識別が可能です。例えば、侵入エリアの検知や識別に活用されます。センサと連動して、セキュリティ上の重要なエリアへの侵入や指定された領域の不正な利用などを検知することが可能です。安全性の向上やセキュリティの確保に役立ちます。

AIカメラの実例:領域の検知

AIカメラと映像解析プラットフォームの活用シーン

【製造業】リアルタイムな作業員の安全管理を強化

AIカメラの活用により、作業員の安全をリアルタイムに管理することが可能です。

例えば、作業員が危険な行動をしたり危険なエリアに入った場合には、AIカメラが即座に検知し、警報や通知を発することで事故を未然に防ぐことができます。作業員が転倒した場合も迅速に検知するので、すぐさま救助措置を講じることができます。

【小売業】顧客の属性分析による売上向上とオペレーション最適化

AIカメラを用いることで、顧客の嗜好や購買パターンの把握や店内の品切れ状況をリアルタイム確認することができます。

例えば、来店されるお客さまの属性や滞留時間が多いエリアに基づいて効果的なプロモーション展開を検討したり、商品の品揃えやレイアウトを変更することで売上の向上に貢献できます。また、商品の購買履歴とAIカメラによる欠品検知のデータを組みあわせて分析することで機会ロス低減につなげることが可能です。さらに、レジの滞留時間を検知することにより、混雑が予想される時間帯の人員配置を調整すれば、、顧客の待ち時間を短縮して顧客満足度を向上することも可能です。

【土木・建設業】施工プロセスの効率化

作業の進行過程の確認や作業報告書の作成、安全管理などを効率化することができます。

AIカメラを現場の定点カメラとして活用することで、工事の進行状況をリアルタイムでモニタリングでき、工事のスケジュール遅延や予期せぬ問題が発生した場合に早期に対応することができます。さらに、蓄積された映像データを解析することで、作業報告書の作成にも活用できるため、別途計測や撮影をする手間も削減できます。

AIカメラ×AI映像解析プラットフォームでさらに広がるデータ活用の可能性

AIカメラのデータをAI映像解析プラットフォームと組み合わせることで、データ活用の可能性を広げることができます。

AI映像解析プラットフォームとは、カメラで取得した映像データをAIで分析・解析し、情報へと変換する映像解析の共通基盤です。このAI映像解析プラットフォームと多様なシステムとをAPIで連携するとデータ収集から分析、レポート作成までを自動化することができます。これにより、人手に依存しない効率的な業務プロセスを実現できるため、さまざま産業や業界で活用されています。

AI映像解析プラットフォーム「STAION」

AI映像解析プラットフォーム STAION(スタイオン)は、カメラで取得した映像データをAIで分析・解析し、情報へと変換するAI映像解析プラットフォームです。STAIONはONVIF規格に準拠しており、多くのカメラやエッジデバイス(AI映像解析装置)と接続することで、膨大な量の映像データを蓄積・分析・解析し、必要な情報へと変換することができます。また、映像データをクラウドにアップしないのでセキュリティ性が高く、安全に利用することができます。より詳しい情報は、STAIONのサービスページを参考にしてください。

まとめ

AIカメラは通常の録画機能に加え、特定の対象物の認識や情報収集機能を備えています。これにより、より高度な監視や分析・解析が実現できます。

AIカメラを活用する上で重要なのは、取得したデータの有効活用です。まずは、カメラデータから、どのような目的を達成したいのかを検討することが重要です。データがあれば近い将来、生成AIと組み合わせることでさらに活用の幅が広がる可能性もあります。ぜひ、AIカメラの活用をご検討いただき、将来の拡張性や活用の可能性にも目を向けていただければ幸いです。

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