SIEMとは? 機能とメリット、SOARとの違いを解説
2024年7月16日掲載
テクノロジーの進化と業務活用が進む中、企業は日々、増大するセキュリティリスクと向きあっています。脅威との戦いを有利に進めるためには、タイムリーかつ効果的なセキュリティ対策が欠かせません。ここで重要な役割を果たすのがSIEM(シーム)です。今回は、SIEMの基本概念から活用メリット、よく一緒に話されるSOAR(ソアー)との違いについて解説していきます。
SIEMとは
SIEMとはSecurity Information and Event Managementの略で、ネットワーク上で発生するログを収集し、監視・分析・通知する技術のことです。異常なアクティビティやセキュリティインシデントを検知することで、企業や組織のセキュリティを維持し、脅威に対処します。
よく似た言葉に SIM(Security Information Management)と SEM(Security Event Management)があります。SIMはログ収集や保存、解析を行い、SEMはログからリアルタイムの分析とアラート通知を行います。これら2つの機能を統合したものがSIEMです。
SIEMの機能
主に下記のような機能が含まれています。
- ログの収集
ネットワーク上で発生するログを収集します。DNSサーバやネットワーク機器、業務サーバ、ファイアウォール、IDSやIPS(侵入検知、侵入防止システム)などセキュリティツール(サービス)からのデータも含まれます。 - 解析
収集したログを解析し、異常な行動や攻撃パターンを検出します。例えば、異常なアクセス試行や不審なネットワーク通信などを解析します。 - リアルタイム分析と通知
ログをリアルタイムで分析し、異常があればセキュリティ管理者に通知します。 - インシデント対応
攻撃やセキュリティインシデントが発生した場合、SIEMは事象や被害の詳細情報を提供し、迅速な対応を支援します。(SIEMとしての機能は検知・通知まで)
また、SIEMは相関分析(異なる複数のログやイベントの関係性を特定し、異常性や攻撃の兆候を検出する)を行うことで、例えば、特定のアカウントが異常なほど高頻度で認証を試みたり、一度に複数の不正アクセスを試みるなどの異常行動を検出できます。SIEMは多様なセキュリティツールやシステムから情報収集し相関分析することで、攻撃全体のパターンや攻撃経路を把握し、より効果的な防御策を講じることができます。
SIEMを用いれば、サイバー攻撃によるデータ侵害などのリスクを早期に検知し、対応することが可能です。
SIEMとSOAR(ソアー)の違い
よく比較されるものに SOAR(Security Orchestration, Automation and Response)があります。両方ともセキュリティ管理の重要な要素として使用されていますが、異なる目的と機能を持っています。
SIEMは、先ほども述べた通りログの収集、分析、通知を行います。一方、SOARは「セキュリティオペレーションの自動化や統合、効率化」を提供し、SIEMが検知したアラート通知に対して自動的に対応するためのルールやフローを作成することができます。
要するに SIEMはセキュリティインシデントの検出と調査をサポート し、SOARはそれらのインシデントに対する効率的な対応を提供 します。
項目
SIEM
SOAR
目的
機能
利点
SIEMの特長、メリット
先ほども述べたように、SIEMは複数のログを収集しリアルタイムの監視と分析を行い、異常なアクティビティを検知し迅速かつ適切な対応を行うことができます。SIEMを導入することは企業にとって下記のようなメリットが挙げられるでしょう。
- 統合的なセキュリティ管理ができる
複数のセキュリティソリューションのデータを統合し1つのダッシュボードやコンソール上で確認できるため、セキュリティの統合的な管理が可能になります。これにより、セキュリティ対策の効果を統合的に評価し、リスクを把握することができるようになります。 - セキュリティインシデントを迅速に検出できる
リアルタイムでセキュリティイベントを監視、分析し異常な活動や攻撃パターンを検出するため、攻撃や侵入の早期検出が可能になり迅速に対応できます。 - コンプライアンスの遵守
近年、企業にとってコンプライアンスの対応は必要不可欠なものとなりました。SIEMでは、セキュリティポリシーや規制要件に基づいて活動を監視し必要な情報を分析するため、企業や組織は法的規制への遵守やコンプライアンスの要求に対応することができます。 - ユーザビリティと可視性の向上
シンプルなインターフェースやダッシュボードを提供されることが多いため、セキュリティの可視性を向上させます。このことで、セキュリティ管理者はセキュリティイベントを迅速に識別でき重要な情報に注力することができるようになります。 - 人の手をかけずに大量のデータ処理と分析できる
SIEMは、複数の異なる先から大量のログを処理し、異常なパターンや攻撃を検出するための高度な分析を行います。今までは人手がかかっていた作業でしたが、より効率的にセキュリティデータを処理することができるようになります。またSIEM自体は昔からあるサービスですが、近年ではオンプレ版をクラウド化したサービスが生まれたことでサーバ容量に左右されずに大量のデータ処理や分析ができるようになりました。 - 誤検知を減らすことができる
ログを集約しそれらを関連付けて一元的に分析・可視化する機能を持っているため、単体で見ると異常と判定しがちな動きも、全体の背景や状況を考慮することで正常な動作と判断できます。さらに、SIEMは複数のデバイスやシステムの情報を一元管理し高度な相関分析を行うことで、真の脅威をより精度高く識別することが可能です。
まとめ
今回はセキュリティ対策としての自動検知と分析を行うS機能やメリットについて解説しました。SIEMを理解することは、組織のセキュリティ対策を強化するために欠かせません。しかし、運用には専門的な知識とスキルが必要であり、適切な人材の確保とトレーニングが課題となったり、継続的なメンテナンスとアップデートが必要なのも事実です。また、クラウド環境やモバイルデバイスの普及に伴い、適用範囲も広がっているため、より柔軟で効果的なSIEMソリューションが求められています。
ソフトバンクのMSS(マネージドセキュリティサービス)は高度なSIEMを活用しており、お客さまに代わって24時間365日体制で組織のセキュリティの監視・分析・対処を行います。ぜひお気軽にご相談ください。
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