鉄道施設の調査・計画・設計及びメンテナンスなどの業務を行うジェイアール北海道エンジニアリング株式会社(以下JRHE)。
同社では、ドローンの自動操縦の機能を活用して、鉄道構造物の検査業務の効率化に取り組んでいました。しかしGPSからの位置情報だけでは大きな誤差が生じるため、自動操縦できる環境や検査対象には制限があり、安全性にも課題がありました。
そこでJRHEは、誤差数センチメートルの高精度測位を実現する位置情報サービス「ichimill」を採用しました。高精度位置情報をもとに飛行制御の精度を向上させることで、さまざまな構造物を検査できるようになるとともに、安全性の向上と効率化に取り組んでいます。
「これまでの技術では膨大なコストと時間がかかるために断念していたことでも、ドローンと『ichimill』を活用すれば実現できる可能性が広がります。」
ジェイアール北海道エンジニアリング株式会社
取締役 技術本部 調査監理部 部長 鈴木智之 氏
JRHEは、JR北海道グループの1社として、鉄道施設の調査・計画・設計及びメンテナンスなどの業務を行い、鉄道の基盤を支える役割を担っています。
JRHEがドローンを業務に活用しはじめたきっかけは、2015年に高波の影響で日高線の盛土が流失した際の状況確認だったといいます。また、2016年の台風10号による河川の氾濫で、石勝線と根室線が浸水した際には、被害状況の確認にドローンからの空撮が極めて有効なことが分かりました。
災害と同様に、測量や点検時においても落石・滑落などの危険があることから、日常業務においてもドローンを用いた空撮が検討されるようになりました。また、人手不足の影響で、2年に1回実施する鉄道構造物の定期検査の効率化が求められていたことも背景にあり、検査業務でのドローン活用方法の検討が始まりました。
「GPSからの位置情報をもとにした自動操縦は誤差が大きく、検査に使える写真が撮れませんでした。」
ジェイアール北海道エンジニアリング株式会社
技術本部 調査監理部 サブマネージャー 浅井亨 氏
こうして、検査の安全性向上と効率化という目的からドローンの本格的な業務活用方法の検討が始まったものの、GPSからの位置情報の精度が低いことを原因とした新たな課題が見つかりました。
GPSの精度では位置情報の誤差がメートル単位で発生するため構造物に接触する恐れがあり、これは検査の安全性において大きなリスクとなります。
「例えば橋りょうを検査する場合は、手摺への接触や路上へ飛び出す危険があることから手動で離着陸操作を行っていて、自動飛行可能な環境は限られていました。」 (鈴木氏)
また、ドローンの飛行が安定しないため目的の対象物を撮影できず、細かい部分の検査においては、予想していた効果が発揮されませんでした。
「自動飛行の誤差が大きく、検査に使える写真はなかなか撮れませんでした。高度が安定しないため、橋桁を撮ろうとしたのに空ばかり写っていたなんてこともありました。」 (浅井氏)
検査業務の安全性向上と効率化を実現するためには、より精度の高い位置情報をもとにドローンの飛行を制御する必要がありました。
ここで同社が採用したのが、高精度測位サービス「ichimill」でした。
「『ichimill』ならRTK測位のための準備が不要で、他社の高精度測位サービスよりも運用コストが安いため、すぐに導入を決めました。」
鈴木智之 氏
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