企業文化として「挑戦・変化・リスキリング」を大切にしているソフトメーカーのソリマチ株式会社では、生産性向上の一環として生成AIの活用に取り組み始めました。その際、生成AI人材の育成だけでなく将来的な事業面での生成AI活用を見据えて、ソフトバンクの生成AI人材育成サービスである「Axross Recipe for Biz」を導入。生成AIの人材育成の進め方にも工夫を行い、知識の習得だけでなく定着化にも成功しています。
定量的な数値効果
学習後の満足度
85%
「生成AIを利用する際のプロンプトを全員で身につけることは目的の一つでした。プロンプト実践集はなかなかボリュームがあるのですが、業務に役立つという意味ではかなり人気があり、実施後のアンケートで85%が満足したと答えました」
ソリマチ株式会社 常務取締役 COO 古宮衛士氏
会計を中心とした業務ソフトメーカーとして個人事業主、中小企業、農業経営者、会計事務所、商工会などの団体へ幅広いサービスを提供しているソリマチ株式会社(以下、ソリマチ)および、ソリマチテックグループは、「The FirstPenguin Company 誰かのために」というパーパスを掲げ、AIテクノロジーで社会課題の解決に取り組んでいます。
生成AIは2022年末よりさまざまな企業で注目されている一方で、導入に躊躇される企業も多くあります。その中でなぜ生成AIに取り組むことにしたのかソリマチ株式会社で常務執行役員 COOを務める古宮氏に伺いました。
「生成AIの活用で生産性が大きく向上すると言われています。この流れに乗らないことは、イコール衰退を意味していると考えて取り組みはじめました。我々はベテラン、若手ともに活躍できることを目指しており、知識や経験が少ない若手は生成AIによって活躍できるシーンを増やし、またベテランは伸び悩む生産性を生成AIで補っていこうとしています。
もう一つの理由として、我々は『挑戦、変化、リスキリング』を大切にしています。学び直すこと(リスキリング)を会社の文化としていることも背景にあります」(古宮氏)
生成AIが話題になると、すぐに取り組みはじめたソリマチ。経営層からの指示により、まずは全社で取り組もうとなったものの、早期に取り組みはじめたが故に生成AIとは何か、何ができるのかという状態だったことから、まずは知ることからはじめたと言います。
生成AIを知るにあたり複数社の研修サービスを検討していく中で、生成AI導入後の展開が採用の決め手になったと古宮氏は語りました。
「オンライン研修だけであれば複数社から提案を受けていました。しかし、我々は生成AIを知るところがスタートではあるものの、生成AIを使ったサービスをお客さまにお届けすることを目的としていました。そのためには人材育成に加えて、AIの環境や技術、ビジネスへの取り組みを一気通貫でやっていかなければならないと考えていました。ソフトバンクの提案は、Azure OpenAI Service の環境だったり、一緒にビジネス併走するものだったりと、知ることだけでなく多岐にわたっていました。そこでまずは、その中の一つとして生成AIが学べる Axross Recipe for Biz を選択しました」(古宮氏)
全社員に生成AIを学んでもらうにあたり、5つのポイントがあったと古宮氏は述べました。
「オンライン研修を実施する前に、グループ400人に向けて生成AIの現状について有識者の方に語っていただく場を設け、まずはAIの実情を理解してもらうことからスタートしました。AIが世の中や働き方を変えていく。悪いこともあるかもしれないが、よいことも生まれるかもしれない。そこに我々がいち早く取り組んでいくことや、なぜ生成AIに取り組むのかという目的を説明しました。
そして、オンライン研修を受ける際には、職種ごとにハードルの調整を行いました。今回 Axross Recipe for Biz を選んだ理由の一つにトライアルがあります。各職種のメンバーを選抜しトライアルを受けてもらい、その結果をもとに運営側が分析し、この職種の方はここまできるのではないかとか、この部署には負担が大きいよねみたいなところを決めて、ハードルの調整を行いました。ここは大きなポイントになったと思います。
実際のオンライン研修では、少人数チームで行うことでお互いが刺激となりよい相乗効果が生まれました」(古宮氏)
研修に際し、現場の従業員のやる気を高める工夫を行ったソリマチ。人材育成は相手のキャパシティーも含めてそれぞれ事情が異なるため、いかに従業員に寄り添い生の声を聞くか、コミュニケーションが重要であったと古宮氏は述べました。
学習コンテンツでは、生成AIを使いこなす際の肝となる「プロンプト実践集」が役に立ったと語りました。
「プロンプトエンジニアリングという言葉もあるように、生成AIを利用する際のプロンプトを全員で身につけることは目的の一つでした。プロンプト実践集はなかなかボリュームがあるのですが、業務に役立つという意味ではかなり人気があり、実施後のアンケートでも85%が満足したと答えました。
また、AIの倫理面に関するコンテンツがよかったと思っています。当時は、生成AIが出始めた時期だったので、情報流出の懸念などいわゆる情報セキュリティ面や、著作権を侵害しているのではというコンプライアンスの部分が知られていませんでした。この研修を通して知ることで安心感が得られましたし、倫理観はやはり重要なのだとあらためて気づかされたりもしました」(古宮氏)
Axross Recipe for Biz はスマートフォンでも視聴でき、倍速で見ることも可能なので、通勤時や隙間時間に視聴したり短い時間で一気に学ぶことができたとも語りました。
経営層自らも利用して生成AI研修を進めていったソリマチ。研修しただけでは活用が進まないため、定着化への取り組みも行ったと言います。
「ソリマチAI認定という社内制度を立ち上げて、みんなでチェックテストを行いました。プロンプトも学んでいるので、チェックテストの回答は生成AIに聞いてもよいということにしたところ、生成AIの回答結果が違うというような意見がでたり、生成AIが嘘をつくから自分で回答を補うことにしたというケースもあり、こうしたところは教材が生きる形になりました。
また、チーム制でプロンプトコンテストも実施しました。候補の中から優秀賞を絞り込みその中から、最優秀賞を決めたのですが、そのときに選ばれたのが新人(若手)のチームでした。
知識や経験がない中でも生成AIを利用することで、我々ベテランが考えつかないアイデアが生まれるのだと思います」(古宮氏)
研修を終えたソリマチでは、業務やビジネスでのAI活用が進みはじめています。
「生成AIを活用することで、若手がベテランに匹敵するような成果を出したり、ベテランがさらに活躍できるように生産性を上げていこうとしています。
また、業務ソフトメーカーとして、お客さまに弊社のサービスや製品を十分に活用いただくことを大切にしており、お客さまサポートにかなりのウエートを置いています。今はオペレーターが電話でサポートをお受けしているのですが、それでは対応に時間がかかってしまったり、お待たせすることもでてきてしまうことから、生成AIを活用したサポート自動化に向け、ソフトバンクさんと一緒にPoC(概念実証)に取り組んでいます。
完全自動化は少し先の話にはなってくるものの、徐々に我々のノウハウを利用して生成AIがどうやって返してくれるのかとか、それをどうやって加工するのかという話も進めています。また、我々は会計データをたくさんお預かりしている立場でもあるため、それを『会計データサイエンス』という形でお客さまの事業がより上手くいくようなお手伝いができないかと研究も進めています」(古宮氏)
業務面だけではなく、事業への活用にも取り組みはじめたソリマチ。「誰かのために、次代の先頭に立つ」というソリマチテックグループのマインドを大切に、お客さまのため、チームのためにこれからも取り組みを進めていきます。
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