マーケターのための5分でわかるCDPのキホン -活用例と失敗例

マーケターのための5分でわかるCDPのキホン -活用例と失敗例-

(2020年3月25日 掲載)

今、企業のマーケターの役割が問われている。インターネット普及以降、多くの企業では収集した情報が社内で分断される”データのサイロ化”が起こり、データの活用、ひいては顧客理解の深化を果たせないでいる。

この大きな課題の解決策となるのが、マーケターのためのソリューション「CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)」だ。なかでも「Arm Treasure Data CDP」は、国内CDPでも圧倒的なシェアを誇り、企業に多くの利点をもたらす。

いったいCDPはどんな価値を持っているのか。その基本から解説しよう。

インターネット普及以降に起きた“データのサイロ化”

ビッグデータ時代、マーケターにはデータからビジネス機会を見つける「仮説立案力」が求められている。

インターネット普及前では、例えば、昭和にイメージされるような百貨店の外商。得意顧客宅を訪問し、日頃のコミュニケーションから一家の嗜好、家族構成、家計の状況、ライフイベントなどを把握し、顧客のニーズや新しい商売の兆しをいち早く読み取る。「もうすぐ桃の節句。あの家は3歳になるお嬢さんがいるから、雛人形を買うだろう」といった具合だ。

御用聞きによるデータ収集モデル

しかし現代ビジネスにおいて外商のような存在を成立させるのは、容易なことではない。インターネット普及以降——例えば小売なら販売チャネルの多様化に伴い、顧客の会員情報や多岐にわたる決済情報、ECでの購買情報など——顧客とのタッチポイントが増えることで顧客の情報源は分散し、社内では顧客情報が分断されていった。

デジタル化後のデータ収集モデル

顧客の行動情報や決済情報が別々の場所に格納される、いわゆる“データのサイロ化”が起き、正しい顧客理解の妨げとなっている。

例えば、CRMで獲得した居住地や所属企業データと、POSによるオフラインの購買データ、そしてWebの閲覧データ。仮に1人のユーザがそれぞれのデータベースに登録されていても、各データが分断されている状態では1人のユーザとして認識できない。もし1人のユーザとして認識できていれば、顧客への理解が深まり、より適したコミュニケーションやマーケティング施策が可能となる。

ユーザデータ統合で深まる顧客理解

これに加え、どの企業でもデータを収集・分析できる人材が不足している。マーケティング担当者は、企業のどこかに活用できるデータが眠っていても、取り出すこともできなければ、その存在に気づいていない可能性さえある。

CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)とは

こうしてマーケティングにおけるデータの統合管理の必要性が高まるなか、情報のサイロ化を解消し、顧客を深く理解したい——そんな企業ためのソリューションとして注目されているのが、CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)だ。

CDPとは「膨⼤なデータから顧客理解を実現するデータ統合・分析プラットフォーム」のこと。顧客とのタッチポイントから自社が収集した顧客データ(1st Partyデータ)と、DMPをはじめとする外部から収集したデータ(2nd & 3rd Partyデータ)を統合し、1人の顧客としてユーザを分析できる。

ArmTreasure Data CDPとは

出典:Arm Treasure Data

国内CDPシェアの約92.3%を占めるArm Treasure Dataは、これまでデータサイエンティストなどの専門技術者でなければできなかった顧客分析を、マーケティング担当者でも行うことができる簡便さが特徴だ。分析した顧客データを元に、さまざまなマーケティング施策をスムーズに実施することもできる。

※出典:Feb 2019 / CDP Market share by Datanyze.

Arm Treasure Data CDPの特徴

①超大規模、かつ多様なデータを柔軟に集計・分析

②500を超えるマーケティングツールへのデータ連携

③機械学習による類似ユーザの抽出、自然言語処理、クロスデバイスなど多様なデータ分析ソリューション

④Arm Treasure Dataのユーザ企業間でのデータ連携

⑤安全なセキュリティ、迅速丁寧なサポート

CDPとよく比較の対象になるものにDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)がある。CDPは1st Partyデータを軸に顧客理解を深めるものであるのに対して、DMPは2nd & 3rd Partyデータを軸に効率的な広告配信を目的とする。

CDPとDMPの比較

CDPとDMPの比較

参考:Arm Treasure Data

また、CDPは個人を識別することができるほか、半永久的に顧客のデータを保存し、継続的に追いかけることができる。真の顧客理解を図ることで、広告や販促活動だけでなく、デジタルトランスフォーメーションや新規事業など広範囲にデータを生かすことが可能だ。

顧客ステージに応じたCDP活用イメージ

「Arm Treasure Data CDP」でユーザデータを統合すれば、企業は的確に、顧客行動(サービスの検討プロセス/購入/利用動向)やニーズを把握できるようになる。

ではここから、ある商材(例えばクルマ、住宅、高級家電、保険等)の販売会社をイメージした、実際の活用例をいくつか紹介する。

顧客ステージに応じたArm Treasure Data CDPの活用例

出典:Arm Treasure Data

ケース1:新規顧客の獲得

CDPでは自社ECサイトの閲覧ログとカタログ請求情報を紐付けることにより、顧客の興味・関心・欲求レベルに応じてセグメント化(見込み顧客の把握、ターゲティング)し、コンテンツ配信などの施策を実施して、新規顧客の獲得や成約率アップにつなげることができる。

ケース2:既存顧客のファン化

同じ販売会社で、今度はさまざまなデータ(顧客の属性情報、行動ログ、クレーム情報、利用サービス情報)を収集し、CDP内の機械学習による解析で既存顧客の解約リスクを予測。解約のリスクが高いユーザを把握することで、ポイント付与などの施策による呼び戻し(ファン化)、あるいはアフターフォローによる解約率低減のための施策を実行できる。

ケース3:既存顧客のLTV(Lifer Time Value)最大化

1st Partyデータ(自社サイトの閲覧ログ、過去の契約書データなど)、2nd & 3rd Party データ(メディア、比較サイトのログなど)を統合・分析。これにより、既存顧客の興味関心やライフステージイベント(結婚、出産、家や車の購入時期など)を把握できるようになったため、顧客に応じたカスタマーカルテを作成。顧客が商談に来るときには、すでに「この顧客が何を購入したいのか」がカルテから分かっているため商談を有利に進めることができ、LTVの向上にもつながった。

CDPで顧客の理解を深めることは、デジタル化したマーケティング活動すべての領域の最適化につながっていく。また正確に顧客を知ることで、新たな事業創出の種を見つけることもできる。

CDP導入でありがちな失敗

CDPにより多種多様な自社データと外部データを統合し、顧客を分析する。言わずもがな、企業全体の戦略に関わる、この壮大なスケールのプロジェクトは失敗のリスクもはらんでいる。

CDP導入でありがちな3つの失敗

①データ活用戦略の欠如

CDP導入後のデータ活用の指針がないと、具体的なアクションプランへの落とし込みができない。CDPを導入すること自体が目的となってしまい、一部の部署の取り組みで終わってしまう。

②各部署が連携するための旗振り役がいない

全社でデータを統合すると決めたものの、既存データの管理部署がばらばら。目的、進め方、予算の出処などの違いからさまざまな軋轢が生まれ、プロジェクトがストップしてしまう。

③データ量が不十分、大量のデータを把握できない

データの統合を決め、いざデータを収集してみると、アクションプラン実行のためのデータ量が不足していることが分かったり、その一方では、さまざまなデータを収集することだけに精一杯になり過ぎて、それらを把握・管理することができなくなってしまったりする。

データの利活用に長け、社内で推進できる人材がいない企業にとって、CDP導入にあたっては上記のような表裏一体のリスクが存在している。

そこで、ソフトバンク、博報堂、Armは2019年9月、3社の強みを生かし、データ活用による企業の変革を支援する合弁会社、インキュデータ株式会社を設立した。

インキュデータでは企業のデータ活用におけるコンサルティングから「Arm Treasure Data CDP」によるデータ統合(システム構築)、各種デジタルマーケティング施策の実行を通じデータ活用による企業の変革を一貫してサポートする。

インキュデータによる顧客企業の支援プロセス

●データ活用の戦略を立案

顧客企業の課題解決に向けた変革の全体設計を行い、データ活用の戦略を策定する。

●データ分析・活用基盤を構築・導入支援

顧客企業のさまざまなステークホルダーや、ベンダ、2nd & 3rd Partyデータの提供事業者などとの調整を進めながら、戦略を具現化するためのデータ分析・活用基盤の構築・導入を支援する。

●データ分析・活用基盤の運用と各種施策の実行を支援

多種多様なデータがインポートされるデータ分析・活用基盤を、顧客企業が運用できるようにするとともに、エンドユーザ視点のマーケティング活動の設計や、事業計画の策定、各種施策の実行を支援する。

インキューデータによる顧客企業の支援プロセス

CDPに限らず、AIやIoTなど企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)にあたり、いつも立ちはだかるのは「戦略」「組織」「人材」の壁だ。

CDPをはじめとするシステムやツールは導入しただけで効果を得られるような魔法の杖ではない。企業が外部の力を借りながらでも、この3つの壁を乗り越えることができれば、2020年は「CDP元年」ひいては「データ元年」になるかもしれない。

編集後記

5Gサービスの開始に伴い、都市のIoT化が進むことで、2020年以降のデータ量と種類はさらに爆発的に増加することが見込まれている。企業活動において、データが存在感を増していき、データの利活用は避けては通れない課題になるだろう。企業は部署や施策単位ではなく、全社の重点戦略として、データとどう向き合うかを考えるべき時が来ている。

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