概要
株式会社松屋アールアンドディは、縫製ロボットや縫製自動機の開発に加え、血圧計腕帯(カフ)をはじめとする縫製品のOEM生産をグローバルに展開する製造企業です。事業拡大に伴い従業員数が約2倍にも増加する中、全社のIT基盤は専任担当者が不在のまま運用されており、事業成長を支える環境整備が課題となっていました。そこで同社は、ネットワークやセキュリティなどのIT基盤をソフトバンクへ集約。「ひとり情シス」でも運用しやすい環境を整備し、安定した通信環境とセキュリティの向上を実現しました。現在は、さらなる事業拡大やグローバル展開を支えるIT基盤の強化を進めています。
- 専任のIT担当者が不在で、全社のIT環境が属人的に運用されていた。
- 人員増加により、ネットワークのひっ迫とそれに伴うセキュリティリスクを抱えており、既存のIT環境を刷新する必要があった。
- 電話やメール中心の運用で、社内コミュニケーションや業務効率に課題があった。
- IT基盤を集約し、「ひとり情シス」でも運用しやすい管理体制を実現した。
- 安定したネットワーク環境とセキュリティ対策を講じたことで、事業成長を支えるIT基盤を構築できた。
- Microsoft 365 に統一したことで、コミュニケーションと業務効率が向上。
導入サービス
株式会社松屋アールアンドディ
人事総務課 中村 史典 氏
ゼロトラスト:「全ての通信を信用しない」という考え方のもと、全ての通信に対して安全性の検証を行うセキュリティモデル
社員数が約2倍に増加、属人的なIT管理が限界に
同社が国内外で事業拡大を加速させる中、大きな壁となったのが「社内IT環境の整備不足」でした。コロナ以前は30名ほどだった国内の従業員数が、事業拡大にともない60名へと急増。これまではインターネットに詳しい社員がヘルプデスク業務を兼任していましたが、規模の拡大に対して従来の体制や設備では対応が困難になりつつありました。
当時、社内のIT環境は以下のような課題を抱えていました。
①脆弱なネットワーク
インターネットは家庭用回線を引き、家電量販店で購入した家庭用Wi-Fiルーター(アクセスポイント)を駆使して接続していた。Web会議は回線がひっ迫してしまい、ファームウェアの更新も行き届かなくなっていた。
②セキュリティリスク
社員ごとのアカウントやPCを一元管理する Active Directory がなく、ID・パスワード管理が不十分だった。また、国内向けの老朽化したVPNを利用していたため、海外出張時に接続しづらく、また盗難や紛失時のベンダーサポートも対象外であったため、セキュリティリスクを抱えていた。
③コミュニケーションの不備
チャットツールがなく、隣接する建屋間の不在確認やちょっとした連絡も、すべて内線電話やメールで行っていたため、レスポンスの遅れが生じていた。また PowerPoint などの必要なアプリケーションがPCごとにバージョンが異なり、業務に支障が出ていた。
このような状況の中、バックオフィス体制の強化に向けて、2023年8月から同社のシステム化を一手に担うことになったのが、中村氏でした。多岐にわたる総務業務を兼任しながら、「ひとり情シス」としてIT基盤の抜本的な見直しに着手することになりました。
「ネットワークやVPN、認証環境など、社内のIT基盤にはさまざまな課題がありました。せっかく見直すのであれば、将来的なゼロトラスト環境の実現も見据えながら、IT基盤全体を整備したいと考えました」(中村氏)
持続可能な「ひとり情シス」のためのIT環境を構築
同社は、限られたリソースの中でも持続的に運用できるIT基盤を構築し、「ひとり情シス」のためのシンプルな管理体制を実現しました。
「ITインフラの見直しにあたっては、3社で比較検討しました。複数の通信事業者やITベンダーを組み合わせてベストプラクティスを積み上げていく方法もありますが、「ひとり情シス」では調整業務だけでパンクしてしまう恐れがあります。ソフトバンクさんは、法人向けネットワークやセキュリティ、モバイル端末レンタルサービス、さらには Microsoft 365 の取り扱いもありました。今回『ひとり情シス』でも持続的に運用できるIT基盤の構築を進めるために、ソフトバンクさんにIT周りのインフラを全て集約させることにしました」(中村氏)
また、ソフトバンクは同社の経営層が重視する費用対効果を踏まえながら、一つ一つ丁寧に合意形成を進めたことが、安心感につながったと言います。
「当初は経営層から時期尚早との判断があり、プロジェクトが中断してしまいましたが、その間もソフトバンクさんは継続的にフォローしていただきました。福井と東京という距離がありながらも、Web会議による定例会で密に連携でき、不安なくプロジェクトを進めることができました。また、経営層が重視していたコスト面とのバランスも踏まえながら、『何ができて、何ができないのか』を一つずつクリアにし、丁寧に合意形成を進めていただけたことは、大きな安心材料でした」(中村氏)
安定した通信環境と可視化を実現、「ひとり情シス」を支えるIT基盤へ
高品質で安定性に優れたインターネット回線である「SuiteEther」やインターネットをセキュアに利用できる「SD-WAN TypeF」などのネットワークサービスを導入したことで、同社のIT環境は劇的な改善を遂げました。
① ネットワークの安定とセキュリティの向上
「4つある建物のうち、隣接する2拠点を移動する場合でも、ネットワークがつながらない現象が頻発し、5分ほど待つか、PCを再起動させる必要がありました。導入後はこうしたトラブルがなくなり、『つながらない』ストレスが解消されました。さらには全ての建物に同じ仕様のアクセスポイントを導入したことで、建物間の移動において、SSIDを切り替えることなく、シームレスかつ安定したネットワーク環境を実現しました。アクセスポイントのセキュリティも大幅に高まり、ゲスト用と社内LAN用など、用途に応じたSSIDの切り分けが可能になりました」(中村氏)
② Microsoft 365 への統一で業務効率が向上
「Microsoft 365 への統一により、日常的なコミュニケーションがスムーズに行われるようになりました。また安定したネットワーク環境が整ったことで、Microsoft Teams を活用したWeb会議も快適に行えるようになりました」(中村氏)
③ トラフィックの可視化により、「ひとり情シス」の運用負荷を軽減
中村氏が最も大きな効果として挙げるのが、管理ツール 「SmartVPN Web」によるネットワーク環境の可視化です。
「離れた場所にいても、現在のトラフィック状況や帯域の利用率をリアルタイムで確認できるようになりました。帯域予測を立てるなど、効率的に活用できています。さらに、接続人数を正確に把握できるため、クラウドストレージへの負荷分散コントロールも可能になり、1人で管理する上での負担が大きく軽減されました」(中村氏)
グローバル展開を支えるIT基盤のさらなる強化へ
「今後は、Microsoft 365 を活用した本格的なID管理を進めていきます。またベトナム、中国、ミャンマー、メキシコといった海外拠点のネットワークを含めたセキュリティレベルをさらに引き上げ、国内外の全拠点を統合管理していく計画です」(中村氏)
今回の導入は、「ひとり情シス」における運用の負担やリスクを最小限に抑え、事業成長を支える強固なIT基盤づくりに向けた大きな転機となりました。同社は、さらなるグローバル成長に向けて歩みを進めていきます。
ソフトバンク営業担当からのコメント
松屋アールアンドディ様のグローバルな事業成長を支えるため、ネットワーク・セキュリティを一体でご提案しました。「ひとり情シス」でも安心して運用いただけるIT基盤づくりに貢献できたことを大変うれしく思います。
お話をうかがった方
株式会社松屋アールアンドディ
人事総務課 中村 史典 氏
掲載内容は2026年9月現在のものです。
本事例での導入サービス
SuiteEther
安定性と低遅延を実現する法人インターネットサービスです。ベストエフォート型と帯域確保型の2つのプランを用意し、用途に応じてネットワークの帯域幅をオンデマンドで変更できます。クラウドサービスの利用拡大などに伴うネットワークの課題解決や、パフォーマンス向上に貢献します。
SD-WAN TypeF
クラウド利用の拡大や事業拡大に伴う拠点の増加、グローバル展開などのさまざまな事業変化に柔軟に対応するSD-WANソリューションです。高いセキュリティ機能を備え、アプリケーション単位で通信を可視化・制御できます。ネットワーク運用の効率化を支援します。
Microsoft 365
メールやスケジュール、Web会議、ファイル管理など、業務に必要なさまざまな機能をクラウド上で利用できるサービス。Microsoft 365 の導入支援から導入後のヘルプデスクまで、スムーズな導入と活用に向けて、ソフトバンクがサポートします。