北京で進む公園のスマート化の事例

2020年10月5日掲載

北京で進む公園のスマート化の事例

IoTを活用して利用者の動きも把握する(北京卫视より)

IoTを活用して利用者の動きも把握する(北京卫视より)

北京では「2022年に北京の1,090カ所の公園をスマート化する」と発表しています。公園のスマート化に向けたモデル公園は既にいくつかあり、たとえば中心部の「西海湿地公園」や「海淀公園」がスマート化されています。北京のスマート化された公園の報道から、具体的に公園がどのようにスマート化されているのか、紹介していきます。

利用者は大型ディスプレイ操作で情報を把握できる(北京日報より)

利用者は大型ディスプレイ操作で情報を把握できる(北京日報より)

まず、公園の入口には大型のタッチパネルディスプレイが設置されています。このディスプレイを操作すると、公園の案内のほか、公園に関するさまざまな情報を見ることができるのです。入口以外にもエアロバイクの前や、ジョギングコースのスタート地点にディスプレイが設置されていて、運動量を把握することができます。

このサービスを利用するためには、各個人の顔の撮影および、自分や他人の運動量がバッチリ表示されるのを許容しなくてはなりません。中国らしくある一方で、日本では個人情報保護の観点から、実現は難しいかもしれません。

ゲーム感覚で遊ぶことができるエアロバイクを設置(捜狐視頻より)

ゲーム感覚で遊ぶことができるエアロバイクを設置(捜狐視頻より)

公園の中には街灯が設置されています。スマート化された公園の電灯は本来の機能だけではなく、防犯監視機能、防災無線機能、連絡機能が備わっています。このうち連絡の機能は、街灯に「呼び出し」ボタンと「緊急」ボタンとマイク・スピーカーがついていて、ボタンを押すとセンターに連絡ができるというものです。また街灯の柱にはQRコードがついていて、公園の動植物などの説明をスマホから見ることができます。

休憩用の椅子と机が設置され、机は無線充電ができるようになっていて、対応したスマートフォンを置くと充電することができます。ゴミ箱はスマート化されていて、ボタン操作でゴミ箱の蓋が開閉し、ゴミ箱内の堆積量がセンター側で把握できます。

人が利用しないところ、たとえばスプリンクラーなどの灌漑施設もIoTによりスマート化されているのです。決まった時間に水を出すのに加え、管理者がスマートフォンやパソコンを通じて、各スプリンクラー周囲の温度や湿度や植物の生育状態が把握できるとしています。

各地の端末センサーにより、土壌や水や植物など公園の多岐にわたるデータの収集が可能です。 収集したデータはクラウドプラットフォームに送られ分析、最適な管理方法が提案されます。IoTにより公園のさまざまなモノを見える化し、公園をスマートに管理するわけです。

公園中の各スプリンクラーをスマホひとつで操作(北京卫视より)

公園中の各スプリンクラーをスマホひとつで操作(北京卫视より)

さて、北京の公園がスマート化される背景には、北京市園林緑化局が発表した「北京スマート公園建設指導書」があります。2022年までの北京市における公園のスマート化が記されています。内容を見ると、下記のようなこおtが書かれています。

これらが、スマート化された公園に導入された技術です。これ以外にも同指導書では2022年までに北京の公園に下記のようなことを導入すると書かれています。

日本で各種ITサービスを導入しようとすると、個人情報とのバーターとなりがちでそれに拒む人も出てきます。一方利用者を対象にしない公園や緑地の管理をIoTやセンサーを活用して行うならば、スムーズに新技術を導入できるのではないでしょうか。

公園ですので施設以外は誰でも確認できやすい形でスマート化を進めていけば、IoT革新アピールの場にすることもできそうです。

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山谷 剛史
中国アジアITライター
山谷 剛史
1976年東京生まれ。東京池袋近辺、福岡市、中国雲南省昆明育ち。フリーランスライター。 2002年より一貫して中国やアジア各国のITやトレンドについて執筆。中国IT業界記事、中国流行記事、中国製品レビュー記事を主に執筆。 主な著書に『中国のITは新型コロナウイルスにどのように反撃したのか?(星海社新書)』『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 (星海社新書)』『ゼロからはじめる 海外旅行でスマホ活用 スマートガイド』『新しい中国人 ネットで団結する若者たち(ソフトバンク新書)』など。

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