【クラウド電話】導入前に知っておきたい注意点を解説

2022年12月27日掲載

【クラウド電話】導入前に知っておきたい注意点を解説

電話に関わる業務や管理の効率化が期待できるクラウド電話の導入を検討する企業が増えています。一方で、使い慣れた電話環境を大幅に変えることになるため、注意すべき点が多いのも事実。実際に導入を進めてから「知らなかった」「対応していなかった」と慌てることがないように、事前に情報収集しておくことが大切です。本記事では、クラウド電話の導入前に知っておきたい注意点について解説します。

※ クラウド電話
「クラウドPBX」や「電話環境のクラウド化」とも表現されますが、本記事では「クラウド電話」と呼称します。
目次

クラウド電話とは

クラウド電話とは、これまでオフィスに設置していたPBX(構内交換機)やアナログの電話回線をクラウド上に移行し、インターネット回線を利用して通話するシステムのことを言います。導入する際はサービスを提供する業者への申し込みや、必要な人数分の月額料金の支払いが必要になりますが、PBXや電話機の購入費用、敷設工事が不要なので、従来の電話設備に比べて低コストで導入がしやすいことが特長です。

<利用イメージの比較>

従来の電話設備とクラウド電話の仕組みの比較図

クラウド電話を導入することで、次のようなメリットがあります。
・人数の追加や設定変更などをWebサイト上でいつでも行えるので、管理者の負荷を削減できる。
・外出先や自宅からでも会社の電話が使えるので、取次の手間を削減したり、働く場所の自由度が増す。

クラウド電話を導入することで、従来の電話設備ではできなかった柔軟な運用が可能になり、電話に関わる業務や管理を効率化できます。

クラウド電話導入前の注意点

クラウド電話には上記のメリットがある一方で、従来の電話設備とは仕組みが異なるため、注意が必要な点もあります。

1. 利用するには人数分のPCやスマートフォンが必要

クラウド電話は固定電話を置かない代わりに、各々のスマートフォンやPC、タブレットなどを利用して通話します。そのため固定電話のように1台の電話機を複数人で使用することは基本的にはできず、人数分のデバイスを用意する必要があります。

●スマートフォンの紛失対策をしておきましょう
クラウド電話の導入後は、オフィスだけに限らず外出先からスマートフォンで通話する機会が増えます。万が一スマートフォンを紛失してしまったら、クラウド電話サービスへ不正にログインされることによって会社や取引先の連絡先が漏えいする可能性があります。社員へスマートフォンのパスコード設定を徹底させるなど、紛失時の対策を検討しましょう。

2. 安定して利用できるネットワーク環境が必要

クラウド電話はインターネット回線を利用して通話するため、利用時のネットワーク状況によっては通話が不安定になる可能性があります。

●自社ネットワークの利用状況を確認しておきましょう
オフィスで利用する際、大容量のファイルを頻繁にやり取りするような場合は、通話に影響が出る可能性があります。自社のインターネットの利用状況や契約内容を確認し、必要に応じてインターネット環境を見直すなど対策を検討しましょう。

3. 電話番号が変わるケースがある

クラウド電話を導入する際、一般的には市外局番(03や06からはじまる番号)やIP電話番号(050からはじまる番号)などを新規で取得しますが、サービスによっては番号ポータビリティを利用することで今使っている電話番号を引き継ぐこともできます。ただし、全ての電話番号が番号ポータビリティできる訳ではなく、今使っている電話番号を引き継げないケースもあります。

●今使っている電話番号を継続利用できるか確認しておきましょう
番号ポータビリティできる番号は下記の2つです。
・NTT東西からの一般加入電話
・ISDN電話で取得した番号
今利用している電話番号が上記に該当しない場合、電話番号を引き継ぐことができないため、クラウド電話の導入時に電話番号が変わることになります。

●電話番号が変わる場合は関係各所への周知方法を確認しておきましょう
電話番号を引き継げない場合や、クラウド電話導入にあわせて新しい電話番号を利用する場合、電話番号が変わる旨を顧客や取引先へ周知することになります。どのくらいの業務工数になるのかは企業規模によって異なりますが、できるだけ導入後の業務の支障とならないように手順や方法を確認しておきましょう。

4. サービスによって音声品質に違いがある

クラウド電話には複数のサービスがあります。ネットワーク状況によるものとは別に、利用するサービスやデバイスとの相性によっても音声品質が異なる場合があります。

●トライアルを活用し品質を確かめましょう
無料トライアルを用意しているサービスも多く、事前に使い勝手や音声品質を確かめることができます。トライアルを利用した社員に使用感をヒアリングすることで課題が見えてくることもあるので、積極的に活用しましょう。

5. 既存の電話設備に依存している機器が利用できなくなる可能性がある

普段利用している機器の中には、既存の電話設備でしか利用できないものがあるかもしれません。例えば、FAXなどで利用する複合機は、アナログの電話回線と接続されている場合が多く、電話環境が変わることで利用できなくなる可能性があります。

●既存設備との並行運用や、拠点ごとに段階的に導入できるか確認しておきましょう
拠点によっては、一部既存の電話設備を残さなければならない場合も考えられます。クラウド電話サービスを選ぶ際、既存の設備と並行運用したり、拠点ごとに段階的に導入していくなど、柔軟な対応ができるか確認しておきましょう。

6. 発信できない電話番号がある

クラウド電話からは、緊急通報用番号である「110」「119」へ発信することができません。これは、クラウド電話がインターネット回線を利用して通話する仕様上、警察署や消防署が発信者の大まかな位置情報を把握できないためです。このほか、ナビダイヤル(0570からはじまる番号)や時報「117」などの短縮ダイヤルへも発信できません。

●クラウド電話以外の連絡手段を用意しておきましょう
上記の番号へ発信できないのはクラウド電話で発信する場合です。固定電話やスマートフォンからかける通常の電話であれば上記の番号へ発信できます。緊急時に利用するためにあえて最低限の固定電話を残しておく方法もありますが、私用のスマートフォンで対応できるケースが大半であるため、会社として対策を考える必要性は低いかもしません。

クラウド電話の注意点を理解し、確認すべき点をおさえつつ検討を進めましょう

クラウド電話は、従来の電話設備と比べて導入がしやすいサービスとして知られていますが、ここで挙げたように、いくつか注意すべき点があるのも事実です。スムーズに導入するためには事前に対策をしておきたいポイントもあり、導入までにはある程度の期間がかかるものです。いつまでに導入する必要があるのか、確認すべき点はどのくらいあるのかなど、自社の課題にあわせて検討を進めましょう。

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山内 悠平
ソフトバンクビジネスブログ編集チーム
山内 悠平
2021年よりソフトバンク法人マーケティング本部にてインサイドセールスを担当。2022年からはBtoBマーケティングにおけるコンテンツ制作を担当。

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