データを活用したマーケティングとは? その概要と進め方を詳しく解説

2024年1月10日掲載

データを活用したマーケティングとは? その概要と進め方を詳しく解説

近年、ビジネスや日々の購買行動ではデジタルの利用が当たり前のものになりました。デジタルとの接点が増加するにつれて顧客の購買データなども大量に収集できる環境が整ったため、それらをマーケティング活動に利用して、販売効率化や顧客との関係構築などに役立てる動きも活発化しています。

本ブログではデータを活用することでどのようなことができるのか、またデータを使ったマーケティングの手法についても紹介します。

*このブログはDXトレンドなどを紹介する「INCUDATA Magazine」の記事をもとに再構成したものです

目次

データ活用がビジネスシーンで求められている

現代のビジネスシーンでは、データ活用の必要性が叫ばれる機会が増えています。実際に、顧客データなどを活用しマーケティング活動や業務効率化などに役立てている企業は数多く存在しています。

しかし、そうした取り組みを実践したいと考えてはいても、データを活用することに対して具体的なイメージを持てずにいる企業の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでこの本ブログでは、データ活用のビジネス上のメリットをお伝えした上で、データを使ったマーケティング活動についても詳しく解説します。

データ活用の現状やデータの種類

総務省が2020年に発表した統計情報によると、2015年に比べてさまざまなデータを分析に活用する企業が日本でも増えています。

そして、ビジネスシーンでは以下のデータなどの活用が進んでいます。

・ライフログデータ

Webサイトやブログなどのアクセスログや行動履歴、動画の視聴ログなどのデータ

・販売管理データ

POS、ECサイト、注文実績などのデータ

・顧客とのコミュニケーション

メール、CTIシステム、通話内容などのデータ

・業務データ

顧客・経理・業務日報などのデータ

また、営業やマーケティング、カスタマーサポートなどの各部門でも、それぞれに顧客データを収集しています。

・営業部門

顧客の属性や商談履歴、商品別やエリア別の売上などのデータ

・マーケティング部門

セミナーの参加者に関するデータや広告効果など

・カスタマーサポート部門

問い合わせ内容の種類・数や対応時間、クレーム件数など

こうしたデータは単体で分析することも有効ですが、複数のデータを統合・かけあわせて分析すれば、売上向上やコスト削減などのきっかけになるかもしれません。特に、マーケティング活動ではデータを使うことでさまざまなメリットが期待できます。こうしたデータを活用する「データマーケティング」は顧客の心理や行動の情報をデータとして収集・分析することで、より的確な戦略の実現に役立つとして注目を集めています。

データマーケティングのメリット

従来のマーケティングでは担当者の直感や経験に基づいた活動も多く行われていましたが、データマーケティングは科学的なアプローチにより消費者のニーズや欲求を理解します。例えば、Webサイトの訪問者の行動データや、購入履歴、ソーシャルメディア上の反応など、さまざまなデータをもとにして顧客の趣向や行動傾向を把握し、戦略に活用します。

以下に、その代表的なメリットを紹介します。

メリット①サービス・商品の販売効率化

従来の一般的なマーケティング手法では、幅広い顧客層を対象としてアプローチを行うことが多く、個別の顧客に対しては必ずしも効果的でない場合がありました。

しかし、顧客の実際の行動や好み、購買履歴など具体的なデータに基づいたマーケティング活動を実践すれば、顧客の真のニーズを深く理解し、そのニーズに応じた商品やサービスを提供することが可能となります。結果として無駄なコストを削減し、より効果的な販売戦略を展開できるのです。

メリット②顧客体験価値の向上に寄与

データマーケティングでは、顧客から収集したデータをもとに、好みや興味、行動パターンなどを詳細に把握します。これらの情報をもとに、顧客一人一人に最適化されたアプローチやコンテンツの提供が可能となります。例えば、過去の購買履歴や閲覧履歴に基づき、顧客が次に関心を持ちそうな商品を推薦するなどの施策が考えられます。

このようなパーソナライズされたアプローチは、顧客にとっても商品を探す手間が省けるなどのメリットがあり、その結果として顧客体験価値も向上します。体験の質が高まることで、顧客のロイヤリティや満足度が向上し、継続的な関係性の構築やリピート購入の促進にもつなげられます。

メリット③業務の属人化防止

従来のマーケティング手法には担当者の経験などに左右される属人的な面がありました。これには特定のマーケティング担当者やチームが持つノウハウに大きく依存する状態を生み出し、その人材が不在の場合に施策のレベルが低下することが懸念されます。

しかし、データマーケティングの実践により、客観的なデータに基づく意思決定が可能となります。経験や勘に頼ることなくデータに基づく根拠をもって、マーケティング戦略を策定できるようになるので、マーケティング実務経験が浅い担当者でも効果的な意思決定を下すことが可能となります。その例として、顧客の好みや行動、購買履歴などを分析し、それに応じた商品やサービスの提供、最適なタイミングでのコミュニケーションの実施などがあります。

メリット④顧客との良好な関係構築

データを活用することで、顧客が期待する価値の継続的な提供が可能になります。それにより、顧客のブランドや企業への信頼感が向上します。こうした一貫性は、顧客との間に長期的な関係性を築く上で非常に重要です。

また、データマーケティングは市場から迅速なフィードバックを得ることも可能にし、顧客の要望や不満点を速やかに察知して、適切な対応につなげられるようになります。こうした対応の速さも、顧客との信頼関係構築には重要です。

関連資料:顧客データの活用で売上を伸ばすためにマーケターが知っておくべきこととは?

データマーケティングに活用できるデータの種類

データマーケティングに活用できるデータの種類について解説します。

自社で収集した1stパーティデータ

1stパーティデータとは、自社の活動で入手した顧客データを指します。例えば、Webサイトのユーザログや購入履歴などが挙げられます。このデータを分析することで、顧客の趣味や行動パターンなどを理解できます。自社サイトやサービスから直接得られる情報であるため、収集が容易です。

1stパーティデータを得るためのルートには、大きく分けてオンラインとオフラインがあります。オンラインでは解析ツールを使用してデータを得ることができ、オフラインの場合は、会員登録やスタンプカードなどを利用してデータを集めることが一般的です。この1stパーティデータは、自社で取得したものであるため掘り下げや関連データとの紐付けがしやすく、過去の軽微な購入履歴やサイト閲覧のみの顧客へのアプローチにも有効であり、企業と顧客との関係強化に寄与します。

パートナー企業からの2ndパーティデータ

2ndパーティデータとは他社から取得するデータで、広く用いられている会員カードの履歴などが該当します。2ndパーティデータは企業間の合意によって取得が可能となり、マーケティング活動の対象範囲を拡大する際に役立ちます。

例えば、自社の顧客以外にDMを送信するような場面で利用されています。しかし、このようなデータの活用は慎重に行う必要があります。とくに2nd パーティデータは他社の顧客データを利用するだけに、関連法令やガイドラインに準拠し、ユーザに明確に説明した上で適切に取得をすることが求められます。適切でない手段やルートで取得したデータを使用した場合、法令違反になるばかりか、企業の信頼が損なわれる恐れもあります。

第三者による3rdパーティデータ

3rdパーティデータは、自社や取引先からの情報ではなく、第三者が収集したCookieデータなどを指します。データマーケティングでは、DMPで利用できるデータを指す場合もあります。これには、行政や調査会社が提供する人口、地価、平均年齢、デモグラフィックデータなどの情報が含まれます。

3rdパーティデータは、ターゲットとする層の性別やライフスタイルの把握に基づき、より効果的なマーケティング戦略を構築するための情報源として利用されます。

1stや2ndパーティデータとの大きな違いとしては、購買履歴と関連のない一般的な情報であることです。このデータは、新規市場の開拓やペルソナ設定などに役立ちます。特に、購買を検討する前の顧客層へのアプローチにおいて、自社以外の接点における顧客の属性や行動が把握できる3rdパーティデータの活用は非常に重要となります。

※ DMP:データマネジメントプラットフォーム。インターネット上に蓄積されたさまざまなデータを一元的に管理できるプラットフォームを指す

データマーケティングの進め方

データマーケティングを進めるためのステップについて解説します。

ステップ①目的の明確化

データマーケティングの活動は情報の収集や分析、その活用と多岐にわたりますが、具体的な目標がないまま進めてしまうと、どのデータに注目すべきか、どのようにそれを活用すべきかが曖昧になり、効果的な施策を実施できなくなる恐れがあります。

例えば、新商品の売上向上を目指すのか、既存顧客のロイヤリティを高めるのか、あるいは新しいターゲット層の獲得を目指すのか。それぞれのゴールによって必要とされるデータやアプローチは異なります。

明確なゴールを設定することではじめて、その目標にあわせた適切なデータの収集や分析方法を選ぶことができ、結果的にデータマーケティングの効果を最大化することが可能となります。従って、失敗を避けるための最初の一歩は、目的の明確化にあります。

ステップ②データの収集

多岐に渡るデータを無差別に収集しようとすると、データの管理や解析にかかる工数は極端に増大し、効率的なマーケティング活動の妨げとなってしまいます。

そこで大切なのが、「目的に応じたデータの収集」です。例えば、新規顧客獲得を目指す場合、既存顧客の詳細な購買履歴よりも、新規顧客の興味・関心や動向に関するデータが重要となるでしょう。逆に、既存顧客のリピート率を上げるという目的なら、その顧客の購買履歴やフィードバックが必要です。

ステップ③データの分析

分析とは、蓄積した情報の中から有意義な知見を引き出し、企業の課題や問題点を明らかにするための活動です。そのためには、収集したデータをもとに現状の状態やトレンドを把握し、ビジネス上の課題や問題点を明確にすることが必要です。例として、特定の商品の売り上げが低下している場合はその原因を知るために、顧客のニーズが変わったのか、あるいは競合他社の動きが影響しているのかなどを洗い出します。

ステップ④解決策の策定・実行

ここでのステップは、分析によって明らかになった課題や知見をもとに、具体的なアクションプランを策定することになります。

しかし、分析が終わってから計画をゼロから考えるのでは効率的とは言えません。まず、最初の「目的の明確化」の段階ですでに仮説を設定する必要があります。この仮説は、最初に設定した目的に対する取り組み方や考えられる結果の予測です。続いて分析結果をもとに、この仮説を検証します。そして、検証の結果に基づいて、仮説に対するアプローチや施策を軌道修正していきます。つまり、分析によって得られた知見をもとに、初めに立てた仮説や計画をより具体的で精緻に調整・改善することが求められます。

まとめ

データマーケティングは顧客のニーズや課題を深く分析することで、しっかりとした根拠のある戦略の実践を可能にする強力な手法です。また、失敗した施策があればそのデータも調べて原因の特定や解決策を導き出すなど、マーケティングを継続的に高度化する取り組みにも効果的です。

こうしたマーケティング活動を実施するには、必要なデータを確実に収集・分析できる環境を整備する顧客データ基盤が欠かせません。

ソフトバンクではさまざまなデータを収集・統合・分析するためのソリューション「Treasure Data CDP」をご紹介しています。これから自社でデータマーケティングなどの活動をはじめたいと考えている方は、ぜひ下記から詳細をご確認ください。

関連サービス

関連セミナー・イベント

永沼 雄
ソフトバンクビジネスブログ編集チーム
永沼 雄
2009年以降、B2B業界で海外営業やマーケティング活動に従事。2021年よりソフトバンクの法人部門にて、オウンドメディアでDXやサイバーセキュリティ分野のマーケティング活動を行っている。

同じカテゴリーの記事をみる

Tag
デジタルマーケティングの高度化
Display
part
/common/fragments/sidebar