Google Cloud 生成AIセミナー開催レポート ~ Gemini と Vertex AI について学ぶ~

2024年3月29日掲載

Google Cloud 生成AIセミナー開催レポート ~ Gemini と Vertex AI について学ぶ~

日々進化し続けている生成AI。Google Cloud からもさまざまな生成AIのサービスがリリースされており、進化し続けています。そこで2024年2月21日には、Google オフィスの渋谷ストリームで「Google Cloud 生成AI活用セミナー」が 開催されました。当日は Google Cloud や ソフトバンク、協力企業の講演に加えて、Google オフィスの見学や交流会が行われました。ここではセミナーの一部をご紹介します。(掲載内容は2024年2月21日時点のものです)

目次

Google の生成AIの取り組み

セミナーの1つ目は、Google 森居(Mory)氏の登壇により「Google の生成AIの取り組み」がはじまりました。

Googleの生成AIの取り組み

自己紹介を行う森居氏。(Google 社ではニックネームで呼び合う文化があるようで、通称 Mory と呼ばれているようです)

OpenAI の ChatGPT など、近年は多くの企業が生成AIに取り組んでいますが、Google はかなり前から生成AIについて取り組んでいると語りました。

森居氏「2015年にはTPU(Google が開発したAIの学習や推論に特化した専用チップ、ASIC)の第1世代を作りはじめてから第5世代までリリースし、生成AIの準備をしてきました。そのような中で、2023年には PaLM 2(パームツー)を、2023年末には Gemini(ジェミニ)という非常に高精度な言語モデルをリリースしました。そして、2024年に入ってからも新しい生成AIの取り組みを発表しています」

従来のマルチモーダル(テキストだけでなく動画や音声などさまざまなフォーマットで出入力すること)ではテキストや画像など、それぞれで学習・アウトプットしていたものの、最新の Gemini ではより人に近い形で、テキスト、画像、動画、音声などを一つのTransformer で学習・処理を行っていることが特長であると述べました。2月15日に発表された Gemini 1.5 Pro (ジェミニ1.5プロ)は最大100万トークンに対応し、膨大な情報を扱えるようになっているようです。なお、Gemini 1.0 Pro はすでに一般提供を開始しているとのことなので、ご興味ある方はぜひお試ししてみてください。

続いて、2月に入ってからコンシューマ向けに提供されていた Bard(バード) や Google Workspace の Duet AI(デュエットエーアイ) が、 Gemini ブランドに統一されたことが伝えられました。また、注目度が高いプライバシー原則について次のように語りました。

森居氏「データはお客さまのものであり、お客さまのものをクラウド上に預けていただいているだけなので、そのデータを我々が勝手に学習に使ったりすることは一切ありません。従来から企業向けのサービスにおいてクラウドストレージに上げていただいたものを、我々が勝手に使うことは一切していませんでした。生成AIにおいても同様です」

Google Cloud では2023年8月にプライバシーに関するホワイトペーパーをリリースしているので、気になる方は下記もご参考ください。
▶︎参考:https://services.google.com/fh/files/misc/genai_privacy_google_cloud_202308.pdf

Google Workspace の生成AI “Gemini for Google Workspace”

続いて、Dandy(ダンディ)と呼ばれている庄司氏による「Google Workspace における生成AIの取り組みのご紹介やデモンストレーション」がはじまりました。

庄司氏(Dandy)による講演

庄司氏(Dandy)による講演。

庄司氏「Google Workspace でも、かなり昔からAIに取り組んでいます。例えば、メールを書くときに文法の間違いを指摘したりしてくれたり、返信するときに『こんなメッセージ入れたいのでは?』と内容をAIが解釈して返信を助けたりしてくれます。また、スパムメールの対策として、Gmailでは99%以上の精度で迷惑メールをブロックするようになっています。安全に仕事をしていただける環境にするためにAIが使われています」

さまざまな機能を提供している Google Workspace のAIですが、Gemini for Google Workspace(ジェミニフォーグーグルワークスペース)という名称の別売りの生成AIサービスとしてリリースされました。(2024年2月21日時点では英語版のみ)

庄司氏「Gemini for Google Workspace では、メールが来たら返信を考えてくれたり、新規作成の提案もしてくれます。Google ドキュメントも同様です。また、スプレッドシートでピボットテーブルを作ってくれたり、スライドの中に入れる挿し絵や社内にある別の資料をもとにスライドを作れたりします。また、会議の文字起こしや議事録作成、翻訳も行うことが可能です」

デモンストレーションでは、Google ドキュメントで職務経歴書を作ったり、スライドで柴犬の画像生成が行われました。

Google Cloud の生成AI “Vertex AI”

ここからは再度、森居氏にバトンタッチし、「Google Cloud の生成AI」について語られました。

森居氏「生成AI活用のポイントは、いろんなところにあると思います。Google Workspace 以外ですぐにはじめられると思っているのは、『未来のバックオフィス』としての機能です。ここで使うものが、企業向けAIプラットフォームである Vertex AI(バーテックスエーアイ)です。これには、企業におけるAIや生成AIを使うのに必要なものが全部揃っています」

森居氏は Vertex AI にある Search の機能を使って「自社用の Google 検索」を作ってみるのがおススメだと語り、デモンストレーションを行いました。

森居氏「生成AIの検討にあたり、AIモデルがあったとしてもアプリケーションがないと使えない、アプリケーションをもっと簡単に作りたいという課題が発生します。加えて、ハルシネーション(誤った情報を生成してしまうこと)の懸念もあります。Vertex AI Search は、これらを解決し簡単に作れて使えるソリューションです。これを用いることで、例えばお店の予約なら、自然言語でお客さまの要望を聞いて、最終的に予約を取るみたいなアクションができるようになります」

Vertex AI Search はユーザ企業だけで構築しようとすると大変な作業になるため、マネージドサービスを活用することで省力化して使うことができるようになっています。

ソフトバンクの生成AIの取り組み

続いてソフトバンクの講演が行われました。ソフトバンクでは全社で生成AIを導入し、活用アイデアコンテストやプロンプトの最適化に向けた社内大会など、さまざまな形で生成AI活用に取り組んでいます。実際の経験を蓄積しつつ、お客さまに向けて社内教育から環境構築、導入・データ活用までをワンストップでご提供しています。

そのような中で、お客さまの生成AI導入に向けて、お客さまご自身で検索体験を実現できる「Vertex AI DIYプラン」と、Google Chat から生成AIをお手軽に利用できる「Vertex AI Chat UIプラン」の紹介を行いました。

環境構築について語るソフトバンクの舩渡。

環境構築について語るソフトバンクの舩渡。

お客さまご自身で検索体験を実現できる「 Vertex AI DIYプラン」

まず 、Vertex AI DIYプランについて、ソフトバンクの小池より説明やデモンストレーションが行われました。

デモを行うソフトバンクの小池。

デモを行うソフトバンクの小池。

小池「Vertex AI DIYプランは、Vertex AI Search を利用した社内文書検索の構築をソフトバンクがご支援するものです。体験できるポイントが3つあります。1つ目はコストや時間をかけずに使ってみることができる点。2つ目として、すでに社内検索システムをお持ちの企業様が実際に Vertex AI Search を使って検索システムを構築することで、現在の検索システムとどのように変わるのかというところをご体験いただける点。そして、3つ目は Vertex AI Search を簡単に自社サイトに組み込むことができる点です。ユースケースとしては社内文書検索を想定しており、例えば社内規定の検索やヘルプデスクのFAQなどでの活用を想定しています」

Vertex AI DIYプランで体験できること

Google Chatを用いた「 Vertex AI Chat UIプラン」

続いて、Google Cloud パートナーを取得している株式会社エニシアスの木下氏より Vertex AI Chat UIプランの説明とデモンストレーションが行われました。

デモを行う株式会社エニシアスの木下氏。

デモを行う株式会社エニシアスの木下氏。

木下氏「 Vertex AI Chat UIプランは、Google Chat から生成AIを利用できるパッケージです。使い方は非常に簡単で、@(アットマーク)の返信で利用したいAIモデルを指定していただくことでお使いいただけます。Google Cloud 上に構築をしているため、Google Cloud のさまざまなサービスやほかのクラウドとの連携が可能です。

特長として4つあり、1つ目は複数の生成AIモデルに対応しているという点、2つ目はモデルごとに利用者を制限できる点、3つ目はオプション機能ですがファイルやデータベースなどの情報を Chat から検索できるという機能があります。4点目は、ほかのクラウドとの接続が必要な場合にセキュリティが確保されたネットワーク環境にて接続できるようになっている点です。また、課金状況の把握や監査で利用できるダッシュボードを基本機能としてご提供しています」

ユーザ画面イメージ

木下氏による実際のChat UIプランのデモンストレーションを行った後で、ソフトバンク舩渡により生成AIの活用事例が紹介され、本日の講演を終えました。

さいごに

講演後は、Google 渋谷オフィスの見学ツアーや 社食で交流会も行われ、数多くの質問や活発な意見が交わされていました。今回のセミナーでは全講演のデモンストレーションが目の前で行われたこともあり、参加された方々も満足度も高かったようです。

これからの企業活動では必須になる生成AI。ソフトバンクはお客さまの生成AI活用に向けて検討から導入・運用まで一気通貫でご支援が可能です。ぜひソフトバンクへお気軽にご相談ください。

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辻村 昌美
ソフトバンクビジネスブログ編集チーム
辻村 昌美
ソフトバンクで新規事業立ち上げなどを経験後、2020年より法人向けマーケティングに従事。中小企業や既存のお客様向けマーケティングを担当し、2022年よりコンテンツ制作に携わる。

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