売上予測とは? 精度を高めることの重要性と手順・計算方法を詳しく解説

2024年3月19日掲載

売上予測とは? 精度を高めることの重要性と手順・計算方法を詳しく解説

売上予測は過去の売上データなどを活用して将来の売り上げを予測することで、適切な在庫管理や人員配置に欠かせません。発注費や人件費にも直結することから企業の経営判断の材料にもなり、重要な指標の一つとして「現場の業務や経営戦略に売上予測を活用したい」と考えている企業は多いのではないでしょうか。本記事では、売上予測の重要性や売上予測の立て方・計算方法と、来客予測サービスについて解説します。

目次

売上予測とは?

売上予測とは、「過去の売上データや自社の営業状況などを分析して、将来的な売り上げを予測・算出すること」を言います。勘や慣習などから決めるのではなく、実際に積み上げたデータから導き出すことが重要です。

算出された売上予測は、主に次のような用途で活用されます。

このように、適切な在庫管理・人員配置・生産活動の効率化だけでなく、経営戦略や営業戦略を練る際にも活用されるため、あらゆるデータに基づいて客観的に分析する必要があります。

参考にするデータ

売上予測において必要とされるデータは業種によって異なります。一例としてBtoCとBtoBとの場合に分けて、活用されるデータをご紹介します。

(1)過去の売上データ 過去数年間の売上の履歴のことを指します。日別/月別/週別など時間単位で収集されることが多く、どんな商品が人気なのか、特定の季節にはどんな商品が売れやすいかなどを把握することが可能です。

(2)在庫に関するデータ
現在の在庫状況のほか、仕入れた商品の名目とその数、売れ残ってしまった商品の数などを指します。売れやすい商品とそうでない商品を判別するときや在庫管理に活用できます。

(3)周辺人口のデータや天候のデータ
小売業の場合、店舗の周辺に住んでいる人の属性や天候などによっても売れ行きが左右されます。そのため、小売業の売上予測においては周辺人口のデータや天候も加味して予測が行われます。また、周辺人口のデータは売上予測だけでなく、商品やサービスをプロモーションする際にも活用されています。

その他、来店客数、平均客単価などのデータ、周辺の競合に関するデータが活用されることもあります。

(1)過去の売上データ
小売業と同じく過去の売上データは売上予測において基礎となるデータですが、BtoBの場合は月/四半期/年度で売上データを分けることが多いです。また、グループ企業が存在する際には組織ごとの売上データがあります。

(2)現在の案件状況
現在契約している案件に関するデータです。案件数のほか、契約内容や金額などが含まれます。

上記で紹介したデータのほかにも、受注に至るまでの平均日数、平均的な契約期間、サービスの更新率や解約率、四半期や年度の平均成長率なども売上予測では活用されます。このように業種によって必要とされるデータは異なるため、売上予測をする際には自社にとってどのデータが必要になるのかをしっかり見極める必要があります。

売上目標との違い

売上目標とは、一定期間内に達成すべき販売金額や販売数 のことを指します。売上予測とよく混同されてしまいますが、明確な2つの違いがあります。

まず、「活用する目的」が異なります。
売上予測は適切な人員配置や在庫管理、効率化などのために活用されることが多いですが、売上目標は従業員の足並みを揃えるためやそれぞれの成長・スキルアップのために設定されます。

次に、「主観的か客観的か」の違いもあります。
売上予測は「予測」であり、売上データや人口データ、市場動向など客観的なデータを分析して算出する、あくまで客観的な数値です。使用するデータと計算方法さえ同じであれば、人によって大きく異なることはありません。しかし、売上目標の場合は「目標」であり、データが用いられはするものの、経営者やマネージャーなどの要望・期待が組み込まれる主観的な数値となります。また、売上目標は設定する人の主観が入ることから人によって数値が異なります。

このように売上予測と売上目標には大きな2つの違いがあるため、きちんと使い分けることが大切です。

売上予測を正確に立てることの重要性

売上予測を立てるにはさまざまなデータを活用する必要があるため、それなりに時間がかかります。中には「売上予測って本当に必要?」「予測するメリットって何?」と感じている企業があるかも知れません。
ここでは売上予測を正確に立てることの重要性についてお伝えします。

正確な売上予測を立てる利点

(1)在庫管理
まず売上予測を行うことで、「何がどのくらい売れる」のかが明確になります。
売れる商品の種類や数が分かればそれにあわせた在庫が用意できるので、過剰在庫を防ぐことができ、仕入れた分が売上に直結します。そして同時に在庫不足も防止し、欲しいと感じている顧客に適切に商品を行き渡らせることができるので、顧客満足度を高めることにもつながります。

(2)人員配置
売上予測によって店舗別の売り上げから客足を算出できるため、それに応じて最適な人員配置をすることでスムーズな運営と顧客満足度のアップが実現できます。

(3)事業戦略や経営戦略への活用
売上予測から得たデータを活用すれば今後の伸び代があるサービスや商品が判断でき、そこに資金や人員をどれだけ分配すればいいのか適切な意思決定ができます。
新規出店、店舗統廃合や店舗開発の際には、売上予測のデータから店舗の敷地面積や必要な人員数を算出することが可能となります。売上目標についても正確なデータから算出できるので、根拠をもとにして達成しやすい目標が設定できます。

正確でない売上予測を運用するリスク

(1)業績に悪影響が生じる
先述のとおり、売上予測のデータは在庫管理、事業戦略や経営戦略の立案に役立てられます。例えば在庫管理の面では、売上予測が正確でなかった場合、在庫が用意できずに販売機会を逃してしまうことになります。逆に売り切ることができずに余らせてしまうと、仕入れたものが利益にならず、マイナスとなってしまいます。事業戦略や経営戦略の立案においても適切に予算・人員を配分できないと、売上を獲得するのが難しく、業績悪化の一因にもなりかねません。

(2)企業へのマイナスイメージに直結
欲しかったのに買えなかったという経験は不満へとつながり、企業のイメージが悪くなってしまいます。また、適切な人員を配置できなければ顧客に対して十分なサービスは行えないでしょう。サービスが不十分な場合、それが企業へのマイナスイメージにつながることもあります。このように正確でない売上予測を運用するとあらゆる面で企業にとって大きな打撃となるため、正確なものを活用することが重要です。

売上予測の立て方・計算方法

ここからは売上予測をどう立てればいいのか、具体的な計算方法や注意点について解説します。

売上予測を立てる手順

売上予測は以下の4つのステップに沿って行うのが望ましいです。

ステップ①:過去の売上データを集める
まず売上予測を立てる際に必要なのが過去の売上データを集めることです。
日別/月別/週別の販売数、ブランドや製品ごとの販売数、返品またはキャンセル数などのほか、在庫の数や店舗の売り上げがどのくらい変化したかの割合などを用意すると正確な売上予測ができます。いずれも売上予測を立てる際に基礎となるデータで、これらがないと根拠のない予測になってしまいます。過去のデータがない場合は売上状況の追跡から始めましょう。

ステップ②:予測する指標を設定する
データが集まったら、次は売上予測の内容の決定です。
例えば、今後1ヵ月における売り上げなのか、あるいは特定の商品に関する売り上げなのか、予測したい指標を決定します。これは売上予測の活用方法ごとに異なるので、状況に応じて必要となる指標を設定しましょう。

ステップ③:売上予測の方法を決定し実行する
売上予測の方法には次の2種類があります。

過去の売上データから計算する方法とは、文字通り過去の売上を主に活用した計算方法です。一方、営業パイプラインをもとに計算する方法は、案件を獲得して受注するまでの流れに基づいて算出する方法となっています。過去の売上データから計算する方法が一般的に活用されていますが、新規事業に取り組むときや方法を大きく変える場合などには、営業パイプラインからの算出が必要になることもあります。

ステップ④:売上予測のデータを活用する 例えば、事業ごとの売上予測を行えば複数の事業がある場合に今後注力すべき事業を戦略的に決定することに役立ちます。
また、在庫管理に売上予測データを活用すれば、適切な在庫を確保することができるので、過剰在庫や在庫不足を解消することにもつながります。

このように、売り上げの予測データは算出して終わりではなく、適切に活用することが大切です。

売上予測の計算方法・計算式について

売上予測の計算方法はいくつかありますが、以下がよく活用されています。

【1年間の売上利益×年間平均成長率】

過去1年間の売上利益データに成長率を掛け合わせることで、今後1年間の売り上げを予測します。使用するデータによってどの期間の売り上げを予測するかは異なります。過去1ヵ月分の利益と成長率であれば今後1ヵ月分の売上が予測できます。

例えば小売業の場合、一定期間内に訪れる客数(予想客数)を想定して、過去の売上データをもとにした1人あたりの単価(客単価)を算出し計算します。

計算する上での注意点

経営活動に欠かせない売上予測ですが、計算する上ではいくつか注意点があります。

売上予測の精度を高めるためには

売上予測の精度を高めるにはまず、試行錯誤を繰り返していくことが大切です。特に売上予測を始めた初期はなかなかデータ通りにならずにずれが生じてしまうことが多いので、日々の売上を正確にデータ化しながら試行錯誤を繰り返して売上予測をしていきましょう。何度も繰り返していくうちに知見が蓄積され精度は上がっていきます。

予測に利用するデータや予測方法は社内で統一しておく必要もあります。部署や組織ごとにデータの形式や予測の算出方法が異なってしまうと、売上予測の精度に差が出てしまい、業務に影響を及ぼすだけでなく業績にも大きく影響するので、データの保管方法や予測の算出方法は社内で統一し基準化しておきましょう。また、算出した予測は誰でもチェックできるようにしておくことも重要で、誰の目にも分かりやすくしておくことで、さまざまな場面で活用できます。

さらに、営業担当者ごとに不用意な値引き・値上げがあると売上予測に影響がでてしまうため、営業を担当する従業員全員がコスト意識を持つことも大切です。営業担当者一人一人がコスト意識をしっかりもつことで思わぬコストアップを防ぐことに役立ちます。顧客間における公平性も保つという点でも、コスト意識を持つことは非常に重要です。

最後に、より正確で確実なデータを得たいのであれば専用のツールやサービスを活用するのも方法の一つです。計算式で売上予測はできますが、専用のツールやサービスを導入すれば大量のデータをもとに算出してくれるので、より正確で精度の高いデータを得られます。自力で売上予測を立てる場合にはMicrosoft Excelを使うのが一般的ですが、計算者の負担が大きくなりやすくミスにも繋がりやすいデメリットがあります。その点、専用のツールやサービスであれば作業者の負担も減らせ、ミスも防ぐことができます。

まとめ

売上予測は過去の売上データや自社の営業状況などを分析し、在庫のコントロールや原材料や人件費などの予算管理、適切な人員配置などに役立ちます。

売上予測は、

といった計算式で求められますが、より精度の高い売上予測を目指すなら専用のツールやサービスの導入がお勧めです。

小売業・飲食業・サービス業の売上予測に最適なAI需要予測サービス「サキミル」は気象データや人流統計データを活用して需要を予測します。気象データとは日本気象協会が保有する気温・日射量・風速・降水・降雪・湿度・天気などのことで、このデータと日本気象協会のデータサイエンティストと共に開発したAIアルゴリズムを活用して2週間先の来店客数を予測します。また、人流統計データとはソフトバンクの携帯電話基地局から得た数千万台の端末の位置情報を元に1億2千万人へと拡大推計したデータのことです。
過去の店舗データだけでなく人流統計データも使うことでより精度の高い予測を実現しています。

店舗の人員の確保や商品・材料・資材の発注などに役立てることができる「サキミル」をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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