o3とは? o3-miniやdeep researchもかんたん解説

2025年3月5日掲載

o3とは? o3-miniやdeep researchもかんたん解説

生成AIの技術は2025年も引き続き躍進しており、世界各地から生成AIに関するニュースが数多く届けられています。

そんなニュースの中でも注目度が高い、アメリカのOpenAI社が開発した最新のAIモデル(2025年2月時点)について、今までとの違いやおすすめの利用方法をソフトバンクの現役AIエンジニアに聞いてみました。文系ビジネスパーソンの方はぜひ参考にしてみてください。

目次

お話を伺った方

ソフトバンク中村亮太

中村亮太

ソフトバンク株式会社
IT統括 AI戦略室 AI&データ事業推進統括部 Axross事業部 プロダクト開発課

大学院時代に自律移動ロボットの国際大会(IGVC)で優勝。2020年にソフトバンク株式会社に入社し、社内システムの運用やロボットの開発支援など、多岐にわたる業務を経験。enXross Hackthon 2nd PT特別賞やZenn AI-Agent Hackathon 3位と社外活動でも実績を積む。現在は、AI・DX人材育成サービス「Axross Recipe」のプロダクトエンジニア&研修講師を担う。

ソフトバンク公式YouTubeでも活躍中! ぜひチェックしてみてください。

o3とは?

早速ですが、o3とは何ですか?

中村 o3とは、OpenAIの最新AIモデル(2025年2月時点)のことです。オースリーと読みます。2024年12月にOpenAI社による「12 Days of OpenAI」というイベントがあったのですが、そのイベントの最終日に今後のリリース予定として発表されました。以前のモデルは「o1(オーワン)」なので、通常であればo2となりますが、スペインの通信業者『Telefonica』のブランドでO2という名称が商標登録されているようで、混同を避けるため「o3」という名称が利用されたようです。なお、2025年1月31日にo3のmini版として「o3-mini(オースリーミニ)」がすでにリリースされています。

o3は理系に強い言語モデル

o3は今までのモデルと何が違うのでしょうか?

中村 OpenAIは、2022年に対話(テキスト)型の生成AIであるChatGPTを発表し、その中で自然言語処理を行うGPT-3.5というAIモデルを公開しました。その後、より高度な自然言語処理能力を持ったGPT-4や4o(フォーオー)というAIモデルが登場し、2024年後半にはOpenAI o1という数学や科学、工学、プログラミングに秀でた言語モデルが登場しました。今回発表されたo3は、o1よりもより高度な推論機能を持っているとされ、理系科目に秀でた言語モデルになっています。

また、AGIのベンチマークとしてARC-AGIという指標がありますが、2024年12月のイベントの中で、o1-miniのスコアは8%でしたが、o3では最大87.5%(最低75.7%)と発表がされていて、従来のモデルよりも高い能力を持っていることが分かります。

(なお、人間が解ける試験では高精度をマークし評価の頭打ちとなっている現状があるため、最近ではARC-AGIに変わり「人類最後の試験」と呼ばれる高難易度の試験で言語モデルの性能を比較するようになってきている現状があります)

AGIの世界が近づいてますね! では、実際にリリースされているo3-miniについても教えてください。

中村 o3-miniは、miniという名前のとおりo3のエントリー版という位置付けで、効率やコストが重視されているモデルです。o3-miniもo3同様に複雑な課題を「より深く考える」ことができるのですが、システムで使うAPIではo3-miniは推論レベルを3段階から選べる機能が展開されていて、遅延(処理時間)との兼ね合いで選べるようになっています。APIを利用する場合のコストも、o3-miniはo1よりも非常に安くなっていることが大きなポイントです。また、Webを検索して推論に加えることができるようになっているため、より使いやすくなっています。

o3-miniはコストメリットが大きいのですね。

o3(o3-mini)でロジカルシンキングを鍛えてみる

o3のおすすめの使い方はありますか? 現状リリースされている、o3-miniをベースにして教えてください。

中村 o1がリリースされたときにもYouTubeでお伝えしたのですが「推論」できることが強みなので、データ分析業務はオーソドックスな使い方になるかと思います。例えば、顧客満足度を向上させる方法を考える際にデータを分析して考えたり、問題が起こった際に根本的な理由を探す際に使われる「なぜなぜ分析」で利用してみるのも良いかもしれません。なぜなぜ分析は深さが重要なので、o3(-mini)には適していると思います。

ほかには、ロジカルシンキングの向上や物事の考え方を整理する力を養うために、思考力が高いo3(-mini)を相棒として壁打ちすると自身のスキルアップにもつながると思います。また、o siries(オーシリーズ、o1やo3のこと)では出力された内容に関する思考(推論)のプロセスを可視化することができるので、なぜこうなったのかを把握してロジカルシンキングの力を養うには有効な手段だと思います。ニッチな使い方ですがおすすめですね。

deep reserchは、推論を活用して深く調べて高い出力を出す機能

最近、deep research(ディープリサーチ)という機能も出たとよく聞きますが、こちらについても簡単に教えてください。

中村 deep reseachとは、2025年2月にChatGPTの新たな機能としてOpenAIから発表されたものです。先ほどでてきたo3はAIモデルのことですが、deep researchはChatGPTの追加機能です。deep researchは推論を活用してインターネット上にあるテキストやPDF、画像などのデータを利用して包括的なレポートを作成できます。Webを深く調べるために5分以上の長い時間がかかるのですが、時間がかかるだけあって非常に良い出力がなされるのがこの機能のポイントだと思います。何かの調査を行う際にはおすすめの機能ですね。

※参考 (詳細データは下記を参考に)
https://openai.com/index/introducing-deep-research/

AIの進化が止まらない

2022年に発表されて以降、生成AIは急激な進化を遂げています。自社にとっても、自分にとっても生成AIをいかに味方につけて業務に取り組んでいくかが、これからのビジネスにおいてポイントとなります。ぜひ注目度が高いo3についてもチェックしてみてください。

ソフトバンクでは、生成AIの各種ソリューションをご提供しています。ぜひこちらも併せてご確認ください。

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辻村 昌美
ソフトバンクビジネスブログ編集チーム
辻村 昌美
ソフトバンクで新規事業立ち上げなどを経験後、2020年より法人向けマーケティングに従事。中小企業や既存のお客様向けマーケティングを担当し、2022年よりコンテンツ制作に携わる。

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