モダナイゼーションとは? マイグレーションとの違いも分かりやすく解説

2025年3月5日掲載

モダナイゼーションとは? マイグレーションとの違いも分かりやすく解説

近年のデジタル化の進展に伴い、企業のITシステムは大きな変革を求められています。その中で「モダナイゼーション」という言葉が注目を集めています。本記事では、モダナイゼーションの概念からその必要性、マイグレーションとの違いについて解説します。

目次

モダナイゼーションとは

モダナイゼーションとは、”Modernization”=近代化・現代化 が語源となっており、企業が長年使用してきたソフトウェアやハードウェアを見直し、最新の技術や環境に適合させることを指します。既存のシステムや環境・周辺機器は、安定性や信頼性が高い反面、技術的な老朽化に伴うセキュリティのリスクや保守の困難さ、障害があった際の迅速な対応、新しいビジネス要件への対応などの課題を抱えています。

モダナイゼーションを実施することで、これらの課題を解決し、ビジネス環境の変化に柔軟に対応できるIT基盤を構築できます。具体的な取り組みとして、以下が挙げられます。

◆オンプレミス環境からクラウドサービスへの移行

従来の自社サーバーでのシステム運用をクラウドサービスへ移行することで、システムのスケーラビリティ(拡張性)が向上し、必要に応じてリソースを柔軟に調整できます。これにより、初期投資や運用コストの削減が可能となります。

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◆古いプログラミング言語やプラットフォームの最新化

レガシーなプログラミング言語やプラットフォームで構築されたシステムを最新のものに刷新することで、性能向上や保守性の改善が図れます。セキュリティ強化や新技術への迅速な対応が可能となり、ビジネス環境の変化に適応できる基盤を整備できます。

◆最新技術への対応基盤の構築

AIやIoT、ビッグデータ解析などの最新技術を活用できるIT基盤を構築し、新たなビジネスモデルの創出や市場競争力の強化につなげます。

モダナイゼーションの目的は、単に古いシステムを新しくするだけではなく、ビジネス環境の変化に迅速に対応できる柔軟性や効率的な運用によるコスト削減、さらには新しいビジネスモデルの創出など、企業の競争力を総合的に向上させることを目指しています。

近年モダナイゼーションが注目される背景

現代のビジネス環境は、技術革新のスピードが加速し、市場のニーズも多様化・高度化しています。DXの推進により、データ分析やAI、IoTなどを活用した新しいサービスが次々と生まれており、先進テクノロジーを有効活用するためには、既存のシステムを最新の技術に対応させることが求められます。このような状況下で、古いシステムを使い続けると以下のような問題を引き起こします。

◆市場変化への対応力の欠如:古いシステムでは、新しいサービスや機能の追加が困難で、市場の変化に迅速に適応できない。

◆ 運用コストの増加:保守や運用に専門的な知識が必要で、人材の確保や教育にコストがかかる。

◆ セキュリティリスク:サポートが終了した技術を使用している場合、セキュリティホールが修正されず、脆弱性が高まり情報漏えいのリスクが高まる。

企業は、時代や市場の変化に柔軟に対応するため、モダナイゼーションを推進する必要があります。

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モダナイゼーションとマイグレーションの違い

モダナイゼーションとマイグレーションは、どちらもシステムの移行や更新に関わりますが、その目的や手法には明確な違いがあります。

■ モダナイゼーション:既存の資産を活用しつつ、システムやアプリケーションを最新の技術や環境に適応させることを指します。これは、現行のシステムを強化・最適化し、ビジネス要件の変化や市場のニーズに柔軟に対応するための取り組みです。例えば、仮想マシンの更新や既存アプリケーションのクラウドネイティブ化が挙げられます。

■ マイグレーション:老朽化したシステムやハードウェアを、新しい環境やプラットフォームに移行することを指します。これは物理的にもシステムを新しくし、性能向上や運用コストの削減を目的とした取り組みです。例えば、オンプレミス環境からクラウドサービスへの全面的な移行が挙げられます。

つまり、モダナイゼーションは 既存の資産を活用して進化させる ことに焦点を当てており、マイグレーションは 老朽化対応や物理的な環境の更新 が主な目的で、システムを新しい環境に移行する取り組みです。

モダナイゼーションとマイグレーションの違い

モダナイゼーションの実現方法

モダナイゼーションを実現するための手法はいくつかあり、主なものについて紹介します。

1. リホスト(Re-host)

既存のアプリケーションをそのまま新しいインフラストラクチャに移行する手法です。コードや機能を変更せず、オンプレミス環境からクラウド環境へと移行します(いわゆる「リフト&シフト」)。これにより、ハードウェアの更新コストを削減し、クラウドのスケーラビリティや柔軟性を迅速に活用できます。

2. リプラットフォーム(Re-platform)

アプリケーションの基本的なアーキテクチャは維持しつつ、一部のコンポーネントや環境を最新の技術やプラットフォームに置き換える手法です。例えば、データベースをクラウドベースのマネージドサービスに移行したり、ミドルウェアを最新バージョンに更新したりします。これにより、性能や運用効率を向上させつつ、開発・運用コストを最適化できます。

3. リファクター(Refactor)

アプリケーションのコードやアーキテクチャを再構築し、品質や性能を向上させる手法です。機能的な変更は行わず、コードのリライトやモジュール化、最新のフレームワークへの移行などを実施します。これにより、コードの可読性や保守性が高まり、将来的な機能拡張やトラブルシューティングが容易になります。

ビジネスの可能性を最大限に引き出すために

モダナイゼーションは、DXが加速する現代において、企業が競争力を維持・強化するための不可欠な戦略です。レガシーシステムの課題を克服し、最新の技術を活用することで、ビジネスの柔軟性や効率性を大幅に向上させることができるため、企業は今こそ自社のITシステムの現状を見直し、将来を見据えた戦略的なモダナイゼーションを推進する必要があります。これは単なる技術的な更新ではなく、ビジネスモデルや組織全体を見直す機会でもあり、次世代の市場で成功を収めるための基盤を築くことにもつながります。

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本橋 恵美
ソフトバンクビジネスブログ編集チーム
本橋 恵美
2018年からソフトバンクにてB2Bマーケティングに従事。 セミナー企画やウェビナーの立ち上げを担当した後、2023年よりドキュメント制作に携わる。 主な担当領域はスマートワーク実現に向けた内容のコンテンツ。

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