GPTsとは? 活用が進む「カスタムGPT」の真価に迫る

2025年7月10日掲載

GPTsとは? 活用が進む「カスタムGPT」の真価に迫る

「人手が足りない」「資料のレビューに時間がかかる」といった日常業務の課題に、AIが頼もしい味方となりつつあります。ソフトバンクでは、ChatGPT Enterprise(チャットジーピーティー・エンタープライズ)を活用し、業務ごとの目的に合わせて、 自分仕様にカスタマイズしたGPTs(ジーピーティーズ)を作成する事で、業務効率の向上と知的生産性の強化に取り組んでいます。

本記事では、GPTsの基本的な仕組みに加え、ソフトバンク社内での実際の活用事例を通して、GPTsを業務に取り入れるヒントをお届けします。

業務の質を高める新たなパートナーとして、GPTsが担う役割と可能性に迫ります。

目次

GPTsとは?

GPTs(ジーピーティーズ)とは、OpenAIが提供するChatGPTを自分の目的に合わせてカスタマイズできる機能であり、一般的に「カスタムGPT」とも呼ばれています。特に業務の中での活用が注目されており、用途に応じて柔軟に設計する事ができます。

設計には専門知識は不要で、例えば「提案資料をチェックしてくれるAIを作りたい」と入力すると、GPTが目的や確認項目を順にヒアリングしながら、目的に特化したアシスタントを一緒に作成してくれます。

この機能はChatGPTの有料プラン(ProまたはEnterprise)で利用でき、企業での導入には、セキュリティや管理機能が充実したEnterpriseプランが推奨されています。

通常のChatGPTとの大きな違いは、目的や役割をあらかじめ持たせる事で、特定の業務に対応する「目的別のアシスタント」として活用できる点にあります。汎用型のGPTでは対応しにくい、チームや業務ごとに異なる判断基準や業務知識にも、あらかじめ必要な情報や前提条件を設定したカスタムGPTであれば、それぞれの業務に即した応答やサポートが行えます。

以下に、GPTsの主な特長と、それによって期待できるメリットを整理しました。

GPTsの特長、メリット

GPTsが「現場で使えるAI」として注目される理由

現場のリソース不足や複雑化する業務への対応が求められる中、すぐに試せて業務に合わせて柔軟に使えるGPTsは、現場主導で進めやすいAI活用の手段として注目を集めています。

通常、業務課題に対応する仕組みを新たに作ろうとすれば、企画立案や要件整理、PoC(概念実証)を経る必要があり、専門知識も欠かせません。しかしGPTsであれば、特別なスキルがなくても、業務に即したAIをすぐに作成・試行する事が可能です。大がかりな準備を必要とせず、現場からすぐに試せるという手軽さは、従来の業務改善プロセスにはなかった特長です。さらに、実務で必要な判断基準や業務知識をプロンプトに反映する事で、ナレッジの共有や対応の一貫性を支える仕組みとしても活用が広がっています。

GPTs活用と従来の業務改善の違い

GPTsは、AI活用をこれから始める企業にとっても、一人一人が自分の業務に合わせて試しながら、活用の可能性を見つけていける実用的な手段です。

ソフトバンク社内で広がるGPTs活用のカタチ

ソフトバンクでは、2023年から生成AIの業務活用を本格化させ、2025年にはChatGPT Enterpriseの導入を通じて、社員一人一人がGPTsを自由に作成・試行できる環境を整えました。現在はこの環境を生かし、「毎回なんとなく手間を感じる」「こういうのがあったら便利かも」といった、日々のちょっとした気づきをきっかけに、さまざまなGPTsが自発的に生まれています。

提案資料のたたき台を自動で構成するGPTや、アイデアを整理・発展させる壁打ち用のGPT、MBO(目標管理)設定を支援するGPTなど、活用の幅は業務の細部にまで広がっています。特定のタスクに特化したシンプルなものから、複数の判断基準を盛り込んだ複雑なものまで、作成者の工夫によって多様なGPTsが実現されています。

最近では、「どんなGPTsを作ればいいか分からない」と感じた社員が、GPTs作成そのものを支援するGPTを作成・共有し、それが社内に広がるような動きも見られています。作成されたGPTsをきっかけに、ほかのメンバーが着想を得て、自らの業務に応用する場面も増えてきました。

また、数を作っていく中で、プロンプトの設計が洗練され、業務にフィットしたGPTsへと進化していくケースも出てきています。試行を通じて精度を高めていくプロセス自体が、GPTs活用の価値を支えているともいえます。

社内で話題の「毒舌ギャルGPT」とは?

GPTsを自由に作る動きが社内で広がる中、注目を集めているのが「毒舌ギャルGPT」です。これは、忖度のないフィードバックで改善点を率直に伝える、フィードバック特化型のカスタムGPTです。資料レビューやアイデア検討をはじめ、考えを整理したいときや、誰かに「ズバッと指摘してほしい」場面など、さまざまなシーンで活用されています。

「なぜ『毒舌ギャル』なのか?」開発者にその狙いや設計の工夫を聞きました。

ギャルGPT画面

「毒舌ギャルGPTはこうして生まれた」──開発者が語る背景とキャラクターの狙い

藤井 正俊

藤井 正俊

ソフトバンク株式会社
IT統括 AIテクノロジー本部
AI&データ事業推進統括部 Axross事業部 技術開発課

前職までにアセンブラ開発やハード設計、広告システム開発やそのデータ分析、DevOps などフルスタック エンジニアとして幅広く活動。AI/DX 人材教育サービス Axross のテックリードとして Google Cloud をフル活用し、DevOps/フロントエンド/サーバーサイド全体で完全内製化/改革実現。第一回 Google Cloud 生成 AI Innovation Award 最優秀賞、2023年度ソフトバンク内アワード社長表彰二位受賞。

本音のフィードバックが、良いアイデアを生む。そんな発想から生まれたGPTs

藤井:今の社会では、関係性や空気を気にして「ズバッと本音を言う」事が難しくなっています。でも、それでは良いアイデアが育ちにくい。だからこそ、忖度なしに指摘できる存在が必要だと思いました。AIであれば感情や立場に左右されず、誰でも気軽に相談やフィードバックを受けられる。そんな環境をつくれるのではと考えたのがきっかけです。そういう存在こそが、今後AIが広がる鍵になると思っています。

「毒舌ギャル」という設定に込めた意図

藤井: ロジカルで本質を突くフィードバックでも、「ギャル」というキャラクター設定がある事で、上司や同僚では言いづらい指摘も、不快感なく受け止められる。キャラクターを通す事で生まれる、ちょうどいい距離感も、このGPTの魅力の1つです。

あえてAIに「言いにくい事」を託した理由

藤井:今の社会では、ハラスメントや上下関係への配慮が必要とされる中で、率直な意見を伝える事が難しくなってきていると感じます。でもAIなら、立場や感情にとらわれず、ズバッと本質を突く事ができる。そうした言いにくさを補う存在として、AIが新たな役割を担えるのではないかと考えました。

設計で意識した事

藤井:実はこのギャルGPTは、社内でChatGPT Enterpriseが本格導入される前の2024年から、自部署で先行的に作成していました。

当時のGPTsは、キャラクターの口調や振る舞いを安定させるには、細かい調整や試行錯誤が必要で、「ちょうどよく動かす」のは簡単ではありませんでした。

現在ではGPTs自体が進化した事で、少ない指示でも「普通のAIとは違う個性」がしっかり出せるようになっています。そのおかげで設計もシンプルになり、特定の用途に縛られず、さまざまな業務シーンに応用しやすいGPTになったと感じています。

社内の反応は?

藤井:従来のChatGPTでは「少し物足りない」「当たり障りのない返答が多い」と感じていた人にとって、このGPTはキャラクターの個性が際立っていて、新鮮に映ったようです。

特に、「ストレートな語調で、本質を突いてくる」というギャップが強く印象に残ったという声が多く、使うたびに思考の幅が広がる感覚があるからこそ、継続して使われるGPTになっていると感じています。

自分に合ったスタイルを選べるからこそ、キャラGPTが生きる

藤井:日々の業務で「なんとなく続けている事」を見直すきっかけにしてほしい。率直で本質的な指摘が、思考のスイッチになればと考えています。

ただ、こうしたキャラクターは「自分で選ぶ」前提があるからこそ、生きる存在だと思っています。受け止め方は人それぞれだからこそ、「自分に合うスタイル」を選べる環境が必要です。その上で、「毒舌ギャル」のように、ユニークなキャラクターを通じて率直な指摘をもらえるGPTが、思考の幅を広げるきっかけになればうれしい。そしてこのGPTをきっかけに、「キャラクター×業務」という発想で、自分に合ったGPTを自由に作る人がもっと増えていってほしいと思っています。

GPTs制作のコツ:「こだわりすぎず、まずはやってみる」

GPTsを作ってみたいけれど、「どう作ればいいのか分からない」「何から始めればいいか迷う」という声も少なくありません。今のGPTsは、専門知識がなくても、シンプルな設定だけで業務や目的に合ったアシスタントを直感的に作れるほど進化しています。

実践を通じて見えてきた、GPTs作成時に押さえておきたい5つのステップをご紹介します。

GPTs制作のコツ

GPTsは、まず試してみる事から始められます。「この作業、GPTで代替できるかもしれない」と感じた場面から動かしてみる事で、無理なく自分に合った形に育てていく事ができます。

まとめ:チームの知性を拡張するパートナーへ

GPTsは、ただ作って終わるツールではありません。目的に合わせて自分で設計し、使いながら調整を重ねていける「育てるAI」として、日々の業務に寄り添う存在です。こうしたAIとの関係は、単なる業務効率化にとどまらず、思考の質や判断の確度を高める「パートナー」としての可能性を広げてくれます。GPTsは、そうした現場の工夫や試行錯誤に応える存在として、今後ますます活用の幅を広げていくでしょう。

AIによる記事まとめ

この記事は、「GPTs(カスタムGPT)」の仕組みと社内活用事例を扱っています。GPTsは業務目的に合わせて非専門家でも簡単にカスタマイズでき、多様な用途で活用されています。ソフトバンク内ではキャラクターGPTも生まれ、業務効率化と知的生産性の向上に寄与しています。GPTs制作はシンプルな設定だけで業務や目的に合ったアシスタントを直感的に作れます。

※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。

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ソフトバンクビジネスブログ編集チーム
佐藤 奈緒
法人事業において、セールスコーディネーターとして営業担当のサポートに従事。顧客対応・営業支援の経験を経て、2025年よりコンテンツ制作に携わる。
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