生成AIの学びを実務に。「コンテスト」機能が生み出す自走型DX ~「Axross Recipe」を活用したソフトバンク事例~
2025年8月18日掲載
企業のDXやAI活用が進む一方、「社内研修を実施したが、実際の現場でどう使えばいいのか迷う」「形だけのAI導入に終わっているのでは?」といった課題感を抱えている企業は少なくありません。新しいツールや技術を導入したものの、“現場で使われて初めて価値を発揮する”という原則を実感している方も多いのではないでしょうか。
ソフトバンクのカスタマーサクセス本部(CS本部)ではこうした課題に向き合い、現場主導で生成AIを活用できる組織づくりに取り組んできました。その取り組みの一つがAxross Recipe for Bizの「コンテスト機能」の活用です。
本記事では、生成AI活用の舞台裏や現場がどのように変わっていったのかを、担当者の言葉を交えてお伝えします。
お話をうかがった方
「知る」から「使う」へ。現場目線の課題意識
カスタマーサクセス本部(CS本部)は、お取引のある企業との契約維持や売上向上を担う部門です。これまでeラーニングや研修、業務マニュアルの整備など、生成AIの基礎力向上のための施策は実施してきたものの、「本当に現場で生かせているのか」「学んだ内容が業務改善につながっているのか」という課題や不安を抱えていました。
CS本部で生成AI活用を推進する山本はこう語ります。
「知識を『持っている』状態と、それを『実際に使う』ことの間には大きなギャップがあり、一般的なオンライン学習では『やった風』にもできてしまう課題がありました。だからこそ、一人一人が自分の仕事や現場にAIをどう取り入れるか、具体的に考え活用でき、参加者の理解度や熟達度が管理者側から見える仕組みが必要だと考えました」
この課題意識を解決するため、有志を数十名募集して生成AIの活用をプロジェクト化し、アウトプットしていく取り組みがスタートしました。
参加のハードルを下げる仕掛け「スキルの見える化と現場巻き込み」
生成AIの現場活用に向けてまず重視されたのは、「参加型」のプロジェクト運営設計です。AIの知識や経験がない人も気軽にチャレンジできるよう、まずはメンバー自身がAIスキルやツール活用力を自己評価できる6段階のアセスメントでスキルを見える化しました。スキルを見える化することで、知識や活用レベルの組織全体としての引き上げに加え、個人においても研修の前後で自分の成長を数字として実感する仕組みが自信やモチベーションに つながりました。
さらに、社内では 「今からでも遅くない」「どんなレベルからでもできる」といった前向きなメッセージを繰り返し発信。心理的なハードルを下げることで、まずはやってみようという雰囲気作りを徹底しました。
山本も、「社員から『やってみたら意外とできた』『次はこんな工夫を試してみたい』といった声が上がるようになりました。現場の自分ごと感が高まったことは、大きな手応えでした」と話します。
Axross Recipe for Bizの「コンテスト機能」とは? 現場が主役のアウトプット&ナレッジ共有基盤
CS本部では、アセスメントやオンライン学習/ハンズオン研修に加え、当時開発中であった Axross Recipe for Bizの「コンテスト機能」を試験導入 しました。これは、生成AI活用などのアイデアを投稿して評価することができる機能です。テキスト形式やスライド形式、動画形式で投稿することができるため、資料作成やプレゼンスキルは必要ありません。また、投稿された内容はプラットフォーム上に蓄積され、ナレッジとして再利用できます。
山本は「現場から気軽にアイデアが投稿され、本当に使えるアイデアが集まりました」と語り、最初は不安だったメンバーも「やってみたらできた」という実感を得られるようになったと続けました。
「コンテスト機能」概要
Axross Recipe for Biz のコンテスト機能でできること
①コンテスト実施前:管理者
・コンテストの趣旨、期間、評価項目を設定
・参加者へ通知し、社内コンテストを手軽に開催
②コンテスト実施中:参加者
・テキスト、スライド、動画でアイデア投稿
・3~5項目の指標で他の参加者のアイデアに対して、非同期相互採点&コメント
③コンテスト実施後:管理者
・投稿数、内容、参加者、スコアなどをダッシュボードで可視化
公正な評価と運営効率の両立
コンテスト機能では、評価時に点数やコメントを簡単に入力できるので、参加者は迷わず手軽に評価に参加できます。また、以前はGoogle フォームとスプレッドシートによる手作業での集計と評価をしていたため管理工数がかかっていましたが、コンテスト機能ではこれらがプラットフォーム上で自動的に可視化されるため、運営工数を大幅に削減できる メリットがあります。さらに「誰がどんな評価をしたか」「なぜこのアイデアが選ばれたか」が明確になり、参加者全員の納得感が高まり ました。
山本も「ブログのようなテキスト形式のユーザーインターフェース(UI)により、管理者とユーザー双方にとって、コンテストの運用・参加が非常にしやすくなった」と話します。
現場の声を成果へ
プロジェクト参加メンバーから116件のアイデアが投稿され、うち61件が生成AIに関するものでした。投稿されたアイデアは、事務局により「工数削減効果」や「実現性」などの判断軸で分類され、実現性の高いものについては追加のヒアリングや検討が行われています。その過程で、カスタムGPTやRPAなどの活用が検討され、一部のアイデアでは実装フェーズに入っています。
「カスタムGPTやRPAでこんなツールが作りたい」「この課題をAIで解決できないか」という相談や提案が、毎日のように事務局に寄せられるようになりました。
「営業現場で活躍する非エンジニアの方がGemini を活用して各個人単位の業務のための専用HTMLアプリを作る方が実際に増えました。例えば、従来であれば目検チェックやVBAを組む必要があった申請書の不備や携帯電話の電話番号のリストの重複・差分確認、ハイフン除外や挿入など実業務で活用されています。利用頻度が多いものについては、本部のポータルサイトにツール類をまとめて集約し、ほかの人が利用できる環境を整えています。
自分で作ったAIツールが業務改善に役立ち、同僚や上司に評価された瞬間、『やればできる』という自信につながります。こうした成功体験が組織全体に広がることで、AI活用の定着が一層加速していくのではと感じています」と山本も語りました。
終わりに
本取り組みを通じて見えてきたのは、「知る」から「使う」そして「成果につなげる」ための現場主導・アウトプット重視の仕組みの重要性 です。 全員が「自分ごと」として参加でき、評価と実現につながるプロセスがあれば生成AIは組織の変革の原動力になります。
まずは小さなアイデアや課題からでもやってみる。Axross Recipe for Biz のコンテスト機能の活用が、組織変革の第一歩になるかもしれません。
AIによる記事まとめ
ソフトバンクのCS本部では、生成AIの実務活用を促進するため、Axross Recipe for Bizの「コンテスト機能」を試験導入。社員が自ら業務改善にAIを活用する仕組みを整えた。参加型プロジェクトやスキルの見える化により、現場主体のアイデア創出と共有を実現。116件のアイデアが集まり、一部は実装へ。成功体験が自走型DXと組織変革を加速させています。
※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。
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