属人化・ブラックボックス化を防ぐ。自律汎用型AIエージェント活用事例【ソフトバンク】
2026年3月16日掲載
情報システム部門は慢性的な人手不足に悩まされる一方で、業務の専門性が高く、担当者に依存した「属人化」が起きやすい環境にあります。担当者の退職や異動により「なぜこのシステム構成になっているのか誰も分からない」といった ブラックボックス化に直面 し、頭を抱える管理者の方も多いのではないでしょうか。
ソフトバンクのソリューションエンジニアリング(SE)本部では、この課題を解決するため、自ら考え、計画し、行動する次世代の自律汎用型AIエージェント「AGENTIC STAR(エージェンティックスター)」を活用し、業務の高度化・効率化に取り組んでいます。
今回は、本プロジェクトを推進した担当者に、情報システム・エンジニア部門が抱える課題と、AGENTIC STARでどのように解決に取り組んでいるかについてお話をうかがいました。
お話をうかがった方
情シスを悩ませる、属人化とブラックボックス化
—— 日々、情報システム部門のお客さまと接する中で、システム構築や運用においてどのような課題を感じていましたか? また、SE本部としての課題についても教えてください。
葉山:情報システム部門は常に人手不足であり、長期間にわたるプロジェクトの進行中に担当者が変わることも珍しくありません。場合によっては、当時の担当者が退職してしまい「なぜこのような構成や設定になっているのか誰にも分からない・手出しができない」といったブラックボックス化したシステムを抱えてしまうケースも多くあります。
また、SE本部としては、システム構築における可用性やバックアップなどの「非機能要求」のヒアリングと実装に多大な工数がかかる点も課題でした。お客さま自身が要件を明確に定義できていないケースも多く、対話や業務プロセスの中から自然言語で要件を拾い上げる必要がありました。
藤田:インフラ構築の現場では、これまでは設計書や手順書を参照しながら、管理画面でのパラメーター入力や確認など、多くの工程をエンジニアの手作業で行っていました。作業自体はシンプルですがミスや漏れが許されないため、案件数が増えるほど工数とリスクが増大します。本来注力すべき設計業務に時間を割けず、実行作業に追われていることが実状でした。
ツールの課題を補完する、AIの「長期記憶」
—— 属人化や手作業の課題に対し、近年はIaC(Infrastructure as Code、インフラのコード化)などの自動化ツールの導入も進んでいますが、それだけでは不十分なのでしょうか。
葉山:IaCを導入すれば、インフラ構築におけるコードの再利用性や透明性は向上します。しかし、実際には限界も感じていました。IaCの設定自体にも人手がかかることに加えて、一般的な生成AIでIaCを作成することは可能でも、それはパラメーターの集合体にすぎません。「なぜその設計や設定になったのか」という背景まではシステム化されないのです。
そのため、引き継ぎ時に背景情報が欠損したまま拡張や修正を行うと、お客さまの意図と異なる変更が発生するリスクがありました。さらに、障害時などの緊急対応で手作業による変更が発生した場合、それをコードに反映する手間も課題でした。これを怠ると、次回のIaC実行時に手動で変更した設定が上書きされ、元の状態に戻ってしまうリスク(デグレード)があるからです。いかに迅速にIaCコードへ正確に反映させるかが大きな課題でした。
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—— そこで今回の検証では、自律汎用型AIエージェントであるAGENTIC STARを導入されたのですね。どのような機能が解決策になったのでしょうか。
葉山:最も大きかったのは、AGENTIC STARが持つ「長期記憶」の機能です。一般的な生成AIが短期的なやり取りを得意とするのに対し、AGENTIC STARは 過去の議事録やドキュメントなどのユーザーコンテキストを学習し、長期的に保持 できます。議事録などをAGENTIC STARにアップロードすると自然言語を理解し、要件や関連情報を長期的に記憶・参照してくれるため、より具体的な設計へと反映できるようになりました。また、人が設定を行う際にも、設定項目表などをAGENTIC STARに渡すと、長期記憶に蓄積された過去の文脈を参照しながら確認・修正を行ってくれるため、すべてを指示する必要もなく、手戻りの抑制にもつながります。 個人の記憶に頼るような属人化を防ぎつつ、エンジニア業務を支援するパートナーとして機能してくれています。
エラー修正も自律的に。工数を10日から0.5日へ
—— 実際の現場では、AGENTIC STARをどのように活用しましたか。
藤田:今回の検証では、設計情報をもとに Amazon Web Service や Microsoft Azure などのクラウド環境を構築する役割をAGENTIC STARに任せました。具体的には、パワーポイントで作成した構成図や設定値、クラウドへの接続情報をAGENTIC STARに渡し、「この内容に基づいて環境を構築してほしい」というゴールだけを指示しました。従来であれば、エンジニアが手順書を参照しながら手作業で進める必要がありましたが、AGENTIC STARは設計内容を解釈し、必要なリソースを洗い出して自律的に環境を構築してくれました。
—— 従来の生成AI活用と比べて、どのような違いがありましたか?
藤田:以前、一般的な生成AIを使ってコードを生成した際は、構文エラーや仕様との不整合が多発しました。コード自体は生成できても、エラー原因の特定や修正、再実行は人が対応する必要があり、時間を要していました。一方、AGENTIC STARはコードの生成にとどまらず、ツール(Terraform)の実行、エラー原因の特定、修正、再実行までを一連のプロセスとして自律的に実行します。人に逐一確認することなく自ら考えながら改善を繰り返すため、手離れよく進められました。
結果として、従来は約10人日(一般的な生成AI活用でも約5人日)かかっていた構築工数を約0.5人日へ、約95%の工数の削減効果を確認することができました。
価値の定義は人、実行はAI
—— 自律汎用型のAIエージェントを実際に利用してみて、仕事はどのように変化していますか。
藤田:「価値を定義するのは人間、それを形にするのがAIエージェント」という明確な役割分担が可能になります。人が担うべきは、システムの全体構想を描き、現場と対話しながら潜在的なニーズや制約条件を整理することです。一方、ゴールや条件が定まった後の設定作業など、正確性とスピードが求められる実行部分はAIに任せる方が合理的だと感じました。
葉山:AIは品質担保を完全に代替する段階には至っていませんが、要求から設計への落とし込みを支援し、業務を強力に補完してくれる頼れる相棒のような存在だと考えています。AIが実行作業を担うことで、私たちはアーキテクチャーの実現性検証や設計品質の向上など、本来注力すべき業務にリソースを振り向けられます。また、ビジネスロジックに深く踏み込み、社内外の関係者とのコミュニケーションの質を高めることも可能になります。
さらに、新しく配属されたメンバーのオンボーディングにおいても、AGENTIC STARを壁打ち相手にすることで 「なぜこの構成なのか」をスムーズに理解 でき、プロジェクトや組織全体の立ち上げを加速させる効果も期待できます。
—— 最後に、業務効率化や人材不足に悩む、情報システム部門の方へメッセージをお願いします。
藤田:今後はインフラ構築に限らず、運用保守、ログ解析、障害の一次切り分けなど状態を解釈して実行手順へ落とし込む業務は、自律型AIの力を発揮しやすい領域です。人が全てを抱え込むのではなく、方向性や価値の定義は人が担い、実行はAIに任せる。新しい役割分担のスタンダードとして、ぜひ一歩踏み出していただきたいです。
葉山:情報システム部門にとって、長期的な記憶の損失によるシステムのブラックボックス化や属人化は深刻な課題です。AGENTIC STARの「長期記憶」を活用することで、組織やプロジェクトのナレッジを適切に保持し、一定程度システムから人を切り離すことが可能になります。担当者が変わっても過去の背景を引き継ぎ、安定したシステム運用を実現するための強力なパートナーになると考えています。
まとめ
情報システム部門における属人化やブラックボックス化は、組織の持続的な成長を阻む大きなリスクです。本事例では、長期記憶を備えた自律汎用型AIエージェント「AGENTIC STAR」により、設計背景の継承と実行作業の自律化を実現し、構築工数を大幅に削減しました。人が価値を定義し、AIが実行を担う新たな体制は、限られた人材で最大成果を生み出す現実的な選択肢です。自社のシステム運用の在り方を見直す第一歩として、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
AIによる記事まとめ
この記事は、情報システム部門における属人化とブラックボックス化の課題に対し、ソフトバンクが自律汎用型AIエージェント「AGENTIC STAR」を活用して解決を図った事例を紹介しています。長期記憶機能により設計背景を保持し、Terraformの実行からエラー修正までを自律化することで、構築工数を削減した取り組みと、人とAIの新たな役割分担について解説しています。
※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。
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