AI時代、企業インフラはどう変わる?
ソフトバンクが描く次世代ネットワーク
2026年8月26日掲載
生成AIの普及やクラウド活用の拡大を背景に、法人ネットワークでは従来以上の品質や柔軟性、セキュリティが求められるようになっています。企業におけるネットワークの役割も、「つながればよい」という通信インフラから、AI活用やデータ利活用を支える経営基盤へと変化しています。
本記事では、ソフトバンク株式会社で法人向けネットワークサービスの企画・開発を担当する南雲へのインタビューを通じて、法人ネットワークを取り巻く課題や今後求められるネットワークの在り方、ソフトバンクの取り組みについて紹介します。
お話をうかがった方
AI時代における法人ネットワークの役割とは
―生成AIやクラウド活用により、企業のネットワーク環境にはどのような変化が起きているのでしょうか。
南雲:「日頃から多くのお客さまとお話しする中で、法人ネットワークを取り巻く環境は大きな転換期を迎えていると実感しています。少し前まで、ネットワークの役割は『拠点間やインターネットに、安全・確実につながればよい』という『土台』としての位置付けでした。しかし、生成AIの普及やクラウドシフトが進む中で、その前提が大きく変わりつつあります」
―具体的には、従来のネットワーク構成からどのように変わっているのでしょうか。
南雲:「従来は、各拠点の通信を閉域ネットワークに集約し、データセンターなどのゲートウェイを経由してインターネットへ接続する構成が一般的でした。しかし、クラウド利用やリモートワークが広がったことで、インターネットへの接続方法や通信経路を柔軟に設計する必要が生じています」
―「つながればよい」という考え方から、ネットワークに求められる役割が変わってきたということでしょうか。
南雲:「背景には、データ通信量が増え、リアルタイム性の高い処理が求められるようになったことがあります。つまり、データを運ぶための単なる通信インフラではなく、AI活用やDXを支える重要な経営基盤へと進化しています」
AI時代に法人ネットワークの見直しが求められる理由
ゼロトラストのトレンドと、日本独自の「コストの壁」
―企業のIT担当者が、いま法人ネットワークを見直さなければならない理由を教えてください。
南雲:「従来の『境界防御型』のネットワーク設計と、現在のクラウドやAIを活用するビジネスモデルとの間にギャップが生じているためです。SaaS利用の定着により、通信を中央に集約する構成ではインターネット利用時にボトルネックが生じやすくなり、トラフィックをインターネットへ逃がす『インターネットブレイクアウト』やSD-WAN、SASEの導入が広がっています。しかし、ここで多くの企業が直面しているのが『コストの壁』です」
―コストの壁とは、具体的にどういうことでしょうか。
南雲:「海外と異なり、日本国内は閉域ネットワークとインターネットの価格差がそこまで大きくありません。そのうえ、すべてをオールインターネットにして高度なセキュリティを実装しようとすると、高度なSASEなどのライセンス費用が跳ね上がってしまいます。
結果として、費用対効果の面からSASEを単なるWebゲートウェイ代わりに使わざるを得ないというジレンマに陥っている企業が多いのが実情です。そのため、重要な通信のみSASEを通し、他はSD-WANで柔軟に経路コントロールするハイブリッド構成が現在の主流となっています」
中小企業で進むAI活用と、サプライチェーンリスク
―中堅・中小企業における課題はいかがでしょうか。
南雲:「日本の中小企業では、今なお『インターネットVPN(IPsec)』を使った昔ながらの企業ネットワークが数多く残っています。一方で、Microsoft Copilot や Gemini をはじめとするSaaS型の生成AIを利用する機会は、今後ますます増えていくでしょう。こうしたサービスの活用が広がるタイミングは、インターネット接続やセキュリティを含めてネットワーク構成を見直す一つの契機になります。
また、IPsecで接続しているからといって、それだけで十分にセキュアだと言えない時代になっています。現代のビジネスはサプライチェーンで緊密に連携しています。自社のサイバーセキュリティ対策レベルが低いと取引先にみなされれば、取引継続、ひいては事業継続に関わるリスクが生じます。サプライチェーン全体の足を引っ張らないためにも、見直しが求められる状況になっています」
多くの企業が見落としている「インターネット回線」の盲点
―その他に、企業の担当者が陥りがちな「盲点」はありますか。
南雲:「閉域ネットワーク側には高価な『ギャランティ(帯域確保)型』の回線を採用しながら、毎日全社員が利用する Microsoft 365 やZoomなどの『インターネット用(インターネットブレイクアウト用)』回線には、安価なインターネットサービスを使っている企業が少なくありません。
ベストエフォート回線は混雑(輻輳)によって通信遅延やパケットロスが起こり、Web会議の遅延やクラウドサービスのレスポンスの低下などにより業務効率の低下につながる可能性があります。むしろ全社員が頻繁に使うインターネット回線こそ、十分な帯域を確保できる高品質な回線を検討すべきなのです」
※参考記事
ベストエフォートかギャランティーか、最適な帯域幅を選ぶポイント。法人インターネットの選び方
ソフトバンクが考える「次世代の法人ネットワーク」
ネットワークとセキュリティを一体で考える「セキュアネットワーキング」
―AIやクラウドの価値を最大限に引き出すために、これからの法人ネットワークはどのような姿を目指すべきでしょうか。
南雲:「私たちは、これからの法人ネットワークは『ネットワーク』と『セキュリティ』を切り離して考えるのではなく、一体で捉えることが重要だと考えています。
生成AIやクラウドサービスの利用が広がる中、企業で利用するアプリケーションや通信経路がますます多様化しています。そのため、通信をつなぐだけではなく、セキュリティも含めて一体で設計・運用する『セキュアネットワーキング』の考え方が重要になります。
ネットワークは、単なる通信インフラではなく、AIやDXを支える経営基盤です。その基盤がしっかりしていてこそ、新しいテクノロジーの価値を最大限に引き出すことができます」
企業がネットワークを選ぶ際の3つの判断軸
南雲:「AI時代のネットワークを考える上で、私たちが重要だと考えている要素は3つあります。
1つ目は、アプリケーションを適切に識別・制御できることです。今後は生成AIを含め、多様なアプリケーションが業務で利用されるようになります。そのため、通信先やアプリケーションの特性に応じて経路や優先順位を柔軟に制御できることが重要です。SD-WANを選定する際も、どこまで細かくアプリケーションを識別・制御できるかが判断軸になります。ソフトバンクの「SD-WAN Type F」も、こうした高度なアプリケーション制御を重視して設計しています。また、SASEについても、AI利用に伴う情報漏えい対策など、「Security for AI」への対応状況を確認することが重要です。
2つ目は、高品質なネットワーク基盤です。クラウドやSaaSの利用が進んだ現在では、インターネット側の通信品質が業務効率に直結します。ソフトバンクの「Suite Ether」は自社設備で構築・運用しているため、通信状況に応じた設備増強を行い、安定した通信品質を提供しています。
3つ目は、AI時代を支えるインフラとの連携です。ソフトバンクでは、大規模AIデータセンターやソブリンクラウドなど、AI時代を支えるインフラ整備も進めています。ネットワークとAIインフラを組み合わせて提供できることも、私たちの強みの一つです」
ネットワーク見直しは「要件整理」から始まる
―実際にネットワークの見直しを進める際、リソースの限られたIT担当者は何から手を付けるべきでしょうか。
南雲:「『ビジネスレベルで今後どのようなDXやAI施策を展開しようとしているのか』という要件を整理することが重要です。今後のビジネスで目指す姿を描いた上で、ネットワーク環境を考えていくべきだと思います。とはいえ、検討しようにも社内にIT人材が不足しているお客さまも多いため、ぜひソフトバンクへご相談いただきたいと考えています」
―具体的に、どのようなタイミングで相談すればよいのでしょうか。
南雲:「まだ具体的な方向が固まっていない構想段階からご相談いただくのが良いと考えています。営業とSEがお客さまの課題を整理しながら、設計・構築から導入後の運用・保守まで一緒に検討します」
AI時代の法人ネットワーク、その先の未来
人間同士の通信から「AIエージェント同士の通信(A2A)」へ
―これから3〜5年で、法人ネットワークはどのように進化していくのでしょうか。
南雲:「重要なキーワードが『AIエージェント時代(A2A)』の到来だと思います。現時点では、チャット形式の生成AI利用だけでネットワークトラフィックが急増しているわけではありません。ただし、今後AIエージェントが相互に通信するようになると、通信量や通信経路は大きく変わる可能性があります。
これまでは人間とクラウドをつなぐ『縦の通信』が主流でしたが、今後は従業員や取引先の人々などが利用するAIエージェント同士が自律的にデータをやり取りするようになり、『横の通信』と呼ばれる東西トラフィックが大幅に増える可能性があります。
この変化に対応するため、ネットワーク回線はあらかじめ広帯域回線を選定しておくこと、そして モバイル通信も含めて、将来の通信量増加に対応できるネットワーク環境を検討 しておくことも重要です。
また、システム運用においても手動運用では追いつかなくなるため、AIを活用して運用を自動化する『AIOps』の実装や、耐量子暗号などへの対応も重要な検討課題になると考えています」
中小企業でも「回線とセキュリティ機能を一体的に利用できる」未来を
―ゼロトラストやSASEのコストに悩む中小企業向けのアプローチはありますか。
南雲:「現在、自社のコアネットワーク内にSASEのセキュリティ機能を組み込む『自社SASE基盤(ソブリンSASE)』の検討を進めています。ソフトバンクの回線を引いていただくだけで、インターネット接続と必要なゼロトラストセキュリティがリーズナブルにセットで提供される世界を目指しています」
―それは待ち遠しいですね。最後に、読者の皆さまへメッセージをお願いします。
南雲:「AI活用を推進する上で、まずは土台となるネットワークを再定義し、十分な品質とセキュリティを確保しておくことが重要だとお伝えしたいです。どれほど優れたAIを導入しても、足元のインフラが十分に整備されていなければそこがボトルネックになります。
ソフトバンクはAIに注力する企業であると同時に、ルーツである『通信キャリア』としてのインフラ投資も強力に進めています。インフラはAI活用を支える重要な基盤です。土台がしっかりしてこそ、その上でAIが価値を生み出せるのです。漠然とした段階からでも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください」
―ありがとうございました。
おわりに
AIの活用が本格化する中で、法人ネットワークにはこれまで以上に高い品質、柔軟性、セキュリティが求められています。従来の通信インフラという役割を超え、AIやクラウド活用を支える経営基盤として、ネットワークの重要性は今後さらに高まるでしょう。
ソフトバンクでは、ネットワーク、セキュリティ、AIを組み合わせたソリューションを通じて、お客さまのDX推進とAI活用を支援しています。ネットワークの見直しをご検討の際は、構想段階からお気軽にご相談ください。
まとめ:IT担当者が今すぐチェックすべきポイント
1.「インターネット=ベストエフォートで十分」という固定観念を見直す
全社員が使うSaaS通信では、インターネット回線の品質も重要な検討要素になり、帯域確保された高品質回線(ギャランティ型)を検討することが重要。
2. サプライチェーンのセキュリティ要件を早期に満たす
IPsecでつないでいるから安全とは言えない。取引継続のためセキュリティ要件を見直すことが重要。
3.「AIエージェント時代のトラフィック増加」を見据える
AIエージェント間の通信増加を見据え、将来の通信量増加にも対応できるネットワーク基盤を早期に検討する。
AIによる記事まとめ
この記事は、ソフトバンクのプロダクト企画担当 南雲勉へのインタビューを通じ、AI時代における法人ネットワークの役割変化とインフラ設計について解説しています。インターネット回線の品質やSASE導入に伴うコストなど、企業が直面する課題を取り上げながら、ソフトバンクの強みである「Suite Ether」、さらには「AIエージェント同士の通信」を見据えたネットワーク再定義の重要性について紹介しています。
※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。
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