Blogsブログ
- 2023.02.22
- Blog
- サービス
5GとセルラーV2Xを活用した
歩行者と車による事故低減に向けた取り組み
#コネクテッド #5G #セルラーV2X
Scroll
自動車は移動の自由度の高さや物流などの社会基盤として人々の生活に大きく貢献する一方で、交通事故の要因ともなっており、事故を低減する技術の開発が求められています。特に、通信技術を活用することで危険通知などの情報提供範囲の拡大や他車両のセンシングデータの利活用が見込まれており、ソフトバンクの先端技術研究所では次世代の安全技術として5Gや「セルラーV2X(以下「C-V2X」)」を活用した事故低減に向けた取り組みを行っています。
「V2X(Vehicle-to-everything)」は、自動車とあらゆるものの情報のやりとりを実現する通信技術です。 自動車が通信する接続先は、周辺車両や道路インフラ(信号機、道路標識、駐車場など)、歩行者、ネットワークに分類され、LTEや5Gといったモバイルネットワークを用いるものはC-V2Xと呼ばれます。
C-V2Xは事故低減などの安全を意識したサービスや自動運転、MaaS※1といった分野への活用が期待され、さまざまな研究・開発が行われています。
- ※1MaaS:いろいろな形式の移動サービスをひとつの交通手段として統合させたもの。
C-V2Xの通信方式は、「PC5」と「Uu」の2種類があります。
PC5は、車両間の通信「V2V(Vehicle to Vehicle)」、車両と交通インフラ間の通信「V2I(Vehicle to Infrastructure)」、車両と歩行者間の通信「V2P(Vehicle to Pedestrian)」といった機器間の直接通信を指し、数百メートル規模の比較的狭いエリアで低遅延が求められる場面での適用が検討されています。
Uuは、「V2N(Vehicle-to-Network)」と呼ばれる、基地局を経由した自動車とネットワーク間の通信を指し、基地局がカバーする広いエリアで多少の遅延が許容される場面での適用が検討されています。
ソフトバンクは、PC5の周波数帯として国際的に割り当てが検討されている5.9GHz帯の免許を国内通信事業者の中で初めて取得するなど、国内におけるセルラーV2Xの普及を推進しています。

本田技術研究所との
3つのユースケース検証
自動車の安全運転支援技術としてC-V2Xの活用を検討し、Hondaの研究開発子会社である株式会社本田技術研究所(以下「本田技術研究所」)と共に、交通参加者が安全に安心して移動できる社会の実現を目指した取り組みを実施しています。その一つとして、歩行者と車による事故低減に向けた3つのユースケース検証を行いました。
ユースケース1:
車両から目視できる歩行者の事故低減
走行する車両から歩行者を目視できる環境において、歩行者が車道へ進入するなど車載カメラで事故の危険性を認識した場合、車両から直接もしくは「MEC(Multi-access Edge Computing)サーバー」を介して、歩行者が所持する携帯端末に注意喚起を促す警報通知を行います。通知を受けた歩行者が回避行動をとることで、車両と歩行者の接触事故を防止します。

ユースケース2:
車両から目視できない歩行者の事故低減
走行する車両が、路上駐車車両などの障害物によって歩行者を目視できない環境にいる場合、見通しが悪いエリア内に歩行者がいる・いないという問い合わせを、周辺の携帯端末および他の車両に行います。
歩行者がいる場合は、歩行者に走行車両の接近を通知するとともに、歩行者の携帯端末から走行車両に対して、見通しが悪いエリア内に歩行者がいることを通知。
また、見通しが悪いエリア内の歩行者を目視できる位置に他の車両がある場合は、その車両から走行車両に対して、見通しが悪いエリア内に歩行者がいることを通知します。このように走行車両と歩行者、他の車両が高速でデータ通信を行うことで、接触事故を防止します。

ユースケース3:
車両から目視できないエリア内の情報の共有による歩行者の事故低減
走行する車両からMECサーバーに対して見通しが悪いエリア内の情報を送信し、MECサーバーは情報を整理して周辺を走行する車両に通知します。
通知を受けた車両は、見通しが悪いエリアに近づいた際に「歩行者がいる・いない」という問い合わせをMECサーバーに対して行い、歩行者がいる場合はMECサーバーから車両および歩行者に警報通知を行います。
このようにMECサーバーと車両、歩行者が高速でデータ通信を行うことで、接触事故を防止。このユースケースでは、カメラによる認識機能を持たない車両にも見通しが悪いエリア内の情報を送信することで、認識機能の有無にかかわらず、車両と歩行者の接触事故を防止することができます。

先端技術研究所では、歩行者や自動車などの交通参加者がネットワークにつながることで、安心を実感でき安全に移動できる協調安全社会の実現に向けて、今後も自動車とセルラーV2Xの連携を見据えた技術検証を推進していきます。
- 2023.02.22
- 次世代ネットワーク
5G基地局の「仮想化」に向けた取り組み