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ソフトバンクの自動運転とMaaS:社会課題に挑む先端技術

#自動運転 #MaaS

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ソフトバンクは、移動や交通に関わる社会課題を解決するため、自動運転車両を中心とした「MaaS(Mobility as a Service)」の社会実装に向けた研究開発を進めています。

  • MaaS:いろいろな形式の移動サービスをひとつの交通手段として統合させたもの。

近年、メディアなどを通して見聞きすることが多くなった「自動運転」ですが、ひとことに自動運転と言っても、実現できることはそれぞれの事例によって異なるため、その違いを正しく理解することが大切です。

1. 自動運転レベルとは?

自動運転の違いを理解するために、現在主流となっているアメリカの「自動車技術会(以下「SAE」)が示す「自動運転レベル」を見てみましょう。SAEの自動運転レベルは以下の5 段階に分類されています。

自動運転のレベル分けについて | 「自動運転運用プラットフォーム」を活用した自動運転社会の実現に向けた取り組み

レベル1〜2ではドライバーが運転の主体であるのに対して、レベル3〜5では自動車側、つまりシステムが運転の主体になります。

ソフトバンクが目指しているのは、自動運転レベル4以上の自動運転の社会実装です。

レベル3でシステムの作動を継続することが困難になった場合には、ドライバーがシステムに代わって速やかに運転操作を行う必要があります。一方、レベル4では、あくまで特定の地域などの条件下ではあるものの、トラブルが発生してシステムが作動できない場合でも、ドライバーが運転することなく安全に車両を停止させるなど、高度な自動運転が必要です。

そのため、レベル4 以上の自動運転を実現することで、ドライバー不足や運転免許証の返納による移動困難者の増加など社会課題の解決に貢献することができます。

2. 自動運転を取り巻く世界の状況

自動運転技術に関する技術開発は世界中で盛んに行われており、その代表的な国の一つが、アメリカです。Waymo社やCruise社、Aurora Innovation社などの企業が特に先進的な技術開発を行い、公道で無人の自動運転タクシーのサービスをスタートするなど、レベル4 に相当する自動運転技術の運用が行われています。

また、アメリカだけでなく中国でも同様のサービスが運用されるなど、先進的な技術開発が進んでいます。

3. 日本の自動運転の状況

現在日本で導入されている自動運転は、特定環境下のみで利用できるレベル2に相当するものがほとんどです。

今後、自動運転技術の導入を進めていくためには、主に5つの課題を解決していく必要があります。
①自動運転に関する技術レベルが未成熟
②社会受容性の低さ(社会に自動運転が受け入れられていない)
③法整備
④運用コストの高さ
⑤ビジネスモデルが未確立

一方で、③法整備については、2023年度に施行予定の改正道路交通法で自動運転レベル4の解禁に関する内容が含まれるなど、自動運転の普及に向けた動きが出てきています。

4. 先端技術研究所の取り組み

先端技術研究所は、自動運転技術の社会実装に向けた研究・開発として、自動運転運用プラットフォームを構築し、下記の3つの取り組みを行っています。

1. 自動運転の運用システムの構築(「④運用コストの高さ」の解決)

自動運転を実現するためには、現時点では人件費などの多くの運用コストが必要です。また、これまでドライバーが担っていたさまざまな業務に対応することも求められます。そのため、自動運転事業を継続的に行うことは簡単ではありません。

そこで、先端技術研究所は、自動運転の運用プラットフォームに車や車内の状況、交通インフラのデータを集約し、AIによる解析をするなど自動運転の実用化に向けた業務の自動化、効率化を図る活動を実施しています。

現在は、自動運転レベル4 に対応した車両が走行する際に必要な遠隔監視の業務で、オペレーター1人で複数台の車両の運用を可能にする仕組みづくりに取り組んでいます。

2. 安全性向上のための仕組みづくり(「①自動運転に関する技術レベルが未成熟」「②社会受容性の低さ」の解決)

自動運転車両の走行時には、自動運転システムに応じた「運行設計領域/ODD(Operational Design Domain)」を設定する必要があります。

その設定時には、走行する場所の人流や車流などのデータを収集し、デジタルツインを活用します。デジタルツインを用いて事前にさまざまなシチュエーションで走行検証を行いODDを作成した上で、実際に走行させ、自動運転車両の研究・開発を進めています。

  • デジタルツイン:現実世界の物体や環境から収集したデータを、仮想空間上に再現する技術

また、自動運転技術の研究や実証実験で発生した問題を事例ごとにデータとして集約し、自動運転システムの開発に取り組む他の企業が活用できるように、シナリオ化を実施しています。先端技術研究所が行う研究だけでなく、国内全体の自動運転技術の向上に貢献することを目指しています。

自動運転技術の研究や実証実験の例 | 「自動運転運用プラットフォーム」を活用した自動運転社会の実現に向けた取り組み

3. ビジネスモデルの問題を解決するMaaSの取り組み(「⑤ビジネスモデルが未確立」の解決)

一般の乗用車に比べて高額な自動運転車両を使用する交通ビジネスには、これまでとは異なるビジネスモデルが必要になります。

ソフトバンクが、トヨタ自動車株式会社との共同出資により設立した「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)」は新しいモビリティサービスやMaaSビジネスの実現に向けた取り組みを行っています。

「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)」の車両 | 「自動運転運用プラットフォーム」を活用した自動運転社会の実現に向けた取り組み

日本国内でまだ前例がない自動運転レベル4以上の社会実装。さまざまな取り組みの積み重ねによって、その実現は少しずつ近づいてきています。

ソフトバンクは、今後も移動や交通に関わる社会課題の解決に向けて、自動運転社会の実現に向けた研究・開発を行っていきます。

Research Areas
研究概要