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ネットワークエンジニアによる自動化への挑戦。すべてはユーザーの幸せのために

「ユーザー目線で開発する」。

一見当たり前に思えることも、それを提案できる力と実現できる環境が必要です。

ネットワークエンジニアの唐沢健は新卒でソフトバンクに入社後、初めて携わったネットワーク調査の業務を自らの提案で自動化に導きました。

ユーザー目線を持つことで実現してきたことと叶えたいことを語ります。
 

通信の裏側で走る複雑な処理に魅了され、最先端技術にのめり込んだ学生時代

ソフトバンクには、全国に数十万という移動体通信用の基地局があります。

私はネットワークエンジニアとして、文字通り、その土台となるネットワークを支える仕事をしています。

今でこそザ・エンジニアな私ですが、高校時代は、理系学科へ進学するのに必須の数学が苦手でした。
ですが、つい困難な道を選んでしまうあまのじゃくな性格が高じたのと、ネットワークという響きの格好良さに惹かれて(笑)、大学ではネットワーク関連の学部でモバイル通信を専攻しました。

研究室は、大手通信会社で2G(第2世代移動通信システム)を開発していた経験のある教授の下へ。

そこでは、普段何気なく観ていた動画の裏側にある複雑な処理のしくみなどを知ることができ、徐々にネットワークの奥深さに魅了され、研究にのめり込んでいきました。

当時、まだ世間一般では実用化されていなかったLTE通信の最先端の技術開発に関われたことも大きかったですね。

卒業後は大学で研究したことを生かそうと、大手の通信キャリアの就職試験を受けることに。
中でもソフトバンクは、私の家族がみんなJ-PHONE時代からソフトバンクのユーザーだったこともあり、親しみのある企業でした。

また、研究室の教授からソフトバンク社員のOBを紹介していただいたり、ソフトバンクの会社説明会で話をした人事担当者が、偶然1次面接の面接官で自分のことを覚えていてくれたり、何かとご縁を感じていたんです。

そして、ソフトバンクが経営理念でもある「情報革命で人々を幸せに」の実現に向けて新しい事業を行っていたことや、ソフトバンクが求める人物像や社員のマインドが、「諦めずに挑戦してやりきる」という私の考えと近いと感じたことも決め手となり、2013年に入社しました。

お客様と接する中で身についた顧客視点をもとに、「ユーザーのための自動化」

▲メンテナンス・プロコンテスト最優秀賞受賞時

入社して最初に配属されたのは、ユーザーである顧客から申告を受け、ネットワークの不具合を調査したり状態を分析したりする部署でした。

不具合や問題を解決するスキルだけでなく、顧客とのコミュニケーションが必要な、若手社員にとっては難易度の高い業務を任されました。

まさにこの場所で鍛えられたことで、私が働く上で大切にしている「ユーザー目線」が身についたんです。

業務に携わる中で、メンバーたちは比較的単純な作業を目視で行っていることが分かってきました。 私はもとからルーチンワークや定型業務が好きではなく、それを改善するための努力を惜しまない性格です。

そこで、ネットワークのログ解析や基地局の状態確認の自動化を上司に提案。 周囲の協力と承認を得てつくったのが、基地局の状態確認効率化ツールです。

ちょうど部署としてもさまざまなタスクを自動化するタイミングにあり、このツールの作成をきっかけに、部署内全体で自動化の流れが加速していきました。

その2年後には、ユーザーがソフトバンクに対して電波の改善を要望する「電波改善要望アプリ」への問い合わせ情報を自動で分類し、調査を行うツールを作成。

8時間かかっていた作業を20分まで短縮し、人間が行うよりも正確なアウトプットが出せるなど、一定の効果を上げました。

これらの取り組みにより、社内の「メンテナンス・プロコンテスト」で優秀賞、最優秀賞をそれぞれ受賞。 このコンテストは、自動化などの業務改善の取り組みや研究についての発表、表彰をするものです。

こうした「自動化」に私たちが力を入れているのも、結局はユーザーのため。 とくに私がいた部署は、ユーザーと直で接することのできる最前線の部隊でした。

だから目の前には常にお客様がいらっしゃいましたし、障害が起きたときにひとりでもネットワークが使えなくなってはダメだ、という意識がとくに強かったんです。

少しでもネットワークを改善して、喜んでもらいたい。 自動化を進めれば、より迅速で正確な解析につながり、ネットワークの品質も顧客満足度も上がります。

この部署にいた約4年間で、ネットワークのログ解析業務の効率化や機能の拡張、自動化をある程度まで達成しました。

そうした中で、例のあまのじゃくがまた頭をもたげたこともあり(笑)、新たなことに挑戦したいと希望を出し、現在の部署へ異動しました。

大規模開発だからこそ大切な、システムをつくる側とユーザー側との橋渡し役

異動先は、2017年に新しくできた部署でした。業務内容は、基地局の立ち上げ作業の運用や設定作業の自動化。
前の部署に比べてより専門的かつ広範囲に影響があり、より多くの人が関わる部署です。

扱っている案件は、複数の部署にまたがるような大規模なシステム。
開発は2年後までに必達でありながらも、周囲との足並みをそろえ、お互いの業務を調整しながら進めていくことが求められました。

もちろん、前の部署で培った「ユーザー目線」も忘れてはいません。

自動化のタスクを進めるにあたり、まずは現場を知ることから始めました。
システムをつくる側とユーザー側の理想には必ずギャップがあるので、現場ではどのような業務を行っているのか、何を自動化すればみんなが楽になり喜ばれるのかを、ユーザー目線で確かめました。

よりユーザーに近い立場で働いていた私にとって、私たち開発側とユーザー側との橋渡し役は得意とするところでしたし、妥協したくないポイントでもありましたね。

加えて、扱うシステムの規模がこれまでと比較しても格段に大きいため、現場の基地局を管理する全9エリアのメンバーとコミュニケーションを密に取ることがとても大切でした。

コミュニケーションの取り方はそれぞれ異なりますし、運用のやり方を変える際には、全員に納得してもらわなければいけません。

そのときに、ただ自分たちの意見を押し付けるのではなく、相手の事情や気持ちをくみ取ることを心がけました。すると、少しずつ心を開いてもらえるようになったんです。

今の部署へ異動する際に、当時の上司がこう言ってくれました。「あなたはもっと、調整ごとに取り組むべきだ。そうすることで、次のステップに行けますよ」と。

その意味を今、深くかみしめています。今では、最後まで妥協せずに関係性を築きながら目標に向かって進めていくことを大切にしています。

人々の生活を一変する可能性を秘めた、“空飛ぶ基地局”へのワクワク感

2018年までは基地局の立ち上げ作業の運用も兼務していましたが、2019年度からは自動化推進業務に専念しています。

今後のキャリアについては悩ましいところです。

今のネットワークエンジニアとしての仕事をもっと極めるのか、新しいことに挑戦するのか。
AIやIoTにも関心がありますが、これまで積み上げてきたネットワーク分野に関わっていきたい想いもあります。

少なくともいずれは関わりたいと考えていることのひとつが「空飛ぶ基地局」です。

これは、成層圏に飛行させた無人の機体を通信基地局として運用して、広いエリアに通信サービスを提供できるシステムです。

この基地局を実現できると災害に左右されないネットワークを実現できますし、ドローンなどの活用やIoT、5Gの普及にも役立てる。

通信ネットワークが整っていない山岳部や離島、発展途上国などのユーザーにも大きな価値を届けられますから、まさにメリットしかない、人々の生活を一変させる可能性を秘めている取り組みです。

この世にまだないもので、誰も取り組んでいない分野に携われるワクワク感がたまりません。
今は立ち上がったばかりで大変な時期だと思いますが、将来的には携わりたい事業のひとつです。

AIやIoTなど、さまざまな分野での新規事業開拓を進めているソフトバンク。

新しい分野はとても魅力的ですが、これらの挑戦は、ネットワークエンジニアたちが構築するインフラが土台にあってこそ、開拓が可能になるものだと私は考えています。

これからも徹底的にユーザー目線で、ユーザーにとって価値のあるものをどんどん生み出し、人々の幸せに貢献していきたいです。


※2019年10月25日時点の情報です
 
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