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高専で学んだことを生かして、クラウドインフラで社会を支え続ける

香川高等専門学校でプログラミングや電子制御などを学び、専攻科を卒業。 2018年4月にソフトバンクに新卒入社した寺島 祐(テラジマ ユウ)さん。

ソフトバンクでは、クラウドサービスの運用エンジニアとして、数々の企業のインフラを担っています。高等専門学校(以下:高専)で学んだことは、どのように生かしているのでしょうか?また、どのようなプロジェクトを経験し、どのようなやりがいを感じているのでしょうか?詳しく聞きました。

ゲームが好きで高専に進学。研究成果を海外の学会でも発表

Q.なぜ、高専に進学を決め、どんなことを学ばれたのですか。

寺島:中学生時代にスマートフォンのゲームが登場して、ハマりました。母には『ゲームばっかりやらないで勉強しなさい!』とよく怒られていたのですが、それでも没頭しましたね(笑)。あるとき、ゲーム開発を仕事にすれば、いくらでもゲームができるのではないか、と思い付き、プログラミングを学ぼうと香川高専を志望したのです。

情報工学科で2年間を過ごした後、本科の3〜5年は電子情報工学科に所属。マイコンや回路について学びました。

情報工学科でプログラミングを学びながら、部活動で電子制御やマイコンに触れていました。その顧問の先生から、『電子情報工学科では、プログラミングだけではなく幅広いことが学べるから、ウチの学科に来ないか?』と誘われて移ったのです。 3年間、電子制御、マイコン、回路について学んだ後、専攻科に進学します。大学に行くよりも学ぶ環境が充実していたので、そのまま進学したのです。 専攻科では、情報工学、電子制御に加えて、通信についても学びました。そこでは独自の画像認識プログラムを利用した計測機器を開発したり、海外の学会で発表も経験させてもらいました。

ソフトバンクに入社後は、クラウドサービスの運用エンジニアに

Q.ソフトバンクを就職先として選んだきっかけや背景を教えてください。

寺島:ソフトバンクは携帯電話の会社、というイメージでした。 当時はPepperが発売された頃だったので、その印象も強かったですね。採用担当の方が学校で説明会を開いてくださり、さまざまな技術に触れられることを知って、一気に志望度が高まりました。さらに『手を挙げれば、自分の好きな領域に携わることができる』とも聞いて、その場でエントリーしました。運良く選考を通過することができて、入社を決断しました。

入社後はずっと、ソフトバンクが提供する、クラウドサービスの運用を担当しています。

ソフトバンクは自社のクラウドサービスを、数千社のお客さまに対して提供しています。私自身は自社が提供する『ASPIRE』や、人工知能の『Watson』など、数十のサービス運用を担当。お客さまや社内のスタッフからの問い合わせに対応したり、障害が起きたら復旧したり、新しい機能を開発する際には社内のエンジニアと協同したり。それぞれのサービスを運用・改善していくリーダーの役割を務めています。

高専で学んだプログラミングの知識を生かして、運用の自動化に挑戦

Q.開発者としての業務も担当する中で高専で学んだ知識を生かす機会はありましたか。

寺島:はい、あります!クラウドサービスを運用する際に、各担当者がお客さまに状況を報告するレポートを作成していたのですが、サービスを利用したログをデータベースから集めてきて、Excelでレポートを仕上げおり、非常に大変な作業でした。 決められた情報を入力すると、100行くらいのコマンドが出現して、そこから必要な項目をコピー&ペーストしていたのです。

チェックも含めて2時間くらいかかっていたのですが、自動化のプログラムを実装することで、1クリックで完了するようになりました。

担当者からは『作業の手間が一気に減りました。ありがとうございます!』とお礼の言葉をいただきました。

コマンドの知識が必要なくなったので、誰でも作業できるようなり、組織としてのパフォーマンスも向上。高専で学んだ知識を生かして、多くの方に喜んでもらえたのは、嬉しかったですね。

入社後の研修とエルダーによるフォローで、クラウドの基本的な技術を学んだ

Q.プログラミングの知識は持っていた一方で、クラウドやITインフラについては、高専でほとんど学んでいなかったとことですが、どのように入社後にキャッチアップしたのでしょうか。

寺島:入社直後の研修で基礎的な知識は身に付けることができます。新社会人として必要なスキルを座学で学びつつ、ネットワーク関連の資格『CCNA』を取得するために、専門の学校に2カ月間通いました。その他の技術的な知識は、自主運営の勉強会に参加することで身に付けることができました。

研修や勉強会だけでなく、職場でのフォローも充実しているので、キャッチアップには困りませんでした。 職場には『エルダー』と呼ばれる先輩社員が新入社員にマンツーマンでついてくれる制度があります。業務の中で分からないことがあれば、何でも聞いていました。

たとえば、お客さまから問い合わせをいただいたときには、『お客さまの問い合わせの意図は●●で合っていますか?』『こちらからの回答は▲▲で問題ありませんか?』など、細かく尋ねていましたね。全ての質問に対して、エルダーが丁寧に答えてくれたので、対応に困ったことはありません」

新規サービスの監視体制を構築。5,000件の監視項目を決めて、3カ月で新チームを立ち上げ

Q.これまでのキャリアで自身の転機となったプロジェクトなどはありましたか。

寺島:あるクラウドのサービスが新規で立ち上がって、その監視の体制をゼロから3カ月で作り上げました。監視を行っていただく派遣エンジニアの方にジョインしてもらい、どのような体制にするのか、サービスの企画担当者やエンジニアと細かくすり合わせを行いました。

また、5,000件にものぼる監視項目を一から決めて、どのようなフローで対応するのか、コールセンターの部署と議論を重ねました。そして、何とか監視体制を作り上げることができました。

Q.大仕事だったと思いますが、ここまで頑張ることができた理由は何だったのでしょうか。

寺島:私が所属していた課の先輩たちが、ちょうどそのタイミングで他の組織に移ってしまったので、細かいことが分かる人が私しかいなかった。そこで、覚悟を決めてやりきりました。何とか無事に立ち上がった後は、社内でいろいろな方に自分のことを知ってもらったこともあり、仕事がしやすくなりましたね。

また、個人的にも、エンジニアとして大きく成長できたと思います。チャレンジすることに恐怖心を抱くことがなくなりました。どんな依頼をいただいても、失敗のリスクを恐れずに、『分かりました。やってみます!』と答えています。

高専で学んだ知識や研究に対する姿勢が、役に立っている。職場での高専卒と大卒社員の違いはない

Q.高専時代に学んだことは入社後どんな場面で生かされていますか。

寺島:入社直後に、自動化プロジェクトでプログラミングの技術を生かすことができましたが、それだけではありません。幅広い技術の知識はかなり役に立ちました。先輩エンジニアとのやり取りがスムーズにできるのは大きいです。こちらからいちいち質問したり、相手もそれに答える必要もないので、意思の疎通が気持ち良くできますし、プロジェクトもスピーディーに進みますね。

技術的な知識に留まらず、物事を進める姿勢も役に立っていると言います。 高専時代の指導教官からは、『自分で考えて、自分で研究を進めろ』とよく言われていました。社会人になってからも、相手からの指示を待つことなく、先回りしてタスクをこなしたり、チームとして必要な情報があれば、自分から取りにいったり。エンジニアの先輩たちにも喜んでもらえました。

Q.高専卒の社員と大学卒の社員。職場での役割に違いはあるのでしょうか。

寺島:双方とも技術的な知識を持った状態で入社しますので、役割に違いはありません。大卒よりも高専卒の社員の方が、年齢が若いことが多いです。大学院卒と高専の本科卒の新人では、4歳くらいの差がありますが、同期として分け隔てなく接していますね。私の周りでは、人数比が『大卒2:高専1』くらいです。役割としての違いはないのですが、高専卒の社員には、技術が純粋に好きな人が多いように感じます。勉強会にも積極的に参加している人が多いですし、技術談議で盛り上がるのも楽しいです。

ソフトバンクの社風は「自由」。フレックスやリモートワークで柔軟な働き方も

Q.ソフトバンクの社風については、どのように感じていますか。

寺島:日々の仕事をきちんとこなしていれば、職場では自由に過ごせます。服装も自由ですし、フレックス勤務制ですから、出社と退社時間は柔軟に決められます。テレワークも可能です。プライベートと仕事を両立しやすいので仕事に集中することができます。

Q.エンジニアにとってソフトバンクの良い環境はどんなところでしょうか。

寺島:自分が担当している業務に留まらず、あらゆる最新の技術情報に触れることができます。勉強会は月に1回以上は開催されています。技術だけではなく、ツールやアプリケーションの発表も多いので聞いているだけで楽しいです。ソフトバンクはあらゆる技術を扱う会社ですので、エンジニアとしてのスキルの幅が広げやすい環境です。同じような会社は、おそらく国内には少ないと思います。

運用から開発へのキャリアチェンジも模索中。社会を支えるインフラを、自らの手で作り上げたい

Q.クラウドの運用エンジニアとして、入社6年目を迎えましたがどのようなやりがいを感じていますか。

寺島:この仕事のやりがいは、お客さまが日常的に何気なく使うシステムの運用を支えていること。クラウドは生活を支えるインフラとして、なくてはならないものです。以前、ある先輩に『いま、このクラウドサーバーが止まってしまうと、多くの飛行機が飛ばなくなるよ(笑)』と冗談半分で言われたことがあります。その通りだな、と思いまして。電気や水と同じようなものを提供しているので、誇りや責任を感じながら仕事ができています。

Q.今後のキャリアについて展望を教えてください。

寺島:運用系の仕事は一通り学べたので、開発系の仕事にも興味を持っています。自分が携わっているインフラが、どのようなコードででき上がっているのかを知りたいですし、運用で得られた知識を基に、より良いサービスを開発できるとも感じています。エンジニアとしての幅をもっと広げていきたいですね。

ソフトバンクには『ジョブポスティング』や『FA(フリーエージェント)』といった、人事異動の制度があります。移りたい部署に手を挙げられる制度で、幅広い領域からキャリアを選択できます。たとえば、クラウドの運用を担当していた後輩で、自動運転の子会社への出向した人もいるほどです。

Q.最後に高専生の皆さんへメッセージをお願いします。

寺島:就職活動を迎えるに当たり、不安な気持ちもあるかと思います。それは仕方のないものですが、不安な気持ちを静めようと、安易に楽な道を選ばないことが大切です。両親や先輩、知人など、信頼できる人に相談してアドバイスをもらって、まずは気持ちを整理してください。そして、自分が本当にやりたいことが何なのか、考えてみましょう。自分の道は自分で決めた方が、後悔をしなくてすむはずです。

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