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高専で学んだ通信の知識が、私のキャリアを切り拓いた
熊本高等専門学校の情報通信エレクトロニクス工学科を卒業した吉永 舞(ヨシナガ マイ)さんは、2017年4月にソフトバンクに新卒入社しました。
高等専門学校(以下:高専)時代に学んだ通信の知識を生かし、電波の測定と改善、基地局の設置業務、KDDIと共同で進めている5G建設プロジェクトを経験してきました。学生時代の話、これまでのキャリアや今後の目標について聞きました。
情報や通信、半導体工学を学べる「熊本高等専門学校」に進学
Q.熊本県出身で、地元の中学校から高等専門学校に進学しました。どのような背景があったのでしょうか。
吉永:当時は、技術が好き!というほどではありませんでした。大学進学は考えておらず、専門的なことが学べて就職しやすかったので選びました。数学が得意で、高専の試験が数学しかなかったのも理由の一つです。うわさで聞いていた『電波祭』という文化祭が楽しそうで、屋台を出したり、映画を作ったりと自由な雰囲気をものすごく感じたことも理由の一つです。そして、地元の熊本高専に進学を決めました。
Q.女性で高専に進学することに不安はなかったのでしょうか。
吉永:正直、不安はなかったです。高専のクラスの女子の割合は1割くらいと聞いていたのですが、中学時代から男子の友人はいましたし、入学後も居心地の悪さを感じたことはありませんでした。
高専で学んだ通信技術を生かせる、ソフトバンクへの就職を選んだ

Q.高専では5年間にわたってさまざまな技術を学んだと思いますが、どのような分野に興味を持ったのでしょうか。また、ソフトバンクに就職したきっかけを教えてください。
吉永:結局、自分に最も合っていたのは通信分野でした。携帯電話など身近に使われている技術でもありますし、電磁波の仕組みを学ぶのは楽しかったです。
そして、通信分野に興味を持っていたこともあり、就職活動ではソフトバンクを選びました。
本科卒からストレートでソフトバンクに入社できる推薦枠が、たしか私が就職活動する年から始まったため先生から薦めていただきました。通信の知識がそのまま生かせますし、ほぼソフトバンク一択でしたね。他には工場で働く求人も来ていたのですが、社風や企業風土が自分にはあまり向いていないと感じていて、ソフトバンクの社風が自分に一番合っていそうだなと思いました。
最初の配属は四国。温かい職場で、先輩が多くのことを教えてくれた
Q.最初の配属は「四国事業部 ネットワーク技術部」でしたが、熊本から香川県高松市に引っ越して、エンジニアとしてのキャリアをスタートさせることに不安はありましたか。
吉永:四国はゆかりのない土地で、配属を聞いたときには少し驚きましたが、今思えば最初に働く場所としては最高でしたね。小さな事業所でしたが、社員同士の仲が良くて温かい雰囲気でした。私は最年少の女性社員だったので、いろいろなフォローをしてもらいました。悩みを聞いてくれたり、食事や飲み会に誘ってもらったりしました。
また、入社直後にはある一人の先輩社員からいろいろなことを教わりました。その方は1カ月後に他の拠点に異動することが決まっていて、私が仕事を引き継ぎました。短い期間でしたが、仕事の内容はもちろん、社会人として必要なことも教えていただきました。資料の作り方、お客さまとのコミュニケーションの取り方など、その先輩から学んだことが今でも生きていますね。
電波の強度を測って、問題があれば改善する仕事。総務省測定ではソフトバンク内で四国ブロックが速度1位を獲得

吉永:入社後の2年間、電波の測定とそれに伴う改善策の実施をメインで担当していました。当時、都市部から離れた山間部では、まだまだ電波つながりづらい地域もありました。車にアンテナを付けて、該当地域を走り回って電波の強度を計測しました。問題があれば、基地局のアンテナの角度を変えたり、新たに基地局を増設することを提案したりと、さまざまな対策を検討して実行していました。
お客さまがソフトバンクの携帯電話を不自由なく使えるようになったときには、大きなやりがいを感じていましたね。
頑張った甲斐もあって、総務省が年に1回実施している『総務省測定』では、ソフトバンクの中で四国ブロックが全国1位に輝くことができました。2カ月程かけて準備をするのですが最後は2週間で多くの方々に手伝っていただきながら、2週間で70カ所を回って電波の速度を測定しては改善や工夫を重ねました。1位を獲れて、とても嬉しかったです。
入社2年目の後半くらいから、基地局建設のプロジェクトを進める仕事も担当しました。ビルやマンションなどの建造物にアンテナを設置したり、自社でコンクリート柱を建てるケースもあるのですが、その一連の流れをマネジメントする仕事です。基地局の建設に必要な資材を発注したり、無線機を円滑にお渡ししたり、撤去した部品を集めたり。さまざまな人たちとコミュニケーションを取りながら、プロジェクトをマネジメントする経験を積むことができました。
4年目からは、5Gの基地局設置をKDDIと推進するプロジェクトを担当

吉永:3年前ほどから5G展開のタイミングで、基地局を全国に設置していますが、そのスピードを上げるためにライバル同士が手を組みました。ソフトバンクの基地局にKDDIの設備を、逆にKDDIの基地局にソフトバンクの設備を導入することによって、1つの基地局から両社の電波を飛ばすことができ、設置のスピードを2倍に上げようとする取り組みです。
さらに、基地局の維持費も折半できるので、コストメリットも大きい。5Gは大容量かつ高速な通信を可能にする技術で、大容量のデータを速くダウンロードできたり、遅延もかなり抑えられるのでビデオ通話もスムーズになる。まさに次世代に必要不可欠な技術で、いち早く普及させるのがこのプロジェクトの目的です。
両社をつなぐ窓口として、基地局設置のスケジュールを管理しています。両社で共同して基地局の設置を推進する中で、実務的な課題を解決するのがチームのミッションであり、その中で私は進捗管理をメインに担当しています。
すでに約2万局以上の基地局を設置しているのですが、それぞれの工程管理や作業フローの整理を行っています。問題が生じている場合はヒアリングを行い、必要なサポートを実施したり、KDDIとの交渉を行うこともあります。実際に設置の業務を進めるのは、各地域の皆さまになるので、四国での現場の経験がかなり生きていますね」
暮らしのインフラを支えている自負を持っている。豪雨のときには、「何としても守る!」と熱くなった

Q.進捗を管理するだけではなく必要な提案なども行ったりしますか。
吉永:両社の設置のスピードを上げるために、ある提案を行いました。通常であれば、ソフトバンクの基地局が完成した後に、KDDIの設備を設置していました。ただし、この手法では後から導入する側がすぐに追いつけない問題が発生します。そのタイムラグを短縮するために、両社が同時に建設を進めるフローに改めることができないか、上司に提案を行ってOKをいただきました。
Q.自ら新フローを提案しましたが、軌道に乗せるのは難しかったですか。
吉永:全ての基地局にこのフローを当てはめるのは難しく、対象となる施設をピックアップしようとしたのですが、とても大変でした。どんどん進んでいく工程の中で、どの局だと一緒に工事ができるのか判断するのが難しい。正直に言えば、前のめりに提案したものの、成果を上げることはできませんでした。ただ、この挑戦の中でさまざまなことを学んだのも事実。今後に生かしていきたいですね。
Q.職場で活発に動いている吉永さんですが、仕事へどのようなやりがいを持っているのでしょうか。
吉永:暮らしのインフラを支えている自負を持っています。学生時代に熊本で震災を経験した際に、通信が寸断されてとても困った記憶があります。四国で勤務していたときにも、豪雨に見舞われて、一時つながりづらい地域がありました。メンバー総出で復旧させたのですが、そのときは『何としてもインフラを守る!』と熱くなりました。
また5Gは、生活を劇的に変える可能性も秘めています。周りを見ても、誇りを持って仕事をしている人ばかり。ソフトバンクで通信関連の仕事をしてきて良かったと思いますね。
高専で学んだ知識が、難資格の取得に生きた。若いうちから現場に入れるのも、高専卒のメリット

Q.高専を卒業したメリットはどのように感じていますか。
吉永:社会人になって『一陸技』という無線に関する資格を取得しました。合格するためにはさまざまな知識が必要となるのですが、高専で学んだことがとても生きました。特に法規の部分については、高専時代に丸暗記していたので、かなり助かりましたね。
この資格を取ってからは、職場の人からの見る目が変わったように感じています。『おお!吉永すごいじゃん!』みたいな(笑)。一目置かれるようになって、仕事がしやすくなりましたね
もう一つ。技術に関する知識を持って、若いうちから現場に入れるのも、個人の成長の観点では大きいと思います。私は20歳で就職しましたが、大学や大学院を卒業した方は、早くて22歳や24歳で現場に入ります。若くて吸収力のある時期に、2〜4年長く経験を積めるのは、高専本科卒ならではのアドバンテージだと感じました。
Q.逆に「高専卒」であることが、マイナスに感じることはあるのでしょうか。
吉永:全くありません。職場で高専卒と大卒が区別されることはないですし、高専卒同士での独特の連帯感があります。『技術好き』という共通点があるので、お互いに話が盛り上がりやすいのです。職場が違う高専卒の先輩からも、仲良くしてもらっています。
フレックスかつリモートで働ける。仕事と家事を両立できている

Q.ソフトバンクの働きやすさも、現在の職場の中で感じていますか。
吉永:人事制度と職場のカルチャーが、女性が働きやすい環境を作っていると感じています。フレックスかつリモートで働けるのはありがたいですね。最近、結婚したのですが、効率的に時間を使えるので、仕事と家事を両立できています。
また、子育てに寛容なカルチャーが醸成されているので、産休や育休の取得は奨励されていますし、男性社員でも育休を取る人が多いですね。私の課では3カ月程取得した先輩がいて、『すごく楽しかった』と仰っていました。子育て中に時短勤務で働いている女性社員も多く、制度・カルチャーともに、女性の働きやすさにつながっていますね。
ソフトバンクは、女性が長く働ける会社だと思います。
Q.今後のキャリアについて展望を教えてください。
吉永:多くの人たちに、より便利に携帯電話を使ってほしいです。私自身、目の前のことにとらわれるのではなく、未来を見据えて仕事をしていきたいと思っています。『常に5年先のことを考えるように』と上長に言われているので、もっと広い視野を持てるようになりたいですね。
Q.最後に高専生の皆さんへメッセージをお願いします。
就職活動において、選択したことが正解か間違いだったのか。それを決めるのは自分です。選んだ道を突きつめて、それを正解にするしかないと思っています。進路を考える中で迷うこともあるとは思いますが、自分を信じて頑張れば何とかなるものだと思います。ソフトバンクはさまざまな技術を扱う会社です。幅広いキャリアを選択することが可能なので、きっと何らかの可能性が見つかるはず。ぜひ、一緒に働きましょう!