
キャリアNOW
高専での経験全てが、毎日数万人が利用するシステムの開発・運用に生きている
沖縄工業高等専門学校で、プログラミングや回路設計などを学び、2020年4月にソフトバンクに就職した比嘉 祥吾(ヒガ ショウゴ)さん。
入社後は、ソフトバンクの携帯ショップで稼働するシステムを担当。その開発や運用を一手に任されています。仕事のやりがいをどのように感じているのか、職場の雰囲気は自分に合っているのか、高等専門学校(以下:高専)で学んだことがどのように生きているのか、聞いてみました。
タッチパネルに触れて、技術の進歩に感動。進学先に高専を選んだ
Q.高専に進学したきっかけや背景を教えてください。
比嘉:中学時代にタッチパネル式のモバイルデバイスを買ってもらいました。パズルゲームを遊んでみたのですが、『指で画面をなぞるだけで、どうして動くんだろう!』と衝撃を受けたのです。それまではガラケーを使っていたので、テクノロジーの進化に驚き、未来が一気に来た!と感じました。
数学と理科が得意だったので、高校の普通科の理系に進もうと考えていたのですが、専門的な知識を学べる高専があると知って、これだ!と進学を決意しました。自分でも技術を身に付け、人を驚かしてみたいなと。迷いはありませんでした。
大学生も参加する「LSIデザインコンテスト」で準優勝を獲得

Q.沖縄高専では「情報システム工学科」に進学されたと思いますが、その学科を選んだ理由を教えてください。
比嘉:情報システム工学科は、幅広い技術を学べるからです。ソフトとハードの両面に触れられるのは魅力的でした。ネットワークも学べるし、電子回路も設計できる。当時は『この技術を極める!』と明確な目標を持っていなかったので、いろいろな技術を学んで自分の進む道を見極めようと考えたのです。
Q.高専時代に最も注力したことを教えてください。
比嘉:琉球大学が主催している高校生や高専生も応募可能なLSIデザインコンテストに注力しました。与えられた課題の処理を、効率的にこなせる電子回路のアーキテクチャを考えるコンテストです。本科3年生と4年生のときに参加したのですが、どちらも準優勝に選ばれました。
画像認識AIの学習能力を高めるための回路設計を行うのですが、与えられたPCのスペックや消費電力を考慮しながら、4人のチームで試行錯誤を行いました。優勝したのは国立大学のチームで、そこに負けたのは悔しかったですが、同年代には勝てたのは自信になりましたね。チームでの課題解決を学べたのも、今につながっていると思います。
「やりたい!」と言えば何にでもチャレンジできる、ソフトバンクを選んだ
Q.ソフトバンクを就職先として選んだきっかけや背景を教えてください。
比嘉:就職活動を始めたとき、エンジニアにはなりたいと思っていましたが、『この技術力を生かして、この会社でキャリアを積もう!』といった明確な方針は持っていませんでした。まずは多くの会社に触れてみようと、高専での就職説明会に参加して、ソフトバンクに出会いました。幅広い技術力を持っていて、携帯電話だけではなく、システム開発やAIサービスなどさまざまな事業を展開している。
さらに、FA(フリーエージェント)やジョブポスティングなど、自分で手を挙げればキャリアを選択できる人事異動制度がある点も非常に魅力的でした。ソフトバンクの社員の『ウチの会社は“挑戦”を大切にしています。自分からやりたい!と言えば、何でもチャレンジさせてもらえるよ』という説明を聞いて、さらに魅力的だと感じました。
就職活動の時点で明確な目標を決めなくても、入社後に働きながらやりたいことを決めればいい。そのような働き方が合っていると感じて、ソフトバンクを選びました。
説明に来てくださった人事の方は、元エンジニアでした。『僕も人事に行きたい!と手を挙げたら、異動することができました』と聞いて、納得感がありましたね。
入社後の研修で、世界的に有名な技術コーチから開発を学んだ

Q.入社後、最初に担当した業務はどのようなものでしたか。
比嘉:自社システムの開発チームに配属になりました。最初に担当したのは、ショップでのスマホ教室運営システムです。ソフトバンクのショップでは、主にご年配の方に向けて、『携帯電話の使い方教室』を運営しています。そのスケジュールや出席者を管理するシステムを開発しました。すでに稼働しているシステムの改修を行い、今でも担当しています。
Q.当時、開発担当になったことで不安はなかったのでしょうか。
比嘉:入社直後の技術研修が非常に充実していたので、知識やスキル面での不安はなく、スムーズに開発業務を担当することができました。
私が入社した年から、所属部署の開発研修が大幅にリニューアルされました。世界的にも有名な技術コーチを5人招聘していただいて、2カ月間みっちり学習できるプログラムです。要件定義からテスト工程まで、全ての開発フローを経験できて、チームでの作業も実践に近い環境で学べました。本当に密度の濃い研修で、そこで学んだことは4年目になった今でも、大いに役立っています。
Q.自身が開発したサービスが動いたときはどんな気持ちになりましたか。
比嘉:自分でコードを書いて、『本当に動くのか?』と思いながら作動したときに、想定通りの機能を発揮できると嬉しいですね。高専時代のコンテストに向けた作業でも、似たような感動はありましたし、中学校時代のタッチパネルに触れたときの感覚にも近いです。『ああ、これが技術を扱う仕事の面白さなんだ!』と最初の開発業務で感じましたね。
毎日数万人の店舗のスタッフが使うシステム。その安定稼働に貢献するやりがい

Q.開発業務を経験され、現在はどのような業務を行っているのでしょうか。
比嘉:5つのシステムの運用を担当しています。全てソフトバンクのショップで稼働しているシステムで、先ほどの教室管理のものや、店舗の来店者を登録するシステム、料金シミュレーションのシステムなどを運用しています。開発チームが作ってリリースした後に、実際の利用状況を見ながら、機能追加やメンテナンスを行ったり、システムの監視を行うのが主な仕事です。
Q.仕事のやりがいはどのように感じていますか。
比嘉:5つのシステムをまるごと任されていることに、大きなやりがいを感じています。改善やメンテナンス、監視の方向性を決めて自ら実行できる。店舗での利用状況も詳細に把握できるので、明確に判断を下すこともできる。真っ当なことを真っ当にやれるのは、ありがたい環境ですね。
たとえば、スマホ教室の管理システムは画面で操作しますが、料金の算出システムは裏で動いているものなので、目に見えません。私をはじめとする運用スタッフも、店舗で使う人も、何が起こっているのか不安になることもあるので、可視化できる機能を作ったりとか。自ら課題を見出して、自らが解決する。そのサイクルを繰り返すことで、エンジニアとして大きく成長できたと感じています。
エンジニア同士の仲が良い職場。若手だけが参加できる勉強会も開催中
Q.今のチームメンバーとどのような連携を取っていますか。
比嘉:チームのメンバーからフォローをもらったり、フォローしてたりと逐次連携を取っています。構成が似ているシステムを担当する者同士で、連携しながら作業することも多いです。新機能の開発について話したり、障害の情報を共有し合って監視の方法を考えたり。ショップで稼働しているシステムを担当しているのは、私も含めて6人。私が最も年下で、ベテランの先輩もいらっしゃいます。運用経験が長い方と働けるのは安心ですね。日々の仕事の中で、さまざまなアドバイスをいただけるので、自分の成長スピードも速いと思います。
Q.職場の雰囲気はどのように感じているのでしょうか?
比嘉:目上の人に何でも話せますし、風通しの良い雰囲気です。直属の上司に限らず、本部のトップである『本部長』と一対一で話せる機会もあります。社内の情報共有をスムーズにするために、あるITツールの活用を本部長に提案したらOKをいただけて、導入プロジェクトが発足したことも。『もっとこうした方が良い』ということがあれば、誰に対しても提案できる環境です。年齢は関係ありません。
エンジニア同士の仲はとても良いです。入社1〜3年目だけが参加できる勉強会もあります。共通した技術的な悩みを、みんなで解決する会です。毎回、さまざまなテーマで開催されていて、スキルアップに役立つだけでなく、友人も増えるので一石二鳥ですね。実は、この勉強会も新人が上長に対して提案して実現したもので、会社として若手のスキルアップを応援してくれるのもありがたいです。
高専で学んだ幅広い知識が、実業務でも生きている

Q.高専で学んだスキルは、日々の仕事の中でどのように生きているのでしょうか。
比嘉:5年間、高専で学んだ知識はかなり役に立っています。情報システム工学科で幅広い技術に触れてきたので、先輩エンジニアとの会話の中で、『分からない』『困った』と感じることは少ないですね。
先ほどお話ししたように、プログラミングを業務で行ったことははじめてでしたが、過去に学んだ知識と紐付けながら理解することで、思ったより速く習熟が進みました。また、ソフトバンクのエンジニアは、みんな守備範囲が広いです。プログラミングを書くだけでなく、サーバーやネットワークの技術や、場合によってはハードの知識にも触れることがあります。高専での学びが活用できる機会は多いと思いますね。
やりたいことが決まっていない人にも、すでに決まっている人にも、働きやすい環境
Q.今後のキャリアについて展望を教えてください。
比嘉:2年目から新卒研修の設計にも携わっています。自分が受けた研修があまりにも充実していたので、よりグレードアップしたプログラムを後輩に提供したいと思って立候補しました。自分を育ててもらった恩を後輩にも返すためにも、研修や採用活動への関与は続けていきたいです。
さらにその先のキャリアについては、運用から開発に移りたいとも考えています。開発業務は入社した初期に担当しただけなので、もっと深掘りしたいなと。運用で揉まれてきた経験を生かすことで、利用者の目線に立った開発もできると思っています。
ソフトバンクには、『FA(フリーエージェント)』や『ジョブポスティング』といった、自分で手を挙げて部署を移ることができる制度がありますので、その活用も視野に入れています。会社としては、自分のキャリアを自分で切り拓くことは奨励されているので、後ろめたさを感じることもありません。
Q.最後に高専生の皆さんへメッセージをお願いします。
比嘉:就職先を決めるに当たって、より多くの情報を収集することが大事だと思います。私も説明会に参加することで、人生が変わりましたから。ソフトバンクはさまざまな技術を活用して、幅広い事業を展開しています。やりたいことが決まっていない人にも、すでに決まっている人にも働きやすい環境です。『まずはさまざまな技術に触れてみたい』人にも向いていますし、『この技術を突きつめたいです!』と手を挙げることもできる。技術を軸にキャリアを考える高専生にはこの上ない環境ですし、長く働ける会社だと思いますね。
