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「次世代の社会基盤をつくる」——私がソブリンクラウドで目指すこと

プロフィール

次世代技術開発本部 基盤技術統括部 技術部 部長 加藤 靖之

私はキャリアの大半をソフトバンクで過ごし、サーバーやストレージといったインフラ領域を軸に、開発プロジェクトのマネジメントやIT戦略の策定にも携わってきました。
いま私は、社長直下で立ち上がった次世代社会基盤をつくる組織に所属し、ソブリンクラウドという新しいプラットフォームづくりに取り組んでいます。

スタートは社内ITでした。基盤づくりで経験を積み、やがて開発やPM、IT戦略へと守備範囲を広げました。
社内の制度を活用して法人向けビジネスへ視野を広げたことが転機で、社内の知見を社外の価値へ橋渡しする役割を担うようになりました。自然な流れでクラウドを担当し、そのままクラウドをキャリアの主軸に据えてきました。
現在は、その延長線上で次世代のソブリンクラウドを“つくる側”に立っています。

社長直下“次世代”組織のミッション

所属する組織は、既存の枠にとらわれないスピード感で新規事業を創出し、次世代の社会基盤を形にすることを目的に発足しました。私が担うのは、その中心であるプラットフォーム領域、つまり土台(クラウド基盤)づくりです。
次世代のアプリケーションやサービスが安心して乗れる基盤を、自分の責任で開発・拡張していく。それが私のミッションです。

私たちは何もかもをゼロから作るわけではありません。
世界で磨かれた優れた技術は積極的に取り入れ、自社データセンターを活用してハイパースケーラー並みの機能を整えます。そのうえで、ソフトバンクならではの価値を重ね、日本のニーズに応える“主権性”を両立させていく。各種サービスが動き出すタイミングに合わせて、プラットフォームも段階的に機能を拡充し、長期のロードマップで磨いていきます。
 

直面している二つの課題とやりがい

課題について、第一に、日本における「ソブリンクラウド」の定義がまだ固まり切っていないことです。海外には一定の枠組みがありますが、日本の制度や文化、産業構造に適したかたちを、関係機関と議論しながら定め、証明していく必要があります。ルールが先に用意されている開発ではないぶん難易度は高い。しかし、だからこそやる意味があると感じています。
第二に、立ち上げ期ならではのリソースの課題です。取り組むスケールは大きいのに、まだチームは小さい。社内の異動だけでなく外部採用も含め、スピード感をもって適材を集めることが急務です。自分たちのスキルで前に進みながら仲間を増やす、その両輪で進めています。

定義のない領域に自分たちで定義を与え、実際に形にしていく。ここには学びの密度とスピードがあり、「最初の創り手」になれる手応えがあります。要素技術を吸収し、試し、改善し続ける環境は、私にとって大きなモチベーションです。

私の周りには、クラウドやアプリ開発など特定領域に強いスペシャリストが多く在籍しています。一方で、これから必要なのは“広い守備範囲”です。アプリケーションからクラウド、複数クラウドの知見まで、レイヤーをまたいで設計・実装・運用を結び直す視点が欠かせません。いわゆるフルスタックの発想で、特定のレイヤーに閉じずに挑戦できる仲間と、これからの基盤を育てていきたいと考えています。
 

10年スパンで育てる基盤

クラウドは黎明期から爆発的に進化しました。少ない機能から始まり、いまや膨大なサービス群に広がっています。ソブリンクラウドも同様に、短期で完成を見るものではありません。上に乗るサービスをより乗せやすく、運用しやすくするために、機能も運用も継続的に拡張していく。一、二年ではなく、十年かけて成熟させる。その覚悟で取り組んでいます。

私の主戦場は法人向けです。企画・プロダクト・営業部門との連携は濃く、会社としてAIを掲げていることもあり、AI関連部門との協業も多い。クラウドとAIは補完関係にあります。モデルの学習・推論の基盤、データの保全と主権性、運用の効率化——接点は多岐にわたります。プラットフォームを刷新することが、AI活用の裾野を広げる近道だと考えています。

日本語や「おもてなし」に象徴される文脈理解の深さ、きめ細かな設計思想は、日本の強みです。これをクラウド基盤とAIに組み合わせれば、日本発の独自性を備えたプロダクトを世界に示せるはずです。もちろん、マネタイズの不確実性やセキュリティの課題はあります。しかし、それらを乗り越えた先には、ビジネスだけでなく人々の生活や生き方さえ変える変革がある。最先端のAIに投資する企業の一員として、次世代の先端部門で働く意義を強く感じています。
 

エンジニアに求める「売れる視点」

いまの時代、エンジニアだから数字は考えなくてよい、とは言えません。技術起点でビジネスが生まれるのが当たり前になったからこそ、どうすれば価値を届け、売れるのかを技術と同じ熱量で考える必要があります。私たちは常に法人のお客様を念頭に、価値と収益の接点を設計しながら技術選定を行っています。

定義のない領域に定義を与え、ゼロから一を、そして一から十へと育てていく。ソブリンクラウドは、日本の制度や文化に適う“主権性”を備えた次世代の社会基盤を目指します。世界水準の技術を取り込みつつ、日本発の独自性を重ね、ビジネスとして価値を届ける——その挑戦に、私はこれからも正面から向き合っていきます。
 
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