キャリアNOW
急成長するソフトバンクの内部監査を担う。その現場で私が感じている役割と使命
内部監査室 監査企画課 課長 山田 照美
私は新卒でソフトバンクの子会社に入社しました。そこで2年間働いた後、ホールディングスであるソフトバンクグループ株式会社と、現在のソフトバンク株式会社で内部監査業務に携わり続けています。内部監査に関わってきた期間は合計18年間になります。
新卒入社した当時は、まさか内部監査の道をここまで長く歩むことになるとは想像していませんでした。しかし、この仕事を続ける中でソフトバンクのダイナミックな事業拡大に立ち会い、その都度向き合うべき課題が目の前に現れるため、気づけば長い年月を監査に捧げてきました。
現在は内部監査室 監査企画課の課長を務めています。内部監査室は監査執行部門(監査1部、2部)と監査企画課の3部門から構成され、総勢25名が所属しています。組織としての規模は大きくありませんが、その分、個々が高い専門性を持ちながら連携し、ソフトバンク全体のガバナンスを支える役割を果たしています。
監査組織としての役割と、基準に基づいた監査プロセス
内部監査室が担っている役割は大きく二つあります。一つは、ソフトバンク株式会社およびグループ会社に対する内部監査の実施です。もう一つは、グループ会社に設置されている内部監査部門の管理やモニタリングです。
内部監査業務はグローバルで定められた内部監査基準「IPPF」に沿っており、「年度監査計画の策定」や「個別監査」などを遂行しています。
「年度監査計画の策定」については、弊社の特徴として、経営層やマネジメント層など約60名の方々に半期ごとにインタビューを行い、その中からリスクの高いテーマを抽出します。抽出されたテーマは監査計画候補としてまとめ、最終的に取締役会の承認を得ます。
また、「個別監査」の遂行については「テーマ監査」と「全般統制監査」の二種類があります。
「テーマ監査」については、特定のテーマ(例:個人情報保護など)に関連するリスクをアセスメントし、整備・運用両面を評価します。
また、子会社に対しては、会社全体の統制状況を評価する「全般統制監査」を実施しています。グループ企業の増加に合わせて、監査の対象も年々多様化しています。
成長スピードに追いつくための課題と向き合う
ソフトバンクは売上規模も大きくなっており、2018年度の上場時には3.7兆円でしたが、2024年度には6.5兆円に達し、約2倍の成長を遂げています。
この成長に伴い、内部監査としても大きな課題が生まれています。監査対象が増えたからといって、単純に監査本数を倍にできるわけではありません。人的リソースにも限りがあるため、効率的かつ実効性の高いアプローチが求められます。
そこで、3線モデルと呼ばれるガバナンスモデルのさらなる追求も含め、より効果的な監査体制をどう構築するかが重要になっています。急速に変化する事業環境に追いつくためには、監査部門自身の進化が必要だと感じています。
経営層に貢献する実感と、現場とともに改善を進められる喜び
内部監査の仕事には、二つのやりがいがあります。
一つ目は、私たちが行った監査や企画が経営層の意思決定に有用な情報を提供できたと実感できるときです。経営層にとって必要な情報をいかに整理し、価値ある形で適時に届けられるかが、私たちの存在意義でもあります。
二つ目は、監査対象部署と協力しながらガバナンス向上に貢献できたと感じられるときです。内部監査の場面ではどうしても対立構造になりがちですが、監査対象部署と同じ方向を向き、改善の機会を提供することができたとき、大きな手応えを感じます。
多様な人材とともに進める監査の未来
内部監査室のメンバーのうち半数以上が中途入社者で、残りは新卒入社しキャリアを築いてきたメンバーです。年代は20代から50代まで幅広く、各年代がバランスよく在籍している組織です。
これからも企業の成長に合わせて、内部監査部門としてどう価値を発揮していくかが問われ続けると感じています。経営層への貢献、ステークホルダーへの価値提供を見据えながら、監査部門としての在り方(理想)を追い求めていきたいと思っています。