キャリアNOW

ライン長を経て、組織横断でDXを追求するプロフェッショナル職へ

デジタルマーケティングのキャリアを長年歩んできた中川 太(なかがわ ふとし)さん。
ライン長を経験した後、高い専門性を生かしプロフェッショナル職として活躍中です。これまでのキャリアの歩みやプロフェッショナル職として働く魅力を語っていただきました。

プロフィール

法人統括 デジタルマーケティング本部 マーケティング戦略統括部 担当部長 中川 太

マーケティングコンサルティング会社、Web広告代理店などでマーケティングのキャリアを歩む。
2008年に株式会社オプトに入社し、2015年にオプトとソフトバンクの合弁会社である株式会社ジェネレイトへ出向。2019年にソフトバンク株式会社へ転籍後は、デジタルマーケティング本部にて部長を務める。2019年よりインキュデータ株式会社、2021年よりLINE株式会社(現:LINEヤフー株式会社)を兼務し、データ活用やプロダクトベースのソリューション企画や提案を担う。2023年にはデジタル庁デジタル推進委員を拝命し、現在はスーパーバイザーとして、組織横断で大型案件の創出を担う。


プロフェッショナル職として組織横断でDXを支援

マーケティング戦略統括部の担当部長として、顧客企業向けにDX支援、デジタルマーケティング支援を行っています。
既存アナログサービスのデジタル展開やビジネスモデル視点からの変革など、包括的なマーケティング改善を手がけています。2023年まではストラテジックプランニング部の部長として、ラインマネジメントを担っていましたが、現在はライン長の役職を後進にバトンタッチし、プロフェッショナル職であるスーパーバイザーという立場でマーケティング施策の企画や提案、大型案件の創出に注力しています。

これまでに手がけたプロジェクトとしては、大手教育系企業のマーケティング施策において、マス広告からオンラインマーケティングへのシフトを支援した事例や、大手小売企業のポイントサービスやクーポンサービスの立ち上げを通じて、ロイヤルカスタマーの育成を行った事例があります。お客さまへの提案で重視しているのは、DXでどう業績を伸ばせるかを定量的にイメージしてもらうことです。私の専門分野はデータ分析であり、データ分析結果を施策に落とし込むことを得意としています。ソフトバンクグループ傘下のLINEヤフーが展開する総合インターネットサービスの「Yahoo! JAPAN」やコミュニケーションアプリ「LINE」のビッグデータを使いながら、中長期目線の定量的なデータ分析を行い、業績を伸ばすためのロードマップを作成したうえでDXを推進することにより、サービス品質の向上や経営の合理化に貢献しています。

デジタルマーケティングを軸に歩んできたキャリア

キャリアの中でデジタルマーケティングに本格的に取り組み始めたのは、2008年にWeb広告代理店に入社した頃です。
それまではWebサイトの制作を手がけていたのですが、お客さまの売上を増加させるためにはWebサイトを制作するだけでは足りないと実感していました。総合的なマーケティングサービスが提供できるようになれば、一段大きな仕事ができるのではないか。そう思ってWeb広告専業の代理店であるオプトに入社しました。当時はWeb広告専業代理店の黎明期でしたが、オプトは早くからデータ分析や効果測定に注力しており、データを軸にデジタルマーケティング施策を推進するという現在の強みにつながる経験をすることができました。

一通りの仕事を経験し、オプトの売上向上や事業拡大にも貢献できたことで、より広い顧客に向けてデジタルマーケティングで価値提供がしたいという思いが芽生えました。そこでオプトがソフトバンクと立ち上げた合弁会社であるジェネレイトに出向することを希望しました。ジェネレイトではプランニング領域の執行役員を務め、ソリューション型の複数商材を組み合わせた大型案件の企画や提案を行っていました。そこからソフトバンクに転籍したのは2019年のことです。当時のソフトバンクにはデジタルマーケティングのナレッジがまだ少なかったため、私の経験をスキルトランスファーさせることで、事業成長に貢献していきたいと思ったことがきっかけでした。

組織横断のスーパーバイザーとして価値提供を追求

ソフトバンクに入社してから2023年までは、ライン長としてソフトバンクが提供するデジタルマーケティングの価値づくり、そしてそれを実現するためのヒトやチームをつくることをミッションとしていました。ライン長を経験したことで得られたのは、人や組織を動かすために何が大切かという視点です。人が仕事をする理由、組織の中で動く理由は、必ずしも美しいものばかりではありません。自身の成果に対する評価やそれを決めるシステム、人間関係の力学などさまざまな要素が絡み合います。それを知ることができたのはライン長を経験したからであり、その経験があるからこそ、現実を見据えた人や組織の動かし方ができるようになったと思っています。

ラインマネジメントを離れてスーパーバイザーになったことで、現在は組織を横断してプロジェクトに参加しています。ライン長時代と比べると、組織を横断して動くようになったことで、よりお客さまやエンドユーザーにベクトルを向けて仕事ができるようになったと感じています。プロジェクトリーダーを担うことは今でも多いですが、組織構造上の上下関係がないメンバーを巻き込んでチームビルディングをしやすくなりました。そのため、よりお客さまの利益創出やエンドユーザーへの価値提供といった、本質的な問いに向き合えていることを実感しています。

人を動かし大きな仕事を生み出すのは「利他の心」

私が仕事をするうえで大切にしてきたのは「利他の心」です。そう思うようになったきっかけは、若い頃の経験からです。「物事は自分の意思に沿って動くとは限らない」「いろんな力が働いて自分の力だけではどうにもならない」という経験が20代の頃に何度もありました。しかし仕事をやるなら自分の好きなことがしたい。どうすれば自分起点で考えたことが通るのだろうかと試行錯誤していたときに、「顧客やエンドユーザーの利益が上がるか」という視点から考えたことが、一番成功打率が高いことに気づきました。他者の利益になることに自分のやりたいことを乗せて提案する、そうすると自分の意見が通るようになったのです。

エンドユーザーや生活者など、サービスを実際に利用する人に価値を提供しないと、どんな仕事でも突破力が弱くなり、人を巻き込めません。より大きな仕事をすることを目標としたときに、大切なのは「利他の心」を軸にすることです。エンドユーザーや生活者にとって有益であるかどうか、お客さまに喜んでもらえるかどうか、それを軸にすると意思決定がしやすくなり人を巻き込んで動かすことができます。利己と利他のバランスを取りながら、生活者や社会が良くなることをサービス提供の軸に据えることが、世の中のためになり、一緒に働くチームのためにもなり、自分のためにもなると思っています。

50代半ばを迎えてなお、変化と成長を楽しみ続ける

これから先に何をやりたいかという具体的な目標よりも、「新しいことを年に何%できるか」を今は重視しています。
例えば、私たちの業界が年間で5%成長しているなら、自分自身も5%以上成長していなければ発揮できる価値が劣ってしまいます。デジタルマーケティングやDXの領域は毎年のように変化するので、絶えず自分自身がアップデートを続け、お客さまに新しい価値を提供し続けることを目指しています。現在取り組んでいることの例を挙げると、デジタル庁デジタル推進委員を担っている縁で担当している地域住民に向けた生成AI(人工知能)の活用講座があります。また、ウェブ解析士マスターの資格を取って得られた知識や人脈が、サービス開発や人材育成を任せてもらうことにつながっています。いつまでも専門性を高め続けていくことは非常に重要だと思います。

ソフトバンクは大きな会社ですが、世の中にインパクトを与える仕事ができるかどうかは組織の大小で決まるわけではありません。「海軍に入るより、海賊であれ」という言葉が私は好きです。仕事のやり方においても自分自身の自由な発想を大切にしながら楽しんでいきたいと思っています。ソフトバンクは自由な発想で提案することを後押ししてくれます。50代半ばを迎えた今でも、楽しく仕事ができる会社だと感じますね。
 
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