DXリテラシーの育成がカギ 〜社会の変化に備えてCATV事業者が踏み出した第一歩〜

2023年9月5日掲載

DXリテラシーの育成がカギ 〜社会の変化に備えてCATV事業者が踏み出した第一歩〜

デジタル化が進む現代において、積極的にDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組めるかどうかは企業の競争力に大きな影響を与えます。しかし、DXの実現には専門的なITやAIの知識やスキルが必要だという以前に、そもそもDXを自分ごとと捉えられるかというハードルが立ちはだかります。そこで、本記事ではDXを進めていくうえで持っておくべき「DXリテラシー」の考え方を解説するとともに、その育成を実践している、あるCATV(ケーブルテレビ)事業者の取り組み事例をご紹介します。

目次

DX時代に求められる「DXリテラシー」とは

「DXリテラシー」とは、DXの推進や実践においてDXへの正しい理解・知識を有し、扱うことのできる状態を指します。この「DXリテラシー」を習得することは、ITを管轄する部門や担当者に限定されるものではなく、DXをよりスムーズに進めていくために社員全員に求められるべきものです。その理由として、DXを進める上では以下のような問題が発生しやすいことが例に挙げられます。

DXの実現はIT部門だけで完結することはありません。関係部門の協力が得られなければ、DXは形だけの取り組みとなり、無駄な時間やコストをかけることにつながります。組織や役職に関係なく協力体制を築くためには、DXの重要性や目的、基本的な知識を社員が共通認識として学んでいる必要があります。

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「ITリテラシー」との違い

混同されやすい言葉に「ITリテラシー」があります。「ITリテラシー」とは、IT機器やソフトウェアなど、ITに関連する仕組みを使いこなすために必要な知識やスキルを指します。一方で、「DXリテラシー」はIT技術などを取り入れて、組織やビジネスプロセスを変革させるために必要なマインドやスキルを指します。つまり、DXを成し遂げるための過程としてIT技術があるのであり、ITはDXの手段の一つであるということになります。

「DXリテラシー」を身に付けることの重要性

「DXリテラシー」を身につける上で、自社には何が足りなくて、何を学ぶべきかの指針を示しているのが経済産業省が策定した「DXリテラシー標準」です。本指針の中で「DXリテラシー」の全体像は以下のように表現されています。

DXリテラシー標準の全体像
参考:経済産業省「デジタルスキル標準」をもとに作成

働き手一人一人がDXを自分ごととして捉え変革への行動が取れるようになることを狙いとし、必要となるマインドやスキルを大きく4つの項目に分けて定義しています。

<DXリテラシー標準「4つの項目」>

これら4つの項目ごとに具体的な行動・学習例も示されており、DXリテラシー育成の重要性について体系的に理解することができます。

「DXリテラシー」を浸透させる方法

知識やスキルを習得するためには、個人の裁量に任せて本やインターネットから情報収集することも可能です。しかし、そうした方法では情報が断片的になりやすく、実務へのイメージが湧きにくいという課題もあります。特にマインドセットを目的とした学習は、動機付けが難しく自己学習に向かない面があります。そのため、進め方を熟知している外部の研修や講座を受講対象者を明確にしたうえで利用するのもよい方法です。

そしてある程度「DXリテラシー」教育が進み、社員が学んでみたい知識やスキルが具体化すれば、レベルに応じて好きな時間に学べるオンライン学習を取り入れるなど、企業側から積極的に学習環境を整えてあげることも重要になります。

「DXリテラシー」の育成を実践する事例

では、実際にDXリテラシーの育成に取り組まれている企業の例をご紹介します。

既存事業に追われ、何から手を付けるべきか分からないという課題

ケーブルテレビ局として通信サービスやコミュニティチャンネルなどを通じて、地域に密着した事業を展開する株式会社ケーブルテレビ佐伯(大分県佐伯市)では、社内におけるDX化・AI化の推進に課題を感じていました。

ケーブルテレビ業界では、テレビ・インターネット・固定電話など既存事業の継続だけでは先細りが見えており、「2030ケーブルビジョン」というDXへのビジョンを掲げ、新たな事業領域での活動が求められています。しかし、業界全体のDXに対する方向性は示されているものの、現場は既存事業の対応に追われている状況もあり、何から着手すればいいか分からない状況となっていました。

さらに、DXやAIを取り入れることにより、「自分の業務を奪われる」といったネガティブな反応も根強く、DXに対する意識そのものの改革が必要だと感じていました。

DXの加速へのきっかけ作りとなった教育プラットフォームの取り入れ

そこでDXへの風土醸成や知識向上を図るため、同社ではAIビジネス基礎研修を取り入れました。経営層・管理職全員を受講対象とし、ソフトバンクが提供するDX人材教育プラットフォーム「Axross Recipe for Biz」を用いて基礎分野の理解や企業事例を使った解説など、DX/AIの活用に向けたリテラシーの習得を実践しました。

大きなコストをかけずに気軽に始められ、各種研修コンテンツも必要に応じて選択できる「Axross Recipe for Biz」での研修を通じて「DXへのマインドセット」「デジタルスキルの知識向上」「最新技術のキャッチアップ」などさまざまな効果が得られ、社内外に向けてのDX化推進へのきっかけ作りに貢献できました。

ケーブルテレビ佐伯様が取り入れられた「Axross Recipe for Biz」による効果
株式会社ケーブルテレビ佐伯 代表取締役社長 五十川 知典 様

株式会社ケーブルテレビ佐伯

代表取締役社長 五十川 知典 様

<お客さまの声>
”今回の研修を受講したことでCATV業界のDX化に向けた取り組みに更なる弾みを付けることができました。受講した研修は非常に分かりやすく、経営層・管理職層の全員が受講することができ大変満足しています。今後は研修で学んだ知識を活かし、社内DX化の転換点を目指していきます。”

ケーブルテレビ業界は地域住民とのつながりが深く、地域のニーズにあわせたソリューションやサービスを提供するなど、地域DXの担い手としての役割が期待されています。同社においても地域の活性化に貢献するべく、DXによる新たな事業領域やビジネスモデルの構築に向けた挑戦が続いています。

「何から手を付ければ」と悩む企業は多い

ChatGPTに代表されるような革新的なAIサービスの登場もあり、こうした技術を自社に取り入れようとDX人材の確保に高い関心をもつ企業が増えています。

しかしDX人材の確保は容易ではなく、採用コストやスキル・ノウハウ蓄積の観点から社内で人材を育成していくことが主流となりつつあります。

「DXリテラシー」の考えを広めることは、こうした人材確保の面でも非常に有効です。自社の業務を熟知した社員をDX人材として育成できれば、より具体的な課題の洗い出しと業務効率化をよりスピーディに進めていくことが可能だからです。

会社全体で前向きにDXに取り組みましょう

今回ご紹介した事例で採用していた「Axross Recipe for Biz」はeラーニング形式で学べるDX人材教育プラットフォームです。

受講者にあわせて学習を進められる「オンライン学習」と個別進捗に応じたフォローなども可能な体験型の「研修・ワークショップ」などで構成されています。最新のAI技術のほか、事業化立案やデータ分析といった、DX事業に役立つ講座を学ぶことができます。経産省の「DXリテラシー標準」に基づいて作成された学習コンテンツもご用意していますので、ぜひ自社のDX推進の一助にお役立てください。

Axross Recipe for Bizで学べるコンテンツ例

Axross Recipe for Bizで学べるコンテンツ例

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松山 紀子
ソフトバンクビジネスブログ編集チーム
松山 紀子
2018年からソフトバンクにてB2Bマーケティングに従事。MAツールを使ったメール制作を担当したのち、2021年より中小企業向けを中心としたドキュメントコンテンツ制作に携わる。

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