UEBAとは? 機能とメリット、SIEMやUBAとの違いを解説
2024年7月23日掲載
デジタル化が急速に進む現代において、そのデジタル化を悪用して不審な動きを行う従業員がいるのも事実です。そこで注目されているのが、UEBA(User and Entity Behavior Analytics)というセキュリティ対策です。ここでは、UEBA(ユーイービーエー)の概要や機能、企業が導入するメリットについて詳しく解説します。
UEBAとは
UEBAとは、User and Entity Behavior Analyticsの略称で、ユーザーとエンティティ行動分析のことを指し、セキュリティ分野において重要な役割を果たしています。ユーザーやエンティティ(PCなどのデバイスやシステム、アプリケーション)の行動(振る舞い)パターンを分析し、異常な行動や潜在的な脅威を検出することができます。
UEBAの機能
UEBAは、セキュリティ分野において異常な行動や潜在的な脅威を検出し、迅速に対処するために活用されます。
主な機能として、下記が挙げられます。
- 振る舞いのモデリング
ユーザーやエンティティの正常な行動を学習し、基準とするモデルを作成します。これにより、通常の行動から逸脱した行動(異常な行動)を検知することが可能となります。 - 異常検知
上記で作成されたモデルに基づいて、リアルタイムで行動を監視し、通常と異なる行動を異常として検知します。 - リスクスコアリング
異常な行動を検知した後、それがどの程度リスクがあるのかを評価するとともに、個々の異常行動に対するリスクレベルをスコアリングし、危険なユーザーを可視化します。リスクスコアの高いユーザーを抽出し、監視を強化することでインシデントの予兆の把握や、クラウド利用等の制限を行うことでインシデントを防止します。 - アラートと操作ブロック
異常行動や高リスクの行動を検知すると、リアルタイムでアラートを発し、製品によっては操作をブロックします。 - 可視化
UEBAは監視対象の行動を視覚的に表示するダッシュボードを提供するため、管理者は一目で状況を理解することができます。 - データ連携
UEBAはほかのセキュリティシステム(例:SIEMなど)とデータを連携させることが可能です。これにより、異なる情報源から得られたデータを統合的に分析し、より高度な異常検知や脅威分析が行えます。
このようにUEBAは、内部および外部の脅威に対して高い可視性とセキュリティを提供するため、多くの組織で利用されています。
SIEMやUBAとの違い
UEBAはSIEM(Security Information and Event Management、シーム)と似ているものの、異なる概念です。SIEMはログデータを収集・集中管理し、異常を検知するシステム ですが、UEBAはユーザーやエンティティの個別の行動を分析 することに焦点を当てており、個々の異常なパターンや振る舞いを特定 することに特化しています。
また、UBA(User Behavior Analytics、ユービーエー)は、名前の通りユーザーの行動に焦点を当てています。ユーザーだけでなく、Entity(システム、デバイス、アプリケーション、ネットワークなど)の振る舞いを対象とし、より広範囲な対象の振る舞いから異常検出や脅威分析するものがUEBAです。
- 近年ではUBAサービスにエンティティを含むものも増えているため、垣根はなくなりつつあります。
なぜ必要か、メリットは?
先ほども述べた通り、UEBAは、従来のセキュリティ対策では見逃されがちな微細な異常を検知したり、リアルタイムのアラートにより迅速かつ効果的な対応が可能になりました。
この機能によって、企業はいくつかのメリットを享受できます。
- 早期検出・操作ブロックと迅速な対応による、ダウンタイム短縮やビジネス影響の食い止め
異常な行動を検出し、それをリアルタイムで知らせたり、操作ブロックすることができます。早期検出・操作ブロックによって、システムへの攻撃が深刻化する前に対策を講じることができ、結果的にダウンタイムの短縮やビジネス損失の防止につながります。 - 内部脅威を検出できる(内部統制の向上ができる)
従業員の中には、意図的に不正行為を行う者や誤ってセキュリティホールを作り出す者がいる可能性があります。UEBAはこうしたユーザーの行動についても監視・分析を行い、専門的な知識がなくても理解できる形で結果を伝えるため、内部脅威を素早く特定・対処することが可能です。 - 自動化と効率化が可能
UEBAはAIや機械学習を用いて大量のデータを自動的に分析します。これにより、人的な監視の手間を大きく減らせるだけでなく、人間が見逃しやすい微妙なパターンの変化も見逃すことなく検出します。また、リスクスコアリングや優先度付けといった機能により重要性を判断し、対応の優先順位を明確にすることも可能になりました。 - コンプライアンスの強化が図れる
規制遵守の要件を満たすのにも役立ちます。ユーザーやエンティティのアクティビティを監視・記録し、それらのデータを確認・分析しやすい形で提供することで、内部監査や専門家による監査の効率化を実現し、コンプライアンスを強化します。
まとめ
今回のブログでは、UEBAについて詳しく解説しました。UEBAは、ユーザーやエンティティの行動を学習し、異常な活動を検知する重要なセキュリティソリューションの一つです。早期警告機能や、機械学習による自動化、リスクスコアリングやアラート、データ連携の強化などといった特長があります。また、UEBAは異常行動を検知するだけでなく、その発生をいかに早く対処し、損失を最小限に留めるかという点でも重要な役割を果たします。このような観点から、企業は内部統制の強化にも積極的に活用すべきでしょう。
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