クラウドバックアップとは? メリット・デメリット、オンプレバックアップとの違いについて解説
2024年3月15日掲載
IT化が加速しPCで業務を行うのが当たり前となっている現在。企業が取り組まなくてはならないのが、BCP策定やセキュリティ対策です。しかし「具体的に何をすればいいのか分からない」と悩んでいる方も多いかと思います。そこで多くの企業で活用されているのが、クラウドバックアップです。クラウドバックアップとはクラウド上のストレージあるいはサーバに復元用のデータを複製して保管することを指します。本記事では、クラウドバックアップがBCP策定やセキュリティ対策としてどのくらい有用なのか解説します。
クラウドバックアップとは
クラウドバックアップとは、クラウド上に用意されたストレージやサーバに、復元用のデータを保管することです。バックアップの対象となるのは、Microsoft Word・Excel・PowerPointなどのファイル、内蔵されているアプリケーションやユーザアカウント、ユーザー設定、OSなど多岐にわたり、何のバックアップを取るかによって呼び方が変わります。
・イメージバックアップ ファイルからアプリケーション、ユーザアカウント、ユーザ設定、OSに至るまでの全てのバックアップを取ることを「イメージバックアップ」と呼びます。PC内の全てのデータをバックアップしておくため、復元時にOSやアプリケーションを新しく入れたりアカウントを再度設定する必要はありません。ただし、全てのバックアップを取ることになるので、必要のないものが含まれてしまったり、バックアップそのものに時間がかかってしまうというデメリットもあります。
・ファイルバックアップ Microsoft Word・Excel・PowerPointなどのファイルをバックアップすることを「ファイルバックアップ」と呼びます。必要となるファイルだけをバックアップするため、バックアップにそれほど時間はかかりません。しかし、ファイルバックアップのデータでは、PCを立ち上げるためのOSやアプリケーション、ユーザアカウント、ユーザ設定などを復元することができないので、万が一の際はOSやアプリケーションのインストールやユーザの初期設定から行う必要があります。
このようにクラウドバックアップは手法によって呼び方が異なり、用途や目的に合った方法で行うことが必要です。
オンプレバックアップとの違い
従来、データをバックアップする際には、自社内に設置されたデータサーバや外付けのハードディスクに行う、いわゆるオンプレバックアップが一般的でした。
クラウドバックアップとオンプレバックアップの大きな違いは、復元用のデータをどこに保管するのかです。オンプレバックアップは自社内サーバや物理的に接続した外付けのハードディスクにバックアップデータを保管しますが、クラウドバックアップはオンライン上にバックアップデータを保管します。また、オンプレバックアップは、データを保管する場所やセキュリティ要件などを自分たちで決められるという特徴がありますが、クラウドバックアップは、サーバや外付けのハードディスクなどが必要なく、インターネット環境とデバイスさえあればバックアップを取ることができます。
クラウドバックアップのメリット
メリットとしては次の5つが挙げられます。
- BCP・DRの強化
- ランサムウェア対策
- 効率化
- コストの削減
- 対象の拡大
・BCP・DRの強化
BCPとは台風や地震などの自然災害や火災や事故、ミスなどの人的災害の際に事業への被害を最小限にして復旧と事業の継続が可能となる手段や体制を取りまとめた計画を指します。また、DR(ディザスタリカバリ)は地震や津波などの自然災害によってシステムの継続利用が不可能になったときの復旧や修復、またはそのためのシステムなどを指します。特に近年は災害も多く、BCPを策定したり、DR強化に注力している企業も多いのではないでしょうか。
バックアップデータを保管するだけであれば、オンプレバックアップで問題ありませんが、データとバックアップデータが同一環境にあることが多いので、災害によってデータサーバや外付けハードディスクが破損してしまうと同時にデータを失う可能性があり、復元できなくなってしまうリスクがあります。
オンライン上にバックアップデータを保管できるクラウドバックアップであれば、万一災害が発生した場合でもクラウドサービス事業者が保有する複数のサーバからデータを復元でき、遠隔地にデータを分散保管できるのでデータを失うリスクを軽減できます。
・ランサムウェア対策
ランサムウェアとは、Ransom(=身代金)とSoftware(=ソフトウェア)を組み合わせた造語で、ファイルを暗号化することで利用できない状態にし、そのファイルを元に戻すことと引き換えに金銭を要求するマルウェアを指します。一度デバイスがランサムウェアに感染すると、ケーブルなどで物理的に接続しているデバイス内のデータをはじめ、同じネットワーク上に存在しているデバイス内のデータ全てに感染します。
オンプレバックアップではバックアップデータを置いているサーバも感染したり、ハードディスクを接続した瞬間にバックアップデータが消えてしまう恐れがあります。
クラウドバックアップであれば、クラウドサービス自体が高いセキュリティ性を保持していることが多いため、ファイルを保護することができます。
・効率化
クラウドバックアップでは、多くの場合、専用のソフトウェアをインストールしておくことで自動的にバックアップが行われます。バックアップの進捗は管理画面で確認することができ、エラーなどが発生した場合はアラート通知されるので、進捗のチェックが最低限で済み運用の負荷が軽減できます。
・コストの削減
オンプレバックアップの場合、バックアップに必要な機器は全て自社で用意しなければなりません。外付けハードディスクであればそこまで費用はかかりませんが、自社内にサーバを構築する場合は機器の購入、設置スペースなど膨大な初期費用が発生します。その上、定期的な保守・メンテナンス費用やサーバ管理費用も発生するため、コストはかなり大きくなります。
クラウドバックアップは、インターネット環境とデバイスのみで行えるので大きな費用はかかりません。クラウドバックアップのサービス費用についても機能や容量に応じた月額費用となるので、費用を最適化しやすくオンプレバックアップと比べてコストを抑えやすくなります。
・対象の拡大
ここ数年でリモートワークやテレワークの導入が進み、オフィス以外で業務することも一般的になっているため、社内のPCだけでなく社外で利用するPCのバックアップも欠かせません。オンプレバックアップでは社外にあるPCのバックアップを行うことはできず、仮に外付けハードディスクにバックアップした場合は情報漏えいの危険性があり、リスクが非常に高いので適切ではありません。
一方、クラウドバックアップであれば通信が暗号化されているため、自宅やレンタルオフィスなどの保護されていないネットワークを使っていたとしてもバックアップデータを保護することができます。
クラウドバックアップのデメリット
デメリットとしては次の3点が挙げられます。
- インターネット環境が必須
- 速度が遅くなる場合がある
- クラウド事業者依存
・インターネット環境が必須
クラウドバックアップはオンライン上のクラウドやサーバにバックアップデータを保管する方法なので、バックアップをとったりデータを復元するにはインターネットへの接続が必要です。また、通信量が多いため、インターネット環境があっても回線が安定していないとバックアップができない場合があります。
・速度が遅くなる場合がある
バックアップ中はさまざまなデータをインターネット環境を使ってクラウドに送るため、通信データはかなり膨大になります。そのためインターネット回線の速度が遅くなる可能性があります。バックアップと同時にほかの作業も進めているのであれば、それらの処理速度も遅くなってしまう可能性があります。
・クラウド事業者依存
クラウドバックアップサービスを利用してデータを保存・復元するには、そのクラウド事業者が問題なくサービスを提供できている必要があります。バックアップデータを保存する国や地域、セキュリティなどもクラウド事業者に依存してしまうため、導入前に十分な確認が必要です。また、クラウドバックアップはオンプレバックアップに比べて低コストですぐに導入できるメリットがありますが、契約している間はクラウド事業者に対して毎月定額の利用料を支払う必要があります。契約期間や対象・規模によっては逆にコストが高くなってしまう可能性もあります。
まとめ
クラウドバックアップは、初期費用や運用コストを節減したい、担当者の負荷軽減、災害対策の強化などをお考えのお客さまに最適です。また、データのバックアップには「データのコピーは3つ作成し、それらを2種類の異なるメディアで保管し、バックアップのうちの1つは違う場所で保管する」という「3-2-1ルール」があります。従来のオンプレバックアップとあわせてクラウドバックアップを導入すればより安全にバックアップデータを保管できます。
クラウドバックアップはさまざまなサービスが展開されていますが、ここではソフトバンクが提供している「セキュアフォルダ」についてご紹介します。
「セキュアフォルダ」はパソコン上の特定のフォルダに保存したファイルを自動的に暗号化してクラウド上へ同期できるサービスです。ファイルを暗号化してアップロードするため、セキュリティレベルが非常に高く、通常業務で活用するようなファイルはもちろん、機密性の高いファイルについてもデータを保護して安全にバックアップを取ることができます。復旧が素早く、万が一バックアップを復元することになったとしても、「セキュアフォルダ」なら短時間でファイルデータを復元することができ業務に支障をきたすことはありません。
関連サービス
セキュアフォルダ
ビジネス・コンシェル デバイスマネジメントPC管理(Windows)
指定フォルダに保存されているファイルを自動的に暗号化して、安全にクラウド上へ同期するバックアップツールです。
ビジネス・コンシェル ワークエコ
職場環境をより良くするためには社員の生の声を聞き、現状を把握することがはじめの一歩です。アンケート機能から安否確認まで、あらゆる側面から企業と社員の満足度向上をサポートします。
ビジネス・コンシェル デバイスマネジメント(MDMツール)
携帯電話、スマートフォン、ノートPCなどのモバイル端末を一元的に管理するためのサービスです。端末を初期設定する際に遠隔設定・アプリ配布が可能で、運用管理の効率化に役立ちます。また紛失時対策として遠隔ロックや遠隔消去も備えているMDM(モバイルデバイス管理)が重要です。