データガバナンスとは? メリットや進める上での課題を解説
2025年4月2日掲載
DX化に伴い、ビジネスシーンでのデータ利活用が飛躍的に増加しています。そんな中、「データガバナンス」という言葉が注目を集めています。データガバナンスとは具体的に何を意味し、なぜ現代の企業にとって不可欠なのでしょうか。本記事では、データガバナンスの定義からその必要性、導入における課題や進め方まで、データガバナンスが現代に果たす役割を分かりやすく解説します。
データガバナンスとは?
データガバナンスとは、企業や組織内のデータを適切に管理・統制するための「運用ルール」 を指します。近年のDX化の進展により、企業が扱うデータの量や種類は飛躍的に増加していますが、データが適切に管理・運用されていなければ、その価値を最大限に引き出すことはできません。データの不適切な管理は、法規制違反や情報漏えいなどの重大なリスクにつながり、企業の信頼低下にもなりかねません。さらに、生成AIの業務利用が急増したことで、データ利用の信頼性や品質を確保することの重要度が一段と高まっています。
日頃からユーザーは「必要なデータが見つからない」、「データの出所が明確でなく、AIが生成または処理したデータの信頼性や正確性に不安がある」といった課題がある一方、管理者は膨大な「データの管理が困難」であったり、「データの機密性を維持する大変さ」という課題に直面しています。
そこで、データガバナンスによって 必要なデータを迅速かつ容易に見つけてアクセスできる状態 にしておき、その信頼性を高めることで、生産性向上や売上アップ、コスト削減といったビジネスの価値を最大化することが求められています。
データガバナンスとデータマネジメント
データガバナンスと関連する言葉にデータマネジメントがあります。
データガバナンスは、組織全体でデータの品質、セキュリティ、プライバシー、法令遵守を確保するための方針やルール、枠組みを策定し、データの適正な管理と活用を促進する戦略的な取り組み です。これには、データに関する責任の明確化や、データ活用のための組織体制の構築が含まれます。経営層がデータガバナンスの重要性を認識し、適切なガバナンス体制を構築することが重要です。
データマネジメントは、データのライフサイクル全般(データの収集、生成、保存、整理、分析、共有、活用、保護、廃棄など)を通じて、データを効率的に管理・運用する実務的な活動 です。データの品質管理、データベースの設計・運用、セキュリティ対策など多岐にわたる取り組みの実践により、データの信頼性や一貫性が確保され、データの利活用を推進するための基盤が整備されます。
このように、データガバナンスはデータ活用における戦略やポリシーを定める概念であり、データマネジメントはその戦略に基づいてデータを具体的に管理・運用する実践的な活動と言えます。両者を効果的に連携させることで、組織はデータの信頼性と価値を高め、データに基づく意思決定や新たな価値創出につなげることが可能となります。
※一般的な説明でありソフトバンクが定義するものではありません
データガバナンスのメリット
データガバナンスを導入することで、企業はさまざまなメリットを得ることができます。
● 業務効率の改善
データの整備や一元管理により、重複作業の削減やデータ検索時間の短縮が実現します。また、高品質なデータを活用することで業務プロセスが効率化されます。例えば、顧客情報が正確かつ最新の状態で管理されていれば、適切なタイミングで顧客にアプローチすることが可能です。
● 意思決定の精度向上
信頼性の高いデータをどのように活用し、どのように判断するかによって、市場の変化に的確に対応した正確なビジネス戦略を立案し、迅速な意思決定が可能になり結果として、意思決定の向上につながります。
● リスク管理と人材育成の強化
データの適切な管理により、情報漏えいやコンプライアンス違反のリスクを低減します。アクセス権限を明確に設定し、重要データへの不正アクセスを防ぐことで、内部からの情報漏えいを防ぎ、データガバナンスの推進を通じて従業員のデータリテラシーを向上させれば、法規制の理解や遵守意識が高まり、結果としてコンプライアンス違反のリスクがさらに低減します。
● 顧客満足度の向上
データをどう扱うかによって、顧客のニーズに的確に応えるサービス提供が可能になります。データを適切に活用することで顧客満足度が向上し、信頼関係が深まり新たなビジネスチャンスの拡大が期待できます。
このようにデータガバナンスは単なるデータ管理の効率化にとどまらず、企業の成長戦略を支える重要な要素とも言えます。
何からはじめるべきか?
まず、PIA※(Privacy Impact Assessment) を実施し、潜在的なリスクを明確にし、それを言語化して組織内で共有します。この明確化された目的をビジョンに反映させ、部門を超えた組織横断的な取り組みを推進することが不可欠です。また、成果を評価できる品質評価基準を定めておくことも重要です。これにより、取り組みの進捗や効果を客観的に測定し、改善点を明確にすることができます。データガバナンスの導入は適切なステップを踏むことで着実に効果を上げ、企業の成功へアプローチすることができます。
ソフトバンクではさまざまなサービスラインナップをご提供し、お客さまの課題を解決します。人材育成やデータ管理・活用に関わるサービスをご紹介していますので、ぜひ各サービスをご覧ください。
※潜在的なプライバシーリスクを検出し、リスクに応じた安全対策を構築するための手段を指す
関連サービス
Axross Recipe
使える知識・生かせるスキルが学べるAI・DX人材育成サービス
データ活用コンサルティングサービス
データ活用コンサルティングサービス
ソフトバンクが展開するAIサービスのご紹介
生成AIの導入や構築を支援するサービス、AIを搭載した実用的なサービスをご紹介します。
インフラ基盤をクラウド化
多種多様なスキルをもつソフトバンクのエンジニアがお客さまに最適なクラウドサーバをご提案。ビジネスの変革をサポートします。