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Activators Talk【共創編】共創で切り拓く“最先端技術の社会実装”

#AI-RAN #その他 #社員紹介 #ActivatorsTalk #AI

先端技術研究所の研究員「Activators」が研究・開発や仕事観を語るシリーズ「Activators Talk」。 第7弾は、進行中プロジェクトの開発リーダーとして、社内外の共創をリードする寺島さんです。 学生時代に培った多彩な学びと前職で磨いた実装力を土台に、ソフトバンクへの転職を決意した背景、開発現場での試行錯誤、そして描く未来像まで──境界を越えて挑戦し続けるキャリアの軌跡をお届けします。

<プロフィール>

専門性を礎に、社会を見据える技術者へ

―まずはじめに、これまでの経歴を教えてください。

宮城大学を卒業後、IT企業で約8年間、B to B 向け Web システムの設計・実装や新規事業の PoC などに携わりました。 その後、技術を社会に届けるスケールを広げたいと考え、2024 年にソフトバンク株式会社へ転職し、先端技術研究所へ配属されました。

―学生時代はどのような分野を学んでいましたか?

在学中は、プログラミングやデータベースなどの情報系科目に加え、プロダクトデザインやグラフィックデザインなど幅広く学びました。 中でも印象的だったのは、段ボールで卵パックを設計する授業です。 卵を保護する強度や寸法など必要な機能要件を洗い出し、課題設定→仮説立案→アンケート調査→プロトタイプ作成などを繰り返して価値を検証しました。 また、商品のパッケージを想定したポスターデザインの授業では、どんな図案や色彩が消費者の視線を引き付けるか、例えばお客さんが甘いお菓子を食べたいときに“甘さ”を想起させる形や色は何か――ということも学びました。 こうした授業を通じて『作品を通じてユーザーに価値を届ける』という視点が養われ、今の開発姿勢の基盤になっています。

―大学時代の学びは現在の仕事にどう活きていますか?

大学時代に学んだ「伝え方」は、今の仕事でもかなり活きています。 たとえば資料作成では、上司やチームメンバーにどうすれば内容が伝わるかを意識して、図やレイアウトを工夫しています。 外部向けの発信でも、難しい研究内容をそのまま説明するのではなくて、「この技術ってどう役に立つの?」という視点で、エンドユーザーに届く形を考えて構成しています。 そうした思考回路は、大学で情報とデザインを横断して学んだ経験がベースになっていると思います。

―前職ではどのような業務を担当していたのですか?

前職では、B to B向けのWebシステムやサービスの開発を担当していました。 具体的には、自社サービスを立ち上げたいお客様の支援や、社内向けシステムのPoC開発を担当するなど、設計から実装まで幅広く携わっていました。 中でも印象に残っているのは、Pepperのプログラムに触れた経験です。 当時は業務の一環でしたが、今思えばソフトバンクとつながる“縁”のようなものを感じる出来事でした。 また、比較的新しい技術に挑戦できる環境にいたため、クラウドなど先進的な分野に触れられたことも良い経験でした。

―ソフトバンクに転職した決め手は何でしたか?

転職活動をしていた当時は、自分が手がけたプロダクトやサービスが世の中に広く届くような仕事がしたいと考えていました。 B to C サービスを展開する企業や SIer も視野に入れていましたが、最終的にソフトバンクを選んだのは、「先端技術研究所」の事業領域に惹かれたからです。 AI や自動運転といった先進的なテーマに加え、社会実装を意識した開発文化に魅力を感じました。 また、前職では企画部門の開発チームに所属していた時期もありましたが、うまく新企画を打ち出せず悔しさが残っていました。 だからこそ今度こそは、社会に届くプロダクトを形にしたいという思いが強くありました。

社内外を巻き込む実装力 ― 共創の現場

―以前担当された自動運転のプロジェクトでは、社外の研究室と共同研究を進められたそうですね。

はい、社外の研究室が保有する自動運転システムと、私たちの AITRAS アプリケーションを連携させる前例のないプロジェクトでした。 低遅延かつ乱れの少ない映像伝送の仕組みを構築しつつ、現場特有の環境要因で精度が下がるモデルを何度もファインチューニングするなど、トライ&エラーの連続でした。

コミュニケーションは定例会をベースに進めつつ、設計フェーズでは数時間ホワイトボードを囲んで共同議論することもありました。 まとめ役としては、限られた実験時間を最大化できるよう、その日に行うタスクを事前に共有し、想定される不具合に備えて複数パターンの学習済みモデルを準備するなど、スムーズな進行を心がけました。

関連プレスリリース:「AITRAS」のエッジAIサーバー上で動作する「遠隔自動運転サポートシステム」を開発(2025年3月19日)

―次に、現在取り組んでいるプロジェクトと担当領域を教えてください。

現在は、ソフトバンクが展開を予定している新サービスの開発に携わり、主にサービス利用者向けWebポータルの開発を担当しています。 スクラムマスターとしてチームをリードし、円滑な開発プロセスを推進するとともに、社内のシステム担当者との仕様確認や調整を行い、関係部門との連携を図っています。 また、海外メンバーとのやり取りもあり、拙いながらも英語を用いたコミュニケーションを通じて、国際的な協働にも挑戦しています。 新しい価値をユーザーに届けるため、技術面だけでなくチーム運営や調整業務にも力を注ぎ、より良いサービスの実現に取り組んでいます。

―開発で大切にしていることは?

サービスで何より大事なのは「ユーザーにどんな価値を届けられるか」です。 機能を作ることが目的化しないよう、ユーザーがどんな体験を期待してこのサービスを使うのかを常に意識しています。 また、リーダーとしては全体最適を重視し、タスクの切り方や担当を調整してチーム全体でシナジーが出るようにしています。

開発効率を高めるために、Copilot などの AI ツールも積極的に活用しています。 AIエージェントツールも使いながら、どう開発を効率化できるのかといったことも先端技術研究所ならではのミッションではないかなと思っています。

「目的と手段を取り違えない」、ユーザー目線でどう使ってもらうかみたいなところっていうのは学生時代の学びや経験が活きていると思っています。

―社内外のメンバーと協働するとき、どんな点を大切にしていますか?

まず集まったメンバーで「最終的に何を達成したいか」を共有します。 手段よりも目的を合わせることが一番大切だと考えています。 チームや組織が違えばアプローチや文化はばらばらですが、ゴールさえずれていなければ多少やり方が違っても問題になりません。 また、共同研究では、大学はやりたい研究テーマ、私たちはユースケース──といった具合に、それぞれがこのプロジェクトに参加する理由をすり合わせ、お互いにメリットが生まれる形にまとめるよう意識しています。

―自動運転に関するプロジェクトでは、成果の対外発信としてプレスリリースも担当されていましたがいかがでしたか?

初めてのプレスリリース対応だったこともあり、原稿の確認から広報・パートナー企業、英訳担当との調整までギリギリまで走り続ける大変さがありました。 それでも公開後、インターネット上に自分の携わった案件の記事が掲載されているのを見た時は大きな達成感がありました。 難しい内容をどう伝えるかを考え、図解やイラストに加えてデモ動画も自作し、発表内容の「新規性」や「すごさ」が伝わるように工夫しました。

あとは特に印象に残っている出来事が、昨年11月のNVIDIA AI Summitで、NVIDIA CEOのJensen Huang氏が基調講演のプレゼンの中で、自動運転のデモ動画を取り上げてくれたことです。 自分が携わったプロジェクトの成果が世界的なイベントで発表された瞬間は、本当に胸が高鳴りました。

関連プレスリリース:低遅延なエッジAIサーバーで動作する自動運転向け「交通理解マルチモーダルAI」を開発(2024年11月5日)

キャリアを築く場所としての研究所 ― 現場で実感する成長環境

―入社後の1年間を振り返って印象に残っていることは?

中途入社からの一年間は、本当に密度の濃い時間でした。 前職では味わえなかった多彩な挑戦が次々に舞い込み、毎日が刺激の連続です。所長と直接ミーティングしたり、成果発表の場でプレゼンしたりと、組織のトップと近い距離で議論できる環境にも驚きました。

―先端技術研究所のカルチャーをどう感じていますか?

肩書きや年次に関係なく意見を交わせるフラットさと、決まったことがすぐ実装に結び付くスピード感が大きな魅力です。

―この一年で伸びたと感じるスキルは?

初めてチームを率いる立場を任され、ファシリテーションやステークホルダー調整の力が大きく向上しました。 また、目の前の実装だけでなく目的や背景を俯瞰して考える「マクロな視点」を持てるようになり、0→1を生み出すマインドセットも養われました。

―今後挑戦したいことは?

まずは現在手掛けているプロジェクトを必ず成功させ、日本一のサービスを開発したいと考えています。

―先端技術研究所への転職を検討しているエンジニアへメッセージをお願いします

若手でも大きなチャレンジができ、多彩な専門性が掛け算になる職場です。自分の個性を武器に、枠を越えて挑戦したい人はぜひ仲間になってほしいと思います。

【Off-topic】休日の過ごし方

―休日はどのように過ごしていますか?

休みの日は友人と飲みに行ったり、ゲームをしたりしてのんびり過ごしています。 飲みスポットは新橋や新宿が多く、お気に入りは同僚に教わった焼肉店「マルウシミート」。 リーズナブルなのに美味しいお肉が楽しめるのでリピート率が高めです。

―最近ハマっている趣味はありますか?

モンスターハンターや FPS のシューティングゲームをボイスチャットしながら遊ぶのが定番です。 あとはコロナ禍に当時の会社の同期と始めたゴルフも 5年目に入り、月1回コースに出るのが密かな楽しみです。スコアは……まだシークレットです。

―仕事とプライベートの切り替え方は?

プロジェクトが忙しい時期でも、意識的にリフレッシュの時間を取るようにしています。 休みで頭をリセットすると、翌週に新しい発想が生まれる実感があります。 有給休暇も取りやすい雰囲気なので、オンとオフのメリハリはしっかり付けられています。

―実は野球好きだとか?

はい、中学生まで野球をやっていました。 東北出身ということもあり、楽天イーグルスを応援しています。 社内では少数派なのでやや肩身が狭いですが(笑)、シーズン順位に一喜一憂するのも休日の楽しみの一つです。

【コラム】理想のActivatorsとは?

―最後に理想の Activators 像について教えてください。

「最先端技術で世の中を便利に」です。 新しい技術を”検証”で終わらせることなく、社会に実装するところまで走り切る存在でありたいと考えています。

―その言葉に込めた想いは?

学術研究では新しい知見を得ることがゴールになりがちですが、事業会社の研究員である我々Activators の使命はその先にあります。 技術を社会に届け、生活の中で役立ってこそ本当の価値が生まれると考えています──この“0 → 100”の精神で、アイデアをプロダクトへ、そして日常の当たり前へとつなげていきたいと考えています。

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