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ソフトバンク 先端技術研究所 Activators Talk【エンジニア編】多様な個の力が協業する、プロフェッショナルな環境


新しい技術を社会実装することをミッションに、2022年4月に誕生した先端技術研究所。次世代ネットワークの「6G」や成層圏通信プラットフォーム「HAPS(High Altitude Platform Station)」、「自動運転」など、先端技術におけるさまざまな分野の研究・開発に取り組んでいます。同所の研究員「Activators」が研究や開発、仕事について語る 「Activators Talk」。シリーズ第2弾は、企業や大学と連携し、自動運転やMaaS(Mobility as a Service)、デジタルツインにおける研究・開発を牽引する山科瞬さんと小林謙吾さんのエンジニア2人の対談をお届け。研究所への着任前の話から、キャリアチェンジによるマインドの変化ややりがいまで、とことん話してもらいました。


プロフィール

  • 山科 瞬ヤマシナ シュン

    2009年入社
    先端技術開発部 自動運転システム開発課 課長
       MONET Technologies株式会社 自動運転戦略室 担当部長を兼任。
       自動運転やBeyond 5G/6Gの研究に従事。プライベートでは2児の父。

  • 小林 謙吾コバヤシ ケンゴ

    2012年入社
    先端技術開発部 次世代コネクテッド開発課 課長。
    デジタルツインおよびC-V2Xに関する研究に従事し、
    先端技術研究所へ配属。
    自動車メーカー、大学といったさまざまなパートナーとの
    実証を進めている。
    プライベートでは1児の父。

システム開発や無線通信のエンジニアから、先端技術研究所のActivatorsへ

―先端技術研究所に着任される前は、どんな業務に携わっていたのでしょうか?

山科
2009年で新卒入社し、システム部門に配属され、企画から開発、運用まで幅広く手がけていました。ソフトバンクのデータレイクやDWH(データウェアハウス)などのデータ基盤の構築や、ソフトバンクの物流システムの開発などに9年ほど携わっていました。
小林
私は2012年に電気通信事業のイー・アクセスに入社したのですが、翌年、子会社化によってソフトバンクの地域技術部に配属されました。関西エリアを担当し、基地局の最適化や無線に関わる設備の導入など、RAN(無線アクセスネットワーク)関連業務を6年ほど担当しました。


―当時のお仕事で思い出深いことや学びとなったことを教えてください。

山科
私がシステム部門に配属された当初は、ちょうどソフトバンクがさまざまな企業を吸収合併し会社が拡大していて、その中で各社のシステムを統合する大規模な開発プロジェクトが多かったんです。そのため、要件定義から詳細設計まで、関係者が細かく確認しながら工程を進めるウォーターフォール開発に携わったことで、システム開発の基礎をしっかり身につけることができました。その後は、システムを統合して生産性を上げるという目的よりも、システムでユーザーに付加価値を提供するというシステム開発の目的が変わっていき、開発だけでなくプロダクトの企画やアジャイル開発など幅広い知識も習得したことが、今役立っていると感じます。
小林
音楽フェスなどの大型イベントで人が密集した際、通話やデータ通信が滞らないよう対策したことが印象に残っています。イベント開催前から、過去の傾向からトラフィックを予測して、どこに移動基地局車を設置すべきかを検討します。イベント時には移動基地局を出動させて、既存基地局とのトラフィック負荷バランスを鑑みながら、リアルタイムで基地局を制御したり、実際に現地に行ってスマホでユーザー体感を確認したりして対応しました。また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにハリーポッターエリアができたばかりの頃、きちんとスマホが使えるか調査を行ったことも。ユーザーの体感を実感でき、なかなか楽しかったです。
―2人は、先端技術研究所の前身である先端技術開発本部に5年前に着任されています。配属が決まった当時、どんな気持ちでしたか?

山科
私は、社内のジョブポスティング制度で志願したんです。学生時代に、ITS(Intelligent Transport Systems)と呼ばれる高度交通システムを実現させたいと思っていました。その当時、自動車業界は車両開発に注力していたので、「ソフトバンクでシステム開発を学び、将来的にITSに携わろう」と考えてソフトバンクに入社しました。今は、ソフトバンクやトヨタ自動車などが共同で出資するMONET Technologies株式会社(以下、MONET)の自動運転戦略室の仕事も兼務しています。学生時代にやりたかった仕事に関わることができ、日々やりがいを感じています。


小林
山科さんにそんなバックボーンがあったとは! 初めて知りました(笑)。
山科
実は、小林さんのご専門であるITSを学生時代にやりたいと思っていたんです。小林さんは、先端技術開発本部に着任されたとき、いかがでしたか?
小林
私は社内人事で先端技術開発本部に異動になったのですが、設立されて4〜5年の部門だったので、正直どんなことをやっているのか詳しくは知りませんでした(笑)。ただ、学生時代から無線に関わる研究を行っていたので、「将来、新しい無線技術に関わる仕事をしたい」と思っていたんです。なので、先端技術開発本部に入ればそういうチャレンジができるかもと、ワクワクしたことを覚えています。

自動運転やデジタルツインの領域を企業・大学と共同研究

―今、先端技術研究所でActivatorsとして働いていますが、どのような研究・開発を行っているのでしょうか?

山科
主に2つの研究・開発に携わっています。1つは、無人の自動運転の商用サービス化に向けた自動運転運用プラットフォームの開発。少子高齢化によるドライバー不足などの社会課題をなくすことを目的に、早期社会実装を目指して尽力しています。MONETでは自動車メーカーの方など、いろいろなバックグラウンドの方とお互いの知見や技術を共有しながら議論を重ね、新たなモビリティサービスの実現に向けて、MaaSのアプリやサービスの開発を行っています。 もう1つは、今後のソフトバンクのAIとの共存を支える次世代社会インフラの実現に向けた基盤とAIの開発をしています。RANとAIを同一基盤上でリソースの最適化を行ったり、生成AIなどのAIアプリの実装などに取り組んでいます。ハードウェアについては、アメリカの大手半導体メーカーの「NVIDIA」と協業して、さまざまな取り組みを行っています。
小林
私も2つの領域で研究・開発をしています。1つは、自動車と通信技術を組み合わせた共同研究を自動車メーカーなどと一緒に行っています。 自動運転を含め、通信できる車(コネクテッドカー)に5Gなどのネットワークを活用し、より安全安心かつ快適な世界を実現するには、インフラに何を求められているかを追求したり、それらをテストコースなどで実証したりしています。 そして2つめは、「デジタルツイン」をテーマにした研究・開発です。現実の空間で収集したデータをサイバー空間に双子のように再現するデジタルツインを使い、さまざまな取り組みを行っています。慶應義塾大学SFC研究所と共同で取り組んでいる「デジタルツインキャンパス」の活動の一環で、近年ではデジタルツインを活用した自動運転バスの運行の高度化に向けた実証実験を、慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(以下、SFC)で2023年から開始しました。SFCの先生方の知見や学生さんのアイデアをいただき、他企業と連携しながら、デジタルツインに必要な次世代情報インフラの開発を目指しています。

「デジタルツイン・キャンパス」では、右折時の対向車検知などの実証実験を行っている

山科
小林さんのお話を聞いて、私たちの業務って一般的な研究員のイメージと少し違うなぁと改めて感じました。社内で黙々とPCに向かうのではなく、外部の方々と議論したり、屋外で調査や検証したりする仕事が多いので。
小林
確かにそうですね。さまざまな企業や研究機関などと議論する仕事がメインです。実際、議論した内容をフィールドで実証したり検証を行ったりするのですが、それが非常に楽しいですね。
山科
わかります。机上で検討するだけではなく、実際に現場で検証することで、新しい発見がありますよね。

―先端技術研究所で働き、以前の仕事との違いで驚いたことはありますか?

山科
先端技術研究所は、「先端技術を社会実装する」というメインテーマがあります。そのため、自分の研究領域の知識だけでなく、事業性も意識しながら研究や開発を進める必要があります。着任当初は、この事業性も意識しながら研究をするという部分が新鮮でした。例えば、自動運転が普及する未来において、どういう事業上の課題が起きるかを考え、実際に自動運転車をテストコースなどで走らせます。その際に、発生する課題が将来的にどう結びつきそうかを考えて、それを先端技術で解決する方法を検討しています。
小林
研究領域が広い上に、任される役割も多いので「ここまでやっていいんだ」という驚きがありました。最初は戸惑ったのですが(笑)、今はそれが自分の成長につながっていると感じます。先端技術研究所ではエンジニアや研究者としてのバックグラウンドを活かし、互いにディスカッションしながら自主的に研究・開発に取り組んでいます。

―エンジニアの2人にとって、先端技術研究所はどんな場所ですか?

山科
「チャレンジできる場所」ですね。ソフトバンクの未来を担う新しい事業や技術をつくり出すためにさまざまな挑戦ができるので。
小林
私は「技術によって方向性を示す場所」だと思います。世の中の困っている課題に対して、技術によって解決できる場所でありたいですね。

誰もが使える技術を生み出し、世の中を変えることが使命

―先端技術研究所でActivatorsとして働き始めてから、身につけたスキルや苦労したことを教えてください。

山科
さまざまな経験と研究領域を持つメンバーと仕事をするにあたって、彼らの良いところをどんどん見て学ぶことで、自分のできることを増やしています。先端技術研究所に来てから、今まで避けてきた苦手なことに向き合って克服できたので、確実にスキルは増えたと思います。
小林
私も何事も毛嫌いせず、どんどん吸収していこうというマインドになりました。一方、自分の専門分野に関しては、「この領域は小林に聞こう」と頼ってもらえる存在でいたいですね。そのために、その分野における最新の議論状況や標準化動向などをチェックすることにも力を入れています。


―では、Activatorsに必要な要素とは何でしょうか?

小林
机上で議論するだけでなく、素早く手を動かせることでしょうか。今、現場で起きている問題を正確に理解し、そのために早く動ける人が、先端技術研究所では活躍できると思います。
山科
本当にその通りだと思います。研究というと想像の世界の中で閉じてしまいやすいですが、先端技術研究所では実際に手を動かし、事実を元に仮説を組み立てることが必要とされます。例えば、自動運転を社会実装する上で課題はまだまだ山積みです。ただ、課題が多いほど、それを解決するためのプロダクトは明確になる。そういった視点で取り組むことが大事だと思います。

―仕事を通して、自身の新たな可能性を感じた出来事はありましたか?

山科
3年ほど前から、自動運転の運用コストが高いという課題を解決するために、自動運転運用プラットフォームの構築に取り組んできました。自動運転レベル4に対応した車両が走行する際の遠隔監視の業務において、オペレーター1人で複数台の車両を運用するための仕組みを開発。2023年6月には、竹芝エリアで実施している自動運転の実証実験を多くの企業の方などに視察していただきました。ゼロベースで研究・開発を始め、1つの山を乗り越えたような感慨深い気持ちになりましたね。


2023年1月に竹芝エリアで開始した自動運転の実証実験。遠隔監視AIを開発し、車両から送られてくるデータを分析・検証した

小林
私は自動車メーカーの方々と実証実験を通じて、お互いの会社のミッションや文化、バックグラウンドの理解を深めながら進めてきました。そこには数々の苦労もあったのですが、その取り組みをまとめて社内で発表したところ、技術部門において賞を受賞することができました。また、自分が関わった取り組みがプレスリリースや記事になることも多く、社内外で評価をいただけるととても励みになりましたね。
山科
自分たちの取り組みが世に出ることは、先端技術研究所で働く大きな喜びの1つですよね。
小林
そうですね。成功体験を積み重ねると、たとえ研究で行き詰まっても「今は辛抱のときだ」と俯瞰でき、乗り越えられます。
「理想のActivators」とは?
社会を駆動させる活性因子として、世の中が前進するような研究・開発を行っているActivators。2人が思う、Activatorsとしての理想の姿とは?


小林
「誰もが使える技術開発」と書きました。研究というと、専門的な知識を持つ人が使う技術を生み出すことが主流です。一方、社会を駆動させる活性因子であるActivatorsに求められるのは、みんなが使える技術をつくり、提供すること。そして、世の中を変えることだと思っています。
山科
私は「社会課題を先端技術で全て解決」です。Activatorsには世の中の課題を受け止め、先端技術で解決することが求められます。「全てを解決できる」くらいの高い志を持って、研究・開発に取り組む姿勢が大切だと思っています。
先端技術研究所で輝くのは、新しいことを恐れず立ち向かっていける人

―エンジニアから先端技術研究所のActivatorsというキャリアチェンジによって、自身にどのような作用がありましたか?

山科
以前はエンジニアとして、決められたことに従って形にすることが仕事でしたが、今はそうした枠から解き放たれました。先端技術研究所では裁量を持って、いろいろな方法や方式を選び取りながらチャレンジすることが増えたので、より達成感を得られるようになりました。もちろん、その分、プレッシャーは増えましたけど(笑)。
小林
それは間違いないですね(笑)。私は先端技術研究所でさまざまなバックグラウンドの人たちと議論するようになってから視野が広がり、自分の専門領域を軸に、幅広い知識や技術を身につけたいと思うようになりました。プロフェッショナルではなくジェネラリストになって、多くの人の期待に応えたいですね。


―チームのメンバーをマネジメントする立場として心がけていることはありますか?

山科
研究や開発は課題を前に行き詰まることが多く、迷子になりやすい。メンバーがそういった状況のときは、なるべくポジティブな言葉を発して進むべき方向性を示し、推進力を上げるようにしています。
小林
私も同じです。あと、自分の意見をオープンにすることも心がけています。わからないことは正直にわからないといい、みんなで共有することが問題解決の近道になると思っています。


―今後の目標や抱負を教えてください。

山科
自動運転の社会実装に向けた道のりは困難の連続ですが、「自動運転で便利な世の中をつくりたい」という思いは学生時代から変わりません。そのために、先端技術を追い求め続けて、引き続きActivatorsの1人として貢献していきたいと思っています。
小林
今後も世の中に新しい技術を発信し続けたいですね。また、技術の実証だけでなく、「自分がつくった」と誇れるようなサービスやプロダクトを生み出し、世の中の暮らしをより便利に快適にしていきたいです。新しい研究・開発にチャレンジをするために、メンバーやパートナー企業の方々とディスカッションしたり、世界のニュースや論文をチェックしたりして情報収集に一層力を入れていきたいと思います。
―では最後に、先端技術研究所への転職を考えているエンジニアや研究者にアドバイスとエールをお願いします!

小林
私たちが取り組んでいるのは、誰にもわからない正解を探し出すこと。裏を返せば、誰もが正解に辿り着く可能性がある。だから、自分の意見や強みをきちんと表現することが組織にとって重要になります。私自身、もともと企画や提案の経験が少なかったのですが、いざ先端技術研究所でやってみると楽しんでできるようになりました。新しいことを恐れず、立ち向かっていける人に向いている職場だと思います。
山科
ソフトバンクの未来の事業や技術をつくれることが、先端技術研究所のActivatorsとして働く醍醐味です。決められたことを粛々とこなす仕事とは違い、自らのアイデアがかたちになる喜びを感じながら生き生きと働けます。ぜひ、社会実装に向けた取り組みに一緒に挑戦しましょう!

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