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多くの企業が生成AIの活用を模索し、業務効率化と生産性向上を目指していますが、さまざまな課題もあります。そこで、3月7日に開催された SoftBank Tech Night では、生成AIの中でも Azure OpenAI Service の活用に取り組んでいるユーザ各社にご登壇いただき、どんな目的やポイントで生成AIを導入したか、課題やその乗り越え方などを発表いただきました。すでに生成AIを導入している企業だけでなく、導入に悩んでいる方々にも参加いただき、非常に盛り上がったイベントの一部をご紹介します。
今回は前編です。
生成AIパッケージの最新情報などをご紹介した後編はこちら
はじめに、日産自動車株式会社の河野氏にご登壇いただき、取り組みについてご紹介いただきました。
日産自動車では昨年11月より日本拠点の全間接従業員に対して生成AIアプリケーション「Nissan AI-Chat」を導入・活用しています。アプリケーションの構築・利用促進にあたって取り組んだこと、苦労したポイントやその乗り越え方、今後の展開方針、「Nissan AI-Chat」の現在の利用状況やユースケースなどリアルなユーザからの声も説明が行われました。
続いては、アセットマネジメントOne 株式会社の立花氏にご登壇いただきました。
立花氏「アセットマネジメントOneは総資産残高約65兆円の資産運用会社で、社員数1,000名ほどで海外にも複数拠点をもつグローバル企業です。2023年6月より生成AIの取り組みを開始し、自社専用のチャットUIを持つ『OneQ(ワンキュー)』として社内展開しています。今は自社データの活用や高度化、定着化を目指して取り組んでいます。いろんな方々にさまざまな用途や範囲で使ってほしいと考えて、ソフトバンクの『Axross Recipe for Biz』という研修カリキュラムを全社員に展開しています。また、使う前に読んでもらうためのガイドラインも展開しています」
取り組みのポイントとして、チームビルディング、アーキテクチャ、プランニング/プロモーションの3つがあると続けました。
立花氏「一つ目がチームビルディングです。企業で生成AIを導入しようとすると、『入力した情報が学習利用されて情報漏えいしたらどうしよう』、『2023年の途中から生成AIの話が出てきたので予算がない』などと、費用対効果や社内手続きなどの課題が多く挙がります。また、新しいことをやるので専門的な人材を少数精鋭で取り組むほうがやりやすいという考えになりがちですが、コストが安く抑えられて推進力も高く小回りが効くものの、属人化が進行してしまい一人が辞めてしまうと成長は止まってしまうというリスクにさらされます。これに対応するために専任者を増やしていこうとしても、今度はプロジェクト規模ばかりが大きくなり、コストパフォーマンスがどんどん悪化してしまいます。
そのため新しいことをやるには、それぞれの分野の専門家をあわせなければいけません。ビジネスレイヤーや人事、プロジェクトを推進する人、実際に作ってくれる人やユーザサポートをするなど、専門人材を集めて体制を組む必要があります」
立花氏「二つ目はアーキテクチャです。実は、OneQの導入と並行して自社開発のチャット画面を作っていました。取り組み当初はまだ自社データの活用ニーズが市場になかったため、自社開発をしようとしていました。
しかし進めるにつれ、自社データの活用ニーズが市場で共通化され、対応可能なソリューションが登場してきたため、独自開発することで得られる競争優位性などがなくなってきました。独自開発することは、人を抱えることにもなりコストが非常に高くなります。それよりはパッケージとしてリリースされたものを活用したほうが、コストを圧縮できると考えました。加えて我々は資産運用会社なので、自社開発することではなく、それらを利用してパフォーマンスを出しお客さまに還元していくことが重要なため、作ることよりもビジネスに活用していくところにフォーカスすることにしました」
また、データ整備とサービス連携が重要だと立花氏は言います。
立花氏「非常に重要なのはデータ整備です。それらのデータを一つずつで完結させずにつなぎ合わせていく必要があると考えています。これは、よりよいサービスが出てきたらすぐに切り替えて利用できるようにするためです。そのためサービス間をつなぎあわせていくというエコシステム構想を持ち、実践していこうと考えています」
最後に、プランニングとプロモーションについても語りました。
立花氏「リリースから4ヵ月後の1月時点でも一人当たりの利用回数は右肩上がりに増えています。ヘビーユーザの方々に話を聞いてみると、開発者でない方が生成AIを使ってPythonのコードを生成して業務を自動化したり、海外の取引先との英文のメール作成が短縮したことで一日にやり取りできるビジネスの接触回数が増えたという効果が見られました。しかし厳しいご意見も多く、中でも精度が低くリトライ回数(何度か入力する手間)を減らしたいという要望は強く挙げられていました。こういったユーザの要望を小まめに反映させ、導入するたびに使い方や効果などを導入事例とあわせてユーザに展開し、さらにフィードバックも反映させています。これらを短いサイクルで行うことが一人当たりの利用率向上には重要だと思っています」
当日の様子はこちらからご確認いただけます。※日産自動車株式会社 河野様のセッションはライブ配信のみです。
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