FIT2024に生成AIソリューションが集結
ソフトバンクの展示・講演レポート①

2024年11月6日掲載

FIT2024に生成AIソリューションが集結 ソフトバンクの展示・講演レポート①

金融業界の課題を解決するソリューションが一堂に集う展示会「FIT2024(Financial Information Technology 2024)」が、10月17日(木)から2日間にわたって東京国際フォーラムで開催されました。

本ブログでは、ソフトバンクの展示の中でも特に多くの人を集めていた、生成AI関連のブースとセミナーの様子をご紹介します。

目次

生成AI定着化支援サービス

現場レポート

担当者にブースの見どころを教えていただきました。

「こちらでは生成AIの定着を支援するサービスとAIアバターをご紹介しています。ソフトバンクの法人事業でも使われているAzure OpenAI Service を基盤とした対話型AIの業務支援ツールは定着率も70%と高く、自信を持ってご提供しています。生成AIは入れて終わりではなく定着させることが目的です。企業の課題として多い生成AIをどのように社内定着させていくかというところを、私たちのこれまでのノウハウをもとに『生成AI定着化支援サービス』としてご提供しています。
ソフトバンクは生成AIの環境構築からユーザー向けの勉強会、説明会、情報発信、コンテストの開催など、組織への浸透までを一気通貫でサポートします。
コンテストでは、これまでにグループ企業も参加する通算7回生成AI活用コンテストを実施しているソフトバンクのノウハウをもとに一緒に伴走し、管理者様向けには検証のご報告と土台までお作りさせていただきます。コンテストの際に、社内の新たな課題を発見することもできます。例えば、『経理部門がこういうところで困っているからこういうプロンプトを作るべきだ』といった発表から課題が見えることで、解決に向けた取り組みが可能です。実際に、コンテストを実施されている金融業界のお客さまもいらっしゃいます」

生成AI定着化支援サービスのブースの様子 生成AI定着化支援サービスのブースの様子

また、将来の展望についてもこう語ります。

「ChatGPTなど、AIの技術は日々進化し続けています。生成AIをより使いやすくするために、今後もトレンドにあわせてサービスを変えながら、企業に生成AIを定着させる支援を行っていきたいと思っています」

さらに、AIアバターについても伺いました。

「実際にソフトバンクの法人部門の社員がアバターモデルとなり、どのようにアバター化されるのかをメイキング動画で紹介しています。視覚および音声を通じて情報を発信することができるコンテンツで、社内広報的な役割やオンライン接客など今後のさまざまなシーンでの利用が期待できます」

AIアバターメイキング動画ご紹介の様子 AIアバターメイキング動画ご紹介の様子

実際に展示ブースの横では、AIアバターがユースケース集を紹介しているデモ動画も投影されていました。音声を聞かないとAIアバターだと気付かないお客さまもいるほど、見た目はリアルな動きと表情でした。

AIアバターがユースケースをご紹介するデモ動画の様子 AIアバターがユースケースをご紹介するデモ動画の様子

>生成AI定着化支援サービスについて、詳しくはこちらをご覧ください

生成AIパッケージ

「生成AIパッケージ」は、MSP(Managed Service Provider)サービスで提供しているソリューションで、導入から管理・運用・保守までをソフトバンクが代行します。お客さまのプライベート環境に、Azure OpenAIなどの生成AIをスムーズにご導入いただけるパッケージサービスです。100社以上のご利用実績があり、金融業界でも多くのお客さまにご利用いただいています。
「生成AI環境を構築・運用する社内リソースがない」「早期に生成AIの社内利用を開始したい」「生成AIを活用するにあたりセキュリティに問題がないか不安」などの企業の課題解決に向けて、導入から本番環境構築、利用開始後まで幅広くサポートする安心の24時間365日のサポートが含まれています。

生成AIパッケージのブースの様子

生成AIパッケージのブースの様子

生成AIパッケージのブースの様子

現場レポート

担当者にブースの見どころを教えていただきました。

「生成AIパッケージのブースではAIエージェントをはじめとする、さまざまなプラグイン機能をご紹介しています。AIエージェントは、人間の指示通りに動く単なる『ツール』から脱皮し、目標達成のためにタスクを考え​、複数のタスクを自律的に実行する『アシスタント』の役割を果たします。例えば、カスタマーデータプラットフォーム(CDP)のTreasure Data CDP(トレジャーデータ)と連携し、営業データから目的に合致する情報を取得、その情報をもとに提案書を作成します。また、生成AIパッケージのChatUI以外にもPowerPoint のCopilot やAIアバターなど、他システムからの利用も可能です。

生成AIパッケージでは、近日中に最新モデルの「o1-preview」と「o1-mini」のリリースを予定しています。今後も生成AIをご活用いただくための、より便利なプラグインやモデルを提供していきたいと考えています」

AIエージェントプラグイン概要

AIエージェントプラグイン概要

生成AIパッケージデモ画面 生成AIパッケージデモ画面

>生成AIパッケージについて、詳しくはこちらをご覧ください

AI・DX人材育成サービス 「Axross Recipe for Biz」

Axross Recipe for Biz のブースの様子

Axross Recipe for Biz のブースの様子

Axross Recipe for Biz のブースの様子

現場レポート

担当者にブースの見どころを教えていただきました。

「こちらのブースは、オンライン学習で生成AIに対する人材教育が行える『Axross Recipe for Biz(アクロス・レシピ・フォー・ビズ)』というサービスをご紹介しています。実際にデモ体験をしながらオンライン学習環境の確認ができるため、よりイメージがつきやすい状態でお客さまへご案内ができます。

生成AIを導入する企業が増えている中で、『社内導入したけれど使いこなせない』『使い方が分からないという理由で使われない』『導入を検討をしているが、AIの知識やノウハウのある人材がいなくて不安がある』といった課題がよくあるため、生成AIの活用には人材育成も重要になります。『Axross Recipe for Biz』では、プロンプトの書き方を学ぶことができるだけでなく、精度の高いプロンプトが用意されておりそのまま実践的に活用いただくことができます。従来のオンライン学習のようなインプットだけではなく、アウトプットにも力をいれている点が特徴になっています。

さらに、社内コンテスト開催支援も行っており、実際に金融機関のお客さまでも導入されています。コンテストを通して社員の方から使い方のアイディアが出てくることで、会社独自の使い方を生み出すことができます。
今後は、人材教育のサービスと併せて人材アセスメントも提供していくので、個人の学習した内容からスキルを可視化し、将来的に人事評価にも踏み込んでいけるようなサービスを目指しています」

Axross Recipe for Biz のデモの様子 Axross Recipe for Biz のデモの様子

>Axross Recipe for Bizについて、詳しくはこちらをご覧ください

RAGの回答精度向上を支援する「TASUKI Annotation」

通常の生成AIは一般的な情報しか持ち合わせていないため、社内規定や人事規則など社内の情報から回答を作成したい場合には、チャットに入力された情報と近いデータを社内のデータベースから引っ張ってきて、それを基に文章を生成するRAGという仕組みが使われることが多いです。

「TASUKI Annotation(タスキアノテーション)」は、このRAGの回答精度を高めるための
・データ改善・検証を伴走支援する「データ構造化代行サービス」
・データの構造化や回答精度評価の作業を自動化する「RAGデータ作成ツール」
の2つを展開しています。
RAGに関する知見がなくても、社内データを活用した精度の高い回答生成を得ることが可能なサービスです。

「TASUKI Annotation」 のブースの様子

「TASUKI Annotation」 のブースの様子

「TASUKI Annotation」 のブースの様子

現場レポート

担当者にブースの見どころを教えていただきました。

「ChatGPTや生成AIを活用するときに、自社のデータを連携して回答させたいというニーズが多くありますが、生成AIはそのままだと企業の内部にあるデータからの回答作成はできません。また、PDFやPowerPoint はそのままだと上手く回答精度が上がらないという課題があります。
それに対して、データ構造化と呼ばれるデータ加工を代行するサービスと、効率的にデータ構造化を実施できるRAGデータ作成ツールのご提供をすることで解題解決可能な『TASUKI Annotation』というソリューションを展示しています。
ブースでは、RAGデータ作成ツールのデモを見ることができるため、どのようにPDFファイルを構造化していけば精度が上がるのかという一連の流れを見ることができます」

PDFやPowerPoint での回答精度が上がらないのはどうしてでしょうか。

「ChatGPTは文字認識は得意ですが、色や位置関係で示されているものについては解釈しにくい特性があるためです。
回答精度を高めるためのデータ変換作業を代行することで、例えば11%しかなかった精度を80%以上に向上させることが可能です。しかし、データ構造化作業は回答精度向上には役立つものの、工数がボトルネックになりやすいのでそこを解決できるRAGデータ作成ツールも提供しています」

RAGデータ作成ツールとはどんな特長があるのでしょうか。

「生成AIに詳しくない方でも使える点と、このツールにPDFを入れるだけで生成AIが解釈しやすい形にデータ変換が可能な点です。また、作ったデータ自体を、ツールが自動で回答精度評価をしてくれます。そのため、知見がない方でも構造化の作業ができます」

また、金融業界でのユースケースについてもお話いただきました。

「金融業界では、お客さまから質問を受けた窓口担当者が質問に答えられない場合がありますが、ヘルプセンターでのサポート履歴をデータベースに蓄積しておくことで、それをベースに回答ができ、業務の効率化が可能です。また、保険商材の約款に対する代理店からの質問への応答作業についても問い合わせ作業の効率化が可能です」

最後に今後の展望を伺いました。

「RAGデータ作成ツールをリリースし、実際にお客さまのデータから回答作成したり、連携させるところに引き合いをいただいているので、技術の進歩にあわせて機能を追加しながら、RAGでお困りのお客さまを助けたいと思っています」

>TASUKI Annotation:RAGデータ作成ツールについて、詳しくはこちらをご覧ください

Gen-AX砂金氏×ソフトバンク講演「生成AI活用事例と今後の生成AIの展望」

17日(木)には、Gen-AX株式会社 代表取締役社長CEO 砂金 信一郎氏と、ソフトバンク株式会社 デジタルエンジニアリング本部 部長の三木 和也による生成AI時代の戦略についての講演が行われ、多くの金融業界の方が熱心に聴講されていました。

ソフトバンクの三木からは、ソフトバンクのビジョンや生成AIの支援体制、未来予測が語られました。

ソフトバンク株式会社 デジタルエンジニアリング本部 部長の三木

また、Gen-AXの砂金氏は、生成AI活用の成熟度に触れつつ、金融業界における生成AIの社内展開の推奨ステップや、Gen-AXで現在開発中の損害保険をモデルとしたデモ、銀行のコールセンターにおける問い合わせ内容の分析などを交えて、生成AI活用に際して注意すべき点やその進め方について語りました。

Gen-AX株式会社代表取締役社長CEOの砂金氏

>Gen-AX砂金氏×ソフトバンク講演「生成AI活用事例と今後の生成AIの展望」のオンデマンドウェビナーはこちらをご覧ください

十六フィナンシャルグループ×ソフトバンク講演「攻めと守りのDX戦略」

18日(金)には、十六フィナンシャルグループが積極的に進めるDXについて、ソフトバンク株式会社法人マーケティング本部 部長の丹羽みずきをモデレーターとし、十六フィナンシャルグループ執行役員グループDX統括部長の浅井 裕貴氏と、グループDX統括部 担当部長の久保田 健司氏による講演が行われました。本講演では、同社が目指すDXの全体像や具体的な取り組み、「攻め」と「守り」が一体となったDX戦略や生成AIへの取り組み、そして金融業界特有の文化や慣習という課題をどのように克服してきたかトークセッションも交えながら詳しく紹介されました。

講演をする十六フィナンシャルグループ執行役員の浅井氏と、グループDX統括部 担当部長の久保田氏、ソフトバンクの丹羽

DX推進における実践的なノウハウや成功の秘訣を学ぶことができ、同様の課題を抱える企業にとって有益なヒントが得られる内容となっており、当日も多くの金融業界のお客さまから参考になったとのお声をいただきました。

>十六フィナンシャルグループ×ソフトバンク講演「攻めと守りのDX戦略」のオンデマンドウェビナーはこちらをご覧ください

金融業界でも生成AIの進化とともにAIへの注目が高まっている

ソフトバンクでは全社を上げて生成AI活用への取り組みを進めており、今回のFIT展においても、最新の技術を活用したさまざまな取り組みをご紹介しました。展示ブースや講演へお越しいただいた金融業界の多くの方の様子からも、生成AIへの期待の高まりを強く感じました。

今回のレポートではお届けしきれなかった生成AIの活用事例やユースケースがまだまだたくさんあります。各サービスページや、オンデマンドウェビナーも併せてぜひご覧ください。

ソフトバンクではこれからも金融業界のお客さまをはじめ、多くのお客さまの課題解決に向けた取り組みの支援をしてまいります。

関連記事リンク

FIT2024で実施したセミナーのオンデマンド配信

【地銀様向け】生成AI活用事例と今後の生成AIの展望

ソフトバンクは、生成AIを含む様々なソリューションを駆使し、金融機関のお客様のDXを推進してまいりました。実際に弊社が支援したお客様の事例に加え、さらなる金融機関のDX化をご支援する生成AIソリューションについて、Gen-AX株式会社 代表取締役社長CEO 砂金 信一郎氏と、ソフトバンク株式会社 デジタルエンジニアリング本部 部長の三木 和也よりご紹介いたします。
視聴する(無料)

【十六FG様ご登壇】攻めと守りのDX戦略
~十六フィナンシャルグループ×ソフトバンク~

十六フィナンシャルグループとソフトバンクが取り組む先進的なDX戦略をご紹介いたします。両社の協業によって実現した「攻め」と「守り」のDX戦略に焦点を当て、スマートフォンを活用したコールセンターの構築やGoogle Workspace導入などの具体的な取り組みを通じ、業務効率化とセキュリティ強化の両立を図る手法をお伝えします。さらに、両社の視点から見た地銀におけるDX推進のポイントや今後の展望についてもディスカッションします。デジタル技術を活用した顧客サービスの向上と、堅固なセキュリティ体制の構築を目指す地銀の皆様にとって、貴重な情報源となるセミナーです。
視聴する(無料)

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角田 麻貴
ソフトバンクビジネスブログ編集チーム
角田 麻貴
ソフトバンクにて新規事業開発などを経験後、2021年よりB2Bマーケティングに従事。
イベントやウェビナーの企画運営を担当したのち、2024年よりコンテンツ制作に携わる。

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