ドローン免許とは? 国家資格の概要と取得方法、メリットを解説

2024年3月15日掲載

ドローン免許とは? 国家資格の概要と取得方法、メリットを解説

ドローンの活用が拡大するにつれ、国土交通省が制定した国家資格「無人航空機操縦者技能証明」が話題になっています。これは、一般的に「ドローン免許」と呼ばれているものです。ドローンのビジネス利用を考えている企業では、ドローン免許とはどのようなものか、詳しく知りたいと考えているのではないでしょうか。
そこで今回は、ドローン免許とは何か、取得方法やそのメリットなどをご紹介します。

※正しくは「無人航空機」とされる、ドローンのようなマルチコプターをはじめとした回転翼、固定翼など全ての「無人航空機」が制度の対象となります。本ブログでは便宜上、ドローンと記載しています。
目次

ドローン免許制度の概要

一般的に「ドローン免許」と言われることが多いですが、正式には免許ではなく「技能証明」と呼ばれるもので、必要な技能を有することの証明書です。飛行場所や方法、ドローンの重量などによっては、技能証明がなくても飛行させることが可能です。
ドローンの技能証明制度は航空法の改正に伴い2022年12月に施行されたもので、正式には「無人航空機操縦者技能証明」と言い、次の2つに分かれています。

各資格の詳細は後半の「ドローン技能証明の種類や飛行要件」で説明します。
また、最新の情報については国交省航空局や指定試験機関である一般財団法人日本海事協会の公式サイトをご確認ください。

航空安全:無人航空機操縦者技能証明等 - 国土交通省
無人航空機操縦士試験案内サイト

国家資格が必要になった背景

ドローンの操縦に関する国家資格「無人航空機操縦者技能証明」の制定には、次のような背景があります。

無人航空機飛行に関わる許可承認申請件数の推移

ドローン規制については、次の記事も参考になさってください。

ドローン免許の種類や飛行要件

「無人航空機操縦者技能証明」の種類や要件を説明します。

レベル別の要件

ドローンの飛行レベルは、飛行するエリアや飛行方法などに応じて次の4段階に分けられています。

つまり、有人地帯での飛行ができるのはレベル4のみです。レベル4飛行が実現できれば、ドローンをさまざまな分野でより実用的に活用できると期待されています。

レベル4飛行については、次の記事も参考になさってください。

無人航空機操縦者技能証明の種類

技能証明には次の2つの等級があり、等級によって飛行可能な範囲が異なります。それぞれ有効期間は3年間で、受験できるのは16歳以上です。

無人航空機の飛行許可・承認手続(飛行カテゴリー決定のフロー図)

基本的には、一等・二等の技能証明を取得していても、目視内・昼間でしかドローンを飛ばすことはできません。目視外や夜間、25kg以上のドローンといった飛行方法を行う場合には限定変更と呼ばれる試験を受けて、それぞれの限定を解除するか都度国土交通省への飛行許可を取る必要があります。

ドローンに関する資格としては、ほかに民間資格の「DPAドローン操縦士回転翼」もあります。しかし、民間資格では飛行のたびに申請・承認が必要で、飛行できるエリアもレベル3までに規制されています。

レベル4飛行には国家資格が必須であることを考えても、ビジネス利用には国家資格、できれば一等無人航空機操縦士が必要であると言えるでしょう。

機体認証の手続き

機体認証は、ドローンの設計・製造過程・機体の現時点の状況が安全基準に適合しているかを検査し、安全性を担保するための認証制度で、自動車の車検制度のようなものです。機体認証がなくても、国土交通省から飛行許可が下りていれば特定飛行は可能ですが、機体認証を技能証明とセットで取得していれば、レベル4や一部の特定飛行に対する飛行許可申請がいらなくなるなどのメリットがあります。

ドローン免許を取得するメリット

無人航空機操縦者技能証明を取得することには、次のようなメリットがあります。

※特定飛行のうち、人口集中地区(DID)上空、夜間、目視外、人または物件から30mの距離を取らない飛行であって、飛行させる無人航空機の最大離陸重量が25kg未満の場合は、立入管理措置を講じた上で、機体認証を受けた無人航空機であれば申請は不要。

企業はドローンをどのように活用しているのか

ドローンの導入により、企業のビジネスはどう変わっているのでしょう。いくつかの業界や分野における活用例を紹介します。

建設業界

ドローンなら、人の入れない場所や危険な場所でも作業が可能です。例えば、測量、点検、メンテナンス、工事の進捗管理、モニタリング、一時的な通信基地局・中継局などに使われています。
人の代わりにドローンを導入することで、より安全な作業環境を構築可能です。また、これは労働力不足への対策にもなります。

建設業界でのドローン活用については、次の記事も参考になさってください。

セキュリティ分野

定期的な巡回警備をドローンに任せることができます。ドローンにセンサを搭載することで、労働力不足を解消しながら、より多くのポイントを詳細に見回ることが可能です。
恒常的な施設警備だけでなく、イベント警備にも活用できます。

農業

農薬や肥料の散布、種まきなどには、古くからドローン(ラジコン飛行機)が使われていました。最近は受粉や土壌調査、発育状況のモニタリングなどIoTデバイスとして使われたり、害獣対策に使われたりすることもあります。

農業でのドローン活用については、次の記事も参考になさってください。

物流業界

物流業界は、ドローンの活用が大きく期待されている業界です。いわゆるラストワンマイル部分の配送や、山間部への配送にドローンを活用することで労働力不足の解消につなげ、2024年問題への対策になることも期待されています。
また、倉庫内でドローンを飛行させ、部品・商品の点検や搬送、在庫管理を行うことも可能です。

物流業界でのドローン活用については、次の記事も参考になさってください。

ドローン免許取得の流れと費用

無人航空機操縦者技能証明を取得するための流れを紹介します。

無人航空機操縦者技能証明取得の流れ

無人航空機操縦者技能証明の取得方法は、自動車運転免許とよく似ており、学科試験・実地試験・身体検査で構成され、2つの方法があります。

1.講習を申し込む
2.講習を受ける(学科および実技) 卒業試験が実地試験の代わりとなります。
3.講習後、指定試験機関で学科試験・身体検査を受ける

登録講習機関なら、全くの初心者でも講習を受けることができます。ただし、一定の時間とコストが必要です。

1.独学で実地の練習や学科の勉強を行う
2.指定試験機関で実地試験・学科試験・身体検査を受ける

最短、低コストで技能証明の取得が可能ですが、初心者には難しい部分も多いでしょう。すでに民間資格を持っているような、ある程度の経験者向けと言えます

技能証明取得費用の相場

多くの場合、登録講習機関で講習を受け、その後に学科試験を受けます。その場合は講習費用、講習機関の手数料、試験の手数料などが必要です。

また、一等資格の受講費用は、二等資格よりも高くなります。

講習費用:30万円程度
学科試験:1万円程度
実地試験:2万円程度(登録講習機関で講習を受けていない場合に必要)
身体検査:5千円~2万円程度
交付費用:3千円程度(新規)

講習費用:60万円程度
学科試験:1万円程度
実地試験:2万円程度(登録講習機関で講習を受けていない場合に必要)
身体検査:5千円~2万円程度
交付費用:3千円程度(新規)
登録免許税:3千円程度(一等のみ必要)

上記金額はあくまで参考であり、特に講習費用は登録講習機関によって異なります。また初心者か経験者であるかで講習時間が変わるため、費用に違いが出てきます。

国家資格であるドローン免許(技能証明)の取得で活用の幅が大きく広がる

ドローンは、さまざまな業界で活用され始めています。特に、レベル4飛行が可能になれば人の入れない場所での作業や、常時モニタリングによる安全な作業環境を構築することも可能です。
ドローンに関する安全対策や規制は最近ようやく定まってきたところで、飛行レベルや必要な申請・承認などもまだ広く知られていませんが、一方でドローンを安全に活用するためのさまざまなサービスも登場してきており、活用の幅を一気に拡大する可能性を秘めています。

例えば、高精度測位サービス「ichimill」とドローンを組み合わせることで、誤差数センチメートルの正確な位置情報の取得が可能となり、屋外での正確で安全なドローン飛行が実現できます。
ドローンのビジネス活用に向けて「無人航空機操縦者技能証明」、いわゆるドローン免許の取得やレベル4飛行を可能にするための一等無人航空機操縦士資格の取得とあわせて、情報収集を進めてみてはいかがでしょうか。

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