ドローンの規制・法律を解説 安全飛行へのカギは測位精度にアリ

2024年2月13日更新

日本のドローン規制を知る 安全飛行へのカギとなる測位精度

ドローン(UAV)のレベル4飛行が解禁されたことにより、建設、測量、空撮、農業、物流など活用の場を広げています。
労働環境を変革し、人手不足や高齢化対策にもなり得るドローンですが、一方では迷惑行為や反社会的な目的で利用されるドローンの話題も多くなっています。ルールを守ってドローンを活用するにはどうすればよいのか、ルールに違反するとどうなるのか、建設業界を中心にドローンの導入を検討している企業も増えている今、ドローンの規制や法律について理解する必要があります。
本記事では、ドローンが規制された理由や規制内容、法律や条例に違反しないために取り組むべきことを解説します。

目次

ドローンが規制された背景とは

2015年4月、首相官邸屋上で放射性物質や発煙筒を搭載した所有者不明のドローンが発見され、反原発の主張をする男性容疑者が逮捕されました。それまでもドローンによる史跡の損壊や人の負傷事故がたびたび起きていましたが、この首相官邸事件を直接のきっかけとして、一般にドローン規制法と呼ばれる小型無人機等飛行禁止法が施行されました。

ドローンに関係したさまざまな法令

ドローンは飛行場所や飛行目的により、ドローン規制法以外にもさまざまな法令による規制があります。レベル4飛行の解禁という最新情報も交えながら、ドローンに関係する法令を説明します。

航空法(レベル4飛行認可)

2022年12月に施行された「無人航空機の機体認証、操縦ライセンス制度等の創設」により、従来の航空法では認められていなかった「有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)」が認められました。
つまり、市街地上空などでのドローンの自動飛行が可能になったのです。同時に、飛行の安全を厳格に担保するために、機体認証と操縦ライセンスが必要となり、運航ルールにも修正が加えられました。具体的な変更点は以下の通りです。

従来の制度では、一定の空域(空港周辺、高度150メートル以上、人口密集地域上空)での飛行や夜間飛行、目視外飛行の場合には、国土交通大臣の許可・承認が必要でした。

改正後は、飛行ごとに許可・承認を受け、機体認証を受けた機体を、操縦ライセンスを有する者が操縦し、飛行計画などの運航ルールに従えば、「有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)」が可能となりました。申請は従来の紙での申請ではなく、原則オンラインで行うよう周知されています。

「第三者上空以外」で一定の空域、夜間飛行、目視外飛行に該当する飛行は、機体認証を受けた機体を、操縦ライセンスを有する者が操縦し、飛行計画などの運航ルールに従えば、原則として飛行毎の許可・承認は不要です。
これ以外の飛行は、従来も改正後も手続きは不要となっています。

※参考:国土交通省(無人航空機の飛行許可・承認手続

▶関連記事:解禁されたドローンのレベル4飛行。「目視外飛行」のために押さえておくべきポイント
 

小型無人機等飛行禁止法

前述したドローン規制法と呼ばれるもので、国の重要な施設をはじめとする周囲おおむね300メートル以内では、小型無人機等の飛行が原則禁止されています。

<対象施設の例>

①国の重要な施設など
 ・国会議事堂
 ・内閣総理大臣官邸
 ・最高裁判所庁舎
 ・皇居・御所

②外国公館など

③防衛関係施設
 ・自衛隊施設
 ・在日米軍施設

④空港

⑤原子力事業所

飛行禁止の例外として、対象施設(防衛関係施設と空港を除く)及び、その周囲おおむね300メートル以内で小型無人機等を飛行させる場合、事前に都道府県公安委員会(警察)などへの通報が必要です。

土地所有権の範囲についての基本的な考え方は、民法207条に「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」とされているため、土地所有者の同意を得ずにドローンを飛行させると所有権の侵害にあたります。

また、ドローンの飛行により土地所有者に何らかの損害が発生した場合は、損害賠償を求められる可能性があり騒音も損害の対象になり得ます。誰かの土地の上空が飛行ルートに入っている場合は所有者や管理者の承諾を得るなど必要な措置をとりましょう。

参考:警察庁(小型無人機等飛行禁止法関係
 

電波法

ドローンは機体の操縦や映像の伝送に無線通信を行うため、電波法上の技術基準適合の取得が必要です。日本国内製品や大手メーカ製品は技術基準に適合していることを示す「技適マーク」が付けられていますが、海外メーカ製や並行輸入品のドローンは「技適マーク」がない場合があるため注意しましょう。

参考:総務省(技適マークのQ&A
 

道路交通法

道路の上空を飛行する場合には、道路使用許可は原則不要です。ただし、道路上での飛行や付随する作業が道路において危険や交通妨害を生じさせると判断される場合には、状況に応じて所轄の警察署へ道路の使用許可をとるように通達されています。ドローンの飛行においては路上での離着陸や低空飛行など通行車両に接近するような場合もありますので注意が必要です。

参考:警察庁(無人航空機に係る道路使用許可の取扱いについて

都道府県、市町村条例

各都道府県や市町村によって異なりますが、公園や公共施設周辺などでドローン飛行を禁止する動きが広がっています。飛行場所が確定次第、該当の都道府県や市区町村のWebサイトなど関係窓口への事前確認を行うようにしましょう。
 

プライバシー権、肖像権、軽犯罪法、個人情報保護法など

2015年9月に総務省が「ドローンによる撮影映像等のインターネット上での取り扱いに係るガイドライン」を示しました。ドローンによる撮影行為がプライバシーや肖像権といった権利を侵害する可能性があるため、具体的に注意すべき事項として「住宅地にカメラを向けない配慮」「人物の顔や車両のナンバープレートにぼかし処理を施す」などの措置が必要としています。

個人情報の厳格な管理が必要な現在、ドローンで撮影した画像がプライバシーや肖像権の侵害にならないように十分な注意が必要です。
 

救護義務や保険加入について

全ての操縦者は、自身が操縦する無人航空機によって人が負傷した場合に、その負傷者を救護する義務があります。業務で利用するのであれば故障や操作ミスなど万一の事故に備えて、保険への加入をおススメします。

必要な許可や申請は場所や状況で異なる

前述のようにドローンの飛行にはさまざまな法令が関係するため、必要となる許可や申請場所は異なります。飛行する場所によっては前述の法令以外に海上保安庁や河川事務所などへの申請が必要になることもあります。さらに、2022年12月に施行された運航ルールにより、無人航空機を特定飛行させる場合は飛行計画の通報が義務付けられ、飛行日誌の作成も必要になります。

航空法による国土交通大臣への認可申請の場合、飛行開始予定の10営業日前までに申請書類の提出が必要です。関係各所への審査に期間を要するため余裕を持って対応しましょう。

ドローン規制に違反するとどうなるのか

各法令ごとに違反の内容によって罰金や懲役などの罰則が定められています。
例えば、航空法では100g以上の重量を持つドローンの機体登録を行わずに飛行させた場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
また、ドローン規制法(小型無人機等飛行禁止法)では、禁止となっている重要施設の周辺上空を飛行した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

安全なドローン飛行の決め手は高精度測位

ドローンのレベル4飛行の解禁により、ますます需要拡大が期待されていますが、安全なドローン飛行を行うためには法令やルールを理解し遵守することがとても重要です。

また、ドローン本体の飛行位置を正確に把握することが安全なドローン飛行には欠かせない条件です。従来のGPSでは測位精度に限界がありましたが、準天頂衛星システム「みちびき」などGNSSからの信号と地上に設置された電子基準点からの信号を利用して、高精度な測位を可能にしたRTK(Real Time Kinematic)測位の登場により、高精度な位置情報の取得が可能となりました。

▶関連記事:RTKとGPSの違いとは?これからの高精度測位サービスについて

ソフトバンクではRTK測位を利用した高精度測位サービス「ichimill(イチミル)」を低価格で提供しています。従来のGPS測位では、2~10メートル程度あった誤差を、数センチメートルにまで縮めることを可能にした高精度測位サービス「ichimill」は、ドローンの安全飛行を支える決め手としていま注目されています。

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