人流データで解析! 河津町から巡る伊豆半島の観光ルート〜お花見客は河津桜まつりのあと、どこに行く?
2025年3月28日掲載
カワヅザクラで有名な静岡県河津町では、今年も河津桜まつりが開催されました。全国から多くの方が早咲きの桜を楽しまれたようで、お祭りの開催期間(2025年2月1日(土)〜3月9日(日))には54万人が来場したそうです。観光地としても有名な伊豆半島。河津町で桜を楽しんだ観光客は、その後どこへ向かったのでしょうか? 人流データを分析すると、伊豆半島で今、最もアツい人気スポットが見えてきました。今回は人流データを基に混雑状況を振り返ってみるとともに、「スムーズに伊豆を楽しめる、おすすめ観光ルート」を作成してみました!
人流データとは?
人流とは「人の流れ」を意味する言葉で、位置情報を基にして人がいつ、どこからどこへ移動したのか、どこにどれくらいの時間滞在したのか、どのような交通手段を使ったのかといった情報を示すことができます。
人流データは、スマートフォンのGPSや基地局から得られた位置情報や公共交通機関の乗降者データなどさまざまな方法で集められ、個人を特定されないよう匿名化および統計加工されています。
近年では観光や都市開発、小売業における商圏分析など、多くの分野で活用が進められている一方で、人流データで何ができるのか、その活用方法が分からない方も多くいらっしゃるのではないのでしょうか。今回は実際にスマホアプリから収集した位置情報データを利用した人流データを取り扱うAgoop社協力のもと、「観光」分野での人流データの活用方法をご紹介します。
河津桜まつりの混雑状況は?
まずはAgoopの人流可視化分析ツール「Kompreno」を使って、河津桜まつりの混雑具合を分析しました。
▼人流データ 分析条件
活用ソリューション
分析地域
データ収集日
滞在者の条件
※許諾を得たユーザーのスマホアプリから収集した位置情報データ
▼人流データ 分析結果
こちらは、先日Komprenoでリリースしたばかりの「3Dメッシュ」表示機能を使って、河津町周辺の人流を可視化したマップです。動画で色がついている箇所が人の流れを表しており、黄色や赤になるほど、人が大勢集まっていることを示しています。画面の左側は開催初日である2月1日(土)の様子です。それに比べて画面右側の3月1日(土)は、晴れて気温も16℃と比較的過ごしやすい1日だったこともあり、たくさんの方が河津桜まつりに来場したようです。河津町周辺を見てみると、特にお昼にかけてピンク色のグラフが伸びており、12時〜14時ごろが一番混雑していることが分かります。今年は桜の開花が遅かった影響もあり、2月1日(土)と比較してみても、その差は一目瞭然です。
この動画は、人流を平面で表示したものになります。特に東京方面(画面右側)から人が流れている様子が見えることから、地元の方だけでなく県外の観光客もこの河津町桜まつりに大勢訪れたことが分かります。
まつりなので「人がたくさん来るだろう」となんとなく考える人は多いかと思いますが、実際にどのくらいの人が訪れるのか、どこから来るのか、何時ごろが混雑するのか、といったことがデータで可視化できることが、Agoopを始めとする人流データを取り扱うソリューションの特長です。
人流データソリューション一覧
ソフトバンクの人流分析・活用ソリューションを一覧でご紹介します。まちづくり/出店戦略/観光事業など、多様な領域を効率化します。
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人流データで解析! 河津町周辺の伊豆観光地ランキング
道や場所の混雑度を可視化した次は、「河津桜まつりを訪れたであろう人たちが、桜を楽しんだあと、どこを観光しているのか?」を、Agoop社で現在開発中の「混雑度ランキング」の機能を使って調査しました。この機能では指定した時間帯で、どこの場所に滞在している人が多いのかをランキング形式で出すことができます。まずは「河津桜まつりに立ち寄った人」に限定し、12時〜18時の混雑ランキングを出してみました。こちらは開発中の画面ですが、画面左側の赤枠部分にランキングが表示され、そのエリアの混雑具合を確認することができます。
※開発中の画面のため、正式リリース時の仕様では機能が大きく変更になる可能性があります。
※開発中の画面のため、正式リリース時の仕様では機能が大きく変更になる可能性があります。
以下が、河津桜まつり後の立ち寄り混雑ランキング トップ5の観光地になります。
伊豆の特性上、基本的な道路が2本と限られていることから、帰り道がてら観光して帰る人々が多いみたいですね。
1位 伊東マリンタウン(静岡県伊東市)
レストランやショップ、海が一望できる温泉がある道の駅です。
2位 河津七滝(静岡県賀茂郡河津町)
その名の通り7つの滝があり、川端康成の小説「伊豆の踊子」の舞台となった天城峠にあります。
3位 浄蓮の滝(静岡県伊豆市)
狩野川上流にかかる伊豆を代表する名瀑布で、日本の滝100選にも選ばれています。
4位 道の駅 天城越え(静岡県伊豆市)
売店・食堂や、わさび加工施設もある道の駅です。
5位 大室山(静岡県伊東市)
お椀をふせたようなシルエットが特徴的な山で、国の天然記念物に指定されています。
河津桜まつりに限定しない混雑ランキングも見てみましょう
今度は、河津桜まつりに来場しない観光客も含めて分析してみました。「静岡県への県外からの来訪者」に条件を変更して、12~14時、14時~16時、16~18時の時間帯別で混雑ランキングを出してみました。
▼静岡県外からの来訪者の静岡県 混雑ランキング
スムーズに伊豆を楽しめる!おすすめ観光ルート
このように、人流データを使えば時間帯ごとに多くの観光客が立ち寄る場所も知ることができます。と言うことは、このデータを見れば混雑を避けられる場所も予測することができるんです。そこでここからは、比較的スムーズに伊豆を楽しめそうな、車で巡るおすすめ観光ルートを、ソフトバンク社員(静岡出身者と伊豆オタク)の知恵を借りながら作成してみました!
各地のおすすめのポイントやソフトバンク社員のコメントとともにご紹介します。
▼家族向けコース
①伊豆アニマルキングダム→伊東マリンタウン
河津桜まつりに立ち寄った人の観光ランキング1位だった伊東マリンタウンですが、14時〜16時台だと少し空いているようなので、ホワイトタイガーに会える伊豆アニマルキングで遊んだあと早めに立ち寄って帰宅するのにおすすめです。
②下田海中水族館→道の駅 開国下田みなと 静岡県外からの来訪者による混雑ランキング圏外のため穴場スポットとも言える下田海中水族館では、イルカの飼育員体験を親子で楽しめます。近くにある道の駅も混雑ランキング40位台と混雑を避けられそうなので、立ち寄って食事やお土産を楽しめるコースです。
③小室山→サンハトヤ 小室山は河津町から比較的移動しやすい絶景スポットです。サンハトヤと合わせて、混雑ランキングには入っていないですが、穴場な観光地としておすすめです。
▼カップル向けコース
①河津七滝→浄蓮の滝→道の駅 伊豆へそ
河津町周辺にある有名な滝を巡るアクティブなコース。混雑ランキングでも全て20位以下のため、比較的スムーズな観光ができそうです。その後、旬のフルーツを堪能できる伊豆のへそに向かってみてはどうでしょう。
②土肥金山→堂ヶ島公園(もしくは、恋人岬、黄金崎公園)
土肥金山での砂金採り体験をしたあと、西伊豆の夕日スポットとして有名な場所を巡るのはどうでしょうか。両スポットとも混雑ランキング40位以下とのんびり伊豆を楽しめるコースです。
まとめ
Agoop社の「Kompreno」は、元々防災のために開発されたソリューションです。しかし、今回紹介したように、観光客の動きを見ながら渋滞解消のための交通を整備したり、認知向上のためのプロモーション活用に利用するなど、人流データを観光分野で有効に活用しようという動きが増えてきました。ソフトバンクでは、観光や防災での人流データ活用についてもご提案していますので、気になる方はぜひお気軽にお問い合わせください!