生成AIで進化するコンタクトセンターの新たな働き方 ~新人教育やシフト作成からはじめる業務効率化~
2025年11月7日掲載
コンタクトセンター運営を主軸に、RPA販売やWeb/動画制作を手掛けるSBモバイルサービス株式会社(以下、SBモバイルサービス)は、新人育成にかかる講師の業務負荷と属人化、オペレーターの精神的負担といった課題を抱えていました。そこで、新人研修の質疑応答やテスト作成をAIで支援することで、新人育成を担当する講師の研修工数の削減と教育品質の均一化を実現しました。これにより創出された時間を新人ケアやフォローに充て、働きやすい環境づくりを進めています。
本記事では、同社がどのようにして生成AIを現場に定着させ、具体的な成果に結びつけたのか、その取り組みの詳細をご紹介します。
事業概要とサービス導入前の課題
SBモバイルサービスは、ソフトバンクグループの各社製品やサービスのご案内をするコンタクトセンターを主軸に多岐にわたる事業を展開しています。同社の事業内容と業界の現状について、次のように語ります。
浦村氏: 「我々はコンタクトセンターのBPO業務を主軸とし、RPAの販売やWeb・動画の制作も手掛けています。ソフトバンクの携帯電話のお問い合わせをはじめ、幅広いサービスのコンタクトセンター運営を担っています。電話やチャットによるお客さま対応に加え、審査や事務処理といった幅広い業務を行っています」
塚原氏:「通信業界のカスタマーサポートでは、お客さま対応の難易度が高まる一方で、作業の効率化も求められています。チャットボットなどデジタルツールが急速に普及する一方で、『人の温かさ』がより一層重視される傾向にあります。そのため、オペレーターがより付加価値の高い対応業務に専念できるよう、テクノロジーをどう活用するかが大きな課題になっています」
こうした背景から、同社が生成AIの導入を検討し始めたのは、業務の中で浮き彫りになった“新人育成の負担”がきっかけでした。
浦村氏:「弊社では毎月1回、多いときには月2回以上の新人入社があり、研修対応に多くの時間を要していました。座学だけでなく、質疑応答、ロープレ、テストの作成やフィードバックまでを担当講師が担っており、特にロープレやテスト題材の準備は講師のスキルに依存して属人化が進んでいました」
塚原氏:「特に新人に1対1で行うロープレや理解度テスト、アンケート集約・分析などに多くの時間がかかり、改善活動のPDCAを回す上でもボトルネックになっていました」
コンタクトセンターはお客さまの感情に寄り添う仕事であるため、精神的な負担が大きく、オペレーターのサポート体制や離職率改善にも課題があったと話します。
浦村氏:「現場の社員が安心して働ける環境や、育成の仕組みが必要だと感じていました。講師や管理者の作業工数を減らし、その分の時間を面談やフォローなど、より価値の高い業務に充てられるようにしたい――それがAI導入を検討したきっかけでした」
生成AI活用検証のきっかけと評価ポイント
同社では、生成AIの本格活用に向けてまず検証を実施。新人育成やバックオフィス業務での効率化を目的に、複数ツールを比較検討した結果、社内データの活用を簡単に進めることができる「dailyAI」を用いて検証を進めることにしました。セキュリティ面やシンプルな料金体系、ユーザー数無制限で展開できる点も評価ポイントであったと話します。
浦村氏:「dailyAIは安全に業務へ取り入れられる設計で、操作性も非常にシンプルでした。アクセス管理やデータ保持ポリシーが明確で、社内でも安心して試すことができました。
まずは、新人研修における作業や頻繁に発生するセンター業務の事務処理など、講師や管理部門が日常的に時間を割いていた業務で検証してみました。実際に使ってみると、情報整理にかかる手間が減り、業務全体の流れがスムーズになりました」
塚原氏:「初心者でも直感的に使えるユーザーインターフェースで、現場もすぐに操作に慣れました。AIが情報整理や発想の補助として機能し、業務の質を高める効果を確認できました。まずは小さく検証し、成果を示すことで現場理解が進み、次のステップにつなげられたと感じています」
生成AIサービスを利用して得られた効果
検証フェーズで得た知見をもとに、現在はグループ全体で活用している生成AIサービスを用いて本格運用を進めています。新人育成の効率化をテーマに、研修講師が日常的に行っていた「質疑応答対応」「ロープレ」「テスト作成」などの工程にAIを取り入れ、業務負荷の軽減と教育品質の向上を目指しました。
浦村氏:「研修資料をAIに読み込ませて質問に答えられるようにしたところ、“人が対応してくれるのと同じように答えてくれた”という声が新入社員から上がりました。質問しづらいこともAIだと気軽に聞きやすく、研修の理解度が深まったようです」
また、AIを現場に定着させるための工夫として、次のような取り組みも行っています。
浦村氏:「定着化と浸透を促進するためにユーザー向け説明会を実施し、効果的なプロンプトをみんなで共有して活用を習慣化しました。検証の効果として、講師一人分の質疑応答対応工数をAIが代替することでひと月に約160時間、テスト作成からフィードバックまでで約60時間の削減効果※が見られました」
※一部拠点でのWG単位での検証結果に基づく数値。生成AIが教育現場の生産性を大きく高める可能性を示しており、参考値として算出
塚原氏:「全国8カ所の拠点ごとにAI推進の担当者を置き、現場からのアイデアをもとに活用を広げています」
生成AIの活用は、研修以外の業務にも応用され、日常業務の中で時間がかかる作業にAIを取り入れる試みが進められています。
浦村氏:「シフト作成では、Google Apps Script(GAS)をAIで自動生成してスケジュールを組む仕組みを構築しています。従来は担当者が手作業で行っていたスクリプト作成をAIが担うことで、シフト作成にかかる時間を大幅に短縮しました。オペレーターの座席決めにも生成AIを使って効率化を進めています」
塚原氏:「雇用形態ごとに異なる休暇制度の照会をはじめ、日常業務の中で判断や情報整理に時間を要していた作業をAIが担うことで、各自の作業負担軽減と対応スピードの向上につながっています」
今後の展望
同社が目指すのは、“現場で実際に役立つ取り組み”を一歩ずつ積み重ねていくことだと話します。
浦村氏:「今後は新人育成だけでなく、社内のナレッジ共有や教育の仕組みにもAIを取り入れていけたらと思っています。AIが事務的な作業をサポートしてくれることで、講師である現場の社員もよりお客さま対応に集中できます。そうした小さな改善の積み重ねが、働きやすい環境づくりやサービス品質の向上につながると感じています」
AI活用の取り組みは日々進化を続けており、次の挑戦へとつながっています。
最後に、AI導入を検討している企業へのメッセージとして、次のように語ります。
「AIの導入というと少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、まずは小さく始めてみることが大切だと思います。実際に試してみることで、現場でも理解が進み、活用の幅が自然に広がっていきます。“まず身近の業務で、成果が出やすいことからやってみること”が一番のきっかけになると感じています」
今後もSBモバイルサービスは、生成AIの活用を通じ、未来のコンタクトセンターのあり方を追求していきます。
AIによる記事まとめ
この記事は、SBモバイルサービスでAIを推進する部門の担当者に行ったインタビューをもとに作成しています。同社では新人研修の工数負担を解消するため生成AIを活用し、質疑応答やテスト作成の効率化を実現。講師の日常的な作業工程において大幅な削減効果が生まれ、本来取り組むべき社員ケアに時間を創出することができました。
※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。
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