オーケストレーションとは? 自動化との違いや種類を解説


2026年4月10日掲載

オーケストレーションとは? 自動化との違いや種類を解説

近年、生成AIやAIエージェントの活用が進む中で、「オーケストレーション」という言葉を耳にする機会が増えています。自動化に関する用語であることを知っていても、具体的な役割やメリットまで理解しているケースは多くありません。
本記事では、オーケストレーションの意味や自動化との違い、導入時のポイントを分かりやすく解説します。

この記事の監修者

ソフトバンク株式会社 IT統括 AIテクノロジー本部 AI&データ事業推進統括部 Axross事業部 サービス開発課 中村亮太

ソフトバンク株式会社
IT統括 AIテクノロジー本部 AI&データ事業推進統括部 Axross事業部 サービス開発課
中村亮太

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目次

オーケストレーションとは?

オーケストレーションとは何かを整理した画像

オーケストレーションという言葉は、もともと音楽の「オーケストラ(管弦楽)」における編曲や指揮を意味します。IT分野では、複数のシステムやツール、自動化された処理を連携させ、ワークフロー全体を統合的に制御・管理する仕組みを指します。
クラウドサービスや各種ツールを組み合わせて利用する企業が増加しました。それに伴い、手動での設定や運用管理の負担が増大しています。こうした環境において、複数のシステムを一体的に制御し、円滑に連携させる役割を担うのが オーケストレーション です。

オーケストレーションの主な特長を整理します。

特長
目的
複数のシステムやツールを連携し、ワークフロー全体を自動化・統合管理する
対象
クラウドインフラ、ネットワーク、アプリケーション、セキュリティツールなど多岐にわたる
メリット
属人化の解消、ヒューマンエラーの削減、運用コストの適正化

複数システムの連携と自動化

オーケストレーションの最大の強みは、独立した複数のシステムを横断して一連のプロセスを実行できる点にあります。
従来では、システムAのデータ更新を待ってから手動で加工してシステムBへ入力、さらにBの容量が足りなければ手動で追加するといった、複数のシステムにまたがる手順を踏む必要があります。オーケストレーションは、個別の処理を連携させ、システム全体の状況を踏まえて一連のワークフローとして実行します。
これにより、作業の属人化を防ぎながら業務スピードを向上させ、複雑な設定変更も一元的に適用できるようになります。

なぜオーケストレーションが必要なのか?

企業を取り巻くIT環境は急速に複雑化しており、オーケストレーションの必要性が高まっています。その背景には、企業が抱える運用上の大きな課題が関係しています。オーケストレーションは単なる業務効率化にとどまらず、企業の競争力強化にも直結します。
例えば、システム構築や運用にかかる工数を削減することで、インフラ運用コストの最適化が可能になります。また、作業の自動化と標準化により、ヒューマンエラーの抑制やサービス品質の安定化にも寄与します。さらに、新規サービスの立ち上げやシステム変更への対応スピードが向上するため、ビジネス環境の変化に迅速に対応できる点も大きなメリットです。
このようにオーケストレーションは、IT運用の効率化だけでなく、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支える重要な基盤となります。

なぜオーケストレーションが必要なのか整理した画像

ITシステムの複雑化への対応

オンプレミスと複数のクラウドサービスを組み合わせたハイブリッド環境や、部門ごとに異なるSaaS導入が一般化しています。これにより、システムごとの設定や監視を個別に行う必要が生じ、運用負荷が増大しています。
オーケストレーションを導入することで、分散したシステムを一元的に管理し、設定や運用を自動化できます。システム間の依存関係をツールが整理しながら正確な手順で処理を実行できるため、複雑な環境でも安定した運用が可能になります。

IT人材不足を補う

もうひとつの大きな理由が、IT人材の慢性的な不足です。
総務省の「令和7年版 情報通信白書」によると、デジタル化を推進する上での課題として人材不足を挙げる日本企業の回答割合は48.7%に上り、諸外国と比較しても突出して高い割合となっています。(参考:総務省|令和7年版 情報通信白書|各国企業のデジタル化の状況
高度なスキルを持つインフラエンジニアやセキュリティ担当者を採用するのは容易ではありません。オーケストレーションによって高度な運用手順をあらかじめ自動化しておくことで、熟練したエンジニアに依存せずとも、一定の品質でシステムを運用できるようになり、限られた人材をより戦略的なコア業務へ配置することが可能となります。

AIオーケストレーションの注目

近年、生成AIやAIエージェントの活用が進む中で、「AIオーケストレーション」という概念も注目されています。
AIオーケストレーションとは、複数のAIモデルやエージェントを連携させ、タスクの内容や状況に応じて最適な処理を動的に選択・実行する仕組みを指します。
例えば、ユーザーからの問い合わせに対して、内容を解析するAI、回答を生成するAI、結果を検証するAIといった複数のエージェントを組み合わせ、一連の処理を実行するといった活用が可能です。AI同士を連携させながら処理の流れを最適化する仕組みによって、従来は人手で行っていた判断や切り替えをシステム側で担うことができるようになります。
オーケストレーションは、こうしたAIの連携・制御を実現する基盤となる技術としても重要性を増しており、今後のシステム運用や業務自動化において、さらに活用が広がると考えられます。

自動化(オートメーション)との違い

オートメーションとオーケストレーションは混同されがちですが、対象範囲と役割が異なります。
自動化は、特定のツールやシステムで行われる「1つのタスク」を人手を介さずに効率的に処理する仕組みを指します。例えば、毎日決まった時間にバックアップを実行する処理などは自動化に該当します。
一方、オーケストレーションは、それらの「自動化された複数のタスク」を連携し、正しい順序で実行し、システム全体を調整する上位の仕組みです。自動化が個別作業の効率化であるのに対し、オーケストレーションは複数の自動化を組み合わせて全体最適を図るアプローチといえます。

以下の表で、両者の違いを比較します。

自動化(オートメーション)
オーケストレーション
対象範囲
単一のタスクやプロセス
複数のタスクやプロセスを横断した全体のワークフロー
対象
作業時間の短縮、省力化
システム間の連携を調整し、全体を最適化・自動化
制御の範囲
個別の処理を自動実行
複数処理の順序・依存関係・条件分岐を含めて全体を制御
具体例
毎日定時に行われるデータバックアップ処理
サーバー構築からネットワーク設定、アプリのデプロイまでの連続処理

オーケストレーションの主な種類は?

オーケストレーションは、対象とする領域によって役割や用途が異なります。

オーケストレーションの主な種類を整理した画像

オーケストレーションには、対象とするIT領域に応じていくつかの種類が存在します。
ここではその代表例を4つ紹介します。

クラウドオーケストレーション

クラウドオーケストレーションは、複数のクラウド環境におけるインフラ構築やリソース管理を自動化する技術のことです。サーバーの仮想マシンの立ち上げ、ストレージの割り当て、ネットワークの接続設定などを一つのワークフローとして定義します。
利用状況に応じてリソースを柔軟に増減させるスケーリング設定なども自動で行うことができ、複数のクラウドベンダーを利用するマルチクラウド環境であっても、管理画面を行き来することなく統合的に運用できるようになります。

▶関連記事:IaC(Infrastructure as Code)とは? クラウド時代のインフラ管理を効率化する仕組み

コンテナオーケストレーション

コンテナ技術は、アプリケーションの動作に必要な環境を一つにまとめ、どこでも同じように動かせるようにする仕組みです。しかし、大規模なシステムになると何百、何千というコンテナを稼働させることになり、それらを人間が手動で管理するのは現実的ではありません。
コンテナオーケストレーションは、大量のコンテナの配置(スケジューリング)や起動、負荷分散、障害時の再起動などを自動的に行います。代表的なツールとしてKubernetes(クーバネティス)が広く知られており、安定したサービスの提供に欠かせない技術となっています。

アプリケーションオーケストレーション

アプリケーションオーケストレーションは、企業内で使用しているさまざまなソフトウェアやシステムを連携させるための仕組みです。複数のアプリケーション間でデータをやり取りし、一つのまとまったビジネスプロセスとして機能させます。例えば、顧客管理システムに入力されたデータを自動的に請求管理システムに同期し、さらに営業支援ツールにも反映させるといった処理が該当します。APIなどを活用してシステム同士をつなぎ、データ入力の手間や情報のタイムラグを解消します。

セキュリティオーケストレーション(SOAR)

サイバー攻撃の手口が高度化する中、セキュリティオーケストレーション(SOAR:Security Orchestration, Automation and Response)が注目されています。
これは、セキュリティ機器やログ監視ツールからアラートを受信した際に、被害状況の調査や関連する機器の通信遮断といった初動対応を自動化または半自動化し、対応を効率化する技術です。
人間が手動でログを確認して対応を決定するまでの時間を大幅に短縮し、被害の拡大を食い止めることができます。夜間や休日であっても迅速な対応が可能になるため、セキュリティレベルの底上げに直結します。

オーケストレーション導入時の注意点は?

多くのメリットをもたらすオーケストレーションですが、導入を進めるにあたっては気をつけるべきポイントもあります。

既存システムとの連携を事前に確認

オーケストレーションツールは、対象となるシステムと通信して指示を出す仕組みです。そのため、自社で利用している古い業務システムや特殊なアプリケーションが、ツールの連携対象としてサポートされていない場合があります。
導入前に、接続に必要なAPIが提供されているかを確認し、十分な動作検証を行うことが不可欠です。万が一連携できないシステムが多い場合、オーケストレーションの恩恵を十分に受けることができず、かえって運用が複雑になるリスクがあります。

運用に必要な専門知識やスキルを確保

ワークフローを自動化する設定を作り上げるには、各システムの仕様やネットワーク、セキュリティに関する幅広い知識が求められます。導入時の設計だけでなく、運用中にエラーが発生した際の原因究明にも高度なスキルが必要です。
社内に適任な人材がいない場合は、ベンダーのサポートサービスを活用したり、導入コンサルティングに依頼したりするなどの体制づくりが欠かせません。自動化の仕組みがブラックボックス化しないよう、運用ルールを明確に定めておくことも大切です。

まとめ

オーケストレーションは、運用コスト削減や品質向上、迅速なサービス展開を実現することで、企業のIT投資対効果(ROI)を高める重要な取り組みといえます。IT環境が複雑化する中で、業務の安定性と効率を両立させるために、オーケストレーションは不可欠な技術となっています。
近年では、生成AIやAIエージェントの活用が進み、複数のシステムやAIを組み合わせて最適な処理を実現する重要性が高まっています。こうした中で、オーケストレーションはそれらを統合・制御する基盤として、今後さらに活用が広がると考えられます。
自社のIT運用課題を踏まえ、適用可能な領域から段階的に検討していくことが重要です。

AIによる記事まとめ

この記事では、複数のITシステムやサービスを連携させ、ワークフロー全体を自動化・管理する「オーケストレーション」について解説しています。単一のタスクを処理する「自動化」との違いを明確にし、クラウドやコンテナ、セキュリティ領域などにおける具体的な種類と役割を整理しています。さらに、AIやエージェント連携にも触れながら、導入時のポイントを紹介しています。

※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。

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ビジネスブログ「Future Stride」編集チーム

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