Copilot 定着のその先へ──ソフトバンクのAIエージェント実践事例
2026年10月08日掲載
生成AIの活用が定着すると、個人の業務を効率化するだけでなく、複数人が関わる業務や一連の業務プロセスにもAIの活用を広げたいというニーズが高まります。そのためには、AIをどこで、どのように活用するかを具体的に考えていく必要があります。
本記事では、ソフトバンク社内で生成AI活用を推進するメンバーに、Microsoft 365 Copilot(以下、Copilot)の定着を進める中で生まれた変化や、Microsoft Copilot Studio(以下、Copilot Studio)やPower Automate を活用した2つの実践事例について聞きました。
実際の業務にAIエージェントをどのように取り入れたのかを紹介するとともに、現場の業務に合わせて形にしていくためのポイントに迫ります。
お話をうかがった方
グループASI戦略本部 法人ASI推進統括部 AIエージェントデザイン室 エージェント開発課
左から:本間 大幹、菅沼 晋太郎(課長)、鄭 佳永、柳田 知良
Copilot の社内定着からAIエージェント活用へ
前回の記事では、ソフトバンク法人部門におけるCopilot の社内定着に向けた取り組みを紹介しました。その後、Copilot の活用が進む中で、社内のニーズにも変化が生まれています。個人の業務を効率化するだけでなく、複数の人が関わる業務や一連の業務プロセスにもAIを活用したいという相談が増えてきました。こうしたニーズを受け、実際の業務にAIエージェントを取り入れています。
Copilot Studio で、AIエージェントを作る
菅沼:「 Copilot は、Teams やWord、Excel などでの日々の業務を支援するAIアシスタントです。一方、Copilot Studio は、AIエージェントをローコードで構築できるプラットフォームです。
さらに、複数の処理をつないでワークフローを自動化できるPower Automate と組み合わせることで、AIエージェントを一連の業務フローの中で動かすことができます」
こうした社内でのAIエージェント活用を推進しているのが、「AIエージェントデザイン室」です。
菅沼:「私たちは、AIエージェントをはじめとした生成AIの社内活用を支援しています。現場から業務について聞かせてもらい、『AIで何とかできないか』という漠然とした段階から一緒に入り、AIを活用してどう業務を変えられるのかを考え、実装までを支援しています」
実践事例① 社内の申請受付における事前判断をAIエージェント化
営業部門からの申請を受け付ける社内業務では、複数の資料やルールと照らし合わせながら、申請内容の受付可否を判断しています。多くの確認作業が必要となることから、受付担当者の負担となっていました。
そこで、確認作業の一部をAIエージェントが担う仕組みを構築しました。
Copilot Studio で、AIエージェントを作る
鄭:「AIエージェントを構築する上で重要だったのは、現場の受付担当者が普段どのような流れで業務を行い、どう判断しているのかを細かく言語化できていた点です。単に『この業務を自動化してほしい』ということではなく、『何を確認し、どの条件なら、どう判断するか』という条件や分岐まで明確になっていました。
例えば、ある条件に該当した場合には追加の資料を確認し、さらに過去の情報を参照するといったように、担当者が行っている判断の流れが具体的になっていたため、AIの処理にも落とし込みやすく、スムーズな実装につながりました」
AIエージェントが事前にチェックし、最終判断は人が行う
鄭:「申請が届くと、AIエージェントが内容を確認し、複数の項目を自動でチェックします。その結果を受付担当者が確認し、最終的な判断を行う仕組みです。
チェック結果には、『問題あり』『問題なし』『対象外』『要注意』といった情報に加え、そう判断した理由や注意事項も表示します。受付担当者が内容を直感的に理解できるよう、チェック結果の見せ方も工夫しました」
PoCから本番運用へ──継続して使える仕組みにする難しさ
鄭:「実際に取り組んでみて一番難しいと感じたのは、本番運用です。PoCで『期待した回答が返ってきたので使えそう』という状態になっても、本番ではその先の運用まで考える必要があります。利用者が増えると、担当者が異動した場合の引き継ぎや権限・接続先の管理、エラーへの対応、業務ルールが変わった際の改修など、PoCでは見えにくかった課題が出てきました。
PoCは『この仕組みが使えるかを見る段階』、本番化は『組織として継続して使える状態を作る段階』です。最後の壁は技術そのものというより、運用設計や社内調整の部分が大きいからこそ、現場の担当者と密に連携しながら進めることが重要だと感じています」
現在は本番運用を続けており、シンプルな案件では確認にかかる工数を約40%削減。対象業務全体では、確認作業にかかる時間を月平均約70時間削減しています。
実践事例② 問い合わせ対応をAIエージェント化し、ナレッジを生かす
Copilot の利用拡大に伴って増えた社内の問い合わせに対応するため、これまではGPTsを活用した「FAQエージェント」で質問への自動回答を行っていました。一方、運用を続ける中で、担当者がどのような質問にどう回答したのか把握しにくい、ユーザー間でナレッジを共有しにくいといった課題も見えてきました。そこで、Copilot Studio とPower Automate を活用し、問い合わせ対応の一連の流れをAIエージェント化しました。
人が行っていた問い合わせ対応の流れをAIエージェントで再現
菅沼:「単純なFAQ検索では、基本的に登録済みの質問への回答に限られてしまいます。私たちが目指したのは、既存の回答を返すだけでなく、これまで回答したことがない質問でも、社内にナレッジがあれば、それを元に回答できるようにすることでした。問い合わせ対応はさまざまな部署に共通する業務なので、AIエージェント化する価値があると考えました」
柳田:「この仕組みを考えるときに、人が普段行っている動きをそのままトレースするのが、一番良い形なのではないかと考えました。人が質問に回答するときも、まず過去に同じような質問への回答がないかを確認します。そうした人の動きを、Copilot Studio とPower Automate を組み合わせて再現できないか、というところから始めました。
実際にユーザーから質問が投稿されると、まず過去の回答が蓄積されたナレッジを確認します。同じ質問への回答があれば、その回答をそのまま使います。毎回AIに文章を生成させず、過去に使った回答を取得することで、誤った回答を生成するリスクを抑えています。
過去に回答がない場合は、社内規定などのナレッジを参照してAIが回答案を生成し、担当者に通知します。担当者が内容を確認し、正しければ承認、誤りがあれば修正した上でユーザーへ回答する仕組みです」
部門ごとのニーズに合わせて横展開
こうして構築した仕組みは、ほかの部門への展開も進んでいます。一方、実際に展開してみると、問い合わせ対応の方法が、部門によって異なることが分かってきました。
菅沼:「部門によって求めていることが少しずつ違います。『必ず人が承認してから回答したい』という部門もあれば、『まずはできるだけ早く回答を返したい』という部門もあります。そこはそれぞれの要望に合わせて、いろいろなパターンを作っています」
鄭:「例えば、レスポンスの速さを重視する部門では、ナレッジに回答がある質問にはAIがすぐに回答します。一方、資料から回答を確認できない場合には、まず回答できないことをユーザーに伝え、担当者につなぐ仕組みにしています。
その後、担当者が回答すると、その内容が新しいナレッジとして蓄積され、次に同じような質問が来たときに活用できるようになります」
AIエージェントを業務に生かす3つのポイント
2つの事例から、AIエージェントを業務に合わせて構築していく上で、重要なポイントが見えてきました。
① AIありきではなく、まずは業務を分解する
菅沼:「まずはその業務で何が課題になっているのか、どこで問題が起きているのかを整理し、業務を分解していくことが重要です。そうすると、自動化できる部分やAIエージェントを活用できる部分など、それぞれに適した手段が見えてきます。AIありきで考えるのではなく、まず業務そのものを見ることが大切です」
本間:「人とAIの役割分担を考えながら、業務を見直すことも重要です。『これは非定型業務だから』『これは人の経験で判断するものだから』と決めつけるのではなく、AIに任せるには何が必要なのかという視点で考えていくことが大切だと思います」
② AIエージェントに向いている業務を見極める
菅沼:「AIエージェント化しやすいのは、繰り返し発生する比較的定型的な業務です。また、『確認する』『回答する』といった大枠の流れを、担当者自身がきちんと説明できる業務も取り組みやすいと思います」
本間:「FAQ対応などが分かりやすい例ですが、『情報を集める → 判断する → 次の処理を実行する』という流れが繰り返し発生する業務は、AIエージェント化を検討しやすいと思います」
柳田:「実際に作っていて感じるのは、AIが出力した内容に対して、最終的に誰が責任を持つのかを明確にできることも大切です。そこが整理されている業務であれば、安心してAIエージェントを使いやすくなると思います」
③小さく始めて、効果を見ながら広げる
菅沼:「最初から大きなものを作る必要はありません。まずは自分たちの業務の中で、今一番困っていることを一つ選んでやってみるのが始めやすいと思います。そこで効果が出たら、『少し改良すれば隣の部門でも使えるのではないか』と広げていく。まず一つの業務から始めて、効果を確認しながら型にして共有していくことが重要だと思います。
Copilot Studio はローコードでAIエージェントを構築できるので、簡単なものであれば現場主導でも作れます。一方、複雑になれば難易度も上がるため、困ったときに相談できる組織や、構築をフォローする存在も必要だと感じています」
ソフトバンクが描くこれからのAIエージェント活用
Copilot Studio は、Teams やCopilot 、SharePoint など、既存のMicrosoft 環境を生かしながらAIエージェントを構築できます。また、APIやMCPなどを使うことで、Microsoft 以外のさまざまなサービスと接続することもできます。
菅沼:「今後は、AIエージェントの数をただ増やしていくだけではなく、それぞれに役割を持たせ、エージェント同士が協働する仕組みをつくっていきたいと考えています。
そのためには、それぞれのAIエージェントにどのような役割やアクセス権を持たせるのか、必要に応じてどのように人につなぐのかといった設計も重要になります。エージェント同士が連携し、必要な場面では人につなぐ。そうした、人が仕事を進めるときに近い動きを目指していきたいと思っています」
ソフトバンクでは、Copilot をはじめ、複数の生成AIを社内で活用しています。そうした実践を通じて、成功事例だけでなく、できることや制約など、試行錯誤したからこそ得られる知見も蓄積してきました。
菅沼:「そうした実態も含めてお客さまにお伝えし、AI活用を支援できることが、ソフトバンクの強みだと思っています」
まとめ
今回紹介した2つの事例から見えてきたのは、AIエージェントを実際の業務に取り入れるには、技術だけでなく、業務そのものを理解し、人とAIの役割を考えながら設計していくことが重要だということです。
ソフトバンクでは、これからも社内での実践を重ね、そこで得た知見をお客さまのAI活用につなげていきます。
AIによる記事まとめ
この記事では、ソフトバンクにおけるMicrosoft 365 Copilot の定着後の取り組みとして、Copilot Studio とPower Automate を活用したAIエージェントの実践事例を紹介します。社内の申請受付における事前判断や問い合わせ対応をAIエージェント化した事例をもとに、PoCから本番運用への課題、業務の分解やAIエージェントに適した業務の見極めなど、AIエージェントを業務に合わせて構築・活用するためのポイントを解説します。
※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。
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