【11/28 更新】AI-RAN開発に関するプレスリリース

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ソフトバンクは、AI社会を支える次世代のモバイルネットワークの基盤として、2023年に「AI-RAN」のコンセプトを発表しました。AI-RANはAIアプリケーションと無線アクセスネットワーク(RAN)を同一のコンピューター基盤上に統合する革新的なアーキテクチャーです。
この度、ソフトバンクは、NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchip プラットフォーム上でキャリアグレードの高性能・高品質な仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)を実現し、また、vRANとAIを同一の仮想化基盤上で運用可能なオーケストレーターを開発しました。これにより、GPUベースのコンピュータ基盤上にvRANとさまざまなAIアプリケーションを重畳して提供するという「AI-RAN」のコンセプトを具体化しました。さらには、今回ソフトバンクが開発したAI-RANソリューションを「AITRAS」として発表し、ソフトバンクの商用ネットワークへの導入、および国内外の通信事業者への展開を目指していきます。

2024年11月、ソフトバンクは、上記の取り組みを含む「AI-RAN」の開発に関するプレスリリースを7件発表いたしました。このページでは、今回のプレスリリースがそれぞれどのような関連であるのかについてご説明します。

AITRASの構成と各プレスリリースの位置づけ

AITRASの構成と各プレスリリースの位置づけ

1. AI-RAN 統合ソリューション「AITRAS」を開発

まず、AI-RANとはRANの処理とAIの処理を同じGPU基板上で動作させるコンセプトの名称です。この「AI-RAN」の名称はソフトバンクの専売特許ではなく、AI-RANアライアンスの活動を通じて今後世界中で広がっていく技術コンセプトとなります。そのAI-RANコンセプトに基づき、ソフトバンクが開発を進めるプロダクトの名称が「AITRAS(アイトラス)」です。本プレスリリースは、初めてこの「AITRAS」の名称と、その開発が本格的に開始されたことを発表しました。
 

2. AIとvRANを同じ仮想化基盤で動作させるオーケストレーターを開発

本プレスリリースは、AI-RANコンセプトのうち、オーケストレーターという仕組みの開発について説明しています。GPUのリソースをRANとAIで効率的に利用するには、リソースをどのように振り分けて利用を行うのか、管理と制御を実施する仕組みが必要です。この仕組みの名前をオーケストレーターと言います。
AIとRANのアプリケーションはそれぞれ異なる性質を持っており、これらを同時に最適化することが求められます。ソフトバンクはこれらの要件を満たすオーケストレーターを開発し、「AITRAS」は大容量で高性能かつ高品質なvRANをキャリアグレードで提供できることに加え、生成AIなどさまざまなAIアプリケーションを重畳させることを可能にしました。
 

3. ソフトバンクとレッドハット、AI-RANの発展に向けて共同研究開発を開始

本プレスリリースは、GH200上にvRANやAIアプリケーションを実装するために必要な仮想化基盤の開発における協業のため、ソフトバンクがレッドハットと覚書を締結したことを発表しました。
また、前項で説明したオーケストレーターは、KubernetesベースのハイブリッドクラウドアプリケーションプラットフォームであるRed Hat OpenShiftを活用しています。このたびの覚書の締結により、ソフトバンクはレッドハットと共同作業チームを結成し、仮想化基盤およびオーケストレーター領域の新規機能開発を加速します。
 

4. 5G L1ソフトウエアを開発し、NVIDIA Grace Hopperプラットフォーム上にキャリアグレードの高性能・高品質なvRANを実現

本プレスリリースは、AI-RANの「vRANの処理とAIの処理を同じGPU基板上で動作させる」というコンセプトのうち、vRANの実現に関するアチーブメントについて発表しました。ソフトバンクは、NVIDIA AI Aerialをベースに開発したL1ソフトウエアを用いて、NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchipプラットフォーム上の高品質な5GのvRANを屋外実証実験環境として世界で初めて構築しました。神奈川県藤沢市における実験環境についても、詳しく説明しています。
 

5. ソフトバンクと富士通、AI-RANの実用化に向けてパートナーシップを強化

本プレスリリースは、AI-RANの2026年以降の実用化に向けたパートナーシップの強化のため、ソフトバンクが富士通と覚書を締結したことを発表しました。富士通は、前項で説明したL1ソフトウエアに対応したvRAN(仮想無線アクセスネットワーク)ソフトウエア、およびRadio Unit(無線機)を提供しています。今後も、アメリカ合衆国のテキサス州ダラスにAI-RANの検証ラボを共同設立するほか、AIを適用することでRANの性能を最大化させるソフトウエアの研究開発を推進します。
 

6. AI-RANの統合ソリューション「AITRAS」のエッジAIサーバーにNVIDIA AI Enterpriseを実装

本プレスリリースは、AI-RANの「vRANの処理とAIの処理を同じGPU基板上で動作させる」というコンセプトのうち、AI処理の実現に関するアチーブメントについて発表しました。ソフトバンクは、「AITRAS」において、AI処理を行うエッジAIサーバーにNVIDIA AI Enterpriseソフトウエアを実装しました。これにより、Open Source Software(OSS)や、パートナー企業の高性能なAI基盤モデルを活用したさまざまなAIアプリケーションを、エッジAIサーバー上で開発・展開することが容易になります。
ソフトバンクは、「AITRAS」上に実装したNVIDIA AI Enterpriseを活用して、超低遅延LLMを用いたクラウドロボット、RAG Menu @Edge、自動運転向け「交通理解マルチモーダルAI」を高性能なAI基盤モデルを活用したAIアプリケーションとして開発しました。それぞれのアプリについても、詳しく説明しています。
 

7. 低遅延なエッジAIサーバーで動作する自動運転向け「交通理解マルチモーダルAI」を開発

本プレスリリースは、前項で説明したAIアプリケーションの一つである自動運転向け「交通理解マルチモーダルAI」について発表しました。このアプリケーションでは、汎用的なAI基盤モデルに、交通教本や交通法規などの日本の交通知識に加え、一般的な走行シーンや予測が困難な走行状況におけるリスクと対処方法を学習させています。これにより、自動運転車を安全に走行させるために必要な幅広い知識を習得し、交通状況と走行リスクを高度に理解できるマルチモーダルAIを構築しました。
また、本アプリケーションは、AI-RAN上の低遅延なエッジAIサーバーで動作するため、リアルタイムで言語化して、大きな遅延が許されない自動運転を遠隔サポートすることが可能です。

ソフトバンクは、これら7つのプレスリリースを通じて、オーケストレーター、RAN基盤、AI基盤を主としたAI-RAN技術基盤の確立と商用化に向けた重要な成果を得られたことを発表しました。今後は、この基盤をもとに商用ネットワークへの導入を進め、国内外の通信事業者への展開を目指していきます。
 

関連プレスリリース
・NVIDIA社プレスリリース
NVIDIA とソフトバンク 、AI 産業革命の世界競争への日本の参入を推進
・Red Hat社プレスリリース
Red Hat とソフトバンク、AI-RAN の研究開発で協力

関連サイト
・NVIDIA Technical Blog
AI-RAN Goes Live and Unlocks a New AI Opportunity for Telcos

・AI-RAN解説動画

・AI-RAN概要
https://www.softbank.jp/corp/technology/research/story-event/057/

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