「現場主導」でRPAの効果を最大化 ソフトバンク流・働き方改革
日経コンピュータ 2017年11月23日号に掲載された記事をご紹介しています。
- ※記載されている情報は取材時点のものです。サービス内容、価格など記載内容が最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
RPAで成果を上げる企業が増える一方で、導入の本質的な目的を見失うことで、ベンダー任せの運用に終始してしまっている企業も少なくない。そこでソフトバンクは、RPAを使った働き方改革の実践に当たり、「なぜ使うのか」を徹底的に追及。明確な目的のもと、現場主導で活用を推進することで、RPAの真の効果を引き出す方法を提案している。
重要なのは「なぜRPAを使うのか」
映画などで描かれる未来の社会で、ロボットが人と同じように仕事をしているシーンを見たことがある人は多いだろう。人の1日の労働時間が8時間だとすれば、ロボットは24時間働けるため、3人分の労働を担うことができる。日常的に繰り返される単純作業をロボットに任せることで、人は人にしかできない、より付加価値の高い業務に専念できるようになる。
「RPAは、このロボットのソフトウエア版といえるものです。当社でも、積極的なRPA活用に取り組んでいます」とソフトバンクの上永吉 聡志氏は語る。具体的には、RPAを駆使した働き方改革とオープンイノベーションを具現化するための取り組みを全社で実施。これにより、社員一人ひとりがデジタル時代に適応したスキルセットと活躍の場を得られるようにすることが目的だという。
「RPAでは、このように『なぜ使うのか』を考え抜き、自社で主体的に活用することが欠かせません」と上永吉氏は強調する。というのも、昨今のRPA導入は「どのように導入するか」にばかり目が行く傾向があり、それがRPAの真の効果を引き出せない要因の1つになっているからだ。
目的があいまいなままベンダーに頼っても、結局、自社の課題とは直結しない使い方に陥りがちだ。その点、自社の業務をよく知る現場社員が主導でRPA導入時から携われば、課題に正対した使い方を実現できる上、もし失敗しても自らでやり直すことができるだろう。「RPAを使えるようになるまでには苦労も伴いますが、それを上回るメリットを得られると当社は考えています」と上永吉氏は語る。
ソフトバンクが提唱するRPA活用のポイント
自ら効果を体感し、それを周囲に拡散することでさらなるイノベーションにつなげる。そのためには、現場主導の活用が不可欠だ
業務を知る現場こそ最良の使い手
同社では現在、26の部門がRPAに挑戦し、日々試行錯誤を繰り返しながらより良い活用法を探っている。開発を行える社員は150名以上。出てきた自動化アイデアの数は約1300に上る。その中から、想定効果や開発工数を精査した上で開発しているが、その数も既に350以上あるという。
現場が取り組みを主導することで、より実態に即した課題の解決にもつなげられている。内訳は「16時間未満」が7割と、一見効果は小さく見えるが、積み上げでの全体削減工数は、月9000時間以上に及び、開発も簡単なため投資対効果としては十分だという。そして何よりも社員一人ひとりにとって、短時間であっても煩わしい作業からの解放が個々人の働き方改革につながるという。
「仕事をする上で大事なのは、常に賢く・楽しく(Smart & Fun)働くことだと当社では考えています。RPA活用による働き方改革は、まさにそこへつながる道となります。まずは自らRPAを使って単純作業からの解放を体感(Feel)し、それを他者に伝える(Connect)ことで新たなイノベーションを共創する。RPAにより、この一連の流れが当社に生まれています」(上永吉氏)
RPAを、業務改善効果のみならず、テクノロジーを駆使した企業風土の刷新にもつなげたソフトバンク。同社のアプローチは多くの企業の参考になるだろう。
ソフトバンクのRPAソリューションの詳細やお問い合わせ
その他掲載記事一覧
自治体×ソフトバンクの未来
藤枝市からはじまる新たなICT活用(東洋経済社)
増減するトラフィック、急な変更要請クラウドのポテンシャルを最大限発揮するには(日経BP社)
ビジネスの明日を拓く次世代通信「5G」
さらなる高速通信へ。要素技術をいち早く展開(日経BP社)
「AI採用」は就活戦線をどう変える
ソフトバンクの新たな挑戦
日経ビジネス(日経BP社)
メディア掲載記事一覧 ソフトバンク
日経コンピュータ 2017年11月23日号に掲載された記事をご紹介しています。