ソフトバンクのNTNソリューション
宇宙空間や成層圏から通信ネットワークを提供する「NTN(Non-Terrestrial Network:非地上系ネットワーク)」。 ソフトバンクでは、「OneWeb」「HAPS」の2つの通信サービスによるNTNソリューションを展開する予定です。
高度1,200kmを周回する低軌道衛星を活用した「OneWeb」は低遅延で大容量の衛星通信サービスを提供します。また、高度20kmの成層圏を飛行する「HAPS」は、普段使うモバイル端末での利用が可能な通信サービスとなっています。
通信速度や通信方式などの特性が異なるため、ユーザーの利用用途に応じて提案を行い、日本およびグローバルでの展開を推進していきます。


648機の低軌道衛星による
通信サービス
OneWebは高度1,200kmにある12の極軌道上に648機の衛星を打ち上げ、通信サービスを提供します。静止衛星よりも地球に近い低軌道に多くの衛星を打ち上げることで、従来の衛星通信と比較して高速かつ低遅延の通信を実現します。


従来よりも省スペースなアンテナ
ユーザー端末としては、大容量通信向けのパラボラアンテナの他、小型な電子式の平面アンテナの開発を進めており、従来よりも省スペースに設置ができます。
高速かつ低遅延な通信が実現
低軌道衛星から通信サービスを提供するOneWebは、ダウンリンク195Mbps/アップリンク
32Mbpsという高速通信と静止衛星の約10分の1程度という低遅延通信を実現します。そのため、衛星回線を中継ネットワークとして、圏外エリアにセルラー通信のネットワーク環境を構築することも可能です。
[注]
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※
OneWebが今後提供するサービスは検討中のため、変更になる場合があります。


想定されるユースケース
船舶

- 陸上基地局の電波が届かない海上で、船舶向けにブロードバンド通信を提供
- 今後発展が見込まれる自動運行システムに必要なリアルタイム性の高い通信を提供
建設

- 圏外エリアの建設現場に通信を提供し、作業現場のリモート監視や工機の遠隔操縦など建設現場のICT化を実現
災害対策

- 災害時、地上ネットワークに影響があった場合の地方自治体・インフラ事業者・企業向けバックアップ回線を提供
林業(山間部)

- 森林資源・植林事業管理のDX化および作業者の位置情報を把握することでの作業効率化
- 遠隔地からの森林火災・違法伐採の監視、重機の操縦
- 作業員同士のコミュニケーション手段の提供
へき地インフラ

- 電力グリッド設備、系統安定度点検
- 構造物(ダム・堤防・港湾等)の劣化状況など遠隔監視
- 業務のDX化に伴う効率化
OneWebとは
OneWeb Ltd.は、自社の衛星ネットワークを通してデジタルデバイドをなくすというビジョンの下に設立。2020年11月に英国政府およびBharti Groupに買収され、2021年にソフトバンクグループ(株)やEutelsat、Hughes NetworkSystems、Hanwha Systemsから資金を調達しています。2021年5月にはソフトバンクとOneWebで日本での展開に向けた協業に合意し、サービス開始に向けて準備を進めています。
いつものスマホが利用可能
HAPSは、高度20kmの成層圏に滞空している無人航空機から地上に向けて通信サービスを提供します。HAPSが提供する通信サービスは、衛星通信のような特殊な専用端末を必要としません。地上と同じ周波数を利用しているため、私たちが普段使うスマートフォンなどのモバイル端末に直接通信することが可能です。


成層圏の活用で安定した通信を
航空機の飛行区域よりさらに高い高度にある未開拓のエリア、それが成層圏です。比較的風が穏やかであるため、決められたエリア内で機体を旋回させることができ、安定した通信サービスの提供が可能です。高度20kmから提供される通信サービスは、1機当たり直径約200kmと地上基地局に比べて非常に広範囲なエリアをカバーできます。
想定されるユースケース
カバレッジエリア
の拡張
- 山間部や島、へき地など地上の通信網が整備できていないエリアへ通信サービスを提供
災害対策
- 地震や津波などの影響で、地上の通信設備やネットワークに影響があった場合、被災地の上空に機体を飛ばすことで、暫定的に通信エリアの復旧を実現
IoT向け
ネットワーク
- 成層圏から通信を提供することで、上空を含めた3D空間でネットワークを構築し、今後普及が想定されるドローンなどIoT向け通信サービスの提供が可能
HAPSモバイルとは
HAPSモバイル株式会社は、ソフトバンクがHAPS事業を展開する目的で、2017年12月に設立されました。
2020年9月21日に初の成層圏におけるテストフライトを実施し、飛行高度約19kmを記録。機体の開発開始から約3年という短い期間で成層圏での飛行と成層圏対応の無線機(ペイロード)によるインターネット通信試験に成功しました。今後、2026年頃のプレ商用に向けて開発を進めていきます。