非地上系ネットワークソリューションの実現に向けて
~世界中から圏外をなくし産業のデジタル化を促進〜

2023年6月19日掲載

非地上系ネットワークソリューションの実現に向けて ~世界中から圏外をなくし産業のデジタル化を促進〜

ソフトバンクが以前から準備を進めてきた「NTN(Non-Terrestrial Network:非地上系ネットワーク)」。これは、宇宙空間や成層圏から通信ネットワークを提供することで、地上のあらゆる場所での通信を可能にするソリューションです。山間部や海上など、地上ネットワーク(セルラーネットワーク)では圏外エリアだった場所や災害時などでも、通信を提供できるNTNソリューション。サービスの提供開始を前に、その特徴やユースケースをお伝えします。

目次

非地上系ネットワークソリューションによって実現するユビキタスネットワークとは

インターネットの普及により暮らしは便利になり、スマートフォンの登場で人々はどこからでも情報を取得できるようになりました。さらに今後、企業や産業のデジタル化が進みスマートシティや自動運転が当たり前の世の中になろうとしています。このような世界の実現にはどこからでも通信が可能な環境が求められます。

ソフトバンクでは新たな世界の実現に向けて、既存のモバイルネットワークに衛星(低軌道衛星・静止軌道衛星)および成層圏通信プラットフォーム(High Altitude Platform Station、以下「HAPS」)を組み合わせたユビキタスネットワーク(多階層ネットワーク)を構築することで、通信ネットワークのカバレッジの拡張と上空のエリア化を目指しています。

その一環として、宇宙空間や成層圏から通信ネットワークを提供する「NTN」の準備を進めてきました。

ソフトバンクのNTNソリューション

ソフトバンクでは「OneWeb」「HAPS」の2つのNTNソリューションを展開予定です。

高度1,200kmを周回する低軌道衛星を活用した「OneWeb」は低遅延で大容量の衛星通信サービスを提供します。

また、高度20kmの成層圏を無人飛行する「HAPS」では、普段使うスマートフォンなどのモバイル端末での通信が可能となる予定です。

商用化実現に向けて、ITU-Rの国際標準モデルを実装したHAPS向け電波伝搬シミュレーターや次世代リチウム金属電池セルの電池パックをソフトバンクが開発し、成層圏で動作実証に成功するなどのさまざまな技術開発を推進しています。

ソフトバンクのNTN構想

OneWebは、2023年5月に新たに打ち上げた16機の衛星をもって衛星コンステレーションの構築に必要な634機の打ち上げが完了し、グローバルでのサービス展開に向けた準備を進めています。これを受けてソフトバンクは、日本国内でもOneWebを活用した衛星通信サービスの提供に向けた準備に入っています。

OneWebの特徴

OneWebは高度1,200kmにある12の極軌道上から通信サービスを提供します。静止衛星よりも地球に近い低軌道に多くの衛星を打ち上げることで、ダウンリンク195Mbps/アップリンク32Mbpsという高速通信と従来の静止衛星の約10分の1程度という低遅延通信を実現します。

OneWebからの信号を受信するユーザ端末としては、大容量通信向けのパラボラアンテナのほか、小型な電子式の平面アンテナの開発を進めており、従来よりも省スペースでの設置が可能になる見込みです。

地上で衛星通信を受信するための装置

OneWebのユースケース

山間部や海上などでも通信ができインターネットの利用が可能になることで、産業のデジタル化が大きく進展すると考えられます。さらに企業においては、災害など有事の際の通信環境が確保できることでBCP対策としても活用できます。また、僻地での通信が可能になることからデジタルデバイド解消への活用も見込まれ、よりよい社会の実現に貢献することができると考えられます。

・建設業

山間部など圏外エリアの建設現場に通信を提供し、重機の遠隔操縦を実現することで作業員の現場への移動時間を削減するなど業務を効率化できます。また、作業現場のリモート監視や工事の進捗確認をリアルタイムに行えるようになり、工期管理の精度向上にも貢献することが考えられます。

・船舶業

基地局の電波が届かない海上で船舶向けにブロードバンド通信を提供し、今後発展が見込まれる自動運行システムに必要なリアルタイム性の高い通信を提供したり、数ヵ月になる船上生活時に家族や有人とのコミュニケーション手段を船員に提供することもできます。また、漁獲量のリアルタイムなデータ収集や作業員の作業記録のデータ取得、漁場のモニタリングやブイの遠隔監視などさまざまな海上での業務の効率化が見込めます。

・林業

作業者の位置情報や作業の進捗をリアルタイムに把握することが可能になります。また、遠隔地からの森林火災・違法伐採の監視、重機の操縦や作業員同士のコミュニケーション手段の提供にも貢献することが考えられます。

・BCP対策

災害時に地上のネットワークが利用できなくなった際、企業におけるインターネット環境の確保に貢献することができ、事業をストップすることなく継続できる環境を準備しておくことができます。また、自治体でも同様に業務を停止させない環境の準備に加え、災害時に近隣住民へのインターネット環境を提供することも可能となります。

・僻地のインフラ整備

ダム・堤防等の劣化状況などを遠隔監視したり、現地での業務のDX化に伴う効率化にも貢献できると考えられます。

新たな世界の実現に向けて

世界中のあらゆる企業や産業にデジタル化、自動化による変革が求められる中、通信の形もいっそう多様化が進むと想定されます。

ソフトバンクはパートナー企業と連携しながらユビキタスネットワークを実現し、あらゆる場所でさまざまな通信がシームレスに繋がる環境をつくり、社会に貢献することを目指しています。

また、シームレスにつながる環境を通じて、アナログな産業を一気にデジタル化するとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューションの提供を、今後も一層推進していきます。

ユビキタスネットワーク

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