MONET Technologies

新しいモビリティサービスを通じて
人々の暮らしをもっと豊かに

2018年10月4日、ソフトバンクとトヨタ自動車(以下「トヨタ」)は、2018年度内に共同出資会社であるMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ、以下「MONET」)を設立すると発表。MONETは、トヨタが構築したコネクティッド・カーの情報基盤である「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」と、スマートフォンやセンサーデバイスなどからのデータを収集・分析して新しい価値を生み出すソフトバンクの「IoTプラットフォーム」を連携させ、新しいモビリティサービスを提供する。資本金は20億円。将来的には100億円まで増資し、未来のMaaS(Mobility as a Service)事業を展開する予定だ。
日本を代表する企業であるトヨタ自動車との共同出資会社設立の裏側に迫る。

  • 川鍋 彰大 AKIHIRO KAWANABE

    テクノロジーユニット 技術戦略統括 先端技術開発本部
    2005年度新卒入社

  • 広沢 愛絵 CHIE HIROSAWA

    テクノロジーユニット 技術戦略統括 先端技術開発本部
    2008年度新卒入社

  • 松井 拓己 TAKUMI MATSUI

    テクノロジーユニット 技術戦略統括 先端技術開発本部
    2013年度新卒入社

Episode.1 目指すは新しいモビリティ社会の実現。トヨタとの共同出資会社設立の秘話
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「初めてトヨタの皆さんとお会いしたとき、きびだんごをもらったんです」と話すのはプロジェクトリーダーの広沢。「食べたら一緒に鬼退治に行くんだよ」というトヨタ社員の茶目っ気だったという。笑いが起きたそうだ。 両社に文化の違いはあるけれど、今回のプロジェクトでは両社とも若手中心のメンバー構成で同世代ということもあり、ミーティングは和やかな雰囲気だったという。

今、自動車業界は100年に1度の変革期にある。海外のモビリティ市場が大きく変わり、日本でもいち早くモビリティ事業に取り組まないといけないという危機感があったと広沢は振り返る。
そんな中、トヨタがソフトバンクの“未来の種を見抜く先見性”を認め、「一緒に組まないか」と声を掛けた。トヨタが持つモビリティサービスプラットフォーム(MFPS)や車両に関する知識、ソフトバンクが持つ技術やビッグデータ、グループのアセットなど、両社の強みを上手く掛け合わせることで、新しいモビリティの未来を作ることに繋がっていく。

2018年2月に立ち上がったプロジェクトのメンバーは、両社が集まっても10人ほどと小規模だった。これからのモビリティはどうなっていくのか、自分たちに何ができるのか、ディスカッションを繰り返し、ビジョンを共有する中で5月には具体的な話に落とし込んでいった。共同出資会社を立ち上げようという段階になり、両社の企業トップに話を持ち込んだところ、トップ同士が即決。10月4日に発表というスピードでプロジェクトは進んでいった。

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Episode.2 プロジェクトへの参画から発表までの怒涛の日々
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川鍋と松井はソフトバンクの人事制度の一つであるジョブポスティング制度(新規事業や新会社の立ち上げの際にメンバーを公募し、希望者は手を挙げ、選考に通過すれば事業に参加できる制度)を利用し、7月から本プロジェクトを中心となって進める先端技術開発本部に加わった。当時は、トヨタとの共同出資会社の設立ということは明かされず、「新規事業の事業戦略の立ち上げ」という茫漠とした募集ではあったが、それでも川鍋と松井は「新しい何か」にピンときたという。
松井は、先端技術開発本部へ異動してくる前までは、大勢の人が集まるイベントでのネットワーク対策や、各地域における電波改善などネットワーク改善に携わってきた。そして今回、「エンジニアとしてソフトバンクへ入社したからには何か新しいことにチャレンジしたい」と決意し、ジョブポスティング制度を利用して新規事業へ参画することとなった。

「異動後の7月から10月は、怒濤の日々でした」と松井は振り返る。 モビリティ事業に携わった経験などはもちろんなく、異動当初はモビリティに関することは何も知らないという状態から始まった。日本におけるモビリティサービスの課題や自動車関連企業の危機感、日本における法規制などを調査し、常日頃からアンテナを張ってモビリティに関する知識を身につけていった。
また、発表までに確定しておかなければいけない調整案件が山のようにある中で、法務や財務、人事、総務といった各関連部署との連携などと同時に、サービス企画の準備も進めており、特にこの時期は「人の何倍も働いた」と広沢は言う。

「トヨタとソフトバンクが組むのだから、下手なことはできない」という責任とプレッシャーがあったと本音を語るのは川鍋。
事業計画の策定では、将来を見据えて夢を描きつつも、数年先の夢だけではなく、いかに現実的なビジネスモデルに落とし込むかのバランスが難しかったという。
責任やプレッシャーを感じながら怒涛の日々を過ごす中で、地方に出張した際、高齢者の移動の問題を肌で感じ、日本が抱える地方交通の課題などさまざまな問題が見えてきた。「法規制などこれからもさまざまな壁はあると思うが、何とか新しいモビリティサービスを成功させる基盤を固めたい」という思いがその時に芽生えたと川鍋は語ってくれた。

Episode.3 プロジェクト発足から発表までのスピードを実現したものとは
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2018年2月にプロジェクトを立ち上げ、10月4日には2018年度内に共同出資会社を設立することを発表するなど、異例のスピードで今回のプロジェクトを進めることができた秘訣は何だったのか。

「正解がない中でスピード感を持って進めるには、少人数である必要があった」と川鍋。 新規事業の立ち上げには正解がない。通信事業では実績やノウハウがあるソフトバンクだが、今回はモビリティという全く異なる事業領域。少人数でスピーディーに意思決定を進めていけたことが一つのポイントだったと語る。

発表まで少人数で進めた事業だが、もちろん、周囲からのアドバイスや手助けはあった。先端技術開発本部には、ネットワークやデバイス開発、衛星など各分野のプロフェッショナル人材が集まっており、プロジェクトに入っていないメンバーにも気軽に相談することができる環境だったと言う。
広沢は「本部がCTOである宮川の部屋の前にあったことも功を奏した」と振り返る。判断に悩んだ際は、すぐに部屋のドアをノックして宮川から意見をもらった。宮川がメンバーに声を掛けに、デスクへ来ることもある。物理的にも心理的にもトップとの距離が近い環境であることを実感したという。

また、初期にプロジェクトが頓挫しかかったことがあることも語ってくれた。なかなか前に進まず、一時はプロジェクトがストップし、メンバーが離れていったこともあったという。壁に当たりながらも「やっぱり、やりたい」という気持ちを捨てきれず、再度、話し合いを進める中で、本部長の湧川からも「やろうよ!」と後押しがあったそうだ。湧川も、実際にディスカッションに入り、悩んだときには経営の視点だけではなく現場の視点でアイデアをくれたという。

ソフトバンクには、社員のチャレンジを喜んで支える社風がある。10月の発表後、先端技術開発本部には、社内から前向きな意見や後押しがさらに集まっていると言う。それが「ソフトバンクらしい」と広沢は言う。

Episode.4 MONETが目指す未来とソフトバンクの働く環境
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高齢化や都市部への人口集中といった背景から、移動手段を確保できず買い物難民となる高齢者や、学校の統廃合により登校手段に困る学生、既存交通事業者の赤字をはじめ、日本では、モビリティに関するさまざまな社会課題が存在している。
今後の展望として、「ユーザー目線でも、交通事業者や自治体目線でも、これらの現状を何とか改善し、より人々の生活に密接したモビリティサービスの成功事例をMONETで作っていきたい」という思いを三人が語ってくれた。

川鍋は、ソフトバンクは「一つのことを突き詰めたい人にも、新しいことにチャレンジし続けたい人にも合っている会社」だと言う。
通信事業はしっかりと拡大していく一方で、良い意味でそこに固執せず、さまざまな企業と提携し新たな事業領域へチャレンジしている。一つの分野にとらわれずさまざまなことに挑戦したいという人や、自身の強みを生かして新しい事業を起こしたいといった人もチャレンジできる会社であるという。

「当時は、携帯電話の会社だと思い入社した」と語る松井も同じく、ここ数年のソフトバンクの変化の激しさを感じている。さまざまな企業がグループ会社に加わる中で、つい最近提携した会社の人が社内にいることも珍しくないという。
また、広沢は新卒入社から10年間ソフトバンクで働いているが、その間に5社の会社の立ち上げに携わり、転職せずともいろいろな会社で働いているような感覚があると言う。 「積極的に手を挙げて、チャレンジするための制度や機会はたくさんある」と三人は口をそろえる。

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部には新しいメンバーもどんどん集まってきている。2018年2月に数人で始めたディスカッションが、同年10月には共同出資会社を2018年度内に設立するという発表に至るスピードで仕事をしている。
ソフトバンクは変化を好む会社だ。新しいことにチャレンジする姿勢を高く評価し、全力で後押しする社風がある。制限はない。チャレンジしたいことがあれば、自ら手を挙げてチャンスを切り拓いていってほしい。

※2019年3月時点の情報です。

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