公開日:2023年8月4日
更新日:2025年5月16日
冷蔵庫を選ぶ際に注目すべきポイントの一つが「大きさ」です。引っ越すときや買い替えるときは、家族の人数やキッチンのスペース、自炊の頻度などを踏まえて、ご家庭に合っている冷蔵庫を選びましょう。
この記事では、適切な冷蔵庫の選び方や容量別の電気代、外寸サイズの目安などを紹介します。
冷蔵庫は、家族構成や自炊の頻度によって必要な容量が変わります。ここでは、家族の人数に適した冷蔵庫の容量を計算する方法も交えてご紹介していきます。
家族の人数による冷蔵庫の目安容量は、以下の計算式で求められます。
目安容量 = {70L ×(家族の人数)}+(常備品用の容量120L~170L)+(予備の容量100~150L)
こちらの計算式によれば、1人あたりの基本目安容量は70Lです。ここに、家族の人数によらず必要となる常備用品の容量(120L~170L)と予備の容量(100L~150L)を加え、実際の目安容量としています。
計算式に家族の人数を当てはめ、家族の人数ごとに冷蔵庫の目安容量を求めると、以下の表のようになります。
家族の人数 | 目安容量 (自炊の頻度が低い場合) |
目安容量 (自炊の頻度が高い場合) |
---|---|---|
1人 | 290L | 390L |
2人 | 360L | 460L |
3人 | 430L | 530L |
4人 | 500~550L | 550~600L |
5人 | 570~620L | 620~670L |
一人暮らしの場合、290L~390Lが適切とされています。自炊の頻度が月に数回程度なら290L、ほぼ毎日自炊をする場合は390Lが目安になります。
冷蔵庫は、おおむね300L以下は冷蔵室と冷凍室の2ドアで、300L以上になると冷蔵室・野菜室・冷凍室の3ドアが主流です。頻繁に自炊をする方は、300L以上のタイプにすれば、食品の保存で困る可能性は低いでしょう。
普段の食事は外食やテイクアウトで済ませており、冷蔵庫は飲み物やお菓子などを入れるのに使うだけ、という方は290L以下の容量でも足りる可能性があります。
ただし、100L以下だと冷凍室が付いておらず、冷蔵室のみの製品が多くなります。氷やアイスなどを購入する機会がある方は、100L以上で冷凍室もある製品を選ぶのがおすすめです。
100L以下で冷蔵室のみの製品は、寝室や書斎などに置いて飲み物だけを保存する「セカンド冷蔵庫」に適しています。
2人家族に適しているとされる目安容量は、360L~460Lです。自炊の頻度が月に数回程度なら360L、ほぼ毎日自炊をする場合は460Lが目安になります。
一般的に、冷蔵庫は容量が大きいほど高機能です。例えば、200Lを超えると冷蔵室にチルドルームが付いたり、300Lを超えると野菜室が付いたりします。
400Lを超えると製氷室や新鮮凍結ルームなどが付き、さらに開閉センサーや温度センサーなどの機能が搭載されている製品もあります。
高機能の製品は、食品ごとに適した保存ができるとともに、省エネ性能が優秀です。現在夫婦2人の世帯は、将来子どもが誕生して家族の人数が増える可能性も織り込んで、大きめの容量の冷蔵庫を選ぶとよいでしょう。
3人家族は、430L~530Lの容量が適しています。小さい子どもがいるご家庭では、成長にともなって食べる量が増えることを見越して、余裕のある容量を選ぶとよいでしょう。
冷蔵庫は500Lを超えると温度センサーのほかに湿度センサーが付くなど、搭載しているセンサーの種類が増えます。庫内の状態をより適切に管理できることで、状況に合わせた省エネ運転が可能です。
また、扉が両開きの製品が増えるため、右開きか左開きかで悩む必要がなくなります。
4人以上の家族なら、500L以上の容量があると安心です。
500L~650Lは、家庭用冷蔵庫としては最大クラスです。さまざまな食材や作り置きした常備菜など、たっぷり保存できるでしょう。特に食べ盛りの子どもが複数人いるご家庭では、容量に余裕があると安心です。
ただし、容量が大きい製品は、その分本体サイズも大きくなります。「買ったものの、設置できない」という事態を防ぐためにも、設置場所のスペースや搬入経路の確認はきちんと行いましょう。
冷蔵庫の容量を選ぶ際には、電気代も重要なポイントの一つです。
経済産業省資源エネルギー庁の資料を参考にすると、容量が140L以下~400Lまでは容量に応じて電気代が高くなっていくものの、401L~501L以上では逆に安くなる傾向があります。「容量が大きい=電気代が高い」と思われがちですが、決してそんなことはありません。
容量 | 年間消費電力量 | 年間の電気代 |
---|---|---|
140L以下 | 279kWh | 7,526円 |
141~200L | 295kWh | 7,962円 |
201~250L | 305kWh | 8,249円 |
251~300L | 312kWh | 8,421円 |
301~350L | 337kWh | 9,103円 |
351~400L | 350kWh | 9,446円 |
401~450L | 289kWh | 7,808円 |
451~500L | 269kWh | 7,256円 |
501L以上 | 279kWh | 7,539円 |
実際に、最大クラスである501L以上の製品と、最小クラスである140L以下の製品ではほとんど電気代が変わりません。また、351~400Lの冷蔵庫よりも401~450Lの冷蔵庫のほうが、容量にゆとりがあるうえに経済的です。
設置スペースに余裕がある場合や、容量に余裕を持たせたい場合は、401L以上の冷蔵庫の導入を検討するとよいでしょう。
容量の大きな冷蔵庫の電気代が安い理由は、高度な省エネ技術が用いられているからです。一般に冷蔵庫に搭載される機能は、容量が大きいほど高機能になります。
例えば、インバーター制御や断熱材のような省エネ技術が、電気代の節約につながっています。
インバーター制御とは、従来の技術では一定だったコンプレッサーの回転数を、柔軟に変化させる技術です。ドアの開閉や冷蔵庫内・周辺の温度などをセンサーで探知し、コンプレッサーの回転数を調整します。
適した回転数に調整することで、消費電力を抑えつつ、庫内を効率的に冷やせます。
冷蔵庫の保冷力に影響する要素の一つが、断熱材です。冷蔵庫の本体には庫内の冷気を逃さないよう、断熱材が使用されています。
容量の大きな冷蔵庫には高性能な断熱材が使用されているため、断熱効果が高まります。外へ逃げる冷気を抑えることで消費電力も抑えられ、電気代の節約につながるのです。
最新モデルは旧モデルに比べて省エネ性能が向上しているため、新しい機種ほど電気代を節約しやすい、というデータもあります。
以下のグラフは、冷蔵庫の年間消費電力量の容量(定格内容積)別の推移です。年間消費電力量は、年々低くなっていく傾向があります。
長年にわたって同じ冷蔵庫を使用しているご家庭は、省エネ性能の高い製品に買い替えると、電気代を削減できる可能性が高いでしょう。
冷蔵庫を選ぶ際には、本体の外寸サイズ(横幅・高さ・奥行)も確認すべきポイントの一つです。
冷蔵庫本体の大きさ以外にも、上部や側面・背面に放熱スペースを十分に確保できるか、搬入に際してエレベーター・階段・玄関ドアなどの広さが十分かを確認する必要があります。
ここでは、購入前に確認が必要なそれぞれのサイズや広さを見ていきましょう。
メーカーにより多少大きさは異なりますが、容量ごとのサイズ目安は以下のとおりです。
容量 | 横幅(mm) | 高さ(mm) | 奥行(mm) |
---|---|---|---|
150L | 500 | 1,200 | 590 |
250L | 550 | 1,600 | 630 |
350L | 590 | 1,700 ~1,800 |
630 |
400L | 600 | 1,700 ~1,800 |
680 |
450L | 600 ~680 |
1,700 ~1,800 |
700 |
500L | 650 ~680 |
1,800 | 700 |
550L | 680 | 1,800 | 700 |
600L | 680 | 1,800 | 750 |
650L | 750 | 1,800 | 750 |
家族構成に応じて容量を決めたら、メーカーの製品カタログで、実際のサイズを確認してみてください。
冷蔵庫は庫内を冷やすため、熱を庫外へ放出する必要があります。そのため、上部・側面・背面に十分な放熱スペースを確保しましょう。
「上と両側が壁に接している場合」と「片側が壁に接している場合」を比較すると、後者の電気代のほうが、年間で約1,220円安くなります。電気代を節約するためにも、十分なスペースの確保は効果的です。
ドアの数に応じた、必要な放熱スペースの目安は以下のようになっています。機種によっても推奨されるスペースが違うので、メーカーの製品カタログを確認するとより安心です。
上部に5cm以上、左右に0.5cm以上のスペースが必要です。背面のスペースは必要ありませんが、湿気が多くて壁の結露が気になる場合は、壁から3cm以上離します。
また、コンセントが背面側にある場合や壁の変色・汚れなどが気になる場合も、壁から離して設置しましょう。
上部に30cm以上、左右に2cm以上、背面に7cm以上のスペースが必要です。ただし、冷蔵庫の上にオーブンレンジなどを置く場合には、オーブンレンジなどの上部・背面から、それぞれ10cm以上のスペースを確保しましょう。
上部に10cm以上、左右に2cm以上、背面に10cm以上のスペースが必要です。
冷蔵庫の搬入に際しては、建物の入り口から設置場所までの経路に十分な広さがあるかも確認しましょう。
問題なく搬入できるか確認するためにも、以下の点に注意してみてください。
不安がある場合は、販売店と相談したうえで冷蔵庫の搬入・設置が可能か判断しましょう。
冷蔵庫を買い替える際には、大きさ以外にも確認すべきポイントがあります。冷却方式や扉の開き方などを確認して、ご家庭のキッチンに合っているか確認しましょう。
冷蔵庫を選ぶ際には、冷却方式に留意する必要があります。冷蔵庫の冷却方式は、大きく分けて「間冷式(冷気強制循環方式)」と「直冷式(冷気自然対流方式)」の2種類です。
冷却方式 | 特徴 |
---|---|
間冷式 (冷気強制循環方式) |
・冷却ファンによって、冷蔵室や冷凍室それぞれに冷たい空気を循環させて冷却を行う ・大容量になるほど、省エネ性能が優れている ・手動での霜取りが不要 |
直冷式 (冷気自然対流方式) |
・冷蔵庫内に専用冷却器を設置し、冷たい空気を循環させて冷却を行う ・サイズの小さい冷蔵庫で用いられることが多い ・効率のよい冷却が可能で、電気代が比較的安い |
2ドア以上、150L以上の大きさなら、ほぼ間冷式の冷蔵庫で間違いありません。1ドアやコンパクトサイズの冷蔵庫、比較的安価な冷蔵庫の多くは直冷式です。
それぞれ冷却方法や電気代なども異なるため、設置場所や目的に合った冷蔵庫を選びましょう。
利便性を感じられるかどうかを判断するうえで重要な要素となるのが、扉の開き方です。
大きく分けて、右開き、左開き、両開き、観音開きの4種類があります。設置場所や好みによって使い勝手が変わる部分ですので、設置した後の導線をイメージして選ぶとよいでしょう。
冷却方法や扉の開き方以外にも、コンセントとアース線を接続できるか確認しましょう。
基本的に、各住宅では冷蔵庫の設置スペースにコンセントがあります。購入する冷蔵庫のプラグが届くかどうか、念のため確認しておくとよいでしょう。
また、感電防止のために、冷蔵庫にはアース線の取り付けが推奨されています。電源コンセントにアース端子がない場合は設置工事が必要になるため、必要に応じて販売店に相談するとよいでしょう。
家族の人数や自炊をする頻度などによって、適切な冷蔵庫の容量は異なります。また、冷蔵庫は容量が大きいほど、電気代が安くなりやすい傾向にあります。
「気持ち大きめ」の冷蔵庫を購入すれば、電気代を節約できるでしょう。設置スペースに余裕がある場合や容量に余裕を持たせたい場合は、401L以上の冷蔵庫が向いているかもしれません。
購入する冷蔵庫を決めた後は、設置場所のスペースや搬入経路の幅も忘れずに確認しましょう。せっかく選んだ冷蔵庫が想定していた場所に置けない事態を防ぐためにも、事前にしっかり測ってから購入しましょう。
これらの情報をよくチェックして、適切な大きさの冷蔵庫を選び、電気代の節約につなげてください。