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でんきの豆知識

公開日:2018年3月2日

バイオマス発電とは?仕組みや将来性に迫る

「以前の電気の豆知識でも少しだけ触れましたが、最近バイオマス発電に注目が集まっています。

生ごみや可燃ごみ、木屑といったバイオマス燃料をつかった発電方法で、地球温暖化防止のためのCO2削減に大きく貢献すると注目を集めているバイオマス発電。
「生物由来の有機資源から化石資源を除外したもの」を原料とする発電なので、バイオ(生物)+マス(多量)と名付けられました。
今回はそんなバイオマス発電について、仕組みや将来性に迫ります。

バイオマス発電とは?仕組みや将来性に迫る
バイオマス発電とは?仕組みや将来性に迫る

バイオマス発電の基本的な仕組み

バイオマス発電の基本原理は、何らかの方法で蒸気やガスを発生させ、その力でタービンを回し発電するというもので、火力発電と同じです。

ただ、一般的な火力発電と大きく異なるのはCO2排出量が少ない(と言うかほぼゼロ)である点です。

「バイオマス発電所からはCO2が排出されないの?」と驚かれる方がいらっしゃるかもしれませんが、実際には違います。
バイオマス発電でもCO2は発生します。
ただ、発生するCO2はもともと地球上に存在したものなので、トータルで量を増やしているわけではない、つまりはCO2削減に少なからず貢献していると言えるわけです。

バイオマス発電の種類と燃料(3種類)

バイオマス発電に使用する原料は3つに分類されます。

・乾燥材(建築に際して発生した廃材やもみ殻など)
・湿潤材(食品廃棄物や家畜のふん尿など)
・その他(古紙や産業食用廃油など)

バイオマス発電の種類と燃料(3種類)
バイオマス発電の種類と燃料(3種類)
経済産業省ウェブサイト(再生可能エネルギーの種類と特徴)

そして、原料の種類によって、発電方法も大きく異なります。

【乾燥系】
水分をあまり含んでいないため燃えやすい乾燥系の原料は、『直接燃焼方式』という発電に用いられます。
これは一般的な火力発電とほぼ同じです発電方式で、燃やした熱でお湯を沸かし、発生した水蒸気でタービンを回します。

【湿潤系】
湿潤系の原料は、直接燃やすことには適しておらず、『生物化学的変換方式』という発電に用いられます。
『生物化学的変換方式』は、微生物を使って原料を発酵分解させ、その過程で発生するメタンガスや水素を利用する発電方法です。

【その他】
その他に分類された原料は、加熱/加圧によって発生したガスを利用する『熱化学的変換方式』という発電に用いられます。

バイオマス発電のメリット/デメリット

「バイオマス発電って、ほかの再生可能エネルギーを用いた発電方法と何が違うの?」と思う方もいらっしゃるかと思います。

確かに、バイオマス発電以外にもCO2削減に貢献する発電方法は、太陽光発電や風力発電など数多く存在します。 太陽光発電や風力発電と比較して、バイオマス発電にはどのようなメリット、またデメリットがあるか説明します。

メリット

太陽光発電や風力発電は、自然環境に依存しているため、いつ、どのくらい発電できるか、発電量が一定ではありません。
太陽光発電は晴天で日照があれば発電できますが、夜間はもちろん、天候が悪くても発電できません。また風力発電は無風、もしくは風が弱くても発電できません。

一方、バイオマス発電は、必要に応じて燃料を投入すれば理論上は発電し続けられます。
電力は大量に貯めておくことができないので、発電量が見込めてかつ発電量が調整できるバイオマス発電は非常に貴重な存在です。
また、前述の通り基本原理は火力発電と同じなので、火力発電所にバイオマス燃料を一部混合させるといったことも、比較的容易に行えるのも利点と言えるでしょう。

デメリット

デメリットとしてあげられるのがコストです。
太陽光や風力には所有権が存在しないため、燃料コストがかかりませんが、バイオマス発電は燃料コストがかかります。
そして、その燃料コスト自体も、近年高騰しつつあります。

バイオマス発電の原料に使われる工場から出る廃液などは、放置すればヘドロ公害の原因になるので、排出側はお金を払ってでも引き取って欲しいと考えています。
また、製材時に発生するバークと呼ばれる樹皮も、ゴミになるだけで廃棄する処理費がかかってしまいますので、こちらも排出側は、処理費よりも安い費用であれば買い取ってもらってもよいと思っています。

お金を払ってでも引き取ってもらいたいという排出側の要望とマッチしていたので、発電事業者はこれらの材料を安く買い取ることができ、結果安価な燃料コストを入手できていました。
しかし、近年では化石燃料価格の高騰にともない、バイオマス原料の需要も高まったため、木質チップを中心にバイオマス発電の燃料も高騰しつつあります。

バイオマス発電の将来性

再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)において、買い取り価格を決める「調達価格等算定委員会」というものがあります。
2017年9月29日(金)に開催された委員会では、バイオマス発電の課題や今後の買い取り価格について広範な議論が交わされました。
2017年4月のFIT法改正後、初の委員会となるこの会議で、なぜバイオマス発電について議論されたのでしょうか?

理由はいろいろ挙げられるのですが、
国内のバイオマス発電の中でFIT認定量が(政府が想定していた以上に)急増している
のが、最大の理由かと思われます。
それだけ国内でのバイオマス発電に対する将来性が認められているという証左と言えるかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

太陽光発電や風力発電と比べて安定して発電でき、火力発電と比べて地球環境にも優しいバイオマス発電。
ただ、燃料価格の高騰や燃料調達の安定性、発電効率向上の必要性など、課題を多く抱えているのも事実です。
今後の技術革新によって進化を重ね、次世代を担う発電方法に成長することを期待したいところです。

今後も電気に関する豆知識を更新していきます。
次回、再びお会いできることを楽しみにしております。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!