公開日:2018年3月16日
あなたは「HEMS」という言葉を聞いたことはありますか?
「聞いたことはあるけど、実は何のことかよく分かっていない」という方も多いのではないでしょうか?
今回は「HEMS」について、以下の3つをお伝えします!
① そもそもHEMSとは何なのか?
② HEMS導入のメリットは?
③ HEMSがもたらす未来は?
この記事を読めば、知っておきたいHEMSの基礎知識はおさえられます!
では早速、「HEMSとは何なのか?」から紹介していきたいと思います。
HEMSとは、Home Energy Management Service の頭文字をとったものです。
「家庭内で電気を使用している機器について、一定期間の使用量や稼働状況を把握し、電力使用の最適化を図るための仕組み」のことです。
少し古いデータですが、2013年に住信SBIネット銀行が行った調査によると、住宅購入予定者の約70%が住宅に関する導入希望機能について、「消費エネルギーの見える化機能」を選んでいます。
完全なるスマートハウス(次世代省エネ住宅)は初期費用の問題で難しくても、せめて自分がどのくらい電力を消費しているかチェックすることを、省エネ実践の第一歩にしようとしている消費者が多いのかもしれません。
そんな消費者のニーズに応えるべく登場したのがHEMSです。
HEMSは、屋根や庭などに設置した太陽光発電システムから電力を得てそれを販売、消費している場合、使用状況だけでなく発電状況も把握して「見える化」してくれます。
では、HEMSの普及率はどのくらいなのでしょうか?
2012年に内閣官房国家戦略室が表明した『グリーン政策大綱』によると、政府は2030年までに全世帯にHEMSを設置することを目指しています。
2030年には、日本の世帯数は約5,100万世帯まで減少すると言われていますが、それでも全世帯に設置するのはかなりの費用と労力を要します。
2013年度末時点での日本の総戸数に対するHEMSの普及率は、0.3%と非常に低い数字です。
ある調査期間の予測では、2020年度末で約3%まで普及するとされていますが、まだまだ先が長い計画ですね。
詳しくは後述しますが、政府や地方自治体はHEMSの設置に対して補助金を設定し、積極的に普及を促進しています。
HEMSは管理するためのシステムですが、管理のもとになるデータは、スマートメーターから得られます。
従来の電力量計は毎月検針員が訪問して確認していましたが、スマートメーターは30分ごとの電力量をデータとして電力会社へ送信する仕組みを持っています。
スマートメーターから得られるデータは電力会社でビッグデータとして蓄積され、さまざまなことに活用されます。
その逆をたどる、つまりスマートメーターから得られたデータを用いてHEMS経由で家庭用電化製品をコントロールしていくのが、HEMSの考え方です。
HEMSを導入すると次のようなメリットがあります。
あくまでも大半の家電製品がHEMSに接続されていることが前提となりますが、HEMSの普及によって節電に効果があると言われています。
どの機器がどのくらい電力を消費しているか、どの時間帯の電力消費が多いか、同じような家族構成・ライフスタイルの家庭と比べて自宅の電力使用状況のどこに問題があるのかなど、電力消費に対する意識を高めることによって、節電志向が高まると言われています。
また、オン・オフだけでない微妙な調整が可能な家電(例えばエアコンの温度調整など)については、適正なレベルに自動で調整してくれるという機能も、今後現れると期待されています。
IoT家電を紹介した際にもふれましたが、すべてAIが最適化してくれるわけです。
知って納得!IoT家電
記事を読む電力は貯めておくことができないので、使用する最大の電力量を発電する必要があります。
その電力を使用する時間が1秒でも1時間でも、それを供給する能力が電力会社には求められるわけです。
ほとんど使用しないのに、真夏のもっとも暑い時間帯や真冬のもっとも寒い時間帯のためだけに発電所を建設するのは、非常に無駄なことです。
そこで、電力会社側から「今電力が不足しているので、節約してくれたら◯◯をあげますよ!」というお願いを出して、応じてくれた消費者には何らかのメリットを供与する、という考え方が「デマンドレスポンス」です。
HEMSが多くの家庭に導入されると、電力会社との契約によって、HEMS経由で接続された家電類を電力会社からコントロールするということも可能になります。
HEMSは、太陽光発電システムや家庭用蓄電池とともに、政府のエネルギー政策の重要な根幹の一部です。
政府や地方自治体は、HEMS導入時に補助金を交付して、何とか促進しようと試みています。
多くの補助金の2017年度の補助金申請受付はすでに終了していますが、2018年度も継続される補助金も多々見受けられますので、ご興味のある方は調べてみるのもいいかもしれません。ちなみに、国からの補助金は一般社団法人環境共創イニシアチブのホームページ、地方自治体の補助金はお住まいの都道府県や市区町村のホームページから確認が可能です。
政府は、「ZEH(Net Zero Energy House)」(「ゼッチ」と読みます)の普及を目指しています。
これは、家庭で使用する電力(一次エネルギー換算)をおおむねゼロにしよう、という画期的なもので、HEMSは、太陽光発電システムや蓄電池とともにその重要な部分を担っています。
もちろん、スマートメーターと接続しただけの仕組みでは意味がありません。
HEMSに接続することにより管理可能な家電が増えて、電力会社にもビッグデータを分析する環境が整うことで、HEMSは初めてその機能を存分に発揮します。
ただ、そう遠くない未来では、HEMSによって効率的に電力が管理された快適かつローコストな生活が待っているのかもしれませんね。
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んで、「HEMSについてある程度理解できたよ!」と思ってくださったらうれしいです。
今後も電気に関する豆知識を更新していく予定です。
電気に関する、知っているようで実はきちんと知らないことを紹介していきますので、楽しみにしててください!
それではまた次回お会いしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。