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公開日:2023年7月31日
更新日:2025年5月30日

犬・猫などのペットの熱中症予防でエアコンをつけっぱなしにしたら電気代はどうなる?

犬・猫などのペットの熱中症予防でエアコンをつけっぱなしにしたら電気代はどうなる?
犬・猫などのペットの熱中症予防でエアコンをつけっぱなしにしたら電気代はどうなる?

暑さが本格化すると、熱中症に関するニュースが毎日のように流れてきます。熱中症は命にも関わるため、しっかりと対策をする必要があります。

熱中症の予防に有効なのが、適度な水分・塩分補給とエアコンの活用です。しかし、ここ最近は電気代が値上がりしており、家計の負担が重くなっています。

特に、家にいる時間が長い方や犬・猫などのペットを飼育している方は、エアコンをつけっぱなしにする時間が長くなりがちです。その結果、電気代が高くなってしまうでしょう。

そこで今回は、エアコンをつけっぱなしにしたときの電気代や、効果的な節電対策などをご紹介します。熱中症を予防しながら上手に電気代を節約して、暑さを乗り切りましょう。

ケース別にみる、エアコンをつけっぱなしにしたときの電気代

ケース別にみる、エアコンをつけっぱなしにしたときの電気代
ケース別にみる、エアコンをつけっぱなしにしたときの電気代

エアコンをつけっぱなしにする時間帯は、仕事の勤務時間や家族構成などによって異なります。ここでは、ライフスタイルごとにエアコンの運転時間をそれぞれ想定し、計算で割り出した電気代について見ていきましょう。なお、計算に使用する値は、経済産業省資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ 2024年版」の資料を参照しています。

■前提条件(資料より引用)
・エアコン冷房能力:2.8kW(10畳)
・冷房期間:5月23日~10月4日(134日)
・1日あたりの運転時間:6時~24時までの18時間
・冷房期間消費電力量:251kWh(平均値)

この前提条件をもとに、エアコンにかかる1時間あたりの電気代を算出します。まず、「251kWh × 電気料金目安単価31円 = 7,781円」が冷房期間の電気代です。電気代7,781円を冷房期間で日割りすると「7,781円 ÷ 134日 = 約58円」が1日にかかる電気代となります。

さらに、同資料での「1日」は18時間を想定しているため、「約58円 ÷ 18時間 = 約3.2円」となり、1時間あたりの電気代は約3.2円になります。

エアコンを24時間つけっぱなしにしたとき

先ほどの前提条件ではエアコンの運転時間を6時~24時の18時間としていましたが、もし24時間つけっぱなしだと電気代はどうなるのでしょうか。

1時間あたりの電気代は約3.2円ですから、エアコンを24時間つけっぱなしにすると、「約3.2円 × 24時間 = 約77円」となり、エアコン1台につき、24時間で77円の電気代がかかります。

冷房期間中(5月23日~10月4日)に、1ヵ月間、24時間エアコンをつけっぱなしにすると、1ヵ月あたりの電気代は「約77円 × 30日 = 約2,310円」になります。

日中は仕事に出かけて家に誰もいない場合

一般的な勤務時間を8時間として、昼休みの1時間と平均的な通勤時間(往復)である約1時間30分(総務省統計局による全国平均:1時間19分)を加えると、家にいる時間は約13.5時間という計算になります。

一人暮らしで、在宅中はエアコン1台をつけっぱなしにしている、というケースで考えてみましょう。

前提条件の数値から、1日13.5時間つけっぱなしにすると「約3.2円 × 13.5時間 = 約43円」となります。1ヵ月を30日として計算すると、月の電気代は「約43円 × 30日 = 約1,290円」です。

子どもや高齢者、犬・猫などのペットが室内にいる場合

小さな子どもや高齢者、犬・猫などのペットが常に室内にいる場合は、24時間つけっぱなしでエアコンを使用する想定が必要です。

前提条件の数値から、1日24時間つけっぱなしにすると、1日の電気代は「約3.2円 × 24時間 = 約77円」です。1ヵ月の電気代は「約77円 × 30日 = 約2,310円」となります。

体の小さな子どもは環境の影響を受けやすく、汗をかく能力が低いため、特に熱中症への注意が必要です。また、体の不調をうまく伝えられないことも多いため、大人が注意して室温を管理する必要があります。

また、厚生労働省によると、熱中症患者のおよそ半数は65歳以上の高齢者です。高齢者は暑さや水分不足に対する感覚、体の調整機能が低下しているため、適切にエアコンを使用しましょう。

もちろん、ペットも同様です。犬や猫などのペットは高温が苦手であるため、留守にする場合は、エアコンをつけっぱなしにして適度な室温、湿度を維持する必要があります。

テレワークなどで一日中複数の部屋に家族がいる場合

国土交通省によると、令和5年度調査における雇用型テレワーカーの割合は24.8%でした。全国的にテレワーカーの割合は減少傾向にあるものの、コロナ禍以前よりは高い水準となっています。

コロナ禍をきっかけにテレワークをする日が増えたという方は、複数のエアコンを一日中稼働させる状況も考えられるでしょう。例えば、3台のエアコンを24時間にわたって稼働させた場合の電気代は、1日あたり「約3.2円 × 24時間 × 3台 = 約230円」です。

1ヵ月間にわたって24時間つけっぱなしにすると「約230円 × 30日 = 約6,900円」となります。

実際の生活では外出する時間もあるため、24時間つけっぱなしを1ヵ月続けるのは現実的ではありません。それでも、つけっぱなしでずっと稼働させると、エアコンだけでこれだけの電気代がかかるのです。

室内での熱中症予防にはエアコンを上手に活用

室内での熱中症予防にはエアコンを上手に活用
室内での熱中症予防にはエアコンを上手に活用

熱中症は日差しの強い屋外で起こるイメージがありますが、実は室内でも多く発生しています。

総務省消防庁の調査によると、2024(令和6)年5月から9月にかけて、全国における熱中症による救急搬送人員の累計は 97,578人でした。そのうち発生場所が「住居」の人が37,116人(38.0%)と、もっとも高い割合でした。

熱中症は、体温調節機能がうまく働かなくなって体の中に熱がたまり、体温が上昇することで生じます。

室内での熱中症は、部屋で過ごしているうちに室温や湿度が上昇したことで起こったり、エアコンを使わず寝ている間に発症したりするケースが考えられます。水分を摂っていても、室内で運動することによって熱中症になってしまうケースもあり得るでしょう。

つまり、一日中室内にいる人でも、熱中症になってしまう危険性があるのです。ニュースで「熱中症警戒アラート」が発表されたら、エアコンを活用して熱中症を予防しましょう。

つけっぱなしにしながらエアコンの電気代を抑える使い方

つけっぱなしにしながらエアコンの電気代を抑える使い方
つけっぱなしにしながらエアコンの電気代を抑える使い方

熱中症予防にエアコンの使用は効果的とはいえ、長時間運転した場合の電気代は決して安くない出費です。家計を守るためにも、エアコンの電気代を節約する工夫が必要となります。

とはいえ小さな子どもや高齢者がいるご家庭、犬や猫などのペットと生活しているご家庭などでは、エアコンをつけっぱなしにせざるを得ないケースも出てくるでしょう。

そこで、熱中症のリスクを下げながら電気代を抑えるエアコンの使い方についてご紹介します。ご自宅で取り入れられるものがあれば、ぜひ試してみてください。

稼働台数を減らす

家の中で複数のエアコンを同時に稼働させれば、当然ながら電気代は高くなります。複数の部屋に家族がいる場合は、エアコンの稼働台数を減らすための工夫を考えましょう。

在宅ワークをしていないときはリビングに集まるなど、家族で「エアコンの稼働台数を減らす方法はないか」という省エネの意識を持ち、電気代を節約してみてください。

室内の熱を増やさない

すだれやブラインドを使って日差しをカットし、室内に入ってくる熱を減らすのも効果的です。

外出時もカーテンを閉めておくと、室内の温度が上がるのを防げます。また、湯沸かしポットをはじめとした放熱する機器は、エアコンを稼働させていない部屋で使うようにしましょう。

部屋を換気する

帰宅した際に部屋の空気が外よりも暑いと感じたら、窓を開けて部屋を換気します。エアコンの運転前に部屋の熱気を逃がしておくと、稼働を始めて設定温度になるまでの負荷を軽減でき、節約につながります。

夏場は閉め切った室内に熱気がたまっている場合があります。帰宅して暑さを感じたら、エアコンを稼働させる前に換気することを意識してみてください。

風量は「弱」ではなく自動に

エアコンの風量を「弱」に設定すると、部屋が涼しくなるまでに時間がかかり、消費電力が増加します。風量はファンを動かすモーターの動きだけなので、風量の強・弱が電気代の大きな違いにはつながりません。

風量を自動にしておくと、必要な分だけ室内の熱を減らしたあとは、室内の温度を維持するための安定した運転に切り替わります。つけっぱなしで使用するなら、風量を自動に設定するほうが節約につながるのです。

風向は水平にして室内の温度ムラを抑える

暖かい空気は上に、冷たい空気は下にたまるため、天井付近と床付近では「温度ムラ」が起こりやすくなります。風向を水平にすることにより、室内の温度ムラを抑えられます。

生活エリアを早く冷やそうとして、風向を下向きに設定することがあるかもしれません。しかし、最初から床方向に冷気を送り込むのではなく、上から下に冷気が自然に降りるようにしたほうが部屋全体を冷やせます。

ただし、風向を水平にしていても、時間が経てば温度ムラは出てきます。扇風機やサーキュレーター、空気清浄機などを使用して、室内の気流を循環させましょう。

犬や猫などのペットを飼っている場合は?

ペットを飼育しているご家庭では、留守の間や夜間でもエアコンをつけっぱなしにすることが多く、エアコンの運転時間が長くなりがちです。

国立環境研究所によると、ペットのために冷暖房する世帯では、ペットを飼育していない世帯よりも夏と冬の電力消費量が2割ほど多いことがわかっています。

ペットの健康を守りつつ電気代を抑えるには、例えば、省エネ性能の高いエアコンに買い替えたり、ペット用の冷却グッズを活用したりする、といった方法を検討してみましょう。あくまでもペットの様子を見ながら対応していくことが大切です。

エアコンをつけっぱなしにする際、電気代以外で注意すべきポイント

エアコンをつけっぱなしにする際、電気代以外で注意すべきポイント
エアコンをつけっぱなしにする際、電気代以外で注意すべきポイント

熱中症予防としてエアコンを使用する際は、電気代以外にも気になるポイントがあります。

例えば、60代以上を対象とした「熱中症意識調査」によると、全体の約半数が「エアコンによって体が冷えることが気がかり」と回答しています。そのほかにも、長時間つけっぱなしにすると、室内の乾燥や機器への負荷などが気になる方もいるのではないでしょうか。

ここでは、電気代以外で気になるポイントをピックアップして、その対策について解説します。

体が冷えすぎてしまう

エアコンの冷気流に当たり続けると、体が過度に冷えてしまいます。体が冷えすぎると免疫力が落ちたり血液の流れが悪くなったりするため、疲れや頭痛などの原因になります。

体調不良の悩みを軽減するためにも、エアコンの冷気流が直接体に当たらないように風向を調整しましょう。特に、体温調節機能が十分に発達していない乳幼児や温度に対する感覚が弱くなっている高齢者がいるご家庭では、室温を適切に管理する必要があります。

室内の空気が乾燥しやすくなる

エアコンの使用による喉や肌の乾燥が気になる方も多いでしょう。その場合は部屋の中央に加湿器を設置するのがおすすめです。

また、熱中症予防という観点でも、しっかり水分を摂ることは重要です。室内にいると、屋外と違って日差しを浴びて汗をかくことが少ないため、喉の渇きを感じにくい場合があります。仕事や家事などを集中して続けていると、知らない間に水分を失っていたり、疲れがたまっていたりすることもあります。適度に休憩を取り、こまめに水分を摂取しましょう。

1日あたり1.2リットルを目安にして、1時間に1回程度、コップ半分(100ml)程度の水やスポーツドリンクなどを摂取するのがおすすめです。

つけっぱなしだと掃除機能が使えず汚れがたまる

最近のエアコンには、運転を停止したあとにフィルター掃除を行う「自動掃除機能」「内部クリーン機能」を搭載した機種があります。つけっぱなしにすると、これらの便利機能を使う機会が減ってしまいます。

フィルターにホコリが付いた状態で運転させると、モーターやコンプレッサーに負荷がかかり、故障の原因になります。真夏にエアコンが故障すると熱中症のリスクが高まるため、タイミングを見て運転を停止して「自動掃除機能」や「内部クリーン機能」を活用しましょう。

なお、フィルターが目詰りしているエアコン(2.2kW)とフィルターを清掃したエアコンを比較すると、フィルターを清掃したエアコンのほうが年間で電気代が約990円安くなります。

電気代を節約するためにも、時々運転を停止してクリーン機能を作動させたり、外出時にクリーン機能をオンにしたりして定期的に清掃しましょう。

まとめ

エアコンをつけっぱなしにしたときの電気代や、節電するための方法などを紹介しました。つけっぱなしにすると電気代は高くなりがちですが、熱中症から体を守るためにも、エアコンを適切に使用しましょう。

とりわけ、暑さが本格化して猛暑日や熱帯夜が続く中では、エアコンを上手に活用して体調管理をすることが大切です。

特に子どもや高齢者、犬・猫などのペットが室内にいる環境のご家庭は、室温管理や使い方に気を付ける必要があります。節電の工夫をしながら、エアコンで快適な空間を維持して、健康的に過ごしてください。