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公開日:2023年7月31日

熱中症予防に有効なエアコン。でも、つけっぱなしにすると電気代は?

熱中症予防に有効なエアコン。でも、つけっぱなしにすると電気代は?
熱中症予防に有効なエアコン。でも、つけっぱなしにすると電気代は?

暑さが続くと、熱中症に関するニュースが毎日のように流れてきます。熱中症の予防に有効な対策としては、やはり適度な水分・塩分補給と冷房機器などの活用です。特にエアコンは冷房効果の高いものですが、室内にいる間ずっとつけっぱなしにすると電気代の増加も気になるところ。

そこで今回は、「エアコンをつけっぱなしにすると電気代はどうなる?」というテーマで、ライフスタイル別の電気代と節電対策などについてご紹介します。
熱中症を予防しながら上手に電気代を節約して、元気でおトクに暑さを乗り切りましょう。

室内での熱中症予防にはエアコンを上手に活用

室内での熱中症予防にはエアコンを上手に活用
室内での熱中症予防にはエアコンを上手に活用

熱中症は日差しの強い屋外で起こるイメージがありますが、実は室内でも多く発生していることをご存じでしょうか。総務省消防庁の調査によれば、2018年から2022年の熱中症発生場所は敷地内すべての場所を含む「住居」が約4割となっています。

熱中症は、体温調節機能がうまく働かなくなって体の中に熱がたまり、体温が上昇することで生じます。
室内での熱中症は、部屋で過ごしているうちに室温や湿度が上昇してしまったために起こったり、夜間に冷房を使わないことで寝ている間に発症したり。ときには、水分を取っていても室内で運動することによって熱中症になってしまうケースさえあります。
テレワークなどで一日中室内にいる人でも、熱中症になってしまう危険性があるのです。
ニュースで「熱中症警戒アラート」が発表されたら、室内であっても要注意。エアコンを活用して熱中症予防に努めることをおすすめします。

クールビズの「室温28℃」はエアコンの設定温度ではない

環境省が推奨するクールビズの目安「28℃」というのは、エアコンの設定温度ではなく、室温を28℃にすることです。エアコンの設定温度を28℃にしたから大丈夫というわけではありません。パソコンの長時間使用で機器が熱を持つ場合や、窓からの日差しの影響など、室内の場所によっては設定温度より暑くなってしまう可能性もあるのです。

「設定温度」と「室温」の違いを意識しながら、扇風機やサーキュレーターなどで室内の気流がうまく回るように工夫して、室温が均一になるように気を配ってください。

ケース別にみる、エアコンをつけっぱなしにしたときの電気代

ケース別にみる、エアコンをつけっぱなしにしたときの電気代
ケース別にみる、エアコンをつけっぱなしにしたときの電気代

エアコンは起動して設定温度に達するまでがいちばんエネルギーを必要とするので、最初に大きな電力を使用しますが、設定温度に達した後は比較的小さな電力で室温を保ってくれます。
そのため、ひんぱんにスイッチのオン・オフを繰り返していると、省エネにつながらないだけでなく、つけっぱなしのときと比較してもより多くの電力を消費する場合があるのです。
「30分運転して5分停止する」を5回繰り返したときの消費電力が、連続で運転したときよりも約3割多かったというデータもあります。
しかし、だからといって24時間つけっぱなしにしていると、それはそれでかかる電気代がとんでもないことになります。

エアコンをつけっぱなしにする時間帯は、仕事の勤務時間や家族構成などによって違います。ここでは、ライフスタイルによって電力消費の時間をそれぞれに想定し、計算で割り出した電気代について見ていきましょう。

■前提条件
資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ 2022年版」
エアコン冷房能力2.2kW(6 ~9畳)
冷房期間消費電力量の平均値より算出

上記カタログ数値を使用した場合、
冷房期間消費電力量平均値203kWh × 電気料金目安単価31円 = 冷房期間の電気代6,293円
となります。

冷房期間は5月23日~10月4日(134日)として計算されているので、1日の電気代としては
6,293円 ÷ 134日 = 約47円
となります。

ちなみにこちらの1日というのは午前6時から午後12時(午前0時)までの18時間想定とされているので、
約47円 ÷ 18時間 = 約2.6円
1時間あたりになおすと約2.6円の電気代となります。

  • 2022年7月22日に電気料金の目安単価が「27円/kWh」から「31円/kWh」に改定されたことを受けて、設定しています。(全国家庭電気製品公正取引協議会)

日中は仕事に出かけて家に誰もいない場合

一般的な勤務時間を8時間として、昼休みの1時間を加え、平均的な通勤時間1時間20分(総務省統計局による全国平均:1時間19分)を往復で3時間と考えた場合、家に居る時間は約12時間という計算になります。例えば、午後7時に帰宅して、翌朝午前7時に出勤する人のケース。一人暮らしで、在宅中はエアコン1台をつけっぱなしにしている、などという人の場合です。

前提条件の数値から、1日12時間つけっぱなしにすると……
約2.6円 × 12時間 = 約31円

1ヵ月12時間つけっぱなしを続けると……
約31円 × 30日 = 約930円

となります。

子どもやペットが常に室内にいる場合

小さな子どもやペットが常に室内に居る場合は、24時間つけっぱなしでエアコンを使用する想定も必要です。体の小さい子どもは、環境の影響を受けやすいもの。汗をかく能力が低く、体の不調をうまく伝えられないことも多いため、大人が注意して室温を管理してあげなくてはいけません。もちろん、物言わぬペットも同様です。猛暑日で外遊びや散歩も難しい夏休みの一日、などのケースが考えられます。

前提条件の数値から、1日24時間つけっぱなしにすると……
約2.6円 × 24時間 = 約62円

1ヵ月24時間つけっぱなしを続けると…
約62円 × 30日 = 約1,860円

となります。

テレワークなどで一日中複数の部屋に家族がいる場合

テレワークの広がりの中で、在宅で仕事をするという人も増えています。そうなると、エアコンを一日中稼働させる状況も考えられます。さらに、テレワークで働くワーカー以外の家族が過ごす居室も含めて、複数台のエアコンをつけっぱなしで使う想定も必要です。24時間、複数台(例として3台)を使用すると、以下となります。

前提条件の数値から、3台のエアコンを1日24時間つけっぱなしにすると……
約2.6円 × 24時間 × 3台分 = 約187円

1ヵ月24時間つけっぱなしを続けると…
約187円 × 30日 = 約5,610円

実際の生活では、外出する時間もあるので24時間つけっぱなしを1ヵ月続けるということはなかなかないと思います。それでも、つけっぱなしでずっと稼働させたら、エアコンだけでこれだけの電気代がかかるのです。
熱中症予防のためとはいえ、決して安くない出費です。そこで、エアコンを使いながら節電して節約する工夫が必要となります。

エアコンの電気代を抑えて、在宅時はつけっぱなしにする使い方

エアコンの電気代を抑えて、在宅時はつけっぱなしにする使い方
エアコンの電気代を抑えて、在宅時はつけっぱなしにする使い方

暑い日が続いている中でも、大手電力7社によって電力料金の値上げが実施された2023年6月以降は、電気代の高騰を心配してエアコンの使用を控えるという人が増えているようです。2022年のデータでは、室内での熱中症によって亡くなった方の約9割がエアコンを使用していなかったと言いますから、今年はさらに増加する可能性もあります。

少しでも電気代を安くしながらエアコンを活用できれば、熱中症の予防にも役立つはず。そこで、電気代を抑えながら熱中症のリスクを下げる使い方について、いくつかご紹介します。ご自宅で取り入れられるものがあれば、ぜひ試してみてください。

稼働台数を減らす

在宅ワークなどで複数の部屋に家族がいる場合は、エアコンの稼働台数を減らすために日中はリビングに集まるなどして、家族で省エネの意識を合わせましょう。

室内の熱を増やさない

すだれやブラインドを使って日差しをカットし、室内に入ってくる熱を減らすのも効果的な方法です。
外出時もカーテンを閉めておくと、室内の温度が上がるのを防げます。また、湯沸かしポットなどの放熱する機器は別の部屋で使うようにしましょう。

部屋の換気

帰宅して、部屋の中の空気が外よりも暑いと感じたら、窓を開けて部屋を換気しましょう。
夏場は締め切った室内に熱気がたまっていることがあります。エアコンの運転前に部屋の熱気を逃がしておくと、稼働を始めて設定温度になるまでの負荷が軽減でき、節電につながります。

風量は「弱」ではなく自動に

エアコンの風量は「弱」に設定したほうが電気代は少なくて済むと思いがちですが、それだと部屋が涼しくなるまでに時間がかかり、消費電力は増加します。風量はファンを動かすモーターの動きだけなので、風量の強・弱が電気代の大きな違いにはつながりません。
風量を自動にしておくと、必要な分だけ室内の熱を減らしたあとは、室内の温度を維持できるよう安定した運転に切り替わります。つけっぱなしで長時間使用するなら、風量は自動に設定するほうが節約になります。

風向は水平にして室内の温度ムラを抑える

暖かい空気は上に、冷たい空気は下にたまるため、天井付近と床付近では「温度ムラ」が起こりやすいものです。生活エリアを早く冷やそうとして風向を下向きに設定することも多いと思いますが、最初から床方向に冷気を送り込むのではなく、上から下に冷気が自然に降りるようにするためにも、風向は水平に設定しましょう。
また、水平にしていても時間がたてば温度ムラは出てくるので、扇風機、サーキュレーター、空気清浄機などを使用して室内の気流を攪拌するのも効果的です。

このほかにも、電気代の節約方法はいろいろとあります。
詳しいエアコンの使い方や仕様、電気代などについてはこちらの記事を参照ください。

エアコン使用の際、電気代以外で気になるポイントも

エアコン使用の際、電気代以外で気になるポイントも
エアコン使用の際、電気代以外で気になるポイントも

熱中症予防としてエアコンを使用する際は、電気代以外にも気になるポイントがあります。例えば、60代以上を対象とした「熱中症意識調査」によると、全体の約半数が「エアコンによって体が冷えることが気がかり」と答えました。そのほかにも、長時間つけっぱなしで使用すると室内の乾燥や機器への負荷などが気になる方は多いのではないでしょうか。

ここでは、電気代以外で気になるポイントをピックアップして、その対策などについて見ていきましょう。

冷えすぎて体調をくずすかもしれない

エアコンの冷気流に当たり続けると、体が過度に冷えてしまいます。冷えすぎると免疫力が落ちたり代謝も低くなったり、また血液の流れも悪くなるため、疲れやだるさ、頭痛などの原因になります。

エアコンの冷気流が直接体に当たらないように、風向は調整しましょう。特に、体温調節機能が十分に発達していない乳幼児や、温度に対する感覚が弱くなって気が付かないことのある高齢者などは、室温計などで室温を管理してあげる必要があります。できれば27℃前後で、外気温との差が5~7℃に設定します。24℃以下にすると冷えすぎるので注意してください。

室内の空気が乾燥しやすくなる

エアコンによる乾燥が気になる場合、お肌のかさつきには保湿のための化粧水やクリームがあります。部屋の中央に加湿器を置くのも効果的。
ただ、熱中症予防という側面からは、しっかり水分を摂ることが重要です。室内にいると、屋外と違って日差しを浴びて汗をかいたりすることが少ないために、のどの渇きを感じにくい場合があります。のどが乾いていなくても、こまめに水分を補給しましょう。

仕事や家事などで集中して作業を続けていると、知らない間に水分を失っていたり、疲れがたまっていたりすることも。適度に休憩を取り、そのタイミングで水分をとってください。1日あたり1.2リットルを目安にして、1時間に1回、コップ半分(100CC)程度の水やスポーツドリンクなどを摂るのがおすすめです。

つけっぱなしだとお掃除機能が使えず汚れがたまる

最近のエアコンには運転を停止した後にフィルター掃除などを行う「自動お掃除機能」「内部クリーン機能」を搭載した機種も多いのですが、つけっぱなしにすると運転を停止しないので、こうした機能が使えないという心配もあるようです。

時々は運転を停止してクリーン機能を作動させたり、外出時にクリーン機能をオンにするなど、定期的に清掃するようにしましょう。
例えば2週間に1回程度はスイッチを切ってクリーン機能を使うといった、お手入れのルーティンを決めておくといいかもしれません。

まとめ

今回は熱中症の予防という観点から、エアコンをつけっぱなしにしたときの電気代の目安や節電の方法などを紹介しました。電気代の高騰などの懸念もありますが、猛暑日や熱帯夜が続く中では、エアコンを上手に活用して体調管理をしたいものです。
節電の工夫をしながら、エアコンで快適な空間を維持して、健康的に過ごしてください。