公開日:2022年2月10日
更新日:2024年7月19日
エアコンの使い方を見直せば、電気代を抑えられる可能性があります。エアコンは家電の中でも多くの電気使用量を占めているため、「エアコンの電気代の負担を減らしたい」「結局、エアコンの設定温度は何度にしたらいいの?」と悩んでいる方はエアコンの使い方を見直しましょう。
また、気温が高くなる夏や気温が低くなる冬になると、エアコンを毎日使うという人もいるのではないでしょうか。頻繁に使う電化製品だからこそ、どれくらいの電気代がかかっているのか知ることは大切です。
この記事では、エアコンにかかる電気代の節電・節電につながる具体的な方法を紹介します。
エアコンの電気代は運転モードや季節によっても変わるため、目安として1年間の電気料金を算出することが多くあります。なお、計算式は以下の通りです。
なお、31円という値は全国家庭電気製品公正取引協議会による新電力料金目安単価です。契約している電力会社によって単価の設定は違うので、あくまで目安として考えましょう。
実際に使っている機種について電気代の目安を知るには、製品カタログやメーカーのウェブサイトに記載された期間消費電力量の値を参考にしてみてください。
エアコンは家庭内の電気製品の中で電気使用量が上位であり、全体の約14.7%を占めています。エアコンは電気代全体への影響が高いため、エアコンの平均電気代を知ることは節約にも役立ちます。
総務省の資料を参考に、2023年における単身世帯と二人以上の世帯の年間電気代とエアコンの想定電気代を算出しました。
単身世帯 | 二人以上 の世帯 |
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---|---|---|
年間平均電気代 | 80,713円 | 147,180円 |
エアコンの 電気代が占める割合 |
14.7% | 14.7% |
エアコンの 想定電気代 |
約11,865円 | 約21,635円 |
上記の表の金額はあくまで平均であり、実際のエアコンの電気代は家族構成や部屋の広さなどさまざまな条件によって変わります。寒暖差の激しい地域では多く電力を消費するため高額になりやすく、地域による金額の違いも見られます。 エアコンの平均電気代を実際にかかっているエアコンの電気代と比較し、節約する際の目安にしてください。
エアコンには冷房や暖房、除湿などの運転モードがありますが、各モードでかかる電気代には差があります。この項では、それぞれのモードにおけるエアコンの仕組みについてご紹介します。
ここでは冷房と暖房、除湿モードについて詳しく見ていきましょう。
エアコンの最も代表的な機能が冷房と暖房です。
冷房は、屋内の中に置かれている「室内機」と、屋外に置かれている「室外機」がセットで動くことで機能します。
エアコンの室内機と室外機をつなぐパイプの中では、冷媒という液体が循環しています。冷媒が屋内から取り込んだ空気を冷やして屋内に放出することによって、屋内の温度が下がります。
熱には、温度の高いほうから低いほうへ移動する性質があります。エアコンは熱の性質を利用して、熱交換器で冷媒の熱を吸収・放出して温風や冷風を出しています。
例えば、氷を手に持つと熱が奪われてひんやり感じるのは、手のひらの熱が冷たい氷の方に移動したからです。エアコンも同じ原理で、熱が移動していると考えてください。
冷房の場合、室内機の中で冷たくなっている冷媒が部屋の暑い空気から熱をもらい、パイプを通じて室外機へ運びます。室外機では圧力をかけられた冷媒が熱くなり、部屋の外の空気より温度が高くなるため、冷媒の熱が外に逃げていくのです。
このように、冷房運転中は室内機の熱交換器でもらった部屋の熱が、室外機の熱交換器によって外へ放出されます。この作業が繰り返され、部屋の温度が下がっていく仕組みです。
暖房の仕組みも、基本的には冷房と同じです。
冷房の仕組みと異なる点は、室外機で取り込んだ外気の熱を熱交換器によって冷媒に吸熱させたあと室内に熱を放出していることです。
このように、空気の中にある「熱」を冷媒が運ぶことによって、エアコンは冷房と暖房の役割を果たしています。
エアコンの機種によって「除湿」あるいは「ドライ」と表記されていますが、日本語と英語の違いだけで機能は同じです。
除湿は基本的に冷房と同じ仕組みで、室内で取り込んだ空気を冷やして水分を結露させ、室外に放出します。冷房は室内から熱を追い出して部屋の温度を下げますが、除湿は水分を追い出して湿度を下げる機能です。
冷房の場合は設定温度まで室温を冷やすように運転しますが、除湿の場合は湿度が設定した値になるまで冷房の弱運転を行うという違いがあります。
除湿についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。
電気代を節約するために、どのような工夫を行えばよいのでしょうか。ここでは、エアコンの運転モードを使って電気代を抑える具体的な方法を4つ紹介します。
1つ目に紹介する方法は、設定温度に気を付けることです。
エアコンは、室内の温度を設定温度に到達させるまでに最も多くの電力を消費します。つまり、エアコン運転前の室温と設定温度の差が大きいほど電気代がかかります。必要以上に設定温度を低め(冷房運転時)もしくは高め(暖房運転時)にすると、その分必要な電力は増えるため注意が必要です。
エアコンの推奨設定温度は、室温を基準に調整することが推奨されていますが、室温を1度外気温に近づけると、どのくらい安くなるのか気になる人もいるでしょう。
環境省では、快適性を損なわない範囲で省エネルギーを目指すために、エアコンの設定温度ではなく、室温を夏季28℃前後、冬季20℃前後とすることを推奨しています。上記の室温を維持できるようにエアコンの設定温度を調整しながら使用すると、最も効率よくエアコンを活用することができるでしょう。
また、総務省の資料を参考に、2023年における単身世帯と二人以上の世帯の年間電気代とエアコンの想定電気代を算出しました。
エアコンは家庭内の電気製品の中で電気使用量が上位であり、全体の約14.7%を占めています。エアコンは電気代全体への影響が高いため、エアコンの平均電気代を知ることは節約にも役立ちます。
資源エネルギー庁によると、設定温度を変えたときに得られる節約効果は以下のとおりです。
外気温度31℃のとき、 エアコン(2.2kW)の 冷房設定温度を 27℃ から1℃上げた場合 (使用時間:9時間/日) |
外気温度6℃のとき、 エアコン(2.2kW)の 暖房設定温度を 21℃ から20℃にした場合 (使用時間:9時間/日) |
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年間の 省エネ効果 |
30.24kWh | 53.08kWh |
年間の 節約効果 |
約940円 | 約1,650円 |
節電するためには、自分が普段設定しているエアコンの温度を見直すことをおすすめします。
2つ目に紹介する方法は、送風の活用です。
送風はエアコンで最も電気代がかからないモードで、寒さや暑さが厳しくない時期に有効活用できます。外の空気と室内の空気の温度差が大きくない時期であれば、送風で十分快適に過ごせるでしょう。
例えば、5月~6月にかけての時期は、冷房や除湿の代わりに送風運転の活用をおすすめします。また、冷房に当たり続けると体調を崩してしまう方は、定期的に送風に切り替えれば電気代を抑えつつ、体への負担も減らせるでしょう。エアコンを使う時期によって、送風をうまく活用すれば電気代を抑えることが可能です。
3つ目に紹介するのは、エアコンの風量設定を「自動」にすることです。
風量を自動設定にすると、冷房なら部屋が冷えるまで、暖房なら部屋が暖まるまで「強風」で一気に設定温度に到達させます。設定温度になったら自動で「微風」や「弱風」に切り替わるので、効率よくエアコンを稼働させることができるのです。
始めから弱風や微風で運転させると、設定温度に到達するまで時間がかかり、その分余計な電力を消費して電気代がかかります。電気代を安くするうえで、風量の設定を自動にするのは効果的です。
4つ目に紹介するのは、冷房や暖房によって風向きを変えることです。
空気は性質上、冷たい空気は下に、温かい空気は上に行きます。そのため、冷房の際は風向きを上に、暖房の際は風向きを下にすることで空気が循環し、効率的に部屋を快適な温度にできます。
効率的に部屋を冷やしたり暖めたりするための風向きは、冷房の場合と暖房の場合で異なる点を押さえておきましょう。
運転モード以外で、電気代を節約する方法を紹介します。すぐに実践できる方法ばかりなので、ぜひ試してみてください。
エアコンのフィルターに汚れが溜まっていると、運転効率が落ちて電気代が高くなります。
エアコンの使用頻度にもよりますが、毎日エアコンを使っている場合は2週間に1回程度を目安にフィルターの掃除を行うと、節約につながります。
フィルターが目詰りしている エアコン(2.2kW)とフィルターを 月に1回か2回清掃した場合の節約効果 |
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年間の 省エネ効果 |
31.95kWh |
年間の 節約効果 |
約990円 |
エアコンは部屋の空気を吸い込んで稼働しているため、空気中のほこりやゴミなどを一緒に吸い込み、フィルターに付着します。ご家庭でも簡単に掃除を行えるため、定期的に清掃しましょう。
電気代を安くするために「エアコンの電源はつけっぱなしのほうがよい」という話を聞いたこともあるでしょう。
エアコンを起動させると、部屋を設定温度にするために大きな電力を使います。何度も切ったりつけたりを繰り返すと起動する度に消費電力量が増えることから、つけっぱなしのほうがよいと言われることがあります。
確かに、真夏の昼間に30分程度外出する場合は、エアコンをつけっぱなしにしたほうが電気代は安くなります。
逆に、雨天時や朝夕の涼しい時間帯など屋外とエアコン設定温度に大きな開きがない場合は、こまめに電源を切るほうが節電効果が高いことがあります。
室内と外気温の差や不在にする時間に応じて、電源を入れたままにしておいたほうがよいか考えましょう。
エアコンの電気代を抑えるためには、エアコン運転時に扇風機やサーキュレーターを併用することも効果的です。
冷房と扇風機を併用すると体感温度が下がり、部屋の下にたまった冷気を室内で循環できます。暖房時には、部屋の上にたまる暖かい空気をサーキュレーターで攪拌すれば、室内の温度ムラが解消されてエアコンの効果が上がり節電につながります。
扇風機を上手に活用する方法を詳しく知りたい人は、こちらの記事もどうぞ。
エアコンは屋外に取り付ける室外機と、部屋の中に取り付ける室内機の2つがセットになって稼働します。
しかし、室外機の設置場所に関しては、あまり気にしたことがない人もいるかもしれません。室外機を置く場所はエアコンの稼働効率に影響するため、置く場所によってかかる電気代も変わります。
室外機の周りに邪魔なものがあると熱をうまく排出できず、余計な負荷がかかり運転効率が悪くなります。そのため、室外機は風通しのよい場所に置き、周囲に物を置かないのがおすすめです。
風通しのよい場所に室外機を置けば、室外機から出た高温の空気をすぐに逃がすことができるだけでなく、室外機本体の温度も下がりやすくなります。
また、直射日光がなるべく当たらない場所に置くことも効果的です。直射日光が当たると十分な熱交換ができず、無駄な電力を消費するためです。ただし、すでに設置してある室外機を動かすと配管が破損して故障の原因になるため、その場合は動かす必要はありません。どうしても直射日光が避けられないときには、吹き出し口を塞がないように日よけを設置するのがおすすめです。
省エネ性能に優れたエアコンへの買い替えも検討しましょう。
消費電力量や電気代はエアコンごとに異なり、一般的に新しいエアコンほど省エネ性能が優れています。消費電力量が少ない省エネ性能に優れたエアコンは、経済的な節約はもちろん、電力消費を抑えることで環境の面でも役に立つものです。これからエアコンを買い替えようと思っている人や新しくエアコンの購入を考えている人は、省エネタイプのエアコンに目を向けてみませんか。
例えば、10年前のエアコンと現在のエアコンを比べると約15%~17%程度の省エネとなっています。その結果、年間で5,100円~5,200円程度の節約効果を得られます。
エアコンの電気代は家庭内の電気製品の中でも約14.7%を占めており、使い方を見直せば電気代を節約できます。送風運転を活用したり、風量や温度の設定を工夫すれば電気代を抑えることが可能です。
ほかにも、フィルターの掃除を行ったり室外機の設置場所を工夫することも効果的です。
エアコンは1年を通して最もよく使う家電の1つなので、エアコンの節電方法を身につけて電気代を効率的に抑えましょう。